偏差値60の壁なんてない

中学受験のサポート歴20年以上の経験から、心構えや考え方を公開します。

塾による偏差値の違い 2022年度中学受験用 夏版(男子) SAPIX/四谷大塚/日能研/市進/首都圏模試

 

2022年度の入試に向けた各塾の偏差値比較、男子の夏版です。抽出元は志望校判定SO2回、合不合2回、日能研7月R4、市進4月版、首都圏模試7月予想偏差値です。

日程順

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偏差値順

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前回比で増減のあった入試回

春時点の偏差値と比べ、増減のあった学校です。変動数幅も入試数も控えめで、特に目立つ変動はありません。広尾小石川の評価が定まっていないことくらいですね。

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塾による偏差値差

こちらはトップ10校の併願候補にもなりやすいサレジオ、芝、巣鴨、世田谷、本郷を並べたもので、芝2と本郷2の偏差値で揃えてあります。

まず、こちらの表で色付けした芝と本郷の2校は、偏差値幅に少し差があるものの、並びも同じで他塾の偏差値表でも違和感が少ないです。

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次に、こちらの表で色付けした巣鴨の2回と3回を見てみると、四谷と日能研では偏差値が同じで、SAPIXだと4ポイント離れています。つまり、Y58やN60ならどちらも80%が出ますが、S53だと2回は80%でも3回は50%未満になります。サレジオのAとBも同様ですね。世田谷の2回と3回はY58で同じですが、S48とS55では80%と20%くらいの差になります。

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このくらい差があると、併願スケジュールを考える上でも、例えば四谷生でY58くらいの子が世田谷志望だと「Y50くらいの合格を取って、あとは世田谷3連戦で合格しよう」といったプランも考えやすいのに対し、S48くらいの子は「2回で不合格になったら、3回は回避して別の学校を受けた方が良さそう」などと考えやすくなりますね。

 

次はGMARCH附属校で、青山学院の偏差値で日程順に揃えてあります。MM=明大明治、CY=中大横浜という感じ。明大明治が一番上なのは共通していますが、偏差値の差はかなり異なります。

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例えば青学80%相当の子が2日の受験校を考えるとき、四谷だと上下2ポイントに分布しているので好きなところを選びやすいですが、SAPIXだと明大明治は6ポイントも上なので、偏差値で断念しやすくなります。中大横浜法政二も、四谷では1ポイント差、SAPIXでは4ポイント差。

こんな感じで、偏差値はそこまで絶対的な指標ではなく、そもそも偏差値算定が入試と異なる模試の得点によるものですし、その母体からの受験者数の多寡も影響します。どちらがより正確というより、模試の相性と学校の相性は異なる部分もある、と捉えておくと良いです。

ですから、特に偏差値の分布が塾によって大きく異なる学校は、偏差値だけでなく過去問相性などや熱望度も重視して、併願校だとしてもしっかり対策をしておくことが大事です。

 

各塾の偏差値分布 

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夏休みの過ごし方

またまた2ヶ月も空けてしまいました。いよいよ夏休み、受験生にとっては最後の総復習のチャンスです。目標を明確にして、大きく実る過ごし方ができると良いですね。

 

 

やることを絞り込む

多くの夏期講習では、ここまでの範囲の総復習を一気に駆け抜けます。4年半ばからの2年間でやってきたこと全部と考えれば、相当な量ですね。更に上位クラスでは結構手強い演習もやる。これを実質20日や30日程度でやるので、さすがに授業中だけで入れきるのは無理です。

なので、夏期講習期間に求めることは「弱点や抜け落ちの炙り出し」と「朝からの時間の有効活用」の二つ。実力は各自の消化次第なので、夏期講習だけで成績アップは起きません。毎日通ってみんなと同じ量を消化して、みんなと同じ程度に前進すればまぁまぁ、という感じです。まず講習期間中と期間外の軸でやることを決めておくと良いですね。

 

とにかく毎日復習

まず大事なのは、当日の復習です。不正解の全問解き直し→仕上げなどの高すぎる目標は要らないので、最低でも二読する。これだけは確実に維持すると決めて、実行しましょう。

一読目は、授業終了間際とか、次のコマとの間の休憩時間に済ませると良いです。解いたプリントの設問と正解とか、ノートに書いたことを読み返す。これをやったな〜、これが抜けてたな〜、という程度に目を滑らせれば良いので、全部読むのが理想です。帰路に思い返しながら歩く、お迎えありなら内容を話しながら帰る、という組み合わせが出来るとより強力ですね。

二読目は自宅で。これはなるべく1コマ10分くらいかけて、その日の授業をもう一度振り返りましょう。講習で5〜6時間なら、振り返りで1時間くらいかかることになります。塾によってはかなり宿題を課すところもあり、帰宅が遅い講習だと就寝との兼ね合いもあるので可処分時間との相談ですが、自宅で3〜4時間の学習時間を確保できる場合は、そのうち1時間はきちんと授業をなぞることが出来ると良いです。

 

不正解の解き直しや科目別のテーマ

そして、残りの2〜3時間では、不正解の解き直しやインプットを丁寧にやりましょう。算数は解き直し、理解が怪しい場合は親を使ってでもどうにか理解まで辿り着くと良いです。今はネットで関連動画や解説も探せるので、自分があまり得意でなくても探してみると良いでしょう。講師に聞ければ一番良いのですが、講習期間中に十分な質問対応できる余力のある塾はあまりないので、基本的には自宅で潰す方法を見つける方が良いです。もちろん個別や家庭教師を頼れる場合はそちらを活用するのも良いでしょう。

