偏差値60の壁なんてない

中学受験のサポート歴20年以上の経験から、心構えや考え方を公開します。

2月午後入試実施校の選び方(6年生の志望校選び 5/5)

2月の午後入試もしっかり検討しておくことは大切

2月の午後入試について。算数1教科や算国2教科型も多いとは言え、移動もあるので気力、体力的にはなかなか大変です。1月校で渋幕や市川、栄東などを取っているなら、受けなくても良いですね。

1月校は取ったけど遠いとか、取ったのは立教新座で付属以外も選択肢に入れたい、専大松戸などでもう少し近くて進学実績の高い学校を取っておきたいなどの理由なら、巣鴨(61)や世田谷(60)、鎌倉学園(62)もあり。

1月校で合格を取れていないなら、55未満〜40台まで視野を広げて押さえておく方が良いです。例えば1日に淑徳(53)や安田(50)でしっかり押さえておき、体力と欲があるなら2日に広尾(64)や高輪(60)といったプラン。

3日、4日と日程が進むと疲れてきます。順調に合格を取れていればともかく、不合格を何個か目にしていると、もうボロボロになることもあり得ます。なので、1日〜2日にそれなりの学校の合格を取っておくことは、とても大きい。

特に、1日校に失敗した(かも知れないと感じている)子供に、午後入試で貰える合格や特待という文字が与えてくれる勇気は、軽視できないものがあります。当日夜発表なので、寝ていれば桜の画面をプリントアウトして、翌朝見せてあげても良いですね。

偏差値的には受かって当たり前、1月校で合格も取っていて、もしダメならそちらに行く予定だとしても、気分は悪くない。落ちた気分を立て直すきっかけになります。1月入試で幾つ合格を貰っていても、1日校で緊張する子は本当に多いので、万一に備える手段は多いに越したことはありません。難問でヘトヘトになった後、解ける問題で調子を取り戻すこともあります。

2月午後入試実施校の一覧

そんなわけで、候補絞り込み用の参考データをアップしました。高校偏差値、受験料、進学実績などを表にしてあるので、必要に応じてダウンロードしてご覧ください。入試日、手続き締切日、延納などについては平成31年/2019年2月の入試のものが大半です。実際の入試日、手続き締切日などは、これから秋頃までに各校から出る新しい募集要項をご確認ください。

実際の表は縦横何倍も大きいので、一部を画像にしたものを下に載せます。切り取りは現役国公立合格数が40人以上、または東大合格者のいる学校です。

ヘッダ行の数字は入試日、赤字は1〜2教科型の入試。★は個人的なオススメ度で、赤は辞退の場合の入学金支払い額が抑えられる学校。評の列は、複数入試でそれぞれの偏差値と入学数から出した実際の入学者全体の想定偏差値で、S/C上/C下/B上/B中/B下/Aに分けています。特進クラスなどで学校内でも混ざらないケースもあり、一概に言えませんので、入学者全体の雰囲気としての参考まで。

既卒との合計数より、現役のみにした方が学校の授業、雰囲気をイメージしやすいという理由で現役数にしてありますが、国公立や医学部志向が高い場合は、入れる私大文系より浪人して上位校を狙うケースも多く、逆に女子などでは優秀層も現役私大文系を志向しやすいなど、いろいろな考え方があります。

f:id:aswg-tutor:20190603035920p:plain

中学受験のレベルと進学意欲の高さ

受験に失敗したら公立で〜とか、公立からでも東大くらい〜なんて方もいるみたいですが、中学受験で偏差値50台でも、受験に対する取り組みや進学実績は公立中から受験するトップ校に負けないくらいのレベルだったりします。

東大に行く子がいる公立上位高の偏差値は、都立ベスト8で国立(74)、日比谷・西(73)、戸山(72)、青山・立川・八王子(71)、小山台(69)、神奈川県立ベスト6だと横浜翠嵐(75)、湘南(74)、柏陽(72)、厚木・YSFH・横浜緑ケ丘(69) などです。

