偏差値60の壁なんてない

中学受験のサポート歴20年以上の経験から、心構えや考え方を公開します。

子供の自主性を伸ばすために必要なこと。求めているのは自主性ですか?

自主性がないと嘆いている親や上司はとても多い。自主性、自律性、自立心、自発的。まぁ色々と考えて、自分からやれと。で、報酬があれば良いかな、って物で釣ろうとか。でも効果は一時的で、残念な結果になってることも多い。褒めてやってもまたやらないとか。少し経つと元通りとか。

で、その理由として、そもそも自由に動ける心と行動の準備が出来ていないことが多い。借りてきた猫って言葉があるけど、それの少し深刻なやつ。自分の場じゃない感じ。

子供が自分で出来るようになるには、まず自由でないといけません。自由って言うのは、何をやっても良いという意味ではなく、自らに由る=自分に従うという意味。自分からやるには、心と行動の自由がないといけない。

求めているのは自主性か、こちらの期待通りの行動か。

自分からやらないと嘆いている人が、実は「自発的に自分でやること」ではなく、「命令を覚えてこちらが不快になる前にやること」を求めていることはとても多い。自分で、自分から、という言葉を使いながら、自主性ではなく服従性を求めている。これでうまくいくはずがない。

期待通りにうまく流れる簡単な方法は、奴隷化ですね。支配。きっちり支配された、良い奴隷を作り上げれば、こちらの希望通りの行動を先回りしてやれるようになるでしょう。もちろん、自由ってやつとは正反対です。

自分の意思や願望で「出来るようになりたい」と思い、その実現のために自ら考え、行動する人間を育てたいのか。それとも、親の希望、意図を汲み、先回りして怒られないように「正しい行動」をする人間を育てたいのか。心理的には逆方向なので、ここをはっきりさせないと、何をやっても空回り程度で済めば良い方で、最悪はお互いボロボロになり、傷を残します。

まずは親としての立ち位置をはっきりさせること。

中学受験が親の希望、願望の押し付けだってことに変な罪悪感を持っているから、子供の自由意志であるかのように思い込み、言いくるめ、約束を破ったみたいな追い詰め方をする。これは、親の人格の問題と言うより、まず立ち位置が悪いですね。

そうでなく。私は親として、子供を立派に育てる!自分の子供には責任を持つ。まだ思春期前の子供は、善悪も将来のこともわからないし、周りの影響も受けやすい。だから、親がいいと思うことを教える。良い環境を与えるんだ!とまぁ、これくらいの感じで、親として干渉し、自分の意見を伝えると言う立場をしっかり決めた方が良い。堂々と、自分の流儀を伝える(押し付ける)。

じゃあ、子供の人格、人権も無視して、奴隷調教を進めるのか。言われないと何も考えない。親の顔色だけ伺う、そういう子供が理想なのか。多分、ほとんどの親御さんは、違いますよね。子供にも人格があることは尊重しつつも、まだ未熟な子供には教え導くことも必要と。

だから、教育はする。誘導もする。でも、短期的な中学受験の結果だけにフォーカスしない。しっかり自分で取り組む力、それによって培われた学力、そういうものが手に入れば、受験は成功。こう考えることが出来るかどうか。

そのためには、最善を尽くした上で結果がどうでも、受け入れる覚悟をする。第一志望に合格するのも良い。負けを経験して、第二、第三志望に進学するのも良い。全落ちは無いようにきっちり戦略を練るけど、それこそ体調や本番の緊張もあるし、絶対はない。

親の流儀である以上、責任は親にある。期待通りに伸びても、思ったほど伸びなくても、合格しても、不合格でも。全部、責任は親が持つ。お金を損した、時間を損した、こんなことならもっと遊ばせてあげれば良かった、なんてTime Machineも持ってないのに気持ち悪いことを言わない覚悟。

甲子園目指して、一生懸命に努力する。出られるのは一校だけ。で、出られなかったら「こんなことなら〜」って言うのは、ちょっと違う。勝利を本気で目指して努力する。結果、技術や体力や精神力は磨かれる。これが最大の財産。と思えるかどうか。

親が成長の事実よりも、結果の勝敗だけに注目する意識だと、子供にも影響を与えます。一緒に頑張って、子供の成長が見れて、これで良かった。落ちたら、子供はショックで泣くかも。一緒に涙くらい出ても良い。というか、本当に頑張った子供の姿を見ていれば、負けた時には涙くらい出る人の方が多いです。勝っても泣いちゃう。

