偏差値60の壁なんてない

中学受験のサポート歴20年以上の経験から、心構えや考え方を公開します。

計算を書き始める場所を整える練習

成績分析やご相談の中で、テストの計算を

・狭いところにみっちり書く
・あちこちに分散している
・何度言ってもなおらない

といった内容が結構あります。今回の記事はこうなりやすい理由と、整える練習についての記事です。

 


普段の学習との違い

身体を動かさずに書きやすい場所は意外と狭く、正面から利き手側、手のひらふたつ分くらいの大きさです。紙のサイズはもっと大きいので、少し身体を動かしたり、左手でほとんど無意識的に紙の位置を調整しています。

上から見た書きやすい範囲

正面から見た書きやすい範囲


普段の学習でテキストを左、ノートを右という配置にしているときは良いのですが、テストでは問題の冊子に書き込みながら解き、答えを解答用紙に記入する形が多くなります。

この問題冊子を置くところを、普段のテキストに近い位置からスタートすると、多少動かしても書き込みは右に偏りやすくなります。

テキストとノートの配置

問題冊子と解答用紙の配置

どの子も多少なり調整しながら書くのですが、その調整幅があと数cm足りないと、右に寄ってしまうわけですね。子どもは経験も少なく体も小さいので、うまく使えていない場合は意識的に紙を動かす練習をすると良いです。

こういう部分には「なおす」とか「雑」などの言葉を使いがちで、イメージもそちらに寄りやすいですが、あまり正しい表現とは言えません。

彼らは異常なわけでも、壊れているわけでもなく、手を抜いているわけでもありません。まだ下手、まだ未熟、ということですから、練習すれば上手になり、年齢とともに成熟します。成熟には時間がかかるので、まずは練習ですね。

 

体格と目線

小学高学年だと肩幅30cm前後の子が多いですが、大人は女性で36〜40cm、男性で40〜45cmくらい。腕の長さは小学高学年で60cmほど、大人は女性67cm、男性は74cmくらいで、可動域も1〜2割違います。

サイズから考えると1.2〜1.5倍くらいですから、大人にとってのA4サイズ(210×297)の紙も、子どもにとってはB4(257×364)〜A3(297×420)くらいに見えていたりします。

だから、大人からは「狭く窮屈」に見えても、子どもにはいけそうに感じたりするわけですね。A3タテに問題を出力してみると、真ん中あたりから書き始めてもいけそうな感覚がなんとなくわかるかもしれません。

更に子どもは大人より座高も低く、視野も狭いことが多い上に、その視野に右手が触れるように動いていることも多く、設問文の最後が右終わりだと、その視点を回転して紙の真ん中あたりに動くのが限度だったりもします。

同じ目の高さ、腕の長さを想定して座ってみると感覚が掴みやすいと思いますが、頭の位置が低いと、視線の移動範囲も狭くなります。これで設問の読み終わりが右端だと、そこから左下に移動しても紙の真ん中あたりになるわけですね。

高い目線からの視野

低い目線からの視野
自然に選ぶことの違い

こういう動作には個々の性質と習慣が反映されやすく、例えばやりにくい位置のときに対象を動かすか、自分の動きで調整するかという選択にも傾向があります。

人によって自然に選択する行動が異なり、結果として獲得する経験も違ってくるので、逆にある程度の練習と意識づけに成功すると、自然には身に付きにくかったこともカバーできたりします。

例えば几帳面なタイプは自然とそういう行動を繰り返し、10年も経てば几帳面レベル10みたいなことになりますが、自然なレベルが1や2でも、第一選択がそういう行動ではないだけで、やってみればレベル5くらいまで上がることは珍しくなく、見える世界も結構変わります。

とても苦手なことに苦労して取り組むのは損が大きいこともありますが、ツボを押さえればさほど苦痛なく上達したり、成長に伴い変化していくこともあるので、なるべく簡単に分解して練習してみることは大事です。


意識より練習

言っただけでできることは、元々適性が高かったり、あと一歩、溢れる寸前まで来ていたこと。言っても出来ないことは、まだその準備が整っていないことです。

特に緊張して頑張る場面では、意識をいろいろなところにバランスよく向けることが難しくなり、自分にとって自然な動きになっていることしか出来なくなりがちです。そして自然に身につかないことは、練習しないと身につきません。

姿勢を高く保つなども良いですが、体幹の筋力や持久力の問題もありますし、背丈や腕の長さはすぐ伸びるものでもないので、紙を動かす練習をする方が即効性は高いです。

 

