偏差値60の壁なんてない

中学受験のサポート歴20年以上の経験から、心構えや考え方を公開します。

夏休みの過ごし方

またまた2ヶ月も空けてしまいました。いよいよ夏休み、受験生にとっては最後の総復習のチャンスです。目標を明確にして、大きく実る過ごし方ができると良いですね。

 

 

やることを絞り込む

多くの夏期講習では、ここまでの範囲の総復習を一気に駆け抜けます。4年半ばからの2年間でやってきたこと全部と考えれば、相当な量ですね。更に上位クラスでは結構手強い演習もやる。これを実質20日や30日程度でやるので、さすがに授業中だけで入れきるのは無理です。

なので、夏期講習期間に求めることは「弱点や抜け落ちの炙り出し」と「朝からの時間の有効活用」の二つ。実力は各自の消化次第なので、夏期講習だけで成績アップは起きません。毎日通ってみんなと同じ量を消化して、みんなと同じ程度に前進すればまぁまぁ、という感じです。まず講習期間中と期間外の軸でやることを決めておくと良いですね。

 

とにかく毎日復習

まず大事なのは、当日の復習です。不正解の全問解き直し→仕上げなどの高すぎる目標は要らないので、最低でも二読する。これだけは確実に維持すると決めて、実行しましょう。

一読目は、授業終了間際とか、次のコマとの間の休憩時間に済ませると良いです。解いたプリントの設問と正解とか、ノートに書いたことを読み返す。これをやったな〜、これが抜けてたな〜、という程度に目を滑らせれば良いので、全部読むのが理想です。帰路に思い返しながら歩く、お迎えありなら内容を話しながら帰る、という組み合わせが出来るとより強力ですね。

二読目は自宅で。これはなるべく1コマ10分くらいかけて、その日の授業をもう一度振り返りましょう。講習で5〜6時間なら、振り返りで1時間くらいかかることになります。塾によってはかなり宿題を課すところもあり、帰宅が遅い講習だと就寝との兼ね合いもあるので可処分時間との相談ですが、自宅で3〜4時間の学習時間を確保できる場合は、そのうち1時間はきちんと授業をなぞることが出来ると良いです。

 

不正解の解き直しや科目別のテーマ

そして、残りの2〜3時間では、不正解の解き直しやインプットを丁寧にやりましょう。算数は解き直し、理解が怪しい場合は親を使ってでもどうにか理解まで辿り着くと良いです。今はネットで関連動画や解説も探せるので、自分があまり得意でなくても探してみると良いでしょう。講師に聞ければ一番良いのですが、講習期間中に十分な質問対応できる余力のある塾はあまりないので、基本的には自宅で潰す方法を見つける方が良いです。もちろん個別や家庭教師を頼れる場合はそちらを活用するのも良いでしょう。

理科や社会でも、構造的な理解、縦横の知識のつながりが弱い、或いは全くない場合があります。これらを「図などを書いて説明できるようにする」という取り組みは秋以降は更にやりにくくなるので、大枠だけでも挑戦しておくと良いです。特に理科の天体、地層、人体、気象などは、パーツを覚える意識ではなく、全体の流れを把握する意識を持つことが有効です。

国語は、継続する習慣がついていない人は毎日漢字語彙を入れること。1日5〜10個でも良いです。40日続ければ200〜400個入る。この「継続で入る感覚」を掴んでおくと、秋以降も1000個くらいは「入れられる気」になります。これは結構大事。

文意が取れないとか、記述や選択で得点できない場合は、論説文、物語分を読む時の「軸になる考え方」を持って練習するのも良いです。本文を読む際の「決まったイメージ」を持つことを習慣化しておくと、そこを軸にして講師の指導を受け取りやすくなります。論説文なら「筆者の言いたいこと=キーワードやテーマ」、物語分なら「場面ごとの登場人物の心理と出来事による変化」を追っていくようなスタイルですね。

大事なのは「間違わない、正解するため」に読むだけではなくて、「自分がどう間違っているのか判断するため」に読むということです。今国語ができないなら間違うのは当然ですが、自分なりの仮説を持って読んでおくことで、正解や解説から受け取る意味、輪郭がかなりはっきりします。この差を知ることが学習効果になるので、授業の効果を上げるためには「自分が何らかの軸を持つこと」を優先させましょう。技術的なこと、得点のツボなどは良い講師に当たれば教えてもらえますから、大事なのは自分の頭の中に受け皿を作っておくことですね。

こんな感じで、各教科に自分なりのテーマと、そのために継続することを明確にしておくと良いです。

 

夏期講習以外の期間

自宅で一日過ごせる時間は、優先度と時間を2〜3段階に分けることを勧めることが多いです。1日に自宅で10時間やれるのが理想ですが、高いレベルでこの時間を消化できるのはトップ層のひと摘みくらいなので、あまり大きな餅は書かない方が良いですね。

逆に、夏期講習もこなしてきている受験年度生なら、それなりに頑張れる時間が4〜6時間くらいはある子は多いです。なので、絶対必須の4時間、基本的にはアテにする2〜4時間、アテにしない残り時間、くらいのざっくりした区分をイメージすると良いですね。

4時間20日だと80時間あります。ここで、どうしても強化したいことをひとつ、明確にイメージして取り組みましょう。最初の2〜3日くらいで、実際にこの密度でやるとどのくらい進むのかを見て、それを基準にその先のスケジュールを組んでいくのも良い方法です。

 