それでも、よく頑張った、これで成功だ。そう言い切る覚悟を持つ。親としての教育は、全力で取り組ませ、勝負するところまで持っていくこと。必ず、その先の人生につながる財産になると胸を張る。

ここまで、準備はできていますか?次は、自主性を伸ばすための考え方を書きます。

f:id:aswg-tutor:20190609122934j:plain

 

東京・神奈川・千葉・埼玉から東大に行く子の100人中84人は中学入試実施校の出身。

東大合格者の学部別合格者、現役と既卒込みの総数をまとめました。都立日比谷・県立湘南・芝など、学部不明の場合は現役数/総数のみ記載しています。詳細データは記事下部のリンクよりご覧ください。

※判明率90%の最新データはこちらの記事からどうぞ。

f:id:aswg-tutor:20190608095721p:plain

2019年東大合格者に占める割合

東大合格者3,084名のうち出身校が判明しているのは2,412名、78.2%です。判明分の内訳を見ると、一都三県の中学受験実施校の占有率は57.4%、一都三県の高校入試のみの学校が10.9%、他道府県校が31.7%となっています。他の地域には京大や北大などそれぞれの地域の旧帝大などの大学もあるので、一都三県に偏るのは当然ですね。

一都三県内で見れば中学受験実施校の卒業生数は26,004名で、一都三県の高校卒業生約25万人の約1割に過ぎませんが、合格者の占有率は84%。高校入試のみの学校が16%です。高校入試のみの学校でも、都立日比谷(現役29/総数47)や県立浦和(現役19/総数41)など、相当数の合格者を出す学校もありますが、全体から見ればごく僅か。一都三県から東大に進学する子の25人中21人が、中学受験実施校出身です。

更にこの中で、筑駒、開成、渋幕、豊島岡などを含む高校入試ありの51校は、卒業数17,320名で合格数685名(現役485名)、現役率2.80%、東大率3.95%。これに対し、麻布、駒東、海城や神奈川御三家、女子御三家など高校入試なしの43校は、卒業数8,684名で合格数は700名(現役525名)、現役率6.05%、東大率8.06%。

他の国公立大や医学部、早慶など何を基準にするかによって多少の変化はありますが、少なくとも東大に関して言えば約1割の人数で84%を占める中学受験組と、約9割の人数で16%の受験回避組、どちらが進学意識が高いかははっきりしていますね。

東京都に絞ってみると、掲載した中学受験実施校の卒業生は14,653人、合格者は1,038人なので、約7.1%が東大に進学していることになります。判明分だけで見れば1,176人中1,038人で、占有率は約88%。

これに対し、東京都の高校卒業者数は102,326人なので、それ以外の高校の卒業生は87,673人、仮に判明分138人に加え出身校未判明分672人の合計810人全てだとしても東大進学率は約0.9%。100人に1人も入らないわけですね。もし判明分138人だけなら、東大進学率は約0.15%なので、1,000人に1人か2人です。

大学なんてどこでも良い、中高なんかどこでも良い、高卒認定でも良い、中卒だって良い、いろいろな考え方がありますし、学歴で幸せになれるとは限らないのも、高収入が幸せとは限らないのも、同意します。でも、どうせ学ぶなら、同じように高いレベルで努力する仲間と刺激し合い、競い合い、支え合える方が、良い環境だと思います。

f:id:aswg-tutor:20190608120727p:plain

東大率10%以上の16校 平均偏差値66.8

f:id:aswg-tutor:20190608120747p:plain

東大率3%以上の17校 平均偏差値63.7

f:id:aswg-tutor:20190608120808p:plain

東大率3%未満/合格2名以上の37校 平均偏差値56.1 ※赤字は日能研R4

PDFとエクセルの閲覧とダウンロードはこちらからどうぞ。

全一覧PDF

全一覧xlsx

分割PDF

分割xlsx

 

「自分から勉強する」素質のある子のケースを、自分の手柄にして語る絵空事を信じ込むと窮屈になる。

叱らない子育てで子供のやる気を伸ばしました!自分から受験勉強に真剣に取り組み、○○に合格!