紙を動かす練習

個人差はありますが、メインの意識は右手や書きはじめの位置よりも、左手で紙を動かす動作に置くとやりやすいことが多いです。①設問に目を通す→②左手で準備→③右手で書き始める、というイメージですね。

問題冊子の見開き左側から最初の問題が始まる場合は、体の正面に冊子の左端がくる位置にセットします。練習のときは設問文の左端下=空きスペースの開始位置に予め目印をつけ、「そこが書きやすい位置にくるように左手で動かしてから」書くのも良いです。

書きはじめの位置を整える練習

テストを受ける時の机のサイズや隣席との距離などもありますし、やりやすい位置は快適さにもつながるので、紙を動かす感覚が馴染むように練習してみてください。問題用紙の書き込みと解答用紙の解答欄も、近い方が視線の移動が小さく、ミスも低減できたりします。

左端から書きやすい位置に整える手順に慣れることが目的で、大事なのは「紙を動かせばいい」+「書きはじめの位置を意識する」という感覚です。馴染んでくるまで、焦らずコツコツ練習してみてください。

1クラスあたりの東京一工国公医合格率と私大合格者の進学率 2023

今年も併願校検討用データから、東京一工国公医(東京大学京都大学一橋大学東京工業大学国公立大学医学部)に合格する子が1クラス40人として何人いるかを出しました。私大進学者数を公開している学校の進学率も掲載しています。

これらの数字は今の6年生から7年、3年生からだと10年も前の先輩の結果ですから、様変わりする可能性もある「今の空気感の参考」としてご覧ください。

 

今回の集計対象は、東京・神奈川・千葉・埼玉の一都三県の280校に茨城県の2校を加えた282校で、内訳は以下の通りです。

調査対象324校のうち2023年の入試結果が公開されていない40校は除外、別学で男女在籍の桐光学園國學院久我山は上記の表では共学枠でカウントしています。(2023.7.11追記)

 

 

東京一工国公医にクラスから何人入るか

こちらは全体の一覧で、中央には1クラスあたりの人数、左側に中学受験校、右側に高校受験校を並べています。青系は男子校、黒は共学校、赤系は女子校で、開成のような併設型一貫校は両側に記載し、中入生と高入生の比率を入れてあります。

 

https://e-tutor.tokyo/data/20230711/a.png

 

以下は合格率と偏差値などを表にしたものです。小学校や帰国生入試があるなどの理由で一般募集数と卒業数にはズレがあるため、中入・高入のみの学校は募集人数枠にも卒業数を入れてあります。

今年も中学受験校が並ぶクラス半数以上のグループは、駒場東邦と麻布が加わって7校になりました。入学時は大半が東大レベルをイメージしているような空気感のある学校ですね。

https://e-tutor.tokyo/data/20230711/0.png

https://e-tutor.tokyo/data/20230711/1.png

 

クラス10人以上は、高校入試校も含む16校です。ここまでの上位で増減が目立つのは、4人増の駒場東邦・麻布・早稲田と、4人減の開成・都立日比谷・筑波大附属ですね。

減らした次の年は既卒数が増加するなど隔年の上下動も珍しくないので、1年の結果でどちらが上だ〜などと比べるような感じでは捉えない方が良いです。

https://e-tutor.tokyo/data/20230711/2.png

 

続くクラス5人以上には27校が入りました。このあたりになると早慶でもOKという空気も濃くなってきますが、何人かは東大や国立医学部に進む友人もできるような環境ですね。

https://e-tutor.tokyo/data/20230711/3.png

 

クラス2〜4人には44校が入りました。このあたりになるとクラス1桁くらいでも早慶第一志望なども増えてくるので、東大や国医を目指すなら結構な気合が要ります。

https://e-tutor.tokyo/data/20230711/4.png

 

入口の選択肢

こちらは学校数と人数を入学種別で分類したもので、昨年からの増減は完全一貫校が56→54校、併設型一貫校は19→20校、高校入試校は20→19校となっています。

https://e-tutor.tokyo/data/20230711/b.png

合計人数は中学受験枠が1万4千人、高校受験枠が8千人くらい、一都三県全体からは約6人に1人が中学受験組、残る5人は高校受験組なので、東京一工国公医に合格する同級生がクラスに2人以上いる環境に入れるのは、中学受験からは約3割、併設型一貫校の高校募集含む高校受験からは約3%です。

 

