偏差値60の壁なんてない

中学受験のサポート歴20年以上の経験から、心構えや考え方を公開します。

お酒と中学受験の話

今日は受験生の親ってだけでなく、お酒を連日飲んで、なんとか凌いでる人向けに。

色々しんどいこともあって、酒がないとやってらんない。よくある話で、悪くもないけど、本当に酒がないと、ってなってるなら捨てたり諦めたり削るものを探した方が良いです。

毎日お酒の入ってる状態=感覚を鈍麻させた状態に慣れていて、それでなんとかバランスを取っていると、どんどん通常のシラフの方の感覚を「知覚過敏で染みる」ように感じるようになって、ストレス耐性が下がって弱っていくので。

受験終わればクリアになることもあるけど、この先もやっぱりストレスは湧いてくるので、感覚鈍らせずに、逃げたり発散したりするパターンも持った方が良いです。酒は向精神薬の一種だし、薬は過ぎれば毒になる。

しんどいのはどこかの疲労が回復を上回って債務超過になってるからで、気力体力の支出を減らすか、回復量を増やさないと。全部抱え込んでこなしつつ、気を紛らわせる方法が酒しかない状況だと、収支のバランスが取れないからどっかで無理が来るので。

自分の意思で1日抜けるなら、それを交互にやるだけでも通常の感覚でいる時間を増やせるので、シラフに慣らす時間と、たまには感覚を鈍らせて休む時間みたいに使い分けて、別バージョンを増やしといた方が良いです。

キャパオーバーをお酒で麻痺させてるのは、心と体にリボ払いさせてるようなものなんで、誰かにまとめて借りてでも、財産売り払ってでも、一括返済しちゃった方が良い。収支合わない人が借りて凌いでも返せないから破綻するのと同じで、心と体は破産で逃げることも出来ない一品もの。

受験なんてやめられます。合格と、ママと一緒に生きてくのとどっちが良い?って聞いて、合格!って子はそんなにいない。健康と天秤にかけるもんじゃないです。欲張るならちゃんと両取りに行かないと。

エネルギーにも時間にも限度があるから、何か欲しければ優先順位の高い方から取っていくしかないし、健康とか家族はだいたい一番上の方なんで、他を犠牲にした方が良いです。家事とか、つきあいとか、お金とか。削れるもの全部削って、家族と健康と受験だけになって、それでも足りないなら、削るのは受験。

でも、そんなこと言ったって!って思う時点で危険。本当に、何を手に入れても、健康と家族を失って「成功」って感じる人なんか見たことない。気をつけてたって病気もするし、頑張っても家族がうまく行かないこともあるけど、自分が大事にしないのは違う。

しんどいなら、削れるものを探して。足りないなら、助けてくれる人を探して。それでも無理なら、中学受験は投げて良いです。お酒もたまになら良いし、時々でも大丈夫。楽しいお酒で、潤いになってるなら問題ない。

でも、お酒で失敗したり、自分がお酒に頼ってるって感じるなら、とりあえず、一日酒を抜いて、誰かに愚痴でも聞いてもらう。家事を適当に切り上げて、のんびり風呂に入る。好きだったことをやってみる。それだけで、一年の半分は抜けます。

 

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ちょっと誤解があるように感じること

今日は、相談とか指導フォローの中で、誤解というか、バランスの偏ったイメージになっていると感じることが多いことを色々書いてみました。推敲足りないと思いますが、もう受験も始まっている人もいるので、公開しておきます。

あと、時間的に対応できる限界になっているので、新規のご相談受付は2月上旬まで休止することにしました。今年度受験が終了したら、2月中旬以降に再開する予定です。

 

生活リズムを整える目的

就寝と起床のリズムを整えることを推奨していますが、これは「入試の際に十分な睡眠が必要だから」とか、「前夜の寝付きを良くするため」が主目的ではありません。そうなればラッキーくらいの感じです。

大事なのは、入試前日に興奮とか緊張で眠れなかったり、夜中に目が覚めたりして寝不足になっても、普段の覚醒リズムって1日では崩れないので、横になってさえいれば、いつもの時間帯にそこそこ覚醒してくることの方です。

なので、もちろん眠るに越したことはないですけど、本番当日はそんなに気にしなくて良いです。プレッシャーの薄い期間のうちに、覚醒リズムを整えておいて、眠れないとしても実力の95%くらいは発揮できるように備えておく、っていうのがメイン。