このゾーンに該当するのが、70台は巣鴨(61)、広尾学園(62)、国学院久我山(57)、山手学院(52)、淑徳(53)。69が帝京大学(52)、明大中野八王子(53)。少し下で、68が鎌倉学園(62)、67が中央大附属横浜(56)、66が都市大等々力(52)、安田学園(50)、65で東京農大第一(59)。中学受験が、いかにひと握りの子の熾烈な争いかということもわかりますね。

犯罪と人に迷惑をかけること以外は自由、でも大学受験になれば帳尻は合わせる、という雰囲気がSの難関上位校とすると、学校側も熱心で、君たちは頑張れば東大だって行けるんだ!と関わってくる感じがC〜Bの学校という傾向はあるように思います。

特に午後入試実施校は、進学実績を上げるために優秀層を取り込む目的が強く出ているので、ある程度しっかり関わって欲しい方には向いている学校が多いと言えるでしょう。逆に、思う存分羽を伸ばして、という感じには合わないところもあるかも知れません。ただ、中学受験の大きな目的に高い大学進学意識のある環境が含まれている場合は、有力な選択肢になると思います。

注目校の紹介

在校生の親や卒業生の知人、友人からの印象込みで、この画像に挙げた学校からピックアップして注目の学校を幾つか。

巣鴨
1日に算数午後入試(61)。受験料10,000円。延納申請で2/5まで延納可能で、延納申請しない場合は入試で若干優遇もあり。卒業223名で、東大に今年は現役で14名送り込み、国公立57名や医学部133などの実績も非常に良く、Sクラス校にも迫るほどの進学校。割と昭和的スパルタ感を出してくる先生もいるらしい。でも入ってしまえば馴染む子が多くて、それなりに楽しんでいる様子。

世田谷学園
1日に算数午後入試(60)、入学手続き締め切りは2/6。卒業214名で、東大11名、国公立48名と巣鴨に遜色ない進学校巣鴨と比べると医学部志向が低く、代わりに早慶上ICU170名、GTMARCH299名など私大の合格実績が非常に高い。仏教系で厳し目の校風。部活では空手や柔道は全国レベル、野球部も過去には甲子園出場経験あり。吹奏楽部や鉄道研究同好会の活動も充実している。

桐蔭学園中等
2日の2教科(54)、入学手続き締め切りは2/6。卒業152名で、東大5名、国公立43名。4人に1人以上が国公立に進むのは、この偏差値からはかなり優秀なので、神奈川午後では有力な選択肢。

東京都市大
1日に2教科(56)で、4教科受けも可能で独特。卒業248名で、国公立48名、早慶ICUに98名、GTMARCHに243名。ここの素晴らしいところは、2/8の12時までに支払う入学金が5万で良く、残り20万は4月に入金するところ。繰り上げ合格などで辞退する場合、この20万円はとても大きい。

淑徳
ここがすごいのは、2月11日までの入学手続後も、2月末までに入学辞退の場合は入学金も返すというところ。つまり、繰上げ合格があった場合でも費用面ではノーリスク。受験料も1回分で午後入試3回とも受験可能。2日は特進コースへのスライド合格、3日は4科受験で上位を取れば東大コースへのスライドもありで、お守り校としての安心感が高い。特待は得点率で決定されるので、きっちり正解を取る力があれば手に入ります。

東大に5年連続で合格者を出し、2019年は東大2名、国公立48名、早慶ICUに61名、GTMARCHに279名。この数字は偏差値50台後半の学校と比べても遜色ないくらいで、都内併願校としては注目の一校です。

中央大附属横浜
2日の4教科(56)、入学手続き締め切りは2/6。午後入試で狙えるGMARCH附属校というのが大きい。中央大学への推薦進学率は68.5%で、国公立・別学部私大は推薦留保可能。東大2名、国公立40名、早慶ICUに71名、GTMARCHに91名という実績で、進学校としても十分な実績があります。

安田学園
1日、2日の午後入試はスライドあり、特待合格すれば入学金は半額の117,500円。手続き締め切りも10日なので、ほぼ終わりまで手続きを待てるのもお守りとしてはありがたい。入学後もクラスは分かれているので、先進コース80名はそのまま一緒で総合コースとは基本的に混ざらない。その中からが大半と考えると、現役国公立49名という数字も相当優秀と言える。進学に熱く塾不要を目指していて、宿題が忙しい、校庭は狭いなどの不満も。