私大を含めた進学率

こちらでは進学者数も公開している学校の国公立の合格数と有名私大の進学者数をグラフにしています。国公立は合格者数ですが、進学率は100%ではないため、実進学数とは多少差異があることもあります。

それぞれの大学群に含むのは以下の通りで、今回はこれまでのグループのほか、その他主要国公立を追加しています。「◯大の◯学部より、◯大の◯学部の方が難しい」みたいなことはたくさんありますが、おおまかな進学ゾーンのイメージ用として眺めてください。

○東京一工国公医

東京・京都・一橋・東京工業・国公立医学部

○旧帝首都圏国公立

北海道・東北・名古屋・大阪・九州・神戸

筑波・千葉・お茶の水・電気通信・医科歯科・東京外語・東京海洋・東京学芸・東京藝術・東京農工・横浜国立・東京都立・横浜市

○その他主要国公立

国際教養・名古屋市立・大阪公立・神戸外語・京都工繊・名古屋工・広島・奈良女子・埼玉

早慶私医

早稲田・慶應・私立医学部

○上理ICU+GMARCH

上智・東京理科・国際基督教・青山学院・学習院・中央・法政・明治・立教

 

まずは男子校、武蔵と県立浦和は今年も似たような分布になっています。

https://e-tutor.tokyo/data/20230711/s01.png

https://e-tutor.tokyo/data/20230711/s02.png

女子校では、東京一工医ではほぼ並ぶ鷗友、頌栄、白百合も、首都圏の国公立か早慶か、という選択の傾向は結構違うことがわかります。浦和一女は東京一工までは届かなくても、堅実に難関国公立以上に進学する層が3割を超えていますね。

https://e-tutor.tokyo/data/20230711/s03.png

共学校では、都立青山が国公立早慶やマーチ以上という括りで見るとかなり高い率になっています。

https://e-tutor.tokyo/data/20230711/s04.png

こちらは早慶マーチ附属校。早稲田は東京一工、学習院女子は早慶以上を目指す層がそれぞれ3割くらいいますね。

https://e-tutor.tokyo/data/20230711/s05.png

こちらは対象の国公立への合格数で並べたものです。公立の高校受験校は、東京一工には届かなくてもきっちり首都圏国立などに進む子が多いことがわかりますね。

https://e-tutor.tokyo/data/20230711/s11.png

こちらは東京一工+早慶で並べたもの。この並びにすると女子校最上位に頌栄が出てきて、他の多くの女子校も上にきます。

https://e-tutor.tokyo/data/20230711/s12.png

マーチ以上という括りだと、都立青山が2番手まで浮上。普連土、湘南白百合、田園調布、品川女子も半数はマーチ以上に進めています。

https://e-tutor.tokyo/data/20230711/s13.png

 

こちらからは、各校の分布を円グラフの形で並べたPDFをダウンロードできます。

https://e-tutor.tokyo/data/20230711/z.png
円グラフ形式 [PDF]

 

私立大学の合格者の進学選択率

複数受験可能な私大は、国公立に比べるとかなり入学辞退率が高いため、人気大学でも実際の進学者数は合格者数の2〜3割くらいになるのが普通です。

こちらは上記の進学率対象校の全合格数と進学数を並べたもので、早慶でも3人に1人程度、上理マーチは10人中1〜2人になることがわかりますね。ICUは合格者数が少ないものの進学率は高く、目的意識が明確な受験生が多めと言えます。

https://e-tutor.tokyo/data/20230711/t.png

 

以下は各大学への進学者数上位10校を並べたものです。もちろん各大学の入学者ではなく、対象校からの進学者ですが、大学によってある程度カラーがあることがわかります。なお、対象の卒業生数は中入校が平均189人、高入校は平均320人と約1.7倍なので、進学者数で比べると高入校が上に来やすくなります。

 

https://e-tutor.tokyo/data/20230711/r1.png

早慶は比較的バランスが良く、どの層からも進学選択肢の上位にきていることがわかりますが、頌栄の慶應進学者数はとても多いですね。

 

https://e-tutor.tokyo/data/20230711/r2.png

私大医学部のトップ10には高校入試の公立校は入らず、ICUには女子校が並びます。

 

https://e-tutor.tokyo/data/20230711/r3.png

上智も女子人気が高く、理科大は公立校からの進学者が多いですね。

 