前日によく眠れなくっても本番の緊張感があるので、試験当日の半日くらいは大丈夫ですから、覚醒のリズムを整えておくことが大事。試験時間全部を使い切って合格点ちょうどを取るってこともあまりないので、解ける問題くらいは解き終えます。


唯一の正しい形はない

生活リズムに限らず、このブログでも「○○すると良い」ってことをたくさん書いています。やると良いこと、やってはいけないこと、巷にも溢れかえっていますね。

それを参考にして、取り入れられることを試すのは良いです。でも、そのせいでどんどん息苦しく、狭くなっていくのは避けて欲しいと思っています。

これまで普通に生きていたのに、新たに「正しいこと」が出来ると、それ以外が「正しくないこと」や「悪いこと」になってしまう。これでは、良いことを知るたびに居場所が狭くなり、選べる道が減っていきます。

より良い人間になりたいはずが、了見の狭い方向に突き進んで、自分や周囲に「悪いこと」のラベルを貼りまくるような状態に陥ると、苦しくなるだけ。過去も悪いことだらけになって、自己評価まで下げたり。

人に点数をつけること自体も難しいけど、例えば50点だった子が60点になっているなら2割も成長しているのに、100点を決めてしまうと、40点も足りない子って感じるのは、間違った方向への後押しです。

悪い行動を意識して攻撃するより、良いと思う時間を増やすこと。時間は限られているので、良いことが増えれば悪いことは勝手に減ります。「より良い」くらいに留めて、それ以外を否定する気持ちを自分の中で育てないこと。

もし誰にでも通じることがあるとすれば、頑張ったらその分の回復も必要ってこと。「今の自分も良いけど、もっと良くなりたい」って方向の欲は、子供だけでなく、親にとっても大事です。自分を責めて罰するのでなく、自分の欲張れる範囲で進むようにしてみてください。


塾のカリキュラムとか、範囲とか、課題とか。

模試でも入試でも、合格に満点が必要なことの方が珍しいです。トップを含めて一人も満点を取らないテストも多い。全員が何かしら間違うのが普通の競技なのに、間違いを責める、がっかりする、というのはピントがずれてます。

この範囲を仕上げようとか、今度のテストで満点目指そうとか、「可能なら」それ自体はとても良い目標設定だけど、取れなくて怒ったり残念がるのは本人がやれば良いこと。周りから石をぶつけるメリットはないです。

塾の課題、問題集、宿題、全部やること<出来ることを増やす方が大事。全部やって50点より、半分でも70点や80点を取る方がずっと良いと思いませんか?数字が合わないように見えるけど、実際に良くあること。100問を1回やるより、20問を出来るまで、多いものは5回以上も周回して仕上げた方が高得点になるなんてザラです。

しつこいほど書いてきたけど、出来ることを増やすのが大事。人と同じことをやるとか、過去問や模試で得点するとか、手段として有効に練られているから目指すのは良いけど、そこを間違っていると落としものが増えるだけ。

出来ることって言うのは、入試当日の答案で正解できること。合格点を超える分の正解を取れば良いだけ。知識が増えて、理解が深まり、良いことしかないのに、マイナスを数えていては成長を妨げます。

増えた分を数えて、それを束ねて、どうやってやっつけるかを考える。1週間、2週間、1ヶ月後には抜けることがあるから、落としたものをまた回収する。

焦っても怒っても、基本的に損しかないことは意識した方が良いです。得する行動が何か、損することは何か、ちゃんと向き合ってください。人の努力や成長を、正論とか理想から減点して責めるだけの、一番身近な邪魔者にならないように。


見直しは最後の手段

昔から「ミスをなくすには」といった相談がすごく多く、おそらくかなりの受験生の親が気になるポイントだと思うんですが、まず大前提として、そう簡単にミスは無くなりません。半分以下の時間で完答できるくらいのレベル差があれば良いですが、本命校って割とギリギリのラインで受験する子が多いので、時間も余らない全力でやることになりますね。

つまり、ゆっくり見直しをする時間自体がなかったりもするし、緊張感の中全力で解いていくので、落ち着くなんて心理になる子の方が珍しいくらいです。

なので、よく言われる「注意しろ」「落ち着け」「見直ししろ」などは、あまり効果ないです。手抜きには効きますけど、ほとんどの子は入試で手を抜いたりしませんし、その呪文が効くタイプならとっくに効いてミスが無くなっているはずです。

 