理科や社会でも、構造的な理解、縦横の知識のつながりが弱い、或いは全くない場合があります。これらを「図などを書いて説明できるようにする」という取り組みは秋以降は更にやりにくくなるので、大枠だけでも挑戦しておくと良いです。特に理科の天体、地層、人体、気象などは、パーツを覚える意識ではなく、全体の流れを把握する意識を持つことが有効です。

国語は、継続する習慣がついていない人は毎日漢字語彙を入れること。1日5〜10個でも良いです。40日続ければ200〜400個入る。この「継続で入る感覚」を掴んでおくと、秋以降も1000個くらいは「入れられる気」になります。これは結構大事。

文意が取れないとか、記述や選択で得点できない場合は、論説文、物語分を読む時の「軸になる考え方」を持って練習するのも良いです。本文を読む際の「決まったイメージ」を持つことを習慣化しておくと、そこを軸にして講師の指導を受け取りやすくなります。論説文なら「筆者の言いたいこと=キーワードやテーマ」、物語分なら「場面ごとの登場人物の心理と出来事による変化」を追っていくようなスタイルですね。

大事なのは「間違わない、正解するため」に読むだけではなくて、「自分がどう間違っているのか判断するため」に読むということです。今国語ができないなら間違うのは当然ですが、自分なりの仮説を持って読んでおくことで、正解や解説から受け取る意味、輪郭がかなりはっきりします。この差を知ることが学習効果になるので、授業の効果を上げるためには「自分が何らかの軸を持つこと」を優先させましょう。技術的なこと、得点のツボなどは良い講師に当たれば教えてもらえますから、大事なのは自分の頭の中に受け皿を作っておくことですね。

こんな感じで、各教科に自分なりのテーマと、そのために継続することを明確にしておくと良いです。

 

夏期講習以外の期間

自宅で一日過ごせる時間は、優先度と時間を2〜3段階に分けることを勧めることが多いです。1日に自宅で10時間やれるのが理想ですが、高いレベルでこの時間を消化できるのはトップ層のひと摘みくらいなので、あまり大きな餅は書かない方が良いですね。

逆に、夏期講習もこなしてきている受験年度生なら、それなりに頑張れる時間が4〜6時間くらいはある子は多いです。なので、絶対必須の4時間、基本的にはアテにする2〜4時間、アテにしない残り時間、くらいのざっくりした区分をイメージすると良いですね。

4時間20日だと80時間あります。ここで、どうしても強化したいことをひとつ、明確にイメージして取り組みましょう。最初の2〜3日くらいで、実際にこの密度でやるとどのくらい進むのかを見て、それを基準にその先のスケジュールを組んでいくのも良い方法です。

 

取り組む内容の設定

これまでの記事にも繰り返し書いていますが、算数の場合は過去テストの不正解抽出はやった方が良いです。正答率と目標偏差値によって、どこまでやるか決めましょう。上記の80時間でやる場合、1周目で取り組む量を25〜30時間分くらいに見積もっておくと良いです。順調で前倒しや増量になる分には問題ないので、必ずやり遂げるラインを決めましょう。

模試や組分けなどの共通テストでは、正答率50%以上をS問題、30%以上をA問題、10%以上をB問題、10%未満をC問題と区切ります。S問題を完答すると偏差値は50〜55、A問題まで解けば60超になることも珍しくないので、算数が得点源になっていない人はまずSを完璧にする→可能ならAまで欲を出す、くらいのイメージで良いです。

この際に、分野を区切ってどの分野の正答率が低いかを見ておくのも良いです。正答率が明らかに低い分野がある場合は、その範囲の既習テキストを回してから解き直しに入った方が、効率よく学習を進めることが出来ます。成績分析は今も受け付けていますが、現時点で少し待ちが生じています。お申し込み時に見通しはお知らせしますが、予めご了承ください。

また、基本を網羅した問題群を決めて、これをしっかり回す方法もあります。基礎トレや四まとなどの標準レベルの問題、500〜800問程度を組むと良いです。これと不正解の両方をやると、土台がかなりしっかりするのでオススメですが、時間や熱量的に無理な場合はどちらか片方はやり抜きましょう。

夏期講習終了後に日数がある場合は、夏期講習の不正解問題を網羅するのも良い方法です。ただ、正答率のわかる過去のテストやレベル設定のある問題集に比べると、優先すべき問題とそれほどでもない問題の仕分けが必要ですね。不正解の問題を、本人の感触で①出来そう、②難しそう、③自力では無理、くらいに分けて、先に①から取り組むようにすると良いです。

 

最低三周

勉強は「出来るまで」やらないと意味が極薄になります。出来るというのは、秋以降も類題が出たらほぼ100%正解できると思える状態に持っていくことですね。もちろん入試まで継続的にメンテナンスしないと抜けますが、少なくとも夏休みの終了時には一度、そう思える状態にしておくことが後々効いてきます。