https://e-tutor.tokyo/data/20230711/r4.png

https://e-tutor.tokyo/data/20230711/r5.png

https://e-tutor.tokyo/data/20230711/r6.png

GMARCHへは公立校がかなり上位に入ってきて、明治のトップ8は公立が占めています。マーチは公立校出身者にとっても比較的身近な存在になっていますね。

集計の誤差について

各校の公表形式に違いがあるため、以下のように一貫していない点があります。

・豊島岡・鴎友・白百合・吉祥・田園調布雙葉・湘南白百合・神奈川大附・県立平塚中等・都立新宿・都立三田・森村学園の進学者数は現役のみ(実際より数%低めになる可能性あり)
・武蔵、法政第二、中村は進学数のみ
・青学英和、大妻中野、日大櫻丘は現役合格数
・大妻多摩は合格数(≠合格者数)
・豊島岡、頌栄、吉祥の私医進学数は推定最少値
・筑駒は合計が100%を超えるため占有比で表示
・市立川崎は全日制普通科募集停止のため人数比表示なし
・複数回入試校の中学偏差値は各入試回の平均、高校偏差値で理数や普通科などのコース、クラスで異なる場合は高い方の数値を表示

外部コンテンツまとめ

ちょこっと溜まったので、TwitterスペースやLINEオープンチャットなど、ブログ外部のコンテンツをまとめておきます。

Twitterスペースのアーカイブ

算数が苦手になる仕組み、一喜一憂せず復習や基礎を固めることの大切さなど

2023年5月31日開催分のアーカイブです。スペース内で触れている画像は以下の2枚です。

中高一貫校入学に向けて

2023年3月11日開催分のスペースです。リンク先は資料ページで、ページ下部にスペースのアーカイブへのリンクがあります。

 

中学受験の厳しさ・中学進学後のイメージ

2022年12月24日開催分のスペースです。こちらもリンク先のページ下部に資料とスペースのアーカイブへのリンクがあります。

 

Youtubeの限定公開動画

スペース分割1〜4は録音していなかった2022年3月12日のスペースで、Twitterからダウンロードできた音声データを分割動画にしたものです。動画内で触れている資料はテキストリンク先にあります。 

スペース分割 1 発達段階

[資料]

 

スペース分割 2 低学年まで

[テキスト]

 

スペース分割 3 通塾開始後

 

スペース分割 4 中学受験後

[資料]

 

算数を教えるときに意識すると良いこと

2022年5月14日公開の音声動画です。

 

算数無料講座内での入試問題解説

こちらは算数無料講座内での2023年1月入試問題解説です。主に2月の2回目入試に挑む方に向けたものですが、残してあるので使える方はどうぞ。

 

LINEオープンチャット

質問や保護者同士の雑談にも使えるLINEのオープンチャットです。普段お使いのアカウント名ではなく、オープンチャット用の名前を設定して利用できます。今のところ質問箱状態ですが、お気軽にどうぞ。

 

各塾の2023年中学入試合格実績分布と模試の受験推奨範囲

この記事では、各塾の2023年中学入試合格者数を5つのグループに分け、それぞれの塾の合格比率をグラフ化しています。志望校を目指すには自塾でどのあたりを目標にするかのイメージや、他塾の模試受験を検討する際の参考などにどうぞ。

評価方法とグループごとの偏差値分布

各校の評価方法

今回の対象は304校・1504入試回です。集計対象校は東京都、神奈川県、千葉県、埼玉県+茨城県の一部で、関西や地方校の東京入試などは除外、域内でも受験者数、偏差値を確認できず、合格数もあまり見つけられなかった学校の幾つかはカウントしていません。

分布を把握する都合上グループを分けていますが、特に各グループのボーダー付近では塾によって偏差値の逆転も珍しくありません。

学校ごとの評価ポイントは、各入試回の偏差値を平均→各塾の数値を平均して算出しており、主に以下のような不正確な点があります。

・ある塾の偏差値が不明の入試で、他塾の偏差値がわかるものは推定値を入力し、全ての塾で偏差値不明の入試回は除外しています。

・各入試回偏差値の単純平均のため、入学者数の少ない高偏差値入試回の影響が出やすく、評価ポイントが実際の入学者の中央値より高めになることがあります。

・男子偏差値と女子偏差値の調整もしていないため、女子校>共学校>男子校の順に上ぶれしやすくなっています。

・推薦、第一志望、帰国生、英語入試などは基本的に除外していますが、定員合算のものは含むこともあります。同様に合格数も、SS-1や受験ドクターなど帰国を分けて表示してあるものは除いていますが、全ての塾が同じようにしているとは限りません。

