偏差値60の壁なんてない

中学受験のサポート歴20年以上の経験から、心構えや考え方を公開します。

複数の解法について

昨日の記事がちょっとわかりにくいと感じた方もいらしたので、例題を2つ挙げてみます。

例題1

高さ60cm、幅100cmの長方形ABCDがあり、点Aから射出された球が反射して点Pに届く。点Pの位置は辺BCから20cm、辺CDから60cm。BE間の長さを求めよ。

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で、下図のように長方形を反転させた図を繋げていって直線と考え〜みたいな方法だけしか使わないクセがついていると、反射回数が多い問題の時には書くのも面倒、スペースがないと苦労して時間もかかります。

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で、上下の辺にタッチしている回数を数えてみると3回なので、縦の移動距離は60×3+20=200cmとわかります。

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左右の辺にタッチしている回数が2回なので、横の移動距離は100×2+(100-60)=240cmですね。

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縦:横=5:6=AB:BEなので、BE=60÷5×6=72cm。という感じに考えると、30秒くらいで出来て苦労もしませんね。

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補足:上下の移動距離、左右の移動距離をカウントしたものを比が等しい三角形で考えているので、図にするとこんな感じです。

例題2

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こんな形の問題も、全て通分して計算すると、数の個数が多くなるほど大変になります。でも、最初の組み合わせを見ると前の数字の半分を引いて残りが半分になり、次も同様に前の数字の半分を引いて残りが半分、の繰り返しと気付けば、最後に引いた数=答えになるとわかるので、計算しなくて良いですね。

2の倍数の分母が続いている限り、最後の数字を書くだけでOKです。1024分の1だろうが、2048分の1だろうが、計算しないで済む。この問題は規則性の問題ですが、なんでも通分&計算してしまうクセで計算問題に見えてしまうと、却って時間を使ってしまうわけですね。

色々考えて楽をする

これらの方法を、こっちが正しい!って覚えるのではなくて、両方を使える、試せるような気楽さが大事です。ほとんどの問題で簡単な方法と複雑な方法があることや、途中式でもより簡単に出来る場合もあることを常に意識しておくと、パッと見で思いつく方法で解けない時に次の手を試すのも気楽に出来るし、より安全で早い方法で解くことも出来ます。

食塩水の濃さなら面積図でも天秤算でも数字だけでも解けるとか、人数や平均点でもはみ出す部分だけ考える方が早いとか、図形の等積変形や移動なんかでも正解までのルートが複数あることは多いです。

特に、解答解説を見ながらの解き直しは、正解を知っているからこそルートを精査することもやりやすくなります。昨日も書いたように、超難問ではなく、ほどほどの難度の問題で色々と考える練習をしておくと、初見の難問でも幾つか試す武器を持てるので、上位校の入試で有利に闘うためには練習しておくと良いでしょう。

新中1と新小6の方へ

新中1の方へ

強いプレッシャーのかかった受験が終わり、目標が見えにくくなる感覚を味わったりする時期ですね。今の時期から通塾を始める方もいると思いますが、通塾自体はどちらでも構いません。勉強のペースを完全に失う事さえなければ、必要に応じて塾を選べば良いだけです。

何度か書いていることですが、小4〜高3までの9年間を中学受験の3年間に置き換えれば、中学受験が終了した今は小4の終わりの組分けの段階に過ぎません。サピだろうが地元塾だろうが、最上位クラスだろうが普通クラスだろうが、まだ何も決まっていない段階ですね。この時期に学習習慣を捨ててしまうのは本当にもったいないので、何かしらの意図を持って毎日数時間の勉強は継続するようにしましょう。

 

独学で英語の準備を進める場合

この時期には英語の基本的なことに馴染んでおくことを最優先にすると良いです。授業が始まるまで50日ほどあるので、有効に使いましょう。毎日1時間でも50時間、2時間なら100時間の準備ができます。

もちろん、英語塾に通ったり、英検取得に向けた勉強や基礎英語などに取り組んだり、教科書ガイドで先取り学習するのも良いですが、あまりプレッシャーをかけずに独学で進める場合は、発音の練習と基本的な動詞の暗記、教科書例文の並べ替えなどをやっておくと良いです。

発音は、英語耳やフォニクスの利用がオススメ。まずは英語の音を聞き取り、その音を真似する意識を持つことが有効です。これは最初の一週間くらいで一周きっちりやったら、後は毎日リピートして慣らしていくと良いでしょう。