まず、基礎基本の解法が入っていると、講師の説明の意味が入りやすくなります。つまり、全範囲に穴がない状態になれば、秋以降の学校別演習などの効果が大きくなります。

もうひとつ大事なのが、「これだけ回すと出来るようになる」というモノサシを手に入れること。やった、終わった、解けた、間違った、くらいで来ている子は、「本当に出来る」という感覚も、そこまでにかかるコストも正確に把握出来ていないので、それを経験することで学ぶことの輪郭が段々わかることも重要です。

出来るまで、というのは最低でも3周はすることです。1周目、まずは問題を解きます。時間は15分〜50分くらい、個人差があるので適した区切りでやりましょう。解いたら不正解の確認と解説の読み込み。しっかり理解した上で、数時間ほど空けてから解き直します。もしまた不正解なら、解けるまでやる。

ただテストとしてやるだけなら20問くらいは1時間で消化できますが、大事なのは解いたあとの「理解と解き直しによる確認」なので、必ずここまでやりましょう。ここまでが1周目です。これでどのくらいの問題数が進むか、確認してください。

しっかり解けたら、初回で正解した+解き方も良かった問題は外して、数日〜1週間ほど空けて再挑戦します。ここでの正解分は3周目に入れ、不正解は再度解き直し。1回目に「しっかりわかった」はずなのに、何を間違ったのか、十分に確認しましょう。

3周目は期間の最後、夏休み明けでも良いです。初回で正解だった問題も含め、対象問題を全て解き直しますが、時間がない場合の優先順位は2周目不正解>1周目不正解>1周目から正解、の順ですね。

ただ解いて○つけの600問より、完璧と思える150問の方が力になります。1ヶ月で150問マスターできたら、残り半年で900問。十分に入試で戦える上積みになります。大事なのは秋の模試だけでなく、その先の冬、入試までしっかり学力を積み増ししていけることなので、焦って「理解が薄い、定着しない」問題数だけを増やすようなことにならないようにしましょう。

 

過去問の分析

受験希望校がある程度固まってきているなら、過去テストの分析結果と、入試過去問の出題傾向をレーダーチャートにして見比べてみると、相性の良し悪しや強化すべきことがイメージしやすくなります。

例えば「声の教育社」の過去問だと、最初の方に傾向として出題分野が載っていますので、それに「易問」「標準」「応用」「難問」くらいのグレード分けをして、重ねてみると良いですね。一気にやろうと思わず、1日1年分の算数の難度評価を積み上げて行って、1〜2週間後にチャートになるだけでも比較材料ができます。夏休み期間中に3〜5校分も出来れば、相手の輪郭がはっきりしてくるので、サポートもしやすくなるでしょう。

 

大事なのは最後までやり抜くこと

色々と書きましたが、何より大事なのは、規則正しい食生活、帰宅後の入浴、十分な睡眠の確保。勉強の主役は子どもで、親の持ち分はこっちです。コロナ禍の中で、いろいろと不備もあるオリンピックが開催されるので、8月〜9月にかけての感染者数激増もシナリオに入れておく必要があります。今一度、入念な感染予防対策を家族で共有して、日々を健康に過ごすことを第一に考えましょう。

夏は大人もバテます。自分の疲れやストレスに鈍感になっていると、秋にはずっしり重荷になってくるので、その日の疲れはその日のうちになるべく軽くして、すり減る量を最小限に食い止めることを目指してください。

 

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子どもとの向き合い方、学習の進め方など(5/15スペースのレジュメ)

昨日試しにtwitterのスペースを開けたら結構気づいてくれた方がいらしたので、そのままお話ししました。日時の告知やレジュメもあると良いというアドバイスをもらったので、昨日お話ししたことを覚えている範囲で書いてみます。

内容はこの時期にご相談が多い、勉強時間や取り組む姿勢が足りない+衝突が多いというケースと、やってもやっても伸びない・下がるなどのケースについてです。

 

勉強量の不足と衝突

勉強量が足りない場合、どうにかして量を増やす必要がありますが、やらせようとするほど子どもと衝突したり、家庭内の空気も悪くなり、子どもを潰してしまうんじゃないか、といった心配なども出てきます。まずはこういった時のイメージと立ち位置から。

子どもを潰す心配を減らす

「潰す」という言葉をイメージすると、台の上で押し潰すとか、足で踏み潰す、手で握り潰す、などが浮かびやすいと思います。これは、力が対象物に加わっていて、逃げ場がない状態ですね。だから潰れる。

でも、同じ力を加える行為でも、目的地に向かって背中を「押す」とか、倒れそうなところを「支える」、ギャップを乗り越えるために「持ち上げる」、壁を越えるために「押し上げる」をイメージすると、対象は潰れません。これらはそのまま、人に影響を与えたいときにも使えるイメージです。

成果をあげて欲しい、行動を変えて欲しいと思うと、まずは手軽に自分の言葉で相手に変わって欲しくなります。でも、そんなに都合よく言葉で変わるなら、自己啓発本読めばみんながスーパーリーダーですね。だから、子どもよりも状況を変える方に力を向けましょう。

力を直接子どもにぶつけても、それは「自分のリクエストを聞いてくれ」と言ってるだけ。どんな正論も大して役には立ちませんし、うまくいかなければ間違ってるんじゃないかって不安も出てくる。夜には反省しても、また次のテストや勉強態度を見ては怒りが湧いてくる。しんどいループです。