集計シート[PDF]はこちらから閲覧可能です。

集計対象の塾は33、合格数合計は108,827で、取得日時によっては最終の数値と異なることがあります。グループは各塾の公表合格者数合計を均等に近づくように5分割していますが、①が少なめです。

偏差値分布の画像は、左からSAPIX四谷大塚日能研、首都圏模試の偏差値を正規分布として、各グループの該当範囲を赤系で示したものです。

グループ①

評価64以上(合格数16,377)

SAPIXの上3分の1、四谷日能研では上1割に入らないと厳しいグループ。1回入試校も多く、能力的にはっきり浮いている子や、賢い上に相当な努力を積めた子が届くところ。普通に賢いくらいの子が2年の通塾だけで合格することは稀です。

対象校一覧

 

グループ②

評価59以上(合格数24,801)

SAPIXボリュームゾーンに入り、四谷日能研の上3分の1くらい。クラスで指折りくらいの子が2〜3年の通塾と結構な家庭学習をこなして届くグループで、①に届くレベルにあった子の受け皿にもなっています。

対象校一覧

 

グループ③

評価53以上(合格数24,186)

SAPIXの真ん中より下、四谷日能研では真ん中より上あたりで、首都圏模試ではまだボリュームゾーンに届きません。クラスの上位2〜3割には入る子が数年の通塾と家庭学習でこのグループまで届けば大健闘です。

対象校一覧

 

グループ④

評価45以上(合格数21,632)

SAIPXでは下3分の1にかかり、四谷日能研ではボリュームゾーンからやや下方向、首都圏模試の上3分の1くらいのグループ。このあたりがクラス上半分から通塾して頑張れば届く可能性があるゾーンで、日大や東洋大まで上がれる学校や、マーチ以上の大学への推薦枠を多く持つ学校もあります。

浮きこぼれて苦労しているレベルでなければ、志望校は③④あたりから探しはじめ、中学受験の適性が高ければ段階的に上げていくのが良いやりかただと思います。

対象校一覧

 

グループ⑤

評価44以下(合格数21,831)

四谷日能研の下3分の1、首都圏模試ではボリュームゾーンから下3分の2。今回は集計上ひとまとめにしていますが、学校数は全対象校の約4割を占め、④と同等レベルから比較的入りやすいところまで入試難易度の差も大きいグループです。

対象校一覧

 

模試の受験目安

まず、ひとつの模試を継続的に受験して、補強ポイントや立ち位置を確認していくのがベースになります。

ただ、塾のカリキュラムや模試には得意な範囲があるので、主な分布から外れる場合には他の模試を受けることが有効な場合もあります。志望校が会場になる模試があれば、雰囲気を経験するために挑戦するのも良いでしょう。

分布が厚めな範囲は、SOでは①〜③、合不合と日能研は②〜④、首都圏模試は④⑤になっています。志望校が①の場合はSO、⑤なら首都圏模試の受験者層が近くて参考にしやすく、逆に首都圏模試では①②、SOでは④⑤での立ち位置はわかりにくいですね。

自塾の偏差値を基準に他塾模試を検討する場合は、サピ45未満なら合不合か日能研で35未満なら首都圏模試、日能研で65以上ならSO、45未満なら首都圏模試を考えてみるようなイメージですね。

 

各塾の合格者分布

集計対象の塾は33、合格数の合計は108,827で、全合格者のグループごとの分布は以下のようになります。この形との差が大きいところが、その塾の特徴的なところですね。

また、1人で複数合格することもあれば合格なしのケースもあるため、在籍生の進学先比率や学力分布と同じではありません。

こちらは私が直近3年でサポートした受験生の合格校(薄色)と進学先(濃色)の分布です。進学先のひとつ下のグループなどで、複数の合格を獲得することが多いことがわかりますね。

 

なお、合格実績を一部のみ公開している塾(ena・臨海セミナー・あづま・スピカ・湘南ゼミナール・ステップ)は分布がわからないため、グラフ化していません。

 

SAPIX

まずは①②の合格者率が高いSAPIX型の5塾。SAPIX希学園首都圏、グノーブルはよく似た分布になっていて、いずれも全合格数の6割以上を占めています。

駿台浜学園は①②合計では6割を下回るものの、①が最も高い分布です。

逆にエルカミノは②が突出して多く、①②の合計比はこの5塾でも最も高くなっています。

 

四谷・早稲アカ型

次は全体分布に近いバランスで⑤が少し減る四谷・早稲アカ型。

ジーニアスは②→③→①、啓進塾は③→④→②、啓明館は④→②→①と、それぞれ少し異なる分布になっています。

 