こんなのは、実例であっても、ほとんどは錯誤。そりゃ難関上位校に合格した子は、頑張ったでしょう。親が虐め抜いてやらせてることも少ないでしょう。でも、それはもともと、そういう素質がある子です。その子の資質を伸ばせば、勉強を自分で進んでするようになる子を伸ばしただけ。どんな子でも受験勉強に自分から進んで取り組むように仕向け、しかも中学受験に確実に間に合わせる。そんな方法は、ありません。

そういう素質のある子はいます。そういう傾向を強める、そうでない傾向を弱める方法ならあるでしょう。でも、1〜2年の短期間で、受験勉強への取り組みを本人が自分からやるようにする、これは基本的には出来ないことだと考えた方が良い。

受験勉強に取り組む強い意志が、不可能を可能にした!

強い意志って。艱難辛苦汝を玉トスですかね。修行僧でも、煩悩断ちのためには山に籠る。煩悩を遠ざけることで、そこから脱する。意志の力なんて、そんなにアテにしない。一定の経験を積み、勝ってきたことのある大人ならまだしも、10歳やそこらの子に求めても無駄です。目的のためには、艱難を最小限にした方が良い。

経験と勝利や達成があって、その積み重ねで培われていくのが意志力です。経験より先にあるのはこだわりや執着で、これは個人の素質がモノを言う領域。読書や数学や工作や天体や歴史や生物、学問に通じる系統のマニア的素養のある子が、それを許容され、伸ばされた結果で勉強をやるならあり得るけど。目的があるから、頑張る!みたいなのは思春期以降でないとほぼ無理。脳も経験も未熟すぎるから。

意思とか自発ってやつに、あまり頼らない方が良い

いわゆる一流のビジネスマンや成功を収めた富裕層、トップアスリートでも、パーソナルトレーナーをつけることは珍しくありません。ライザップみたいな、トレーニングやダイエット系も同じ。もちろん、より効率的な正しい方法とか、オーバーワークやケガを防ぐなどの意味合いもありますが、特に専門外の分野で雇う場合には、最初の数週間で最も大切な要素がスイッチです。

この人が来ればトレーニングする。計画を考えることも、起動するエネルギーも必要ない。その時間にやってきて、その時間に、指示されたことをやる。この効果がとても大きい。何かを始めるのにはエネルギーがいるけど、そこを外的な力で自動化する。

それにお金を払う。その価値は、自分のスイッチになり、進捗を見守ってくれること。部活の仲間なんかも同じ。部活の時間にとりあえず集まり、練習するのが当たり前。苦しいことも、一緒に頑張る仲間もいる。だから出来る。

トップに行く人は、好きなことは延々と出来るような人が多い。一日中でも出来る。そういう人でも、内的な興味でなく、「やった方が良い」ことは、継続が難しい。ほとんどの能力や技術は継続が一番の基本で、そこが出来るなら、正解のあるものは手に入ったも同然。1日16時間くらいしかないのは、誰でも同じ。心や脳のエネルギーも限られている。だから、スイッチを外部委託する。

もちろん、既に経験を積み、優秀なレベルに達している人なら、計画に組み込み、その場では判断を挟まずに実行するスキルも一般的な人より高い。これも訓練の結果手に入る、スイッチを意志の力に頼らない技術、経験則であって、子供が最初から持ってるものじゃない。

親がやると良いのは、スイッチを入れるパーソナルトレーナー

意思が強いということを礼賛しがちな傾向もありますが、意思の力は決める時に使う。決めたら異論を挟まず、ただやる。これが自分の中でも、相手に対しても有効です。決めること、あとはやるだけというシンプルさ。受験も同じこと。やる気を出させるなんて絵空事を目指すからうまくいかない。やる気はあってもなくても良い。どっちにしろやれる仕組みを作ることに注力した方が良い。

親がやった方が良いのは、スイッチを入れ続けてあげる役割、認め続ける役割、やれば確実に目的に近づくことの提示。“なんでやらないの”じゃない。やらないから、スイッチを入れてあげる。スイッチを入れるのは自分の仕事だから、それまでは他のことやってろ、くらいでも良い。スイッチを何十回、何百回と入れ、報酬を与え。本人の努力と結果が結びつき、そのことに欲が出て、初めて自律的にスイッチが入ります。この順番を間違えてはダメ。