これは力で相手を変えようとしている限り続くので、改善したければ子どもを「思い通りに動かそうとしている」イメージから、「助けようとしている」イメージに切り替えることが大事です。だっこしても、壁を越えるための馬になっても、子どもは潰れませんね。

戦略担当になる意識 

対象を子どもにしないで、成績アップや入試の突破などに向けるためには、子どものやっていることに目を向けること、先の道筋をひとつひとつ具体化することが有効です。家庭学習の「態度」や「量」ではなく、実際に問題と向き合っている「ノート」や「問題用紙」の跡をよく見る。

不正解になっている問題を分野と正答率で分類、問題ごとの解き方の手順の確認とミスのパターンの把握、その原因になっている設問の錯誤のクセなどを見つけましょう。

次に、良い形を見せても10にひとつ返してきたら良い方、30にひとつでも十分くらいの意識で、通じるまで見せ伝え続けることです。そして、何か実践したところを掴まえては喜び、褒める。

とにかくやらないことには、上達もしません。やらないことを責める関わり方だと、やっても下手だったり失敗すれば、やっぱり責めるスタンスになりがちです。ちゃんと聞いてなかった、ここが悪い、ってアラを見つける。でも、それをやられると、新しいことは出来にくくなるだけ。技術の習得にはマイナスです。

不正解になっていても、正しい形の方法を試していたら、やったこと自体を認めて、嬉しいと伝える。これは誰に対しても大事ですね。

嬉しいって「親のための勉強じゃない」とか、そういうつまらないお題目に引きずられないようにしましょう。受験に関わっているなら、同じ目的のために協力しているチームです。まして親なら喜びもあって当然。子どもの挑戦や成長が嬉しいのは、なにも悪くないですね。

 

外の力を利用する

もうひとつ、「子どもに勉強をさせる親」という構図から、「子どもが勉強するのをサポートする親」に変えて衝突を回避するのに有効なのが、外の力を利用することです。高学年でも親にはまだまだ甘えがありますが、外の大人に対してはある程度の外面や責任感が出やすくなってきます。

私の場合で言えば、課題をプリントしたり、解いたものをスキャンして連絡したりを親が受け持つことで、橋渡し役になること+学習指示も外の人がすることで、命じる頻度が軽減することなどが、プラスに働くことは多いです。

こういったポジション替えは、家庭教師や個別に限らず、塾の先生でも頼み方によっては対応してくれる人はいます。単にやるべきことを指示されるだけだと普通の宿題とあまり変わらないので、なるべく添削やコメントをつけてもらいましょう。

宿題のうちは「ノルマ」として処理していたものが、戻ってくるときに「自分への返事」を受け取るイメージになると、早く見たい気持ちになって、勉強に関する行動を能動的に起こすことに繫がります。

特に個別などを利用している場合、問題を解いている隣に座っているだけでは自習室に毛が生えた程度の効果なので、子どもが問題を解いている間に、持っていったものに目を通してコメントをつけてもらったりすると、時間枠も有効に使い倒せます。

 

成績の停滞や下降

4年生までに比べて、5年生になると成績が下がり、量を増やしても一向に改善しないケースでは、学習スタイル自体の改善が必要なことも多いです。

解き直しと周回の重要性

4年生までは「この期間にどれだけ覚えられたか」の競争という面が濃いので、インプットが早く多い子が有利です。これは頭の良さの基本要素のひとつであり、低学年から発揮できる力で、例えば1回で80覚えられる子の方が50の子より有利です。

ところが5年生以降は、前回範囲の定着率が与える影響が大きくなってきます。こちらは短期記憶力以上に、意味づけや関連づけ、復習の頻度などがモノを言います。

例えば前回のものが80残っていると、今回50積めば130になり、以前より1.3倍難しい問題も解けますね。ところが、前回のものが20しか残っていないと、今回80積んでも100にしかならず、短期記憶力自体では勝てる相手にも負けやすくなります。

一定期間の授業やテストを受けて、出来なかったところが勉強するべき場所。そこまでは助走というか、入りやすいところと入りにくいところのチェックみたいなものです。勉強は消化のためにやるのではなく、理解し、使えるようになり、定着させるためにやるものですね。

より多くを次回に持ち越すためには、理解を言語化して自分なりのパッケージで収納することと、適度な間隔を空けた復習が有効なので、何点取れたかだけに目を向けるのではなく、テスト後の復習を大事にしましょう。

 

塾の周回カリキュラムの変化

下の表は、SAPIX四谷大塚の5〜6年の算数の単元出現回数です。 繰り返し薄皮一枚ずつ積み重ねていく形で、記憶の定着と理解の深化を狙っていることがわかります。※回数差の主な理由は、SAPIXでは季節講習単元もカリキュラムに含み、四谷では予習シリーズ・週テストの単元での区分になっていることです。

 

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そして、どちらの塾でも、赤着色した①割合と比、②平面図形、⑤速さ、⑦立体図形の4分野で、全体の3分の2近い回数を使っています。大まかに捉える、置き換える、方針を決める、言い換える、方向を変える、といった思考をつなげていく力が大事な分野でもありますね。

これらの分野は特に相関性が高く、どこかが弱いと難問が解けないか、解けても時間をかなり余分に使ってしまうことになり、多くの入試でも頻出なので、優先的に強化しておくと良いですね。

そして、これらが5〜6年に大きな比重を占めるのは、脳の発達段階とも関係があります。下は4年次の進行です。

 