落としものを避ける

落としものに例えてお話するんですが、全力で40分とか45分走りながら落としたものを、5分や10分で自転車で戻りながら見つけるって難しいですよね。落とした場所を知っているとか、10分で走ったところを40分で歩きながら見ていくならまだしも、間違った箇所を知らない状態ではそう見つかりません。

採点後に「不正解」ってわかってる問題を見直せば、どこで何を間違ったか気づくのは容易ですけど、全部ちゃんとやってるつもりで、それを解いた時の数倍の速さで見直して、そうそう見つかるものじゃない。ほんの数分や数十分前のミスを、同じ人間が同じ思考ルート、しかも急いで辿っても、見落とす確率は高いです。

もちろん、1問でも見つかればラッキーなので、見直し自体は時間の許す限りやるべきです。ただ、アテになるものじゃないですね。拾えたらラッキーの部類。

なので、大事なのは解ける問題の総量を上げること+未然に防ぐことの意識です。落としもので言えば、ポケットに入れたら蓋をするとかチャック閉めるとかすれば、走っても落ちにくいですね。手に持てる数は限られています。解いてからチェックより、既にやったミスを検証して、「このタイプの問題に入る時の呪文」を持っておく。計算なのか、図形なのか、記号なのか、止め跳ねなのか。工事現場の指差し確認みたいなノリですね。

毎日やれば、ここからでも20回くらい、その日に解いた問題の反省ができます。これまでのノートや、模試の答案も使えますね。そこに出ている、もったいないミスについてのコメントを考え、自分に言い聞かせる回数を増やせれば、ミスは減ります。

そのコメント自体の有用性もありますが、それを挟むことによってテンションが一定の幅の中に入ってくる効果も大きい。思考の速度が緊張で100%とか、逆に不安で50%とかになっているところから、ちょうど良い70〜80%くらいの幅に入ってくると、ミス自体をしにくい状態になります。これが「落ち着け」のやり方ですね。漠然とした指示より、具体的な方が効きやすいです。

 

余分に持っておく

あとは、多少落としても合格するだけ持っておくこと。合格ラインが70点で、ギリギリ70点くらいしか手持ちがなければ1割落とすとアウトですけど、80点持っていれば1割落としても72点で合格しますね。簡単ではない、それこそ理想論みたいなものだけど、基本的にはこれが大事。

それに、ベストを叩き出してなんとか合格ってレベルだと、これまでの努力が足りてないか、合っていない可能性もあります。勉強なんで進学後にしっかりやれば問題ないですけど、受験期に劣る努力しかできなかったなら、入学後もそのまま足りないグループになる可能性は結構あります。素質云々より、そっちが心配ですね。

なので、「ミスっても合格」ってくらい、残り期間やれる全部を注ぎ込みましょう。持てるだけ持っていく。落とさないようにする仕組みを作る。見直しとかはその後の、ラッキー狙いって思いましょう。

見直しのルールは、言い方を変えて本文を読むこと、計算は別ルートか逆算をすること、などが有効です。先に書いたように、同じように本文を読み、同じルートで計算すると、同じ間違いのまま気付かないことは良くあります。

見直す時間に余裕があるなら、本文を別の言い方で言ってみたり、本文に区切り線を入れてもう一度図を書いたり、色々な計算の工夫から別の計算方法でやり直したり、という形でやれば、間違いを見つけられる率は上がります。

ただ、時間かかりますよね。なので、見直しには基本頼らないこと。落とす前の段階で釘をさす可能性を少しでも上げて試験会場に送り出してあげた方が良いです。


午後入試などの前にしておくと良いこと

問題のレベル差は、難問→易問ならどうってことはないけど、易問→難問だと調子が狂うことは良くあります。特に午前の方が与し易い入試になっている場合、問題文の雰囲気も含め、レベル調整をしておくことは割と大事。

オススメは、過去問の正解した問題と、不正解問題で見つけた注意事項などの見直し。思考をその学校の入試レベルに最適化しておくことが得点差を生む可能性は結構あるので、自分なりのセッティングを整えておくように働きかけてあげてください。

これは入試全般で共通ですが、過去問をやっていれば、出題形式のパターンがある程度ありますね。これに対応した一言を覚えるのもありです。

最初に計算、次は小問集合、比と速さ、図形、、、みたいな並びが多いとしたら、こういう姿の問題を見たらこう言え、ってセットを組む。計算問題なら「約数は?」とか、図形なら「まず条件の数字を全部入れる」とか「どこかに相似はない?」とか。