取り組む内容の設定

これまでの記事にも繰り返し書いていますが、算数の場合は過去テストの不正解抽出はやった方が良いです。正答率と目標偏差値によって、どこまでやるか決めましょう。上記の80時間でやる場合、1周目で取り組む量を25〜30時間分くらいに見積もっておくと良いです。順調で前倒しや増量になる分には問題ないので、必ずやり遂げるラインを決めましょう。

模試や組分けなどの共通テストでは、正答率50%以上をS問題、30%以上をA問題、10%以上をB問題、10%未満をC問題と区切ります。S問題を完答すると偏差値は50〜55、A問題まで解けば60超になることも珍しくないので、算数が得点源になっていない人はまずSを完璧にする→可能ならAまで欲を出す、くらいのイメージで良いです。

この際に、分野を区切ってどの分野の正答率が低いかを見ておくのも良いです。正答率が明らかに低い分野がある場合は、その範囲の既習テキストを回してから解き直しに入った方が、効率よく学習を進めることが出来ます。成績分析は今も受け付けていますが、現時点で少し待ちが生じています。お申し込み時に見通しはお知らせしますが、予めご了承ください。

また、基本を網羅した問題群を決めて、これをしっかり回す方法もあります。基礎トレや四まとなどの標準レベルの問題、500〜800問程度を組むと良いです。これと不正解の両方をやると、土台がかなりしっかりするのでオススメですが、時間や熱量的に無理な場合はどちらか片方はやり抜きましょう。

夏期講習終了後に日数がある場合は、夏期講習の不正解問題を網羅するのも良い方法です。ただ、正答率のわかる過去のテストやレベル設定のある問題集に比べると、優先すべき問題とそれほどでもない問題の仕分けが必要ですね。不正解の問題を、本人の感触で①出来そう、②難しそう、③自力では無理、くらいに分けて、先に①から取り組むようにすると良いです。

 

最低三周

勉強は「出来るまで」やらないと意味が極薄になります。出来るというのは、秋以降も類題が出たらほぼ100%正解できると思える状態に持っていくことですね。もちろん入試まで継続的にメンテナンスしないと抜けますが、少なくとも夏休みの終了時には一度、そう思える状態にしておくことが後々効いてきます。

まず、基礎基本の解法が入っていると、講師の説明の意味が入りやすくなります。つまり、全範囲に穴がない状態になれば、秋以降の学校別演習などの効果が大きくなります。

もうひとつ大事なのが、「これだけ回すと出来るようになる」というモノサシを手に入れること。やった、終わった、解けた、間違った、くらいで来ている子は、「本当に出来る」という感覚も、そこまでにかかるコストも正確に把握出来ていないので、それを経験することで学ぶことの輪郭が段々わかることも重要です。

出来るまで、というのは最低でも3周はすることです。1周目、まずは問題を解きます。時間は15分〜50分くらい、個人差があるので適した区切りでやりましょう。解いたら不正解の確認と解説の読み込み。しっかり理解した上で、数時間ほど空けてから解き直します。もしまた不正解なら、解けるまでやる。

ただテストとしてやるだけなら20問くらいは1時間で消化できますが、大事なのは解いたあとの「理解と解き直しによる確認」なので、必ずここまでやりましょう。ここまでが1周目です。これでどのくらいの問題数が進むか、確認してください。

しっかり解けたら、初回で正解した+解き方も良かった問題は外して、数日〜1週間ほど空けて再挑戦します。ここでの正解分は3周目に入れ、不正解は再度解き直し。1回目に「しっかりわかった」はずなのに、何を間違ったのか、十分に確認しましょう。

3周目は期間の最後、夏休み明けでも良いです。初回で正解だった問題も含め、対象問題を全て解き直しますが、時間がない場合の優先順位は2周目不正解>1周目不正解>1周目から正解、の順ですね。

ただ解いて○つけの600問より、完璧と思える150問の方が力になります。1ヶ月で150問マスターできたら、残り半年で900問。十分に入試で戦える上積みになります。大事なのは秋の模試だけでなく、その先の冬、入試までしっかり学力を積み増ししていけることなので、焦って「理解が薄い、定着しない」問題数だけを増やすようなことにならないようにしましょう。

 

過去問の分析

受験希望校がある程度固まってきているなら、過去テストの分析結果と、入試過去問の出題傾向をレーダーチャートにして見比べてみると、相性の良し悪しや強化すべきことがイメージしやすくなります。

例えば「声の教育社」の過去問だと、最初の方に傾向として出題分野が載っていますので、それに「易問」「標準」「応用」「難問」くらいのグレード分けをして、重ねてみると良いですね。一気にやろうと思わず、1日1年分の算数の難度評価を積み上げて行って、1〜2週間後にチャートになるだけでも比較材料ができます。夏休み期間中に3〜5校分も出来れば、相手の輪郭がはっきりしてくるので、サポートもしやすくなるでしょう。

 

大事なのは最後までやり抜くこと

色々と書きましたが、何より大事なのは、規則正しい食生活、帰宅後の入浴、十分な睡眠の確保。勉強の主役は子どもで、親の持ち分はこっちです。コロナ禍の中で、いろいろと不備もあるオリンピックが開催されるので、8月〜9月にかけての感染者数激増もシナリオに入れておく必要があります。今一度、入念な感染予防対策を家族で共有して、日々を健康に過ごすことを第一に考えましょう。

夏は大人もバテます。自分の疲れやストレスに鈍感になっていると、秋にはずっしり重荷になってくるので、その日の疲れはその日のうちになるべく軽くして、すり減る量を最小限に食い止めることを目指してください。

 

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