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こちらでは青着色の③和と差、④数の性質、⑥規則性、⑧場合の数が6〜7割と、5〜6年と逆転しているのがわかりますね。円グラフで分布を見ると以下のような感じです。

 

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これは、基本的な規則や語彙などの記憶、計算系の能力は早くから鍛えやすいのに対し、手持ちの知識を連結して試行錯誤するタイプの思考には発達段階があり、大抵の子は5年生の後半〜6年生でやっとまともに使えるようになるためです。

ですから、5年以降の範囲では、これまでの短期記憶の週テスト勝負のような勉強から、より先の模試や組分け、入試までを見越した学習スタイルに変えていくことが大事です。

徒らに量を増やさないこと

このカリキュラムの変化とその理由を把握しておかないと、4年までと同じパターンの学習を続けやすくなりますが、成績が下がるのを学習量が足りないからと考えてその週の量を増やしたり、演習問題にも手をつけたりするのは、逆効果になりやすいです。

これに対応していくには、次のテストに向けた勉強だけでなく、その先に向けての「前の週の復習」を織り込んでいくことが大事です。理解が足りていない箇所を詰めるだけでなく、次に同じ分野が出てくる時に備えて、記憶を時々メンテナンスしておく感じですね。

また、量を増やすことは集中力の低下や疲労の蓄積に繋がり、より一層思考力を奪うので、むしろ量を絞り、確実に解ける、覚えた、忘れないと言えるものを確実に増やすことに注力した方が良い結果に繋がります。特に睡眠は削らないようにしてください。

まだ発達のタイミングが来ていない場合でも、一定レベルまでは思考連結の必要は薄いので、基礎の徹底した周回で定着に努めておきましょう。

 

基本問題の徹底

基礎トレや日々の計算などに取り組んでいても、有効な学習になっていないことは多いです。例えば基礎トレの場合、4日で1セットになっていて、初日の数値替え問題が続きます。

これは初日に不正解になった問題を、解答解説で納得いくまで詰めて、それを瞬時に使えるまで繰り返すことが目的で、同時に典型題で弱い分野がないかのチェックも兼ねています。なので、それに合った使い方をするかどうかがかなり大事ですね。

例えば朝勉時間にとりあえず10問解き、丸付けして終わりだと、同じ問題を3〜4回間違えて終わりやすいので、初日は理解の確認と徹底した仕上げを心がけ、2日目はそのノートなどを見ても良いので完答を目指し、3〜4日目は何も見ないで満点を取る、といった形で進めると良いです。

特にマンスリーでS55以下の場合、基礎トレ+★2まで+DCの解き直しがきちんと出来ていないケースがほとんどなので、不正解を徹底的に潰しましょう。これは発達段階とあまり関係なく習得可能ですし、算数でS50〜55あれば、かなり多くの入試が突破可能です。

また、どの問題集が良いとか、いろいろと評価もありますが、塾の基本問題集さえ完璧でない状態で他の問題集をやるのはオススメできません。

集め方が多少異なるだけで、載っている問題は大差ありませんし、解答解説が〜などと言っても、既に授業を受けた範囲の問題の解説くらい読んで理解できなければ、そもそも上位校には歯が立ちませんから、ゴリゴリ読んで書いて、納得まで持っていくのも勉強のうちです。

そして何より、塾の基本テキストであれば、講師に質問しやすいという絶大なメリットがありますね。

 

たぶんお話したのはこのくらいだったと思います。原稿など用意していなかったので、欠け足しがあると思いますが、悪しからずご了承ください。

中学受験の男女の得点差や入試の傾向について

ほぼ同条件の中学受験でも、全体で見ると男女で異なる傾向があります。同じ共学校でも、入試偏差値が女子の方が高いことを受けて、女子の方が入試が厳しいという話を目にすることもありますが、これは正しくもあり、間違っていることもあるので、今日はそのあたりのデータを少し出してみます。受験雑学的な記事ですね。

 

男女の学力傾向の違い

まず、男子と女子では得点分布の傾向が異なることについて見ていきます。合不合は男女共通の問題で、偏差値は男女別で出るので、昨年の合不合の得点分布からの抽出データで見てみます。

男女の得点分布

下の画像は2〜4回の得点分布を男女それぞれ重ねたもので、青が男子、赤が女子です。男子の方が、やや高い位置にピークがきていますね。

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こちらは各回の得点分布を重ねたもので、紫色は重なっている部分、青は男子、赤は女子が多いことを示します。どの回も、得点上位に男子が多く、下位に女子が多くなっています。

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同じ得点での偏差値差

次は、各回での得点に対する男女の偏差値評価です。同じ得点では女子の方が男子より1〜2ポイント高い偏差値が出ることが多くなります。なので、合不合で男女一緒の組分けと同じレベルの得点を取った場合、男子は1ポイントほど下がり、女子は1ポイント上がりやすくなります。

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科目別に見ると、算数、理科、社会では男子の方が得点が高く、国語は女子の方が高くなります。なので、同じ偏差値の子を比べる場合、男子は平均して算数で+9点、理社で各+6点、国語で-6点という感じで、4科目だと15点ほど得点が高くなります。

