偏差値60の壁なんてない

中学受験のサポート歴20年以上の経験から、心構えや考え方を公開します。

受験勉強はいつから始める?習い事やスポーツは?

これまでの記事でも少し触れたことがありますが、基本的な方針について書いてみます。素質や志望校にもよるので、絶対これがベストという形はありませんが、だいたいこんな感じで取り組むと良いと考えています。

受験勉強の開始は5年生から

まず、通塾開始時期については、5年生をオススメしています。親不在時の学童代わりに学習習慣もつくし、という考えなら4年生以下の低学年からでも悪くないですが、受験に有利になる効果は少ないと考えています。6年からだと忙しい。

家庭で親がある程度見れるなら、5年生までは読書や算数、理科などで興味のあるものを伸びるだけ伸ばすと良いですね。家庭で毎朝計算と漢字ドリル、夜の就寝前1〜2時間は家族でお話と読書(と英語)の時間、スマホやテレビは誰も使わないように習慣化、というくらい手をかけられると理想的。

親がずっとスマホを弄ってて食事中もテレビついてて、子供に読書や学習の習慣がつくのは稀な気がします。受験勉強の時に「我慢しなくてはいけないもの」が家の中にあるだけでもマイナスは大きいので、スマホタブレット、テレビやゲームなどは時間や場所を限って触れるもの、という家庭内の常識を作っておいた方が良いでしょう。

5年生の勉強の目安

5年生では塾のカリキュラムに沿って進行し、四谷なら4教科の偏差値は50台にいればOK。とにかく算数だけは毎週頑張って、組分けでは偏差値60以上。国語が偏差値55以下なら国語の読解と語彙力アップを1年かけて進めるのが基本です。

理社は一夜漬けでOK。Sクラスで上位の成績を取っていても、どうせもっとやる必要がある。幹の部分なのでやっておいて損はないけど、他に時間を使っても良い、というくらいです。興味を持った歴史や地理の本を与えたり、理科で苦戦する子が多い天体や電気、光などについての入り口を開けておくのも良いですね。テコや滑車、水溶液などは算数が出来ればそんなに苦戦しません。

6年になる時点で算国偏差値60台、1日2〜3時間の勉強が出来るようになっていれば十分間に合います。それ以下の時間で成績をキープ出来ているならそれでも可。宿題とか、興味外のことでも決めたことに取り組むことが出来るなら、時間は短くても大丈夫。これより時間を増やすのは、通塾のクラスの雰囲気が良くない場合に、少し頑張って上位クラスに入ることを検討する時くらいで良いでしょう。テストコースなら、成績のみでOKです。

スポーツや音楽を続けた方が良い2つの理由

まずひとつは、良い気分転換になることが多いこと。受験勉強は、興味がなくても「出来ないこと」を出来るようになるまでやらないといけない辛さがあります。特に好きでやっているスポーツや音楽、ダンスなどは、「出来ること」を楽しみながらやれる上に、体や脳の別の場所を使えるので、適量なら最高の気分転換になります。

悩んだけどやめさせてしまったご家庭も、別に手遅れではありません。その分の時間を、子供と計画する息抜きの時間にしても良いですし、ピアノを気分転換に弾くことは続けるとか、水泳ならたまに泳ぎに行くとか、錆びつかないようにキープしながら利用する方法は幾らでもあるでしょう。

プラス思考というのは、なんでも良い風に解釈するということではありません。転んでもタダでは起きない、次のプラスにつなげることです。もし自分の判断に間違いが見つかっても、子供のためにそこから学び、次に繋げてあげられれば、親としてはベスト。間違わない親より、子供と一緒に成長する親を目指しましょう。

何か取り柄があった方が良い

ふたつめは、進学後の立ち位置です。合格ライン65〜68の麻布、60〜64の芝、55くらいの学習院、どの学校でも、入ったあとは同じくらいのレベルの子が集まります。そうすると、その中でも頭が良い部類、取り柄にカウントされるのは上位1割からせいぜい2割弱。残りの8〜9割は、同級生の中では取り柄になりません。

その上で、4年生以下からひたすら塾通い、遊びも取り上げられて勉強一本、スポーツや音楽も何も取り柄がない。こうなるとかわいそうな感じです。親にすご〜く勉強させられた感のある子、勉強だけでどうにか滑り込める子は、相対的弱者になってしまいますね。なので、好きなことをやっていた方が良いです。

上位校では集団で誰かを集中的に叩くようないじめはほとんど聞きませんが、1%の確率でも、200人の生徒がいれば2人は辛い思いをする子がいるということ。いじめられる側はもちろんですが、いじめる側になっても放校などの処分に繋がる可能性があります。取り柄のない弱者の位置だと、そのどちらかの当事者になる確率は上がります。

特に音楽やスポーツで、小学校前から続けていたことがあるなら、続けた方が良い。気分転換にもなるし、幼少時から続けていることは大人まで続けると財産になります。一旦受験で中断しても、中学で再開するのはアリ。別にその道の達人にならなくても、外の世界に居場所があるのは、視野の意味でも、辛い時の息抜き避難所としても、役に立ってくれることがあります。

勉強一本で上位校を目指すなら

勉強一本で合格させてしまう場合、偏差値で5以上余裕のある学校なら入学時は上位1〜2割に収まっている可能性は高くなります。なので、合格後はすぐに中学の準備を始めた方が良いでしょう。英数理を中間〜1学期の範囲まで、春休み中に終えると良いです。上位校では勉強ができることは取り柄の一つにカウントされるので、クラスで3〜5番くらいまでならOK。英数国いずれかでトップでも良いです。

頑張ってきたのにまた勉強漬けなんてかわいそう、ではありません。せっかく小学校生活の大きな割合を費やした取り柄を錆びつかせてしまう方が勿体無い。子供にもよりますが、中学以降は親からの影響が少なくなっていくもの。部活もない、最後の長期休みになるので、春休みまで目一杯引っ張ってあげた方が良いと思います。

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