偏差値60の壁なんてない

中学受験のサポート歴20年以上の経験から、心構えや考え方を公開します。

なんのために中学を受験するのかをはっきりさせておく。(6年生の志望校選び 2/5)

前回の記事では、持ち偏差値順では合格数以内に入る子でも、3分の1以上は落ちるということを書きました。実質3倍以下の開成であんな感じなので、倍率が高いともっと荒れます。でも、中学受験はこういうものなので、親はそれを踏まえて作戦を練っておかなくてはいけません。子供は勉強を頑張る。情報収集と分析こそが親の役目。

見栄が大事な場合

まず、中学受験を選んだ理由の主体が、親族や友人、知人、ご近所、親戚などに対する見栄。或いは、親が苦労したから、子供には良い学歴などの場合。こういった理由も良いです。中学受験は、ブランドやイメージだけで選んだところで、どうってことはありません。名の通ったところには相応の良さがあるので、よほど子供に合っていない場合を除けば、なんだかんだ上手くいくもの。どんな友人に恵まれるかも、入ってみないとわかりません。

親がどんな目的だろうが、良い塾や教材を与えられ、それなりの努力をすることは子供にとってマイナスにもならないし、子供を追い詰め過ぎなければ、別に不幸の種にもなりません。公立中よりは周囲の子の学習意欲やモラルも高く、経済的にも最低限よりは余裕があり、教育にも熱心な家庭が多いです。少なくとも、綺麗事だけで良い環境を与える努力の足りない親よりマシだと思います。

ただ、この理由で中学を受験する場合、志望校に落ちた場合は目的が達成されず、かけたお金も子供の努力も、全てが台無し、マイナスという喪失感を味わう恐れがあります。子供の自信も根こそぎ奪い、親もショックで立ち直れない、引きずるようなことにならないために、不合格に対する備えが必要です。全部落ちたらカッコ悪いから転居しよう、次で仕切り直してカッコいい学校を目指そう、くらいの相談があっても良いですね。頑張って列に並んでも買えなかったら、また別の列に並ぶだけです。

学力と根気を育てる目的

さて、次の理由。中学受験を通して、学ぶ力や根気をつける。これは、受験終了の時点で目的は達成されていますね。志望校に通れば良し、そうでなくても、公立で仕切り直し。しっかりした学力と根気のついた子なら、英語で先んじることを植え付けてあげれば、トップ独走でトップ高も夢ではない。この場合は、行きたいと思える学校を選んだら、ど〜んと当たって結果を待てば良いですね。子供が納得していれば、無理に安全校にねじ込む必要もないでしょう。

周囲の質と環境のため

思春期になって親の手を離れていく子が出会う友人の質の期待値を高くする。大学受験に向けて、良い環境を与える。中高一貫で高校受験回避、更には付属校で大学受験も回避。留学や選択講座等の充実。などでしょうか。こういう目的を幾つか含んでいる方が、受験層には一番多いと思います。

学校側の要素、校風や施設や教員の指導も、重要だとは思います。制服がかっこいいとか、部活が強いとかも含め。ただ、学校生活を重視する上で、やはり無視できないのは周囲の友人、一緒に入学する子の質。これは、偏差値とかなり密接に関係しています。このあたりを次の記事で書きます。