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算数が強い女子や国語が強い男子も当然いるので、「女子は算数ができない」みたいな言説は●ですが、全体としては国語以外の得点力は男子の方が高い傾向にあります。4科で見ると点差は小さくなりますが、偏差値55で11点ほど男子の方が高くなります。

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なお、100人中では女子5位と男子7位、女子10位と男子15位が互角くらいなので、男子50位くらいで「女子ってさ〜」なんて言ってもコロッと負かされる相手は多いです。適当な大きすぎるラベルは個人には合わないことが多いので、その子の特性や能力をきちんと見ることが大事ですね。

 

同じ得点帯の男女の比率

男子の偏差値63までに入る男子は587人で、男子6,344人の9.3%。この枠内に入る女子は371人で、女子5,417人の6.8%です。同様に偏差値55〜62では男子は23.4%、女子該当者は19.7%で、同レベルに達する比率が女子の方が少ないことがわかります。

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男女比較_得点[PDF]

 

ですから、同じ得点ラインで区切る場合、偏差値55以上ではだいたい6:4で男子が多くなります。仮に同じ偏差値の男女同数が入試を受けて、合格最低点を同じにした場合、合格者数は女子の方が少なくなる可能性は高いわけですね。

ただ、各校の入試偏差値も女子の方が1〜2ポイント高くなっているため、同じ入試を男子が55なら女子は57の子が受ける形になり、そこまで差はつかないケースが多くなります。つまり「同じ学校でも女子の方が難しい」のではなく、男子よりも女子偏差値で1〜2ポイント高い子でないと、同じ得点を取ることが難しいということですね。

ただ、これが当てはまるのは偏差値差が2ポイント前後のケースで、それ以上の差がある入試の場合には実際に「女子にとって厳しい」可能性が上がります。

 

各入試の男女偏差値の違い

共学校の男女80偏差値の比較

定員やカットラインの差で、女子の方が厳しい入試もあります。こちらは男女の80偏差値の比較で、偏差値差の大きい順に並べてあります。

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偏差値差の大きい学校はカットラインが高め

割と合理的な2ポイント差までの入試が多いですが、それ以上の差がある入試も結構ありますね。お茶の水は共学ながら男子は高校に上がれないなど、偏差値も含め全く別の学校なので、次から見ていくと、偏差値差が5ポイント以上の5入試は全て大学付属の人気校でした。

このうち、青山学院と成蹊の2校は得点も開示されていますが、特に青山学院は受験者数が女子546人:男子353人で女子の方がかなり多いのに対し、合格者数は女子90人:男子118人と女子の方が少なく、合格最低点も女子191点に対し男子162点と29点も差があり、女子にとってかなり厳しい入試になっています。

成蹊も青学に比べれば緩やかですが、1回では8点、2回では17点も女子の方が合格最低点が高く、合格率も低めになっています。

3〜4ポイント差の18入試にも、女子人気の高い学校が並びます。マーチ付属では法政第二、法政大学、明大明治も合格最低点に差があり、特に明大明治以外の2校は10点以上差の入試回があって厳しい戦いです。付属以外では、渋谷教育渋谷が10点、15点、8点とどの回も女子に厳しめ。

その他の学校は、差があるとは言えない〜男子の方が厳しい入試まで様々です。これらの一覧データは表が大きくなってしまうので、 PDFで閲覧してください。

男女比較_入試[PDF]

 

募集枠で見る男女の厳しさ

下の表では、Y63以上をS層、55以上をC層、45以上をB層、37以上をA層、36以下をα層とした場合の、合不合得点での人数比と定員比を比べています。Y偏差値の出ていない学校については首都模試+8ポイントで換算しています。

人数は、共学で男女別定員を設けていない学校では男女別の合格者数、男女別の合格者数非開示の学校では前年の入学者数を入れています。

偏差値基準を男子にしていること、複数入試回の各校の偏差値は平均のため全ての入試回の偏差値が厳密に反映されないこと、対象が合不合のみで他模試受験者は分布に含まれないことなど、いろいろざっくりしているので、あくまで門戸の広さの目安としてご覧ください。

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得点で見ると男子S相当の男女人数比は61:39ですが、同じS層の定員比は別学共学合わせて68:32になります。S層の女子にとって学力相応の学校に入学することは、男子以上に狭き門と言えますね。C層では少し女子の方が入りやすくなり、B〜A層では更に間口は広くなります。 

首都圏全体で見ると、全体の3分の1の人数に対して枠が22%の男子B層が一番厳しい印象で、A層も薄めなので、中学受験の厳しさを最も痛感しやすいのはA〜B層の男子で、次がS層の女子と言えそうですね。もう少し細かく見たい方はPDFをどうぞ。

募集枠集計[PDF]

 

塾による偏差値の違い 2022年度中学受験用 結果偏差値版(女子) SAPIX/四谷大塚/日能研/市進/首都圏模試

2022年度の入試に向けた各塾の偏差値比較、女子版です。抽出元は志望校判定SO1回、四谷大塚2021結果偏差値、日能研2021結果偏差値、首都圏模試4月予想偏差値です。※市進は昨年9月版

偏差値順

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日程順

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目立つ変動があった入試

各塾で入試直前の偏差値と結果偏差値で目立つ変動のあった入試を並べています。赤背景色は上昇、青背景色は下降です。男子同様に、大学附属系属校と複数回入試校の人気は継続していますね。

