偏差値60の壁なんてない

中学受験のサポート歴20年以上の経験から、心構えや考え方を公開します。

入試では、持ち偏差値の順番通りに入るとは限らない。(6年生の志望校選び 1/5)

ちょっとお休みしていましたが、ここから何回か、併願校の決め方や志望校選択についての心構えのようなことを書いていきます。まず、下記の2019年の四谷大塚から開成に合格した子の持ち偏差値と合否を一覧にしたものをご覧ください。

受験287人で合格111人の試験なら、持ち偏差値が100番以内なら合格しそうな気がするかもしれませんが、実際には受験者中の持ち偏差値が101番まで(偏差値68以上)の受験者からは、63人しか受かっていない。3分の1以上が落ちます。成績順に入れるなんてことはありません。

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これで見ると、80SSの偏差値71以上でも、偏差値73の子で3人中1人、71の子で16人中4人が落ちています。50SSの偏差値67以上でも、偏差値70と偏差値68では実際の合格率が50%以下。逆に、累計受験者数と合格数で見ると、偏差値64以上の受験者が202人中、合格者が101人で50%になる。

また、合格者の平均偏差値は68.4で、やや50SSの方に近く、50SS以上の合格者が合格者数の約7割です。ちなみに、80SSが71で50SSが67の桜蔭では、合格者の平均偏差値は68.7、50SS以上の合格者が合格者数の約78%となっています。

80偏差値が不正確だとかそういう話ではなく、これくらいは誤差の範囲で、毎年どの学校でもあることです。偏差値71,69,68,67,66からは2桁合格。Sクラス100人なら、30番〜50番くらいでも受かる子は結構いるけど、10〜20番でも落ちる子もいる。

下を見れば、偏差値が10以上離れた63以下でも受かっているのが約1割、Cコース相当の子でさえ5人もいる。S上位がAに負けることはまずありませんが、最低限の実力は備えているCやS下位の子に、一発勝負で負けることはあり得る。

得意範囲か、難易度の変化、緊張感や体調、受験直前の伸びなど。例えば得意範囲の問題が易化すると、他の受験生も正解してしまって差をつけられない。不得意な範囲が出れば、数点落とすこともある。ほんの数点差で落ちることなど幾らでもあります。

どんな試験やスポーツでも人と競うものは、強くなるほど強い相手と戦います。あんなに頑張ったのに、は通用しません。頑張れば頑張るほど、同じように頑張った相手との闘いになり、常に負ける可能性はある。まずはこのことを、しっかり認識しましょう。

PDFダウンロードはこちらから。

 本資料では、受験生287名/合格者111名/不合格者176名/合格率38.7%/2.59倍となっています。グラフから起こした数字で、公表されている合格者数と1名ズレがありますが、追加集計によるものか誤差かは不明です。あくまで合格者分布の参考としてご覧ください。元データはこちら(合不合判定テスト第1回 参加者配布資料PDF)です。

2019年の東大合格者数(現役・合計・合格率)と2013年中学受験時の合格80%結果偏差値

前回抜けていた芝や雙葉などを入れた、54校の2019年東大合格者数と2013年中学受験時の合格80%結果偏差値の対照表です。現役合格数と卒業者数、現役合格率のほか、既卒も含めた合格者総数と、卒業者数で割った仮の東大率を記載し、並びは現役合格率順にしてあります。東大率は正確な数字ではありませんが、浪人まで含めて最終的に東大に進学する割合の目安に。

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東大率が1割を越すのは男子10校、女子2校、共学3校の計15校で、男子の巣鴨、女子の豊島岡、共学の渋渋が迫っています。

男子は一定数が浪人しても東大を目指すという傾向(11.46%→15.83%)が出ていて、特に上位校では顕著ですが、女子は現役志向が強く、浪人して東大という数は少なめ(4.54%→5.45%)。女子の中でも上位3校は少し高めで、特に桜蔭は5%以上とはっきり特徴が出ています。