 

 

動詞は原形、現在分詞、過去形、過去分詞、三単現の変化と複数の意味を覚えておくと良いです。動詞の変化を知って、とにかく動詞はこう使う、といったイメージを持っておくと文法の理解が早いので、中1レベルの50語程度は頭に入れるようにしましょう。

余裕があれば、それぞれの時制で例文をひとつ暗唱しておくとなお良いです。例文暗唱を入れると負荷が格段に上がるので、本人の意欲を損なうことがないように様子を見ながら進めましょう。

教科書例文の並べ替えは、言葉通り教科書に載っている例文を単語カードなどに書き、日本語を見て並べ換えるだけの遊びです。カードを用意したら、教科書を通読し、並べ替えに挑戦。やっているうちに感覚を覚えていくので、いきなりで構いません。カードは、名詞は黒、動詞は赤などに色分けして書いていくとより効果的です。

数学もなるべく先取りで

難関国立や難関理系に進みたい場合は、数学の先取りの習慣はかなり重要な差になります。勉強は何周やっても良いですし、入学までに1年の教科書を終える程度なら大した量ではないので、消化ページ数を決めて毎日続けると良いです。

理解度や得点に強くこだわる必要はありませんが、例題や基本問題とされているものは容易に正答出来る程度にはしておきましょう。一周目は本文と基本問題のみに絞る形などでも良いです。教科書の本文は良く吟味されているので、本文をしっかり読む習慣をつけておくことも大切です。

 

新小6の方へ

塾のカリキュラムをこなし、週テストや模試などでの順位争いだけに意識が向いていると、間違った問題の分析や弱点の補強、志望校に合う実力の養成が足りなくなりがちです。志望校の過去問を使っての演習などは夏以降に確保できるので、それ以外の部分での実力養成を心がけるようにしましょう。時間配分は状況によりますが、なるべく1〜2割は塾の進行とは別枠で自分用の調整時間を持つようにした方が良いです。

 

難関上位校を目指している場合

御三家や同等クラスを目指している子に伴走する場合は、過去問の傾向とレベルを把握しておくと良いです。特に算国は、それぞれの傾向に合わせた実力養成を意識しはじめておくと良いでしょう。

併願校も出題傾向や雰囲気の近い学校を中心に選ぶと有利なので、志望校の傾向を調べる→傾向の似た併願候補を調べる→学校説明会や文化祭などの機会に併願校もきっちり見ておく、という流れが理想的。また、第二志望と言えるような併願校が複数あるのが好ましいので、併願候補自体は3〜5校は選ぶようにしましょう。偏差値や日程だけでなく、出題傾向と校風を重視しておくのがお薦めです。

 

細部と難問対応力の向上

四谷63以上くらいの子は、基本的なことはほぼ出来るので、ここからは細部の仕上げと難問に対する取り組みで差がついてきます。

算数は、ミスの原因を詰めて改善方法を考えること、複数の解法を考えるクセをつけることの二つは重要です。書き方や思考のクセがミスを誘発していることは多いので、「注意する」などでなく、具体的に何をどうやってミスを回避するのかの手順を習慣として磨いていくことが大事です。

解法については、解答に載っている以外のルートで解いて、どちらでも正答まで書き上げる、などのトレーニングが有効です。数字のみ、線分のみ、ベン図や面積図、天秤を利用して、など複数の解き方で取り組み、書くスペースや時間、計算の複雑さなどを見返すと良いでしょう。平面図形なら別の場所の角度や計算順序で解いたり、立体なら投影図のみで解いてみる、なども有効です。

似たような問題をいつも同じ解き方で解く癖がついていると、そこに仕掛けのある問題では詰まる上に時間も使いやすいので、どの解き方が楽かを考えて始めたり、詰まったら方針変更を苦にしないように習慣づけしておくと良いです。特に難問である必要はなく、過去問で言えば偏差値55以上くらいの学校の問題で良いので、色々と試してみてください。

模試や週テストなどの不正解問題のやり直しは、あまりに正答率の高い問題を取りこぼしている場合は別ですが、基本的には正答率には固執せず、どうやって希望順位までの得点をとるかを考え、自分の取る問題を選んだらそこを突き詰めること。