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80偏差値の分布

以下は、主な女子校の四谷、SAPIX、首都圏模試の80偏差値の分布(複数回入試のある学校はそれぞれの回を入力するので縦長)です。

四谷大塚

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SAPIX

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首都圏模試

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それぞれの塾で、重なり方や見え方が多少異なりますね。サピ50=四谷60=首都圏模試68くらい。首都圏模試はぎゅっと上部になるので高さが狭く、逆にSAPIXだと分布が広く見えます。

四谷の80偏差値と50偏差値を比べると以下のようになります。実際の入学者で最も多いのは50偏差値前後なので、入学後のイメージには左側の50偏差値ゾーンを見て、入試突破には右の80偏差値ゾーンを目指す感じですね。

 

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80偏差値〜50偏差値分布を1本にまとめると以下のようになります。だいたい入学する子の6〜7割はこのあたりだと思って良いですね。

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上澄みの中での順位

偏差値比較表の各塾の偏差値をざっくり比べると、下のようになります。

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サピの上3分の1と四谷日能研の上1割がほぼ同列。そして、サピの中3分の1と四谷日能研の上3分の1がほぼ同列で、首都圏模試の上1割よりもやや上にきます。

ちなみに、首都圏模試も受験するのは全小学生ではなくて、全く勉強してない子、教育に無関心な家庭では受験しません。最初から高校受験を視野に入れていたり、中学受験をしない家庭はあっても、一定の家庭学習や通塾をしている子たちが受ける模試です。

つまり、サピに入って濃厚周回カリキュラムを消化したり、四谷早稲アカで毎週テストを受けたり、それを入試までやり遂げられる時点で、一般的な小学生からしたら上の上ってことです。

これを忘れて、勉強は辛く苦しいもの、親に怒られながらするもの、という印象を植え付けるのは避けたいですね。

塾による偏差値の違い 2022年度中学受験用 結果偏差値版(男子) SAPIX/四谷大塚/日能研/市進/首都圏模試

2022年度の入試に向けた各塾の偏差値比較、男子版です。抽出元は志望校判定SO1回、四谷大塚2021結果偏差値、日能研2021結果偏差値、首都圏模試4月予想偏差値です。※市進は昨年9月版

今回は、入試結果を受けての偏差値の変動や、SAPIX偏差値表には出てこない層までカバーした表などもPDFで掲載してありますので、興味のある方は閲覧してください。

 

各塾の偏差値比較

偏差値降順

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日程順

https://e-tutor.tokyo/data/20210505/s2.png

 

SOと市進9月を含めた201入試回での比較表

偏差値比較一覧抜粋(PDF)

偏差値比較一覧抜粋日程順(PDF)

 

市進を除き、SO非表示層も含む最新452入試回での比較表

偏差値比較全一覧(PDF)

偏差値比較全一覧日程順(PDF)

 

入試前最終偏差値との比較

こちらは、各塾の偏差値帯に入っている入試数の増減を表にしたものです。

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偏差値増減状況(PDF)

YNは結果偏差値のため合計掲載数は減っているのに中層以上の帯全てで増加していて、全体としてやや難化傾向にあると言えます。また、上がり過ぎたところの調整程度はあるものの、今年も大学付属系属校は安定して人気が続いています。

高輪、巣鴨、世田谷などは算数午後入試の導入→高偏差値入試回を作る→全体の底上げの成功を継続しています。広尾学園や開智日本橋なども同様の戦略で、同時申し込みだと複数回入試も割安になったり、入学手続きの締切を他校の合格発表を待てる6〜10日頃に設定するのも特徴です。

一般的な受験生保護者は、それほど多くの学校は知らず、偏差値表で学校名を眺めてから調べる順番になるため、特に上3分の1=偏差値55以上のところに学校名を出すことは大事で、偏差値表自体に広告露出同様の効果があります。

私学の設備は多くの公立中と比べると1〜2ランク上で、知って貰えれば魅力的と言える学校は多く、優秀な子が集まれば進学実績も上向きやすいので、こういったビジネス感覚も大事ですね。

入試前の評価より上昇した入試回の多い学校

下は入試直前の偏差値から、更に上昇した56校です。

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特に上昇している6校について簡単に触れておきます。


○青山浦和ルーテル
青山大学系属化後の人気上昇が加速し、Sでは下の中から下の上、YNでは下の上から中の中、首都模試では上3割から上1割へ。とは言え、2020年の青学大への合格数は卒業数の1割ほどに過ぎず、2031年度から卒業生全員の推薦入学を目指す過渡期なので、それほど大学が確約されるわけではない点には注意。

昭和学院
入試や制服なども含めた大改革を進めていて、もともと大学進学実績も悪くないので、まだ上げ幅がありそうな学校のひとつ。都内城東地区からは十分に通学圏です。

○獨協
系列の獨協医科大学をはじめ医学部への合格実績が高い学校。卒業199名から国公立15名、医学部37名、早慶上理ICU39名、GMARCH97名と、偏差値からすると「非常に高い」と言えるレベル。立地も文京区のカテドラル協会や椿山荘付近で、130年の歴史もあり、アクセスのしやすさからも人気が上昇中。

○広尾小石川
村田女子からの変更1年目の注目校は、いきなり50前後からのスタート。偏差値レベル60台で海外大への高い進学実績を持つ広尾学園と同等の教育を受けられるというアピールに、各入試回の人数を極端に絞る戦略が奏功している形ですね。