他の国立大や医学部などの難関大も含めると見辛いので東大のみですが、女子はお茶の水や私学にも優秀層が流れやすかったり、男子でも最上位層以外は早慶現役に流れたりと、学校によっても進学意識に特徴があるので、最終的な希望進路に多くが進む学校を選ぶのも、志望校選定基準のひとつになると思います。

山手学院を正しい枠に移動しました。それに伴い、東大率-現役率は女子が0.78%から0.90%に、共学が1.36%から1.24%にそれぞれ数値が変わっています。(2019.07.28 05:50)

共学の山手学院が女子枠に入っていることをご指摘いただきました。別の方がtwitterで呟いてくれたそうです。どこかのタイミングで性別項目ペーストを誤り、そのままになっていたようで、後ほど資料を修正しますが、取り急ぎご報告まで。呟いて頂いた方、ありがとうございました。(2019.07.27 14:50)

PDFのダウンロードは以下よりどうぞ。

 

 

子供のレベルで適切な予定は違う。ただマス目を埋める計画表はマイナスかも。

私がサポートを始める時、最初は1日2〜3時間、週15〜20時間の勉強を本気で出来るようにするところに目標を置きます。これは、学校からの帰宅後〜就寝までの時間の半分くらい、学校で経験している授業時間の半分でもあります。ここから最終的には、志望校や残り期間によって週35〜40時間まで増やすこともあります。

これは中学受験に限りませんが、効率化をやる際は状況の把握から入ります。何にどのくらい時間を使っていて、効率がどのくらいなのか。ここから、改善点を絞り込んでいきます。本人の現時点でのベストの効率が出ているかどうかも大事なポイント。

ある6年生と熱心なご両親の話

6年生になってから見ることになった子で、親から週40時間目標の学習予定表を渡されていた子がいました。お父さんもお母さんも熱心で、一生懸命テスト結果も分析して、間違った問題のプリントもして、志望校のリストアップ、週間計画表、年間予定表も作って。

でも、学習内容と集中のレベルを見ると、20時間以上は座っているけど、ベストパフォーマンスに換算すると正味12時間分くらい。親の描く3割しか出来ていないわけですね。もちろん成績は低迷、家にいる時間の長い母親とは頻繁にバトル。

熱心なのに残念ですが、これは完全に親の熱意が空回り、空振りしていると伝えました。理由は、全く子供の「勉強に取り組む実力」と合っていないから。登山なら遭難しますと。ただ絵に描いた餅の話をして、子供の口からわかったという答えを引き出して、やっていないことを責め、成績は伸びない。これを続けていたら、中学受験も失敗に終わる可能性が増します。

学習には、それ自体に訓練が必要

単に1時間でこれだけ出来る、ならば10時間やればこれだけ進み、30時間でこれだけ出来る。これは誤った考え方です。なぜなら、学力には知識や応用力だけでなく、それをこなす集中力と持続力、意欲も含むから。

小学校のテストでは満点、トップクラス。やれば出来る賢い子。だから夢を見てしまう。その気持ちは良いです。子供の可能性は無限大。でも、険しい山に登らせるなら、ちゃんと体力と装備と技術、ルートの見極めをしないといけない。30分出来ることを、30時間出来るようになるには、そのための訓練が必要です。

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いきなり学習時間を増やせる子の条件

本人に意欲があり、35〜40時間集中した経験もあり、他の誘惑がないなら出来るでしょう。例えばこれまで読書や工作、オタク的な趣味などに朝から晩まで時間をかけていた子が、自分から受験に興味を持ち、全部そっちに突っ込む。こういう子ならいけます。

登山家が山を登る時、地元のシェルパを雇う。登山家が酸素ボンベを使うようなところで、酸素も使わず重い荷を上げてしまう。登山はしていなくても、日常でその能力がついているパターンですね。