日能研

次は①が1割未満で下の方が広い日能研型の6塾。この中では日能研はバランスがよく、他塾はそれぞれ特徴が出ています。

市進は⑤→③→④となっていて、①②は合計20%前後。

アントレとエデュコは、このタイプの中では②がかなり多めで、①②が約3割を占めます。

おぎしん、日本教育学院は③④がかなり多く、計6割を超える分布になっていますね。

 

栄光ゼミ型

最後は④⑤で5割を超える栄光ゼミ型の5塾。

このタイプでも数%は①が出るので、◯◯塾だと①には行けない、なんてことはありません。要は相性と本人の努力、詰めどころで間違わないことが大事なので、やりやすく信頼できる環境で楽しみながら継続できると良いですね。

 

個別指導塾など

ここからは集団塾との併用が多い個別指導や算数塾です。

SAPIXかグノーブルとの併用を勧められることが多いフォトン算数クラブは、①②に大きく偏った独特な分布になっています。

 

SS-1、受験ドクター、TOMASは②が最多で①も多めの似た分布で、タイプとしては四谷・早稲アカ型に近いですね。

 

個別進学館は日能研型に近く、ユリウスは栄光ゼミ型です。

 

こんな感じで、塾の方向性や地域性によって経験値が多いゾーンやカリキュラムの相性があり、雰囲気も変わってきます。

いわゆる難関校の実績だけで指導力がわかるものでもないので、選べる場合は学力と志望校、通塾負担などから合いそうな塾を選び、体験などを通して相性の良い塾を見つけられると良いですね。

また、通塾開始後に合わないと思った場合には、まず塾の教室長や担当講師としっかりコミュニケーションを取り、納得のいく対応でなければ転塾を考えるという順番がおすすめです。

転塾は相性次第でぐっと改善する事もあれば、聖杯探しになってしまって疲れるだけのこともあるので、まずは今ある環境を使い倒せないか試し、無理そうなら早めに決断すると良いですね。

 

グループ別学校リスト

上述の通りいろいろとブレもあるグループ分けなので、◯◯より◯◯の方が〜といったこともあると思いますが、塾の方向性や指導経験が多いゾーンのイメージ用としてご覧ください。

グループ①

男子校12・女子校10・共学校10

https://e-tutor.tokyo/data/20230510/p1.png

元の位置へ戻る

 

グループ②

男子校11・女子校6・共学校15

https://e-tutor.tokyo/data/20230510/p2.png

元の位置へ戻る

 

グループ③

男子校7・女子校8・共学校43

https://e-tutor.tokyo/data/20230510/p3.png

元の位置へ戻る

 

グループ④

男子校5・女子校18・共学校35

https://e-tutor.tokyo/data/20230510/p4.png

元の位置へ戻る

 

グループ⑤

男子校6・女子校39・共学校79

https://e-tutor.tokyo/data/20230510/p4.png

元の位置へ戻る

 

偏差値の捉えかたと比較の読みかた

こちらの記事は、先にツイートした比較早見表と、塾別偏差値比較の2023結果偏差値女子版に入れていたものなどを再構成して追記したもので、偏差値の捉えかたなどのお話です。

 

各塾模試の偏差値換算

四谷大塚日能研は同じくらいで、SAPIXは-10、首都圏模試は+10くらい、という話を聞いたことのある方や、±5〜6ポイントくらいのイメージをお持ちの方もいると思いますが、偏差値帯や男女によっても差が少し異なります。

こちらでは、各塾の偏差値を5ポイントの幅で区切り、対応する入試の偏差値が他塾ではどのくらいになるかを一覧にしています。

例えば男子の四谷大塚50は、50±2ポイントの範囲(48〜52)の入試を平均すると、SAPIXでは40、日能研は50、首都圏模試では62になっていますが、65(63〜67)だとSAPIXで59、日能研65、首都圏模試で73と少し差が詰まります。

年度によっても多少変化しますが、現状ではこのくらい、という感じでお使いください。

 

偏差値換算早見表 男子用

こちらは男子用。四谷大塚日能研は7区分中4区分で一致、3区分で1ポイント差で、全体的に見ても女子よりは数値が揃っている感じです。

 

偏差値換算早見表 女子用

こちらは女子用で、四谷大塚日能研で一致するのは40,45の2区分になり、50,55,60では1ポイント差、65,70では2ポイント差になります。SAPIX偏差値から見た四谷と日能研でも同様に差がありますね。