各回の定員が5〜15名という入試で一般入試募集枠は合計90名、実受験者数1,713名で、合格者数は見通しの7割ほどの341名に留まりました。2日以降は倍率も非常に高く、偏差値をあまりアテに出来ない入試なので、押さえの併願校としてはおすすめしにくいです。入学したければ、合格数を出して倍率も低めの1〜2回で必勝を期すのが良さそう。最終的な80偏差値+5ポイントくらいを目標に頑張ると良いです。

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○目黒日大
日本大学の準付属校化が奏功。山手線目黒駅から徒歩5分の立地で、他の日大附属校と比べてもアクセス面では優位なので、ここもまだ上昇余地はありそうです。

芝浦工大
男子校からの共学化に理系人気も追い風になり上昇。注目のSTEM(STEAM)教育と親和性が高い校風や教育方針、芝浦工大に4割強が進学できて、他大学へも国公立14名、早慶上理29名の合格を出している注目校。山手線内各駅から30分以内という好立地もあり、人気は続きそうです。

 

入試回別で、上昇幅の特に大きい入試回(4塾比較版:平均2ポイント以上)はこちらです。

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上昇幅の特に大きい入試回(全体版:平均3ポイント以上)で並べるとこんな感じ。

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各偏差値帯での増減ポイント数比較

こちらは、各層での増減ポイント数の合計を表にしたものです。A層でSが少なく、首都模試が多くなるのはカバー範囲の影響ですが、今年はNのS〜C層での変動数が突出して多く、事前の見通しと異なる結果になった入試が多いことを示しています。

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偏差値増減①S層

偏差値増減②C1層

偏差値増減③C2層

偏差値増減④B1層

偏差値増減⑤B2層

偏差値増減⑥B3層

偏差値増減⑦A1層

偏差値増減⑧A2層

入試の突破には学力をつけて対策することに勝るものはないですが、毎年こんな感じで偏差値のブレは出るので、「安全校のつもりが競争激化」などのリスクが減るように、各塾の偏差値推移や出願状況などを把握して入試プランを立てられると良いですね。

他塾の模試を受けた方が良いかどうかの目安

志望校と同じ受験者層が集まる模試を受けると、立ち位置がわかりやすいですね。ここに挙げた三大塾模試の他にも、首都圏模試、学校名のついた冠模試や都立校などの適性模試などがあるので、それぞれの状況に合った模試を選んで受験してください。

他塾の模試を受ける判断基準

通っている塾以外の大手模試を受験するかどうかの目安には合格実績を用いています。合格者数の4分の1以上を占めていれば特に問題ないですが、1割にも満たない場合はその学校の合否判定という意味では少し心許ないので、他塾模試の受験も提案したりします。

模試受験者=塾在籍者ではなく、外部生も受験するため、例えば日能研模試をサピや四谷生が受験していてもその比率はわかりませんが、SOを受けないサピ生や合不合を受けない四谷生は少ないので、母体塾からの合格者は受験している率が高いだろう、というイメージですね。

三大模試全てで△以下の学校は、各塾の適性模試や首都圏模試などの受験を検討すると良いでしょう。

4/28追記:6年生の模試は、範囲指定のないテストで定着度合いを測り、弱点の穴埋めなどの材料にすること、平均偏差値を踏まえて併願プランの基準にすることなどが大事な役割です。

1年かけて全範囲をカバーするため、まずはメイン塾の模試を通年で受けることが大前提で、逆に単発の模試結果は出題相性によるブレも大きく、位置付けとしては補強材料です。

他塾の模試は日程に余裕があったり、受験可能性の高い学校会場がある時に検討する、という順番ですね(△の場合)。

合格数から見る模試受験推奨度の一覧

画像は、2021年の合格実績から学校別に一覧にしたもので、占有率は全合格者数に占める模試母体の合格者数の比率で、合格者数合計が定員に満たない学校は定員に対する比率からの評価です。SOはSAPIX合格者数、合不合は四谷大塚+早稲アカの合格者数、日能研日能研の合格者数を元にしています。

学校名は男女合成偏差値降順で、数値自体には意味がないので表示していません。例えばお茶の水などは四谷80偏差値で女子67・男子50とかけ離れていて、合成はどちらの偏差値としても見当外れですし、複数回入試でも偏差値は変わるので、あくまで並べる便宜上のものです。男女の偏差値差については別の記事にします。

また、中学校会場履歴欄には、過去にその中学校で受験できる模試があった学校にSO=S、合不合=Y、日能研=N、首都圏模試=都と記入してあります。これらの学校は今年も模試会場になる可能性が高く、新型コロナウィルスの影響で、学校見学などの機会は限られることが予想されるので、志望順位高めの学校会場があれば受験してみるのもおすすめです。偏差値比較と合わせたものはPDFへのリンクを貼っておきますね。

 

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男子校

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男子校偏差比較統合.pdf

女子校

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女子校偏差比較統合.pdf

 

共学校

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共学校偏差比較統合.pdf

 

各模試の母体塾の合格者数での比較表はPDFにしてあります。

合格者数の比較.pdf

 

今回はおよそ2ヶ月ぶりの更新になりました。ご心配頂いたりしましたが、単に手が回らなかっただけで、元気です。またボチボチ記事もアップしていきますね。