読書や工作、他の分野でも高い集中や持続力を要することに取り組んできた子には、これと同じことが言えます。入力と集中に特化して鍛えているから、基礎体力がある。出来ない子の意欲が足りないのではなく、基礎体力に大きな差があるんですね。

学力の停滞期を抜け出すために

いろんなことに興味を持ち、友達と遊んだり、ゲームをしたり、テレビを見たり、という風に過ごしてきた普通の小学生なら、今からどこまで登れるようになるか。取らぬ狸の皮算用、絵に描いた餅では仕方ない。まずは今やれている時間の効率をあげる。少しづつ時間も増やしていく。どんな学習法、どんな参考書、どんな塾より、肝心なのは本気でやれる時間を増やしていくこと。

負荷の高い運動をすることと、集中力の高い学習をすることはほぼ同じ。それが出来ること自体にも訓練が必要で、休息も必要。とにかく勉強することで持続力や集中力がつく、というのも方法の一つですが、それは同伴者がいればの話。もし、子供にいきなりありったけの時間を学習させたいなら、一緒に、それも楽しくやらせる人がいないと無理です。無理なことをいくら強いても、不快な思いと無駄な時間が増えるだけ。

20時間座っていて、正味12時間の子。この成績を上げるには、20時間の質をまずは高める。次に、20時間の枠を24時間にする。これで、実質的には倍の学習量になります。今の偏差値が40台なら、これでまずは50台。50台の子なら、60が見えてきます。

この手応えを経験させること。意味のある、効果のある学習をすると、成績が上がるという実感。停滞している子の成績をあげるには、これが一番大事と言っても良いと思います。可処分時間をみっちり学習計画で埋めるのは、それが出来てから。そうでないと、むしろ首を絞めることになりかねません。

また続きを書きます。

悪い叱り方や干渉の根っこには、協調性と母性もある。全否定はしなくて良いという話。

褒めて伸ばす、怒ってはダメ、人と比べるな。基本は私も同意見ですが。

自分の思い通りにコントロールしようとして、個性を潰す。見栄の押し付け、代償行為とか。子供のメンタルがやられる。将来自分で考える力を奪うとかになると、ちょっと言い過ぎに感じる。

学力にしろ性質にしろ、親、教師、友人、そのほか色々な環境の影響を受ける。確かに親の影響はかなり大きい。でも、持って生まれた才能や性質も、かなり大きい。傷ついた、鬱になった、人生失敗した〜。全部が親のせいのわけがない。

協調性と比べることの関係

褒めて伸ばすのは報酬系。怒りはアンガーマネジメント。この2つはうまくやった方が良い。でも、例えば「誰それは〜」とか、人と比べる意識は協調性と繋がる部分でもある。社会生活に必要な能力なので、この意識を全部なくす必要はない。言い方、伝え方に気をつければ良いだけ。

協調っていうのは助け合いと譲り合い。調子を合わせる、横を見て足並みを揃えること。周りを見て気にするから、みんなの持ってるものが欲しいとか、人より劣っている怠け者は恥ずかしいって意識も出てくる。この性質は、協調の価値が高い社会に属すほど強くなるから、女性や真面目な人に多いかな。だから、熱心なお母さんに多くなって、叩かれがち。

みんながすることを気にするのが協調、自分のしたいことに重きをおくのが個。でも、一人で出来ることには限度がある。ビルは建たない。橋もかけられない。文化も発展しない。協調というか、集合の力は素晴らしい。

服装や振る舞いも同じ。他の人の装いはどうか、恥ずかしくない振る舞い、これはマナーや礼儀にも通じる考え方だし、相手にどんな印象を与えるかは、ビジネスで成功するにも重要。周りを見ること、人目を気にする力は、かなり役に立つものも多い。