国語の速読力と文意把握や記述力はこの時期から磨いておく方が有利です。男子なら女子上位校、女子なら男子上位校の過去問などから、文字数の近い素材でトレーニングすると良いでしょう。週1回、大問ひとつなどでも良いので、夏までに積み上げていくようにすると有利です。個別などに通っている場合は、可能なら添削と解き方の指導を受けると良いです。

 

希望の立ち位置にいない場合

夏前までに、5年のテストやテキストの総復習を入れましょう。5年の模試で偏差値55くらいの得点に必要な問題を抽出し、その問題を正答するのに必要なことをやり直すことが大事です。簡単な問題を簡単に解いて間違わないという技術が身についていると後々すごく有利になるので、丁寧に仕上げていきましょう。5ヶ月で何をどう進めるか、しっかり穴の埋まる計画を立てることが重要です。

漢字、語彙のトレーニングが不十分な人は、4月までに習慣化することにも取り組んでください。毎日15分でも良いので、欠かさず周回していくことはとても大事です。社会の用語なども含め、毎日これをやる、という積み重ねと正誤のチェック、不正解分の繰り返しは欠かさないようにしましょう。

社会用語の漢字チェックシートを載せておくので、必要な方はプリントしてお使いください。見本はこんな感じです。

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あくまで漢字チェックですが、用語カバー率もそこそこあるので、正解して周回から外す時などに内容の簡潔な説明も出来るようにしておくと良いです。

 

2020年中学入試合格実績の各塾の比較 暫定版(四谷大塚/SAPIX/日能研/早稲田アカデミー/栄光ゼミナール/ena/TOMAS/市進)

久々の更新、まずは2月15日頃までに公開された各塾の合格実績比較、3月後半に最終版が出揃うまでの暫定版です。まだかなり穴がありますが、2019年合格実績比較のページへのアクセスがかなり増えているので公開することにしました。

比較表の文字色は占有率20%以上でオレンジ、30%以上を赤にしています。20%なら十分なノウハウがあり、30%以上ならその学校に強いという感じですね。四谷大塚でまだ数を出していない学校が結構あるので、出揃うと比率も変わります。

画像は見やすいように4塾にしてありますので、他塾も含めた合格数のPDFデータは下記よりご覧ください。

https://e-tutor.tokyo/data/2020pv.pdf

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合格比較:男子校

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合格比較:女子校

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合格比較:共学校

 

 合格数の伸びで見ると、SAPIXは筑駒、開成、聖光、浅野、立教新座、筑附、渋渋、女子学院、豊島岡、浦和明の星といった上位校で更に実績を伸ばしています。また、今年激化した巣鴨世田谷学園の増加数も最も多く、難化する学校にサピ生の動向が影響を与える傾向も見られます。SAPIXで大幅に減ったのは青山学院と早稲田。

四谷大塚は麻布、桜蔭早実早大学院など、早稲アカは武蔵、早大学院、早稲田などで伸びています。四谷大塚慶應中等部とSFC立教新座浦和明の星など、早稲アカも立教新座浦和明の星で大幅に減らしました。

他塾の増減で目立つのは、合格者数を絞った渋幕で4塾がそれぞれ減らした中で、市進は9名増加と比率としては2割増で、千葉方面での強さを示しました。また、日能研は都立小石川で圧倒的に強いenaと同じ6名増加。カリキュラム的にも、公立中高一貫には相性が良さそうですね。

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合格数増減

 

お酒と中学受験の話

今日は受験生の親ってだけでなく、お酒を連日飲んで、なんとか凌いでる人向けに。

色々しんどいこともあって、酒がないとやってらんない。よくある話で、悪くもないけど、本当に酒がないと、ってなってるなら捨てたり諦めたり削るものを探した方が良いです。

毎日お酒の入ってる状態=感覚を鈍麻させた状態に慣れていて、それでなんとかバランスを取っていると、どんどん通常のシラフの方の感覚を「知覚過敏で染みる」ように感じるようになって、ストレス耐性が下がって弱っていくので。

受験終わればクリアになることもあるけど、この先もやっぱりストレスは湧いてくるので、感覚鈍らせずに、逃げたり発散したりするパターンも持った方が良いです。酒は向精神薬の一種だし、薬は過ぎれば毒になる。

しんどいのはどこかの疲労が回復を上回って債務超過になってるからで、気力体力の支出を減らすか、回復量を増やさないと。全部抱え込んでこなしつつ、気を紛らわせる方法が酒しかない状況だと、収支のバランスが取れないからどっかで無理が来るので。