上手くいけば、スイッチを入れ続けているうちに、塾での周囲との競争意識、先生への見栄、テストでの成績の向上、あるいは志望校への憧れなんかで、スイッチの自動化に成功します。それまで根負けしないでスイッチを入れ続けるのが、優秀なパーソナルトレーナー。その子に合う、確実に伸びるルートを提示できるのが、優秀なコンサル。ついでに、子供の状態を良く観察して見極める、かかりつけの医師、カウンセラーとか。このあたりの役割を親が担えると、強いですね。

f:id:aswg-tutor:20190606121527j:plain

これからもちょくちょく、サポートした子の親御さんとお話ししたことや、子供にした話なんかを書いていく予定です。中学受験も、親の不安につけ込み、煽るような側面もあるので、気に入らないと感じてることに対する異論なんかも含めて。より個人的な趣味趣向が出るので、あまり参考にならない方もいるかと思いますが、ご笑読頂ければと思います。こんなことはどう思う?みたいな質問、ご相談なんかもお気軽にお問い合わせからお寄せください。

 

2月午後入試実施校の選び方(6年生の志望校選び 5/5)

2月の午後入試もしっかり検討しておくことは大切

2月の午後入試について。算数1教科や算国2教科型も多いとは言え、移動もあるので気力、体力的にはなかなか大変です。1月校で渋幕や市川、栄東などを取っているなら、受けなくても良いですね。

1月校は取ったけど遠いとか、取ったのは立教新座で付属以外も選択肢に入れたい、専大松戸などでもう少し近くて進学実績の高い学校を取っておきたいなどの理由なら、巣鴨(61)や世田谷(60)、鎌倉学園(62)もあり。

1月校で合格を取れていないなら、55未満〜40台まで視野を広げて押さえておく方が良いです。例えば1日に淑徳(53)や安田(50)でしっかり押さえておき、体力と欲があるなら2日に広尾(64)や高輪(60)といったプラン。

3日、4日と日程が進むと疲れてきます。順調に合格を取れていればともかく、不合格を何個か目にしていると、もうボロボロになることもあり得ます。なので、1日〜2日にそれなりの学校の合格を取っておくことは、とても大きい。

特に、1日校に失敗した(かも知れないと感じている)子供に、午後入試で貰える合格や特待という文字が与えてくれる勇気は、軽視できないものがあります。当日夜発表なので、寝ていれば桜の画面をプリントアウトして、翌朝見せてあげても良いですね。

偏差値的には受かって当たり前、1月校で合格も取っていて、もしダメならそちらに行く予定だとしても、気分は悪くない。落ちた気分を立て直すきっかけになります。1月入試で幾つ合格を貰っていても、1日校で緊張する子は本当に多いので、万一に備える手段は多いに越したことはありません。難問でヘトヘトになった後、解ける問題で調子を取り戻すこともあります。

2月午後入試実施校の一覧

そんなわけで、候補絞り込み用の参考データをアップしました。高校偏差値、受験料、進学実績などを表にしてあるので、必要に応じてダウンロードしてご覧ください。入試日、手続き締切日、延納などについては平成31年/2019年2月の入試のものが大半です。実際の入試日、手続き締切日などは、これから秋頃までに各校から出る新しい募集要項をご確認ください。

実際の表は縦横何倍も大きいので、一部を画像にしたものを下に載せます。切り取りは現役国公立合格数が40人以上、または東大合格者のいる学校です。

ヘッダ行の数字は入試日、赤字は1〜2教科型の入試。★は個人的なオススメ度で、赤は辞退の場合の入学金支払い額が抑えられる学校。評の列は、複数入試でそれぞれの偏差値と入学数から出した実際の入学者全体の想定偏差値で、S/C上/C下/B上/B中/B下/Aに分けています。特進クラスなどで学校内でも混ざらないケースもあり、一概に言えませんので、入学者全体の雰囲気としての参考まで。

既卒との合計数より、現役のみにした方が学校の授業、雰囲気をイメージしやすいという理由で現役数にしてありますが、国公立や医学部志向が高い場合は、入れる私大文系より浪人して上位校を狙うケースも多く、逆に女子などでは優秀層も現役私大文系を志向しやすいなど、いろいろな考え方があります。

f:id:aswg-tutor:20190603035920p:plain

中学受験のレベルと進学意欲の高さ

受験に失敗したら公立で〜とか、公立からでも東大くらい〜なんて方もいるみたいですが、中学受験で偏差値50台でも、受験に対する取り組みや進学実績は公立中から受験するトップ校に負けないくらいのレベルだったりします。

東大に行く子がいる公立上位高の偏差値は、都立ベスト8で国立(74)、日比谷・西(73)、戸山(72)、青山・立川・八王子(71)、小山台(69)、神奈川県立ベスト6だと横浜翠嵐(75)、湘南(74)、柏陽(72)、厚木・YSFH・横浜緑ケ丘(69) などです。