個の尊重と協調は相反する面があって、ちょうど良いぶつかり合い、融合が起きると大きな成果になる。これのバランスは永遠の課題。どっちかだけが大切なんてことはない。

過干渉と母性の繋がり

もうひとつ、過干渉の原因になりやすい、母親が同化してしまうことも、全部が悪いことじゃない。だって、お腹の中で羊水に浸かってる間なんか、呼吸もしてない。酸素も栄養も、同じ血液から分け合ってた、本当の分身。でも、身は分かたれた。個になった。

個なんだから尊重した方が良いし、慣れていかないといけないけど、産まれた直後は100%保護が必要だから、守ろうとする。何も知らないから、まずは親が教える。失敗しないように、転ばないように、怪我しないように。まだ幼い面影が残るうちは、その関係性も残るのが当然。すっかり大人の体になれば、だんだん目も慣れます。それと合わせて、離れていけば良い。

結局、子供は自力で成長する

受験に成功しました!って親の側は良いことしか言わないかも知れないけど、上位校でも難関大でも、母親がうるさかったとか、過干渉でうんざりとか。子供側からすれば過半数は似た経験を持ってるんじゃないかな。私は受験サポートを始めてから、同級生から仕事関係まで、学歴やどんなことをやってきたか聞く機会を増やしましたが、そういう家庭の子は全然珍しくないです。

大学受験では親からの干渉は減るけど、進学先については言われてるケースは多いし、中学受験の時の話を聞くと受験勉強自体への干渉も少なくない。親に怒られた、手をあげられた、終わるまで寝かせてもらえなかったとか。良い対応ではないけど、親が完璧じゃないからって、それでみんながみんな家庭崩壊とか、無気力ダメ人間になるわけじゃない。

大体、誰ともぶつかり合わず、誰にでも受け入れられるなんて人生の方が考えられない。親とだって考えも違えばぶつかりもする。度を越さなければ大丈夫(反論を一切封じたり、完全に暴力で抑えつけるのはアウト)。ただ、もっとコストを抑えて、うまくやれれば良いってだけ。

というのも、成績を伸ばすこと自体は個で、協調(他人との比較)がそんなに役立つ場面じゃない。みんなと一緒のことをやっても伸びるとは限らない。そこを意識して、分ける。比べてもあまり益がない、損は多いから、そういう考え方、言い方をしなければ良い。

それに、子供は親以外の影響も受けて、経験を積んで、勝手に成長していきます。自分を減点してると、子供も減点する意識になるんじゃないかな。そっちの方がまずい気がする。親もだんだん成長していけば良いです。

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中学受験併願校検討用 Google My Maps 東京都下 共学校

東京都下の共学校掲載のGoogleMapを公開しました。入試日が全て掲載されていなかったり、手続き等が変更になる場合もありますので、候補を検討後は正確な情報を学校ホームページなどでご確認ください。

f:id:aswg-tutor:20190520211822p:plain中学入試 東京都下 共学校(2019四谷大塚80偏差値) - Google My Maps

地図の使い方については都内男子校/23区内共学校のページで簡単に触れています。スマホでGoogleMapsが自動起動してうまく開けないなどの場合、コメント欄かお問い合わせ受付でGmailなどのアドレスを入れていただければ、メールで招待します(非公開)。

掲載中学:早稲田実業(64)、都立武蔵高附属(61)、明大明治(60〜61)、三鷹中等教育(58)、南多摩中等教育(58)、立川国際中等教育(57)、中央大附属(55〜56)、法政大学(54〜55)、学芸大小金井(54)、明大中野八王子(52〜53)、帝京大学(51〜52)、成蹊(50〜51)、創価(47)、穎明館(43〜46)、東京電機大(41〜46)、桜美林(41〜46)、明治学院(40〜45)、八王子学園(37〜45)、工学院大附(37〜39)、多摩大聖ヶ丘(37〜38)、日大第三(36〜37)

受験勉強はいつから始める?習い事やスポーツは?

