偏差値60の壁なんてない

中学受験のサポート歴20年以上の経験から、心構えや考え方を公開します。

悪い叱り方や干渉の根っこには、協調性と母性もある。全否定はしなくて良いという話。

褒めて伸ばす、怒ってはダメ、人と比べるな。基本は私も同意見ですが。

自分の思い通りにコントロールしようとして、個性を潰す。見栄の押し付け、代償行為とか。子供のメンタルがやられる。将来自分で考える力を奪うとかになると、ちょっと言い過ぎに感じる。

学力にしろ性質にしろ、親、教師、友人、そのほか色々な環境の影響を受ける。確かに親の影響はかなり大きい。でも、持って生まれた才能や性質も、かなり大きい。傷ついた、鬱になった、人生失敗した〜。全部が親のせいのわけがない。

協調性と比べることの関係

褒めて伸ばすのは報酬系。怒りはアンガーマネジメント。この2つはうまくやった方が良い。でも、例えば「誰それは〜」とか、人と比べる意識は協調性と繋がる部分でもある。社会生活に必要な能力なので、この意識を全部なくす必要はない。言い方、伝え方に気をつければ良いだけ。

協調っていうのは助け合いと譲り合い。調子を合わせる、横を見て足並みを揃えること。周りを見て気にするから、みんなの持ってるものが欲しいとか、人より劣っている怠け者は恥ずかしいって意識も出てくる。この性質は、協調の価値が高い社会に属すほど強くなるから、女性や真面目な人に多いかな。だから、熱心なお母さんに多くなって、叩かれがち。

みんながすることを気にするのが協調、自分のしたいことに重きをおくのが個。でも、一人で出来ることには限度がある。ビルは建たない。橋もかけられない。文化も発展しない。協調というか、集合の力は素晴らしい。

服装や振る舞いも同じ。他の人の装いはどうか、恥ずかしくない振る舞い、これはマナーや礼儀にも通じる考え方だし、相手にどんな印象を与えるかは、ビジネスで成功するにも重要。周りを見ること、人目を気にする力は、かなり役に立つものも多い。

個の尊重と協調は相反する面があって、ちょうど良いぶつかり合い、融合が起きると大きな成果になる。これのバランスは永遠の課題。どっちかだけが大切なんてことはない。

過干渉と母性の繋がり

もうひとつ、過干渉の原因になりやすい、母親が同化してしまうことも、全部が悪いことじゃない。だって、お腹の中で羊水に浸かってる間なんか、呼吸もしてない。酸素も栄養も、同じ血液から分け合ってた、本当の分身。でも、身は分かたれた。個になった。

個なんだから尊重した方が良いし、慣れていかないといけないけど、産まれた直後は100%保護が必要だから、守ろうとする。何も知らないから、まずは親が教える。失敗しないように、転ばないように、怪我しないように。まだ幼い面影が残るうちは、その関係性も残るのが当然。すっかり大人の体になれば、だんだん目も慣れます。それと合わせて、離れていけば良い。

結局、子供は自力で成長する

受験に成功しました!って親の側は良いことしか言わないかも知れないけど、上位校でも難関大でも、母親がうるさかったとか、過干渉でうんざりとか。子供側からすれば過半数は似た経験を持ってるんじゃないかな。私は受験サポートを始めてから、同級生から仕事関係まで、学歴やどんなことをやってきたか聞く機会を増やしましたが、そういう家庭の子は全然珍しくないです。

大学受験では親からの干渉は減るけど、進学先については言われてるケースは多いし、中学受験の時の話を聞くと受験勉強自体への干渉も少なくない。親に怒られた、手をあげられた、終わるまで寝かせてもらえなかったとか。良い対応ではないけど、親が完璧じゃないからって、それでみんながみんな家庭崩壊とか、無気力ダメ人間になるわけじゃない。

大体、誰ともぶつかり合わず、誰にでも受け入れられるなんて人生の方が考えられない。親とだって考えも違えばぶつかりもする。度を越さなければ大丈夫(反論を一切封じたり、完全に暴力で抑えつけるのはアウト)。ただ、もっとコストを抑えて、うまくやれれば良いってだけ。

というのも、成績を伸ばすこと自体は個で、協調(他人との比較)がそんなに役立つ場面じゃない。みんなと一緒のことをやっても伸びるとは限らない。そこを意識して、分ける。比べてもあまり益がない、損は多いから、そういう考え方、言い方をしなければ良い。

それに、子供は親以外の影響も受けて、経験を積んで、勝手に成長していきます。自分を減点してると、子供も減点する意識になるんじゃないかな。そっちの方がまずい気がする。親もだんだん成長していけば良いです。

f:id:aswg-tutor:20190521200831j:plain