このゾーンに該当するのが、70台は巣鴨(61)、広尾学園(62)、国学院久我山(57)、山手学院(52)、淑徳(53)。69が帝京大学(52)、明大中野八王子(53)。少し下で、68が鎌倉学園(62)、67が中央大附属横浜(56)、66が都市大等々力(52)、安田学園(50)、65で東京農大第一(59)。中学受験が、いかにひと握りの子の熾烈な争いかということもわかりますね。

犯罪と人に迷惑をかけること以外は自由、でも大学受験になれば帳尻は合わせる、という雰囲気がSの難関上位校とすると、学校側も熱心で、君たちは頑張れば東大だって行けるんだ!と関わってくる感じがC〜Bの学校という傾向はあるように思います。

特に午後入試実施校は、進学実績を上げるために優秀層を取り込む目的が強く出ているので、ある程度しっかり関わって欲しい方には向いている学校が多いと言えるでしょう。逆に、思う存分羽を伸ばして、という感じには合わないところもあるかも知れません。ただ、中学受験の大きな目的に高い大学進学意識のある環境が含まれている場合は、有力な選択肢になると思います。

注目校の紹介

在校生の親や卒業生の知人、友人からの印象込みで、この画像に挙げた学校からピックアップして注目の学校を幾つか。

巣鴨
1日に算数午後入試(61)。受験料10,000円。延納申請で2/5まで延納可能で、延納申請しない場合は入試で若干優遇もあり。卒業223名で、東大に今年は現役で14名送り込み、国公立57名や医学部133などの実績も非常に良く、Sクラス校にも迫るほどの進学校。割と昭和的スパルタ感を出してくる先生もいるらしい。でも入ってしまえば馴染む子が多くて、それなりに楽しんでいる様子。

世田谷学園
1日に算数午後入試(60)、入学手続き締め切りは2/6。卒業214名で、東大11名、国公立48名と巣鴨に遜色ない進学校巣鴨と比べると医学部志向が低く、代わりに早慶上ICU170名、GTMARCH299名など私大の合格実績が非常に高い。仏教系で厳し目の校風。部活では空手や柔道は全国レベル、野球部も過去には甲子園出場経験あり。吹奏楽部や鉄道研究同好会の活動も充実している。

桐蔭学園中等
2日の2教科(54)、入学手続き締め切りは2/6。卒業152名で、東大5名、国公立43名。4人に1人以上が国公立に進むのは、この偏差値からはかなり優秀なので、神奈川午後では有力な選択肢。

東京都市大
1日に2教科(56)で、4教科受けも可能で独特。卒業248名で、国公立48名、早慶ICUに98名、GTMARCHに243名。ここの素晴らしいところは、2/8の12時までに支払う入学金が5万で良く、残り20万は4月に入金するところ。繰り上げ合格などで辞退する場合、この20万円はとても大きい。

淑徳
ここがすごいのは、2月11日までの入学手続後も、2月末までに入学辞退の場合は入学金も返すというところ。つまり、繰上げ合格があった場合でも費用面ではノーリスク。受験料も1回分で午後入試3回とも受験可能。2日は特進コースへのスライド合格、3日は4科受験で上位を取れば東大コースへのスライドもありで、お守り校としての安心感が高い。特待は得点率で決定されるので、きっちり正解を取る力があれば手に入ります。

東大に5年連続で合格者を出し、2019年は東大2名、国公立48名、早慶ICUに61名、GTMARCHに279名。この数字は偏差値50台後半の学校と比べても遜色ないくらいで、都内併願校としては注目の一校です。

中央大附属横浜
2日の4教科(56)、入学手続き締め切りは2/6。午後入試で狙えるGMARCH附属校というのが大きい。中央大学への推薦進学率は68.5%で、国公立・別学部私大は推薦留保可能。東大2名、国公立40名、早慶ICUに71名、GTMARCHに91名という実績で、進学校としても十分な実績があります。

安田学園
1日、2日の午後入試はスライドあり、特待合格すれば入学金は半額の117,500円。手続き締め切りも10日なので、ほぼ終わりまで手続きを待てるのもお守りとしてはありがたい。入学後もクラスは分かれているので、先進コース80名はそのまま一緒で総合コースとは基本的に混ざらない。その中からが大半と考えると、現役国公立49名という数字も相当優秀と言える。進学に熱く塾不要を目指していて、宿題が忙しい、校庭は狭いなどの不満も。