これまでの記事でも少し触れたことがありますが、基本的な方針について書いてみます。素質や志望校にもよるので、絶対これがベストという形はありませんが、だいたいこんな感じで取り組むと良いと考えています。

受験勉強の開始は5年生から

まず、通塾開始時期については、5年生をオススメしています。親不在時の学童代わりに学習習慣もつくし、という考えなら4年生以下の低学年からでも悪くないですが、受験に有利になる効果は少ないと考えています。6年からだと忙しい。

家庭で親がある程度見れるなら、5年生までは読書や算数、理科などで興味のあるものを伸びるだけ伸ばすと良いですね。家庭で毎朝計算と漢字ドリル、夜の就寝前1〜2時間は家族でお話と読書(と英語)の時間、スマホやテレビは誰も使わないように習慣化、というくらい手をかけられると理想的。

親がずっとスマホを弄ってて食事中もテレビついてて、子供に読書や学習の習慣がつくのは稀な気がします。受験勉強の時に「我慢しなくてはいけないもの」が家の中にあるだけでもマイナスは大きいので、スマホタブレット、テレビやゲームなどは時間や場所を限って触れるもの、という家庭内の常識を作っておいた方が良いでしょう。

5年生の勉強の目安

5年生では塾のカリキュラムに沿って進行し、四谷なら4教科の偏差値は50台にいればOK。とにかく算数だけは毎週頑張って、組分けでは偏差値60以上。国語が偏差値55以下なら国語の読解と語彙力アップを1年かけて進めるのが基本です。

理社は一夜漬けでOK。Sクラスで上位の成績を取っていても、どうせもっとやる必要がある。幹の部分なのでやっておいて損はないけど、他に時間を使っても良い、というくらいです。興味を持った歴史や地理の本を与えたり、理科で苦戦する子が多い天体や電気、光などについての入り口を開けておくのも良いですね。テコや滑車、水溶液などは算数が出来ればそんなに苦戦しません。

6年になる時点で算国偏差値60台、1日2〜3時間の勉強が出来るようになっていれば十分間に合います。それ以下の時間で成績をキープ出来ているならそれでも可。宿題とか、興味外のことでも決めたことに取り組むことが出来るなら、時間は短くても大丈夫。これより時間を増やすのは、通塾のクラスの雰囲気が良くない場合に、少し頑張って上位クラスに入ることを検討する時くらいで良いでしょう。テストコースなら、成績のみでOKです。

スポーツや音楽を続けた方が良い2つの理由

まずひとつは、良い気分転換になることが多いこと。受験勉強は、興味がなくても「出来ないこと」を出来るようになるまでやらないといけない辛さがあります。特に好きでやっているスポーツや音楽、ダンスなどは、「出来ること」を楽しみながらやれる上に、体や脳の別の場所を使えるので、適量なら最高の気分転換になります。

悩んだけどやめさせてしまったご家庭も、別に手遅れではありません。その分の時間を、子供と計画する息抜きの時間にしても良いですし、ピアノを気分転換に弾くことは続けるとか、水泳ならたまに泳ぎに行くとか、錆びつかないようにキープしながら利用する方法は幾らでもあるでしょう。

プラス思考というのは、なんでも良い風に解釈するということではありません。転んでもタダでは起きない、次のプラスにつなげることです。もし自分の判断に間違いが見つかっても、子供のためにそこから学び、次に繋げてあげられれば、親としてはベスト。間違わない親より、子供と一緒に成長する親を目指しましょう。

何か取り柄があった方が良い

ふたつめは、進学後の立ち位置です。合格ライン65〜68の麻布、60〜64の芝、55くらいの学習院、どの学校でも、入ったあとは同じくらいのレベルの子が集まります。そうすると、その中でも頭が良い部類、取り柄にカウントされるのは上位1割からせいぜい2割弱。残りの8〜9割は、同級生の中では取り柄になりません。