自分の意思で1日抜けるなら、それを交互にやるだけでも通常の感覚でいる時間を増やせるので、シラフに慣らす時間と、たまには感覚を鈍らせて休む時間みたいに使い分けて、別バージョンを増やしといた方が良いです。

キャパオーバーをお酒で麻痺させてるのは、心と体にリボ払いさせてるようなものなんで、誰かにまとめて借りてでも、財産売り払ってでも、一括返済しちゃった方が良い。収支合わない人が借りて凌いでも返せないから破綻するのと同じで、心と体は破産で逃げることも出来ない一品もの。

受験なんてやめられます。合格と、ママと一緒に生きてくのとどっちが良い?って聞いて、合格!って子はそんなにいない。健康と天秤にかけるもんじゃないです。欲張るならちゃんと両取りに行かないと。

エネルギーにも時間にも限度があるから、何か欲しければ優先順位の高い方から取っていくしかないし、健康とか家族はだいたい一番上の方なんで、他を犠牲にした方が良いです。家事とか、つきあいとか、お金とか。削れるもの全部削って、家族と健康と受験だけになって、それでも足りないなら、削るのは受験。

でも、そんなこと言ったって!って思う時点で危険。本当に、何を手に入れても、健康と家族を失って「成功」って感じる人なんか見たことない。気をつけてたって病気もするし、頑張っても家族がうまく行かないこともあるけど、自分が大事にしないのは違う。

しんどいなら、削れるものを探して。足りないなら、助けてくれる人を探して。それでも無理なら、中学受験は投げて良いです。お酒もたまになら良いし、時々でも大丈夫。楽しいお酒で、潤いになってるなら問題ない。

でも、お酒で失敗したり、自分がお酒に頼ってるって感じるなら、とりあえず、一日酒を抜いて、誰かに愚痴でも聞いてもらう。家事を適当に切り上げて、のんびり風呂に入る。好きだったことをやってみる。それだけで、一年の半分は抜けます。

 

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ちょっと誤解があるように感じること

今日は、相談とか指導フォローの中で、誤解というか、バランスの偏ったイメージになっていると感じることが多いことを色々書いてみました。推敲足りないと思いますが、もう受験も始まっている人もいるので、公開しておきます。

あと、時間的に対応できる限界になっているので、新規のご相談受付は2月上旬まで休止することにしました。今年度受験が終了したら、2月中旬以降に再開する予定です。

 

生活リズムを整える目的

就寝と起床のリズムを整えることを推奨していますが、これは「入試の際に十分な睡眠が必要だから」とか、「前夜の寝付きを良くするため」が主目的ではありません。そうなればラッキーくらいの感じです。

大事なのは、入試前日に興奮とか緊張で眠れなかったり、夜中に目が覚めたりして寝不足になっても、普段の覚醒リズムって1日では崩れないので、横になってさえいれば、いつもの時間帯にそこそこ覚醒してくることの方です。

なので、もちろん眠るに越したことはないですけど、本番当日はそんなに気にしなくて良いです。プレッシャーの薄い期間のうちに、覚醒リズムを整えておいて、眠れないとしても実力の95%くらいは発揮できるように備えておく、っていうのがメイン。

前日によく眠れなくっても本番の緊張感があるので、試験当日の半日くらいは大丈夫ですから、覚醒のリズムを整えておくことが大事。試験時間全部を使い切って合格点ちょうどを取るってこともあまりないので、解ける問題くらいは解き終えます。


唯一の正しい形はない

生活リズムに限らず、このブログでも「○○すると良い」ってことをたくさん書いています。やると良いこと、やってはいけないこと、巷にも溢れかえっていますね。

それを参考にして、取り入れられることを試すのは良いです。でも、そのせいでどんどん息苦しく、狭くなっていくのは避けて欲しいと思っています。

これまで普通に生きていたのに、新たに「正しいこと」が出来ると、それ以外が「正しくないこと」や「悪いこと」になってしまう。これでは、良いことを知るたびに居場所が狭くなり、選べる道が減っていきます。

より良い人間になりたいはずが、了見の狭い方向に突き進んで、自分や周囲に「悪いこと」のラベルを貼りまくるような状態に陥ると、苦しくなるだけ。過去も悪いことだらけになって、自己評価まで下げたり。

人に点数をつけること自体も難しいけど、例えば50点だった子が60点になっているなら2割も成長しているのに、100点を決めてしまうと、40点も足りない子って感じるのは、間違った方向への後押しです。

