偏差値60の壁なんてない

中学受験のサポート歴20年以上の経験から、心構えや考え方を公開します。

子供の自主性を伸ばすために必要なこと。求めているのは自主性ですか?

自主性がないと嘆いている親や上司はとても多い。自主性、自律性、自立心、自発的。まぁ色々と考えて、自分からやれと。で、報酬があれば良いかな、って物で釣ろうとか。でも効果は一時的で、残念な結果になってることも多い。褒めてやってもまたやらないとか。少し経つと元通りとか。

で、その理由として、そもそも自由に動ける心と行動の準備が出来ていないことが多い。借りてきた猫って言葉があるけど、それの少し深刻なやつ。自分の場じゃない感じ。

子供が自分で出来るようになるには、まず自由でないといけません。自由って言うのは、何をやっても良いという意味ではなく、自らに由る=自分に従うという意味。自分からやるには、心と行動の自由がないといけない。

求めているのは自主性か、こちらの期待通りの行動か。

自分からやらないと嘆いている人が、実は「自発的に自分でやること」ではなく、「命令を覚えてこちらが不快になる前にやること」を求めていることはとても多い。自分で、自分から、という言葉を使いながら、自主性ではなく服従性を求めている。これでうまくいくはずがない。

期待通りにうまく流れる簡単な方法は、奴隷化ですね。支配。きっちり支配された、良い奴隷を作り上げれば、こちらの希望通りの行動を先回りしてやれるようになるでしょう。もちろん、自由ってやつとは正反対です。

自分の意思や願望で「出来るようになりたい」と思い、その実現のために自ら考え、行動する人間を育てたいのか。それとも、親の希望、意図を汲み、先回りして怒られないように「正しい行動」をする人間を育てたいのか。心理的には逆方向なので、ここをはっきりさせないと、何をやっても空回り程度で済めば良い方で、最悪はお互いボロボロになり、傷を残します。

まずは親としての立ち位置をはっきりさせること。

中学受験が親の希望、願望の押し付けだってことに変な罪悪感を持っているから、子供の自由意志であるかのように思い込み、言いくるめ、約束を破ったみたいな追い詰め方をする。これは、親の人格の問題と言うより、まず立ち位置が悪いですね。

そうでなく。私は親として、子供を立派に育てる!自分の子供には責任を持つ。まだ思春期前の子供は、善悪も将来のこともわからないし、周りの影響も受けやすい。だから、親がいいと思うことを教える。良い環境を与えるんだ!とまぁ、これくらいの感じで、親として干渉し、自分の意見を伝えると言う立場をしっかり決めた方が良い。堂々と、自分の流儀を伝える(押し付ける)。

じゃあ、子供の人格、人権も無視して、奴隷調教を進めるのか。言われないと何も考えない。親の顔色だけ伺う、そういう子供が理想なのか。多分、ほとんどの親御さんは、違いますよね。子供にも人格があることは尊重しつつも、まだ未熟な子供には教え導くことも必要と。

だから、教育はする。誘導もする。でも、短期的な中学受験の結果だけにフォーカスしない。しっかり自分で取り組む力、それによって培われた学力、そういうものが手に入れば、受験は成功。こう考えることが出来るかどうか。

そのためには、最善を尽くした上で結果がどうでも、受け入れる覚悟をする。第一志望に合格するのも良い。負けを経験して、第二、第三志望に進学するのも良い。全落ちは無いようにきっちり戦略を練るけど、それこそ体調や本番の緊張もあるし、絶対はない。

親の流儀である以上、責任は親にある。期待通りに伸びても、思ったほど伸びなくても、合格しても、不合格でも。全部、責任は親が持つ。お金を損した、時間を損した、こんなことならもっと遊ばせてあげれば良かった、なんてTime Machineも持ってないのに気持ち悪いことを言わない覚悟。

甲子園目指して、一生懸命に努力する。出られるのは一校だけ。で、出られなかったら「こんなことなら〜」って言うのは、ちょっと違う。勝利を本気で目指して努力する。結果、技術や体力や精神力は磨かれる。これが最大の財産。と思えるかどうか。

親が成長の事実よりも、結果の勝敗だけに注目する意識だと、子供にも影響を与えます。一緒に頑張って、子供の成長が見れて、これで良かった。落ちたら、子供はショックで泣くかも。一緒に涙くらい出ても良い。というか、本当に頑張った子供の姿を見ていれば、負けた時には涙くらい出る人の方が多いです。勝っても泣いちゃう。

それでも、よく頑張った、これで成功だ。そう言い切る覚悟を持つ。親としての教育は、全力で取り組ませ、勝負するところまで持っていくこと。必ず、その先の人生につながる財産になると胸を張る。

ここまで、準備はできていますか?次は、自主性を伸ばすための考え方を書きます。

f:id:aswg-tutor:20190609122934j:plain