その上で、4年生以下からひたすら塾通い、遊びも取り上げられて勉強一本、スポーツや音楽も何も取り柄がない。こうなるとかわいそうな感じです。親にすご〜く勉強させられた感のある子、勉強だけでどうにか滑り込める子は、相対的弱者になってしまいますね。なので、好きなことをやっていた方が良いです。

上位校では集団で誰かを集中的に叩くようないじめはほとんど聞きませんが、1%の確率でも、200人の生徒がいれば2人は辛い思いをする子がいるということ。いじめられる側はもちろんですが、いじめる側になっても放校などの処分に繋がる可能性があります。取り柄のない弱者の位置だと、そのどちらかの当事者になる確率は上がります。

特に音楽やスポーツで、小学校前から続けていたことがあるなら、続けた方が良い。気分転換にもなるし、幼少時から続けていることは大人まで続けると財産になります。一旦受験で中断しても、中学で再開するのはアリ。別にその道の達人にならなくても、外の世界に居場所があるのは、視野の意味でも、辛い時の息抜き避難所としても、役に立ってくれることがあります。

勉強一本で上位校を目指すなら

勉強一本で合格させてしまう場合、偏差値で5以上余裕のある学校なら入学時は上位1〜2割に収まっている可能性は高くなります。なので、合格後はすぐに中学の準備を始めた方が良いでしょう。英数理を中間〜1学期の範囲まで、春休み中に終えると良いです。上位校では勉強ができることは取り柄の一つにカウントされるので、クラスで3〜5番くらいまでならOK。英数国いずれかでトップでも良いです。

頑張ってきたのにまた勉強漬けなんてかわいそう、ではありません。せっかく小学校生活の大きな割合を費やした取り柄を錆びつかせてしまう方が勿体無い。子供にもよりますが、中学以降は親からの影響が少なくなっていくもの。部活もない、最後の長期休みになるので、春休みまで目一杯引っ張ってあげた方が良いと思います。

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私立・国立中学進学率の市区別ランキング 東京都

東京都教育委員会の資料から都内の私立・国立・都立中学への進学者数を見ると、年々増加傾向にあります。23区の平均は26.4%で、小学校の4人に1人以上は国公立+私立中学に進学します。

区別では、1位が文京区、2位は中央区、以下3位港区、4位千代田区と続き、25%を割ったのは練馬区墨田区板橋区葛飾区、足立区、江戸川区の6区だけ。市部では武蔵野市が23区平均を上回る33.9%で、23区内の豊島区と並んで9位に入る高率です。

1位の文京区は、桜蔭女子御三家)、お茶の水(女子国立難関)、筑附(国立共学最難関)、小石川(都立共学最難関)、学大竹早(国立共学難関)から、偏差値40台以下にも獨協(男子)、東洋大京北(共学)、跡見学園(女子)、京華(男子)、郁文館(共学)、日大豊山(男子)、文京学院(女子)、駒込(共学)、京華女子(女子)、淑徳SC(女子)、貞静学園(共学)と、区内通学可能な学校が充実していることも理由と考えられます。

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私立+国立+都立中学に進学者数の多い順:23区

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私立+国立+都立に進学者数の多い順:市部

男女別に見ると以下のようになります。

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男子進学先:23区

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男子進学先:市部

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女子進学先:23区

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女子進学先:市部

私立国立進学者が単純に学力上位とイコールではありませんが、四谷や日能研の偏差値は概ね上4分の1に属する子の中での位置と考えて差し支えないでしょう。つまり偏差値50は上8分の1、小学生全体なら偏差値62くらい。割と賢いか、結構頑張っているんですね。

全体のデータを閲覧したい方は、こちらからPDFファイルを閲覧、ダウンロード出来るようにしてみましたのでどうぞ。

元データはこちら。
平成30年度公立学校統計調査報告書【公立学校卒業者(平成29年度)の進路状況調査編】
第1表 状況別卒業者数