悪い行動を意識して攻撃するより、良いと思う時間を増やすこと。時間は限られているので、良いことが増えれば悪いことは勝手に減ります。「より良い」くらいに留めて、それ以外を否定する気持ちを自分の中で育てないこと。

もし誰にでも通じることがあるとすれば、頑張ったらその分の回復も必要ってこと。「今の自分も良いけど、もっと良くなりたい」って方向の欲は、子供だけでなく、親にとっても大事です。自分を責めて罰するのでなく、自分の欲張れる範囲で進むようにしてみてください。


塾のカリキュラムとか、範囲とか、課題とか。

模試でも入試でも、合格に満点が必要なことの方が珍しいです。トップを含めて一人も満点を取らないテストも多い。全員が何かしら間違うのが普通の競技なのに、間違いを責める、がっかりする、というのはピントがずれてます。

この範囲を仕上げようとか、今度のテストで満点目指そうとか、「可能なら」それ自体はとても良い目標設定だけど、取れなくて怒ったり残念がるのは本人がやれば良いこと。周りから石をぶつけるメリットはないです。

塾の課題、問題集、宿題、全部やること<出来ることを増やす方が大事。全部やって50点より、半分でも70点や80点を取る方がずっと良いと思いませんか?数字が合わないように見えるけど、実際に良くあること。100問を1回やるより、20問を出来るまで、多いものは5回以上も周回して仕上げた方が高得点になるなんてザラです。

しつこいほど書いてきたけど、出来ることを増やすのが大事。人と同じことをやるとか、過去問や模試で得点するとか、手段として有効に練られているから目指すのは良いけど、そこを間違っていると落としものが増えるだけ。

出来ることって言うのは、入試当日の答案で正解できること。合格点を超える分の正解を取れば良いだけ。知識が増えて、理解が深まり、良いことしかないのに、マイナスを数えていては成長を妨げます。

増えた分を数えて、それを束ねて、どうやってやっつけるかを考える。1週間、2週間、1ヶ月後には抜けることがあるから、落としたものをまた回収する。

焦っても怒っても、基本的に損しかないことは意識した方が良いです。得する行動が何か、損することは何か、ちゃんと向き合ってください。人の努力や成長を、正論とか理想から減点して責めるだけの、一番身近な邪魔者にならないように。


見直しは最後の手段

昔から「ミスをなくすには」といった相談がすごく多く、おそらくかなりの受験生の親が気になるポイントだと思うんですが、まず大前提として、そう簡単にミスは無くなりません。半分以下の時間で完答できるくらいのレベル差があれば良いですが、本命校って割とギリギリのラインで受験する子が多いので、時間も余らない全力でやることになりますね。

つまり、ゆっくり見直しをする時間自体がなかったりもするし、緊張感の中全力で解いていくので、落ち着くなんて心理になる子の方が珍しいくらいです。

なので、よく言われる「注意しろ」「落ち着け」「見直ししろ」などは、あまり効果ないです。手抜きには効きますけど、ほとんどの子は入試で手を抜いたりしませんし、その呪文が効くタイプならとっくに効いてミスが無くなっているはずです。

 

落としものを避ける

落としものに例えてお話するんですが、全力で40分とか45分走りながら落としたものを、5分や10分で自転車で戻りながら見つけるって難しいですよね。落とした場所を知っているとか、10分で走ったところを40分で歩きながら見ていくならまだしも、間違った箇所を知らない状態ではそう見つかりません。

採点後に「不正解」ってわかってる問題を見直せば、どこで何を間違ったか気づくのは容易ですけど、全部ちゃんとやってるつもりで、それを解いた時の数倍の速さで見直して、そうそう見つかるものじゃない。ほんの数分や数十分前のミスを、同じ人間が同じ思考ルート、しかも急いで辿っても、見落とす確率は高いです。

もちろん、1問でも見つかればラッキーなので、見直し自体は時間の許す限りやるべきです。ただ、アテになるものじゃないですね。拾えたらラッキーの部類。

なので、大事なのは解ける問題の総量を上げること+未然に防ぐことの意識です。落としもので言えば、ポケットに入れたら蓋をするとかチャック閉めるとかすれば、走っても落ちにくいですね。手に持てる数は限られています。解いてからチェックより、既にやったミスを検証して、「このタイプの問題に入る時の呪文」を持っておく。計算なのか、図形なのか、記号なのか、止め跳ねなのか。工事現場の指差し確認みたいなノリですね。