 

偏差値は過信せず参考に

学校をグループ分けした比較

同じくらいの層の学校の入試を比較してみると、結構な割合で塾によって上下も変わってくることがあります。ここでは、まず大学附属で2回入試の男子4校で比較してみます。

 

 

学習院2回の80%を基準に見ると、サピ49の子にとっては学習院の1,2回、明大中野1回、立教池袋1回は80%になり、両校の2回と立教新座1,2回は50%くらいになりますね。四谷大塚で56だと、80%は学習院の1,2回のみで、他3校は全て1〜3ポイント上になります。

日能研では57に明大中野立教池袋を含む5つの入試が並び、57の子から見ると80%でないのは立教新座だけ。立教池袋の1回と2回も、SAPIXでは5ポイント差があるのに対し、日能研では同じになります。

どれが正しいというより、偏差値は「だいたいこのあたり」のものとして捉え、あとは入試問題との相性や合格点などを踏まえて検討していくと良いでしょう。

もちろん、例えばこの学校群であればサピ55、四谷日能研63くらいになれば幾らか余裕がでてくるので、そういう意味で目標にするのは良いですね。

 

続いて女子では2回入試の学習院女子、香蘭女学校、東洋英和、頌栄女子の4校で比べてみます。

 

 

SAPIXでは学習院Bが最高の54で、Aも1回目入試では最も高い51で英和Bと並び、一番下は英和Aの46ですね。

ところが四谷大塚で見ると、各校の2回目の入試が62で並び、1回目では頌栄1が61、英和Aが60で、学習院Aは最も低い57になります。頌栄1,2の差は1ポイントしかありません。

日能研では2回目の中で学習院Bが一番低い60、最高の62には香蘭の2回目が来ています。学習院のAB差は2ポイント、英和のAB差は6ポイント。

例えば英和志望の子が日能研を見ていると、偏差値55のAで落としたら6ポイント上のBは相当厳しそうに見えますが、四谷大塚を見ると2ポイント差で、2回目ならなんとかできるかもしれないくらいの差に感じることもあるでしょう。

こんな感じで、2〜3ポイントで安心したり心配するようなものではありません。帯で見て目標設定や併願校選びに活用したあとは、入試で取るべき問題を正解できるように仕上げていくのみですね。

 

80%・50%・20%偏差値の出しかた

結果偏差値は、前年度の受験生の持ち偏差値と入試結果を比べ、受験生10人あたり8人以上が合格するラインを80%、5人以上で50%、2人以上で20%という判定にしています。

持ち偏差値として参照するのは6年の全体テスト、SAPIXならSO、四谷なら合不合と考えて良いですが、外部生が多く受験するこれらの模試と、内部生の比率が上がる組分けなどの全体テストでも偏差値は多少変わりますし、秋以降の偏差値に重みをつけていることもあります。

また、ラインは「その偏差値以上」という考え方で、例えば偏差値60で80%となっている場合は「60以上の受験生累計100人で合格者80人」みたいな感じなので、必ずしも60での受験生が10人中8人合格しているとは限りません。

予想偏差値は前年の結果偏差値をベースに、その模試を受験した志願者数と成績分布を加えて算出します。成績が良い生徒の志望数が多ければプラス、減ればマイナスになるわけですね。ですから、特に新設校の予想偏差値などは、その入試を候補に入れている受験生が多い模試ほど、次年度の結果偏差値と近くなります。

ただ、特に春の段階の模試での志願=出願・受験とはならないことも多いので、ある程度の出願と偏差値の予想には、11〜12月の偏差値表を見たほうが雰囲気は掴みやすくなります。

こんな感じで、前年の受験結果と今年の志望者動向の参考にはなりますが、例えば資格試験で「○割取れば合格」みたいな基準になるものとは異なり、割と不安定なものですね。

 

各回の偏差値の算出と分布

個人の偏差値は、ほぼそのテストを受けた中での順位です。テストごとの得点分布にもばらつきがあるので、「○位なら・上位○%なら偏差値○○」と決まるわけではありませんが、基本的な分布は以下のようになります。

全体を3つに分けると55と45が区切りになり、40〜60の間には7割近くが収まります。当然、出題ごとの得意不得意や調子によっても順位は変わり、その一回ごとの模試結果と上述の「以前の受験生の結果」や「他の志望者の偏差値」と比べていくわけなので、絶対的な指標にはなりません。

