偏差値60の壁なんてない

中学受験のサポート歴20年以上の経験から、心構えや考え方を公開します。

各塾の偏差値換算早見表と偏差値の捉えかた

塾ごとの偏差値を比較すると、漠然と四谷大塚日能研は同じくらい、SAPIXは10低く、首都圏模試は10高くなるといったイメージをお持ちの方もいると思いますが、この差は偏差値帯や男女によって多少異なります。

こちらでは各塾の偏差値を5ポイント幅で区切り、対応する入試回の平均偏差値が他塾ではどのくらいになるかを一覧にしています。

 

偏差値換算の算出方法とズレについて

例えば男子のSAPIX50は、50±2ポイントの範囲(48〜52)の入試を平均したもので、四谷大塚では+7の57、日能研では+8の58、首都圏模試では+18の68になります。

これがSAPIX45では四谷+9、日能研+10、首都圏模試+21と少し差が広がり、逆にSAPIX55だと四谷+6、日能研+7、首都圏模試+16と縮まっています。

また、基準にする塾によって比較対象の入試回が異なるため、方向によって数値が多少上下します。例えば男子用で四谷大塚から見る日能研は7区分中6区分で一致しますが、日能研から見ると全ての区分で1〜2ポイントずれています。

これには小数点以下四捨五入の影響もあり、49.50と50.49は差が0.99あってもどちらも50になりますが、50.49と50.50は0.01差でも50と51に分かれることになります。

例えば50(48〜52)の帯では、四谷大塚の対象は40入試回、日能研の対象は35入試回になり、このうち共通しているのは28入試回になります。この帯ではY→Nは0.31差で同じ51となり、N→Yでは0.63差で50と51に分かれていますね。

このようにざっくりとしたものなので、大体の目安としてご利用ください。


偏差値換算早見表 男子用

https://e-tutor.tokyo/data/20240623/k1.png

偏差値換算早見表 女子用

https://e-tutor.tokyo/data/20240623/k2.png

偏差値は過信せず参考に

同じくらいの層の学校の入試を比較してみると、結構な割合で塾によって上下も変わってくることがあります。ここでは、女子で2回入試の学習院女子、香蘭女学校、頌栄女子、東洋英和の4校で比べてみます。色帯は1回目と2回目の80%偏差値幅になっています。

 

SAPIXで見ると学習院Aは英和Bを上回り、学習院>頌栄>英和という並びですが、四谷大塚では英和>頌栄>学習院の順ですね。そして日能研では英和ABの間に学習院と頌栄が入り、首都圏模試だと頌栄>英和>学習院という並びになります。

また、偏差値を比較すると、学習院Aは四谷日能研ともにSAPIX+8ですが、東洋英和Bでは四谷が+14、日能研は+11になります。

例えばSAPIX47の子にとって、英和Aは80%判定が出るものの学習院Aは50%も出ません。逆に四谷大塚59の子からすれば、学習院Aは80%でも英和Aは50%前後ですから、まったく逆の印象になりますね。

こんな感じで、偏差値は2〜3ポイントで絶望するようなものではありませんし、80%でも過信は禁物です。帯で見て目標設定や併願校選びに活用したあとは、入試で取るべき問題を正解できるように仕上げていくことが大切ですね。

 

80%・50%・20%偏差値の出しかた

結果偏差値は、前年度の受験生の持ち偏差値と入試結果を比べ、受験生10人あたり8人以上が合格するラインを80%、5人以上で50%、2人以上で20%という判定にしています。

持ち偏差値として参照するのは6年の全体テスト、SAPIXならSO、四谷なら合不合と考えて良いですが、外部生が多く受験するこれらの模試と、内部生の比率が上がる組分けなどの全体テストでも偏差値は多少変わりますし、秋以降の偏差値に重みをつけていることもあります。

また、ラインは「その偏差値以上」という考え方で、例えば偏差値60で80%となっている場合は「60以上の受験生累計100人で合格者80人」みたいな感じなので、必ずしも60の受験生が10人中8人合格しているとは限りません。

予想偏差値は前年の結果偏差値をベースに、その模試を受験した志願者数と成績分布を加えて算出します。成績が良い生徒の志望数が多ければプラス、減ればマイナスになるわけですね。ですから、特に新設校の予想偏差値などは、その入試を候補に入れている受験生が多い模試ほど、次年度の結果偏差値と近くなります。

ただ、特に春の段階の模試での志願=出願・受験とはならないことも多いので、ある程度の出願と偏差値の予想には、11〜12月の偏差値表を見たほうが雰囲気は掴みやすくなります。

こんな感じで、前年の受験結果と今年の志望者動向の参考にはなりますが、例えば資格試験で「○割取れば合格」みたいな基準になるものとは異なり、割と不安定なものですね。

 

各回の偏差値の算出と分布

個人の偏差値は、ほぼそのテストを受けた中での順位です。テストごとの得点分布にもばらつきがあるので、「○位なら・上位○%なら偏差値○○」と決まるわけではありませんが、基本的な分布は以下のようになります。

全体を3つに分けると55と45が区切りになり、40〜60の間には7割近くが収まります。当然、出題ごとの得意不得意や調子によっても順位は変わり、その一回ごとの模試結果と上述の「以前の受験生の結果」や「他の志望者の偏差値」と比べていくわけなので、絶対的な指標にはなりません。

ですから、各回の偏差値は「今回の立ち位置」の確認程度に捉え、志望校の80%を超えるあたりの偏差値になる順位や得点を目標にする程度で、あまり過信したり、一喜一憂し過ぎないことも大事ですね。