毎日やれば、ここからでも20回くらい、その日に解いた問題の反省ができます。これまでのノートや、模試の答案も使えますね。そこに出ている、もったいないミスについてのコメントを考え、自分に言い聞かせる回数を増やせれば、ミスは減ります。

そのコメント自体の有用性もありますが、それを挟むことによってテンションが一定の幅の中に入ってくる効果も大きい。思考の速度が緊張で100%とか、逆に不安で50%とかになっているところから、ちょうど良い70〜80%くらいの幅に入ってくると、ミス自体をしにくい状態になります。これが「落ち着け」のやり方ですね。漠然とした指示より、具体的な方が効きやすいです。

 

余分に持っておく

あとは、多少落としても合格するだけ持っておくこと。合格ラインが70点で、ギリギリ70点くらいしか手持ちがなければ1割落とすとアウトですけど、80点持っていれば1割落としても72点で合格しますね。簡単ではない、それこそ理想論みたいなものだけど、基本的にはこれが大事。

それに、ベストを叩き出してなんとか合格ってレベルだと、これまでの努力が足りてないか、合っていない可能性もあります。勉強なんで進学後にしっかりやれば問題ないですけど、受験期に劣る努力しかできなかったなら、入学後もそのまま足りないグループになる可能性は結構あります。素質云々より、そっちが心配ですね。

なので、「ミスっても合格」ってくらい、残り期間やれる全部を注ぎ込みましょう。持てるだけ持っていく。落とさないようにする仕組みを作る。見直しとかはその後の、ラッキー狙いって思いましょう。

見直しのルールは、言い方を変えて本文を読むこと、計算は別ルートか逆算をすること、などが有効です。先に書いたように、同じように本文を読み、同じルートで計算すると、同じ間違いのまま気付かないことは良くあります。

見直す時間に余裕があるなら、本文を別の言い方で言ってみたり、本文に区切り線を入れてもう一度図を書いたり、色々な計算の工夫から別の計算方法でやり直したり、という形でやれば、間違いを見つけられる率は上がります。

ただ、時間かかりますよね。なので、見直しには基本頼らないこと。落とす前の段階で釘をさす可能性を少しでも上げて試験会場に送り出してあげた方が良いです。


午後入試などの前にしておくと良いこと

問題のレベル差は、難問→易問ならどうってことはないけど、易問→難問だと調子が狂うことは良くあります。特に午前の方が与し易い入試になっている場合、問題文の雰囲気も含め、レベル調整をしておくことは割と大事。

オススメは、過去問の正解した問題と、不正解問題で見つけた注意事項などの見直し。思考をその学校の入試レベルに最適化しておくことが得点差を生む可能性は結構あるので、自分なりのセッティングを整えておくように働きかけてあげてください。

これは入試全般で共通ですが、過去問をやっていれば、出題形式のパターンがある程度ありますね。これに対応した一言を覚えるのもありです。

最初に計算、次は小問集合、比と速さ、図形、、、みたいな並びが多いとしたら、こういう姿の問題を見たらこう言え、ってセットを組む。計算問題なら「約数は?」とか、図形なら「まず条件の数字を全部入れる」とか「どこかに相似はない?」とか。

持っているものを全部出せれば合格点を取れる子は割といるはずなので、その中で勝つために、こういう調整をしっかりやって、その日の時点でベストの答案を出してこれるように取り組みましょう。

 

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中学受験経験者の保護者から、受験生の保護者へのメッセージ

中学受験を経験した保護者の方々から、最後のひと踏ん張りの助けになればと、今年度の受験生の保護者の方へのメッセージを頂きました。

まだ、入学して1年も経っていませんが、子供が楽しく通っている姿を見ると、この学校に入学できて、本当に良かったと思います。親としては、偏差値云々よりも、日々充実して過ごしてくれていることが、受験を経験させて良かったと心底思います。山あり、谷ありの受験生活でしたが、その結果は確実に子供は成長してくれました。途中で投げ出さず、頑張り続けるよう一番の理解者でいてあげてください。

親の中学受験に対しての方針がブレないこと、本人の受験についての適性は重要かなと思います。それらがしっかりしていれば結果はどうなろうと、後々になっても、良い経験、糧になるのではないかと思います。

子供と密に関われる大変貴重な時間です。一喜一憂せず、周りに流されることなく一日一日を大切に目標に向かって下さい。お母様の笑顔がお子様にとって何よりのはげみになります!