 

6年生のこの時期は、情報収集や戦略に大事な局面。本気で多くの学校の検討を。(6年生の志望校選び 4/5)

ここまで書いてきたように、子供を満足いく結果に導く戦略を練るためにも、この時期に情報収集しておくことは本当に大事です。現在の偏差値から、どのゾーンで志望校を厚めに探すかについて書いてみます。

四谷偏差値45未満(A)の場合

4〜5年からやっていて現時点で45未満なら、やり方を変えて本人に火がつかないと変わりません。知能的な問題ではなく、何か未成熟な部分があって勉強に集中できない場合、無理に圧をかけるよりは相応の学校を手広く受けるか、公立でも良いという気楽な雰囲気を出すことも大事。進学実績が高く面倒見の良い学校や、大学附属校など、幅広い選択肢を考えましょう。

中学受験にフォーカスしていると、どうしても「あまり成績が良くない」という意識になりがちなゾーンですが、この帯の附属校にもそれぞれ魅力はあります。ただ、上位校に比べると、指導が行き届かないと頑張らなかったりハメを外す子が多いので、校則や生活指導が厳しかったりします。校風は十分に調べ、納得できる学校を選んでください。

特にスポーツや芸能面に素質のある子は、受験で部活などを中断しなくて良い大学の附属校は良い選択肢になります。精神的にガツガツしたところの見えない子も、受験でひと頑張りして日東駒専成成明学に進める環境を手にいれることは、安心感の意味ではかなり大きいです。校風さえ合えば、のんびりしたところがある子や勉強以外の方面に素質のある子こそ、附属校はオススメの選択肢ですね。

例えば日大豊山。ここは校則厳し目の男子校で、偏差値は38〜40くらいですが、日大に約8割のほか、上智理科大学習院、明治、立教、中央、法政などに指定校推薦があり、早稲田や青学にも現役で進学しています。明治学院キリスト教系の共学で、偏差値は39〜44。上位8割まで推薦資格のある明治学院大に109名のほか、上智ICU学習院、青学、中央、理科大、法政などに指定校推薦があり、国公立に6名、早慶ICUに7名、GTMARCHに69名。東海大高輪台は偏差値36で共学。ここは9割が東海大進学の、純然たる付属校。早慶GMARCH上位学部と並ぶ難関の東海大医学部にも12名が進学。吹奏楽部が有名で、運動部も強い。SSHでアクセスも良く、横浜や川崎からも通っている子は結構います。

四谷偏差値45〜55くらい(B)の場合

このゾーンの子は、親から見れば頼りなくても、最低限の努力はしています。四谷の偏差値50は、小学校のテストでは楽に満点を取る子が、学校の勉強よりは真面目にテキストをこなして取るもので、ただのサボりに取れる点数ではないです。ごく一部の突出した子以外は、受験生らしい気持ちは持っているので、算国に不利がなければ、秋以降の理社の詰め込みと志望校対策で一発逆転も狙えます。

伸び悩みの原因が、勉強に対するつまらなさや不安感、親からの圧力であるケースが多いのもこのゾーン。つまり、なんでやらないの、早くしなさい、といった意欲を削ぐだけの声かけや、成績が悪いとがっかりした態度など、マイナス要因を取り除くと伸びる。秋以降は余裕がありません。今の時期に、元気に取り組む姿勢を育てたり、自信を取り戻させてあげること、親子の良い流れを作ることが、とても大事です。

学習内容的には、ここから夏までに、5年上下の穴を埋めることに全力を注ぎましょう。夏までは算数と語彙力だけで良いくらいに割り切り、やることをシンプルにして仕上げないと、秋以降の逆転は困難です。

仮に逆転というほど伸びなくても、同じ偏差値帯の学校を手厚く受けて合格を取るには、算数でしっかり得点できる+国語でポカをしない力は必須です。算国に穴があると、コケ出したら止まりません。このB偏差値帯を死守できるか、その下のAになるかで、選べる進学先の幅は大きく変わってきます。

最終的な偏差値が50前後から逆転を狙えるのは、C下、偏差値55〜58くらいの学校まで。このゾーンに1〜2回挑戦するのは良いでしょう。後半2〜3回が偏差値58を超えてきたら、厚めに挑戦する学校をC下に変更すれば良いです。