ですから、各回の偏差値は「今回の立ち位置」の確認程度に捉え、志望校の80%を超えるあたりの偏差値になる順位や得点を目標にする程度で、あまり過信したり、一喜一憂し過ぎないことも大事ですね。

塾による偏差値の違い 2023年中学受験結果偏差値版(女子) SAPIX/四谷大塚/日能研/首都圏模試

各塾の中学受験偏差値比較の女子版です。比較対象はSAPIX四谷大塚日能研、首都圏模試の2023年度入試の結果偏差値です。

日程順の並びは三塾偏差値合計の降順で、灰着色枠は偏差値不明のもの。多少並びがずれている箇所があるので、後ほど修正予定です。偏差値順は三塾で偏差値が確認できている入試だけで、並びは同様に合計の降順です。男子版はこちら↓

日程順

12月〜1月19日

1月20日〜31日

2月1日

2月1日午後

2月2日

2月2日午後

2月3日

2月3日午後

2月4日

2月4日午後

2月5日

2月5日午後

2月6日以降

 

 

偏差値順

 

偏差値は過信せず参考に

※以下の部分に、塾ごとの偏差値換算や偏差値の算出などを加えた記事を追加しました。

 

同じくらいの層の学校の入試を比較してみると、結構な割合で塾によって上下も変わってくることがあります。ここでは、まず大学附属の四つの男子校で比較してみます。

 

 

学習院2回の80%を基準に見ると、サピ49の子にとっては学習院の1,2回、明大中野1回、立教池袋1回は80%になり、両校の2回と立教新座1,2回は50%くらいになりますね。四谷大塚で56だと、80%は学習院の1,2回のみで、他3校は全て1〜3ポイント上になります。

日能研では57に明大中野立教池袋を含む5つの入試が並び、57の子から見ると80%でないのは立教新座だけ。立教池袋の1回と2回も、SAPIXでは5ポイント差があるのに対し、日能研では同じになります。

どれが正しいというより、偏差値は「だいたいこのあたり」のものとして捉え、あとは入試問題との相性や合格点などを踏まえて検討していくと良いでしょう。

もちろん、例えばこの学校群であればサピ55、四谷日能研63くらいになれば幾らか余裕がでてくるので、そういう意味で目標にするのは良いですね。

 

続いて女子、学習院女子、香蘭女学校、東洋英和、頌栄女子の4校で比べてみます。

 

 

SAPIXでは学習院Bが最高の54で、Aも1回目入試では最も高い51で英和Bと並び、一番下は英和Aの46ですね。

ところが四谷大塚で見ると、各校の2回目の入試が62で並び、1回目では頌栄1が61、英和Aが60で、学習院Aは最も低い57になります。頌栄1,2の差は1ポイントしかありません。

日能研では2回目の中で学習院Bが一番低い60、最高の62には香蘭の2回目が来ています。学習院のAB差は2ポイント、英和のAB差は6ポイント。

例えば英和志望の子が日能研を見ていると、偏差値55のAで落としたら6ポイント上のBは相当厳しそうに見えますが、四谷大塚を見ると2ポイント差で、2回目ならなんとかできるかもしれないくらいの差に感じることもあるでしょう。

こんな感じですから、偏差値は前年度の受験生の結果と今年の志望者動向の参考にはなるものの、2〜3ポイントで安心したり心配するようなものではありません。帯で見て目標設定や併願校選びに活用したあとは、入試で取るべき問題を正解できるように仕上げていくのみですね。

塾による偏差値の違い 2023年中学受験結果偏差値版(男子) SAPIX/四谷大塚/日能研/首都圏模試

各塾の中学受験偏差値比較の男子版で、比較対象はSAPIX四谷大塚日能研、首都圏模試の2023年度入試の結果偏差値です。今日明日くらいで女子版や偏差値増減などの記事も順次アップしていく予定です。

日程順の並びは三塾偏差値合計の降順で、灰着色枠は偏差値不明のもの。多少並びがずれている箇所があるので、後ほど修正予定です。偏差値順は三塾で偏差値が確認できている入試だけで、並びは同様に合計の降順です。女子版はこちら↓

日程順

12月〜1月19日

1月20日〜31日

2月1日

2月1日午後

2月2日

2月2日午後

2月3日

2月3日午後

2月4日

2月4日午後

2月5日

2月5日午後

2月6日以降

 

 

偏差値順

 

※塾ごとの偏差値のばらつきや偏差値換算などについての記事を追加しました。