色々悩まれると思いますが、きっと最善の道が開かれていると思いますので、自分の直感を信じてください。

反抗期が重なったり、やる気スイッチが最後まで入らなかったり、十人十色の受験勉強かと思います。我が家は、努力する娘に親が忙しいばかりに十分なサポートがしてあげられず、娘の志望する学校へは、惜しくも合格できず、親にとっては後悔ばかりが残った受験となってしまいました。結果、親が説明会で感動して受験した学校に通っていますが、日々楽しむ娘の姿に、また温かい学校の雰囲気にどれ程救われたかわかりません。希望通りであってもそうでなくても、お子様にとって進学される学校が良い出会いとなるよう、心よりお祈り申し上げます。

母親と子どもでがんばるイメージが強いとは思いますが、積極的に父親にも手伝ってもらい乗りこえて下さい。

中学受験を通じて学ぶ楽しさや勉強の習慣がつきました。6年生の2月がゴールだと思って受験に挑むと中学入学後が辛くなるようです。実際に子供の友人が今それで苦労しております。人生の通過点だと思って行えば、とても良い経験になります。

どのような結果となっても、これまでの努力をたたえ、希望をこめて進学先へ送り出してあげて下さい。親自身が主人公となってしまわぬように、一歩ひいてお子さんを支援してほしいと思います。

入試まで成績や本人のメンタル等、一筋縄ではいかないことだらけです。それを含めて親子共々、双方の成長にとってとてもよい機会であったと実感しています。体調には気をつけてがんばって下さい。

春からお子様が楽しく学校生活を送っている姿を想像し、あと少しサポート頑張って下さい。

お子さんが受験に向けてベストを尽くせるよう、見守ってあげてください。きっとすばらしいご縁があると思います。

みなさんがそれぞれの中学受験を乗り越え、得られたものもたくさんあります。ご自分とお子さんの体調とメンタルを最優先に、もうひと踏ん張り、最後までやり抜いてください。

塾による偏差値の違い2020年度中学受験最終版(女子) 2019年12月 SAPIX/四谷大塚/日能研/市進/首都圏模試

2020年度中学受験の各塾偏差値比較の最終版です。比較対象はSAPIXが12月8日第4回合格力判定SOの80%判定偏差値、四谷大塚は12月8日実施の合不合判定テスト第6回の80偏差値、日能研が12月11日発行のR4です。

上昇校が7校増えましたが、平均上昇ポイントが0.7以上の入試数も19件と男子に比べると控えめ、3塾で上昇したのは、2/2の共立女子と2/2午後の都市大等々力S特選2回の2件。

3つの入試回で上昇したのは開智日本橋國學院久我山、都市大等々力の3校、2つの入試回で上昇したのは恵泉女学園香蘭女学校、三田国際、山手学院、大妻、日本女子大、普連土、法政第二の8校です。

男子の方でも書きましたが、偏差値が1ポイント上がったら5〜6点、ざっくり算数で1問分くらい最低点を上げるつもりでいると良いです。例えば2019年度に偏差値50で合格者最低点が180点の学校が52に上がっていたら、過去問を解く際には最低点を190点くらいと想定しておく感じですね。

偏差値帯ではやはり四谷・日能研の50〜60、SAPIX40〜50の学校が難化傾向なので、この帯の人は安全校をもうひとつ、候補に加えておくと良いでしょう。

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難化傾向

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易化傾向

背景色はその集団の中での上の上=赤、上の中+下=黄、中=緑。大体の分布はこんな感じです。

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今年の更新はこれで終了なので、最後にひとこと。大晦日も元日も、ただの1年の中の1日に過ぎません。受験直前、それも1月入試が始まる前の、落ち着いて勉強に取り組める最後の貴重な2週間に、受験もない人と同じ暦に煩わされる意味なんて一切ないので、本番1ヶ月前としてベストの行動をするだけですね。

もし「お正月も勉強漬けなんてかわいそう〜」なんて幻聴が聞こえてきたら、努力してきた子がこの時期に加点のチャンスを奪われる方がずっと残酷だと、心の中で言い返してください。暦も周りも関係なく、休むなら自分本位で、体調を整えるために休めば良いです。

良いお年を。特に受験年度の方は、最善の結果を迎えられることを祈っています。