本命の志望校は同じBの帯、45〜54で探すのがオススメ。特に持ち偏差値が46〜48くらいだと、同じゾーンで学校を探すのは勇気がいるかも知れませんが、そこは数でカバー。もちろん下の偏差値帯の学校を探すのも良いですが、進学後の周囲の雰囲気を考えると、同じゾーンで手厚く受ける意味がとても高いです。たくさん受けるのは大変だけど、10校も受ければどこかは当たるくらいの伝え方で、あらかじめ手広く受けるイメージも持たせつつ、通える範囲からしっかりと志望校を探してあげてください。舐めてかからず、本気で探せば良い学校がきっとあります。

四谷偏差値55以上(C〜S)の場合

「あんまりやってない」とか、「そんなに本気じゃない」のレベル自体が、A〜BとC〜Sでは隔絶しているくらいの差があります。だからこそ、確実に合格が欲しいとしても、偏差値63以上=Sクラスの子なら、C以上の偏差値55以上から探す方が合います。逆に言えば、偏差値70前後でSの子が偏差値55くらいの学校に行っても、ひどくがっかりする環境になる可能性は低いです。

この帯の学校には、数人はSからの残念組がいて、その多くはトップを走って大学合格実績に一役買います。少なくとも、公立に行くよりはこの学校でよかったと思えるくらいには、周囲の子の大学受験や学習に対する意識もしっかりしている可能性が高く、学習意欲をなくさなければ学校側からも手厚いフォローが望めます。

ギリギリC、偏差値55くらいの子からすると、偏差値52くらいの学校はあまり余裕のない偏差値帯ですが、だからこそ過去問をしっかり分析し、相性の良い学校を選んでおきましょう。受けられる回数も多く確保し、受かるまで機会を与えてあげること。B下の46まで広く見ておくことのは良いことですが、52以上で受ける学校数を分厚くする方が良いです。

入試の内容と合格点は、63以上のS、59〜62のC上、55〜58のC下でそれぞれ様相が変わります。SとC上の帯では、偏差値での番狂わせがかなり起きやすいのに対し、C下やBの帯では、穴がない子はかなり偏差値通りに合格を取ります。以前の記事でも書きましたが、偏差値58くらいまでは5年上下が万全なら取れる数字で、これは入試にもほぼ同じことが言えます。つまり、傾向が合うところならば実力通りに高得点が取りやすい。

ですから、得意教科で加点して合計偏差値が55以上でも、算数が50くらいの場合は、特に基礎を完璧に仕上げることが大事。熱が出ていても寝不足でも、このレベルなら取れる!というところまで仕上げることに価値があります。過去問の傾向や配点もよく見て、合う学校を選んでください。実力的には解ける問題でも、配点の不利があったり、出題形式に戸惑ったり、プレッシャーによって自滅すれば危なくなるので、ここの戦略や準備はとても大事です。

まず、通ってがっかりする可能性が低い、それでいて地力できっちり得点を取りやすい偏差値52〜58くらいの学校をいかに調べ、しっかり準備するかが重要。この帯で通える1月校や午後入試校の合格をきっちり押さえるのがベスト。それを押さえたら、子供の憧れなどを踏まえながら、より高偏差値の学校に挑戦すれば良いと思います。

中学受験は、大きな組分けテスト。生徒の雰囲気は入学時偏差値と相関性が高い。(6年生の志望校選び 3/5)

この組分けで決まった学校に、一貫校なら6年間通うわけですね。大学受験で挽回は可能だけど、6年間を有利な環境で過ごさせたいなら、どんな子が集まるところで学ばせたいのか、という組分けとしてのレベル意識も必要です。SやCの子に、Aのクラスで授業を受けさせたいかどうか。

以下の表は、合不合の得点と偏差値、クラスの対応表で、授業態度、自宅でやるWeb教材の消化量、全体の雰囲気を併記してあります。Web教材以外にも自宅学習や宿題があるわけですが、この消化量は、個々の差は見えても成績で並べるとわかりやすい分布になります。

f:id:aswg-tutor:20190601053255p:plain

お子さんが通っている方は大体わかると思いますが、Aでは課題をしっかりやっている子が少なく、クラスの雰囲気も公立小以下だと感じる子がたくさんいます。偏差値45以下の学校には、このゾーンの子が入学してくるので、雰囲気もそうなりやすいわけですね。上1割には、その役割を演じることで大きく成長する子は確実にいて、早慶どころか難関国立に進む子もいますが、全体で見れば差はある。全体の雰囲気は、鍛えてきた層の多い学校と同じにはなりません。

Bの授業の態度は公立の小学校並みか、若干マシ。講師次第で緩みもするし、一度緩むと立て直しに時間がかかったりもする。授業はそこそこでも、自習や質問などはまだまだ。この中で、偏差値50前後で止まるBの中〜下の子は、もうひと頑張りができなかった層。C〜B上位の子とは、課題の消化量に違いが見られます。B上位は、エンジンのかかりが遅かった子、惜しくもCを抜けなかった子が多いゾーンです。

C〜Sは授業にも集中、笑いが起きてもすぐ切り替え、自習や質問量も増え、課題も多くこなしている。素質で多少の差があるにしても、10やってAとか、0なのにSという子はまずいません。

ここに、常識の差があります。SやCの子の親でも言葉にすれば「集中が続かない」とか「家でダラダラ」なんて悩みは割とありますが、基準がAやBとは全然違う。Bの偏差値50前後の子は、宿題くらいはやるし、間違ったところのプリントなどもやったり、テスト前日くらいは勉強している。Cの子になれば、ほぼ確実に毎日机に向かっていて、C〜Sの子はWeb教材の計算や復習ナビも使っている。その上での空き時間、隙間や点数に対する執着心を求める親から見れば物足りなくても、やっていなくて上位の子は本当にごく稀。

こういったことを踏まえて、次の記事では現時点での志望校選びを書いてみます。

なんのために中学を受験するのかをはっきりさせておく。(6年生の志望校選び 2/5)

前回の記事では、持ち偏差値順では合格数以内に入る子でも、3分の1以上は落ちるということを書きました。実質3倍以下の開成であんな感じなので、倍率が高いともっと荒れます。でも、中学受験はこういうものなので、親はそれを踏まえて作戦を練っておかなくてはいけません。子供は勉強を頑張る。情報収集と分析こそが親の役目。

見栄が大事な場合

まず、中学受験を選んだ理由の主体が、親族や友人、知人、ご近所、親戚などに対する見栄。或いは、親が苦労したから、子供には良い学歴などの場合。こういった理由も良いです。中学受験は、ブランドやイメージだけで選んだところで、どうってことはありません。名の通ったところには相応の良さがあるので、よほど子供に合っていない場合を除けば、なんだかんだ上手くいくもの。どんな友人に恵まれるかも、入ってみないとわかりません。

親がどんな目的だろうが、良い塾や教材を与えられ、それなりの努力をすることは子供にとってマイナスにもならないし、子供を追い詰め過ぎなければ、別に不幸の種にもなりません。公立中よりは周囲の子の学習意欲やモラルも高く、経済的にも最低限よりは余裕があり、教育にも熱心な家庭が多いです。少なくとも、綺麗事だけで良い環境を与える努力の足りない親よりマシだと思います。

ただ、この理由で中学を受験する場合、志望校に落ちた場合は目的が達成されず、かけたお金も子供の努力も、全てが台無し、マイナスという喪失感を味わう恐れがあります。子供の自信も根こそぎ奪い、親もショックで立ち直れない、引きずるようなことにならないために、不合格に対する備えが必要です。全部落ちたらカッコ悪いから転居しよう、次で仕切り直してカッコいい学校を目指そう、くらいの相談があっても良いですね。頑張って列に並んでも買えなかったら、また別の列に並ぶだけです。

学力と根気を育てる目的

さて、次の理由。中学受験を通して、学ぶ力や根気をつける。これは、受験終了の時点で目的は達成されていますね。志望校に通れば良し、そうでなくても、公立で仕切り直し。しっかりした学力と根気のついた子なら、英語で先んじることを植え付けてあげれば、トップ独走でトップ高も夢ではない。この場合は、行きたいと思える学校を選んだら、ど〜んと当たって結果を待てば良いですね。子供が納得していれば、無理に安全校にねじ込む必要もないでしょう。

周囲の質と環境のため

思春期になって親の手を離れていく子が出会う友人の質の期待値を高くする。大学受験に向けて、良い環境を与える。中高一貫で高校受験回避、更には付属校で大学受験も回避。留学や選択講座等の充実。などでしょうか。こういう目的を幾つか含んでいる方が、受験層には一番多いと思います。

学校側の要素、校風や施設や教員の指導も、重要だとは思います。制服がかっこいいとか、部活が強いとかも含め。ただ、学校生活を重視する上で、やはり無視できないのは周囲の友人、一緒に入学する子の質。これは、偏差値とかなり密接に関係しています。このあたりを次の記事で書きます。