持っているものを全部出せれば合格点を取れる子は割といるはずなので、その中で勝つために、こういう調整をしっかりやって、その日の時点でベストの答案を出してこれるように取り組みましょう。

 

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中学受験経験者の保護者から、受験生の保護者へのメッセージ

中学受験を経験した保護者の方々から、最後のひと踏ん張りの助けになればと、今年度の受験生の保護者の方へのメッセージを頂きました。

まだ、入学して1年も経っていませんが、子供が楽しく通っている姿を見ると、この学校に入学できて、本当に良かったと思います。親としては、偏差値云々よりも、日々充実して過ごしてくれていることが、受験を経験させて良かったと心底思います。山あり、谷ありの受験生活でしたが、その結果は確実に子供は成長してくれました。途中で投げ出さず、頑張り続けるよう一番の理解者でいてあげてください。

親の中学受験に対しての方針がブレないこと、本人の受験についての適性は重要かなと思います。それらがしっかりしていれば結果はどうなろうと、後々になっても、良い経験、糧になるのではないかと思います。

子供と密に関われる大変貴重な時間です。一喜一憂せず、周りに流されることなく一日一日を大切に目標に向かって下さい。お母様の笑顔がお子様にとって何よりのはげみになります!

色々悩まれると思いますが、きっと最善の道が開かれていると思いますので、自分の直感を信じてください。

反抗期が重なったり、やる気スイッチが最後まで入らなかったり、十人十色の受験勉強かと思います。我が家は、努力する娘に親が忙しいばかりに十分なサポートがしてあげられず、娘の志望する学校へは、惜しくも合格できず、親にとっては後悔ばかりが残った受験となってしまいました。結果、親が説明会で感動して受験した学校に通っていますが、日々楽しむ娘の姿に、また温かい学校の雰囲気にどれ程救われたかわかりません。希望通りであってもそうでなくても、お子様にとって進学される学校が良い出会いとなるよう、心よりお祈り申し上げます。

母親と子どもでがんばるイメージが強いとは思いますが、積極的に父親にも手伝ってもらい乗りこえて下さい。

中学受験を通じて学ぶ楽しさや勉強の習慣がつきました。6年生の2月がゴールだと思って受験に挑むと中学入学後が辛くなるようです。実際に子供の友人が今それで苦労しております。人生の通過点だと思って行えば、とても良い経験になります。

どのような結果となっても、これまでの努力をたたえ、希望をこめて進学先へ送り出してあげて下さい。親自身が主人公となってしまわぬように、一歩ひいてお子さんを支援してほしいと思います。

入試まで成績や本人のメンタル等、一筋縄ではいかないことだらけです。それを含めて親子共々、双方の成長にとってとてもよい機会であったと実感しています。体調には気をつけてがんばって下さい。

春からお子様が楽しく学校生活を送っている姿を想像し、あと少しサポート頑張って下さい。

お子さんが受験に向けてベストを尽くせるよう、見守ってあげてください。きっとすばらしいご縁があると思います。

みなさんがそれぞれの中学受験を乗り越え、得られたものもたくさんあります。ご自分とお子さんの体調とメンタルを最優先に、もうひと踏ん張り、最後までやり抜いてください。

塾による偏差値の違い2020年度中学受験最終版(女子) 2019年12月 SAPIX/四谷大塚/日能研/市進/首都圏模試

2020年度中学受験の各塾偏差値比較の最終版です。比較対象はSAPIXが12月8日第4回合格力判定SOの80%判定偏差値、四谷大塚は12月8日実施の合不合判定テスト第6回の80偏差値、日能研が12月11日発行のR4です。

上昇校が7校増えましたが、平均上昇ポイントが0.7以上の入試数も19件と男子に比べると控えめ、3塾で上昇したのは、2/2の共立女子と2/2午後の都市大等々力S特選2回の2件。

3つの入試回で上昇したのは開智日本橋國學院久我山、都市大等々力の3校、2つの入試回で上昇したのは恵泉女学園香蘭女学校、三田国際、山手学院、大妻、日本女子大、普連土、法政第二の8校です。

男子の方でも書きましたが、偏差値が1ポイント上がったら5〜6点、ざっくり算数で1問分くらい最低点を上げるつもりでいると良いです。例えば2019年度に偏差値50で合格者最低点が180点の学校が52に上がっていたら、過去問を解く際には最低点を190点くらいと想定しておく感じですね。

偏差値帯ではやはり四谷・日能研の50〜60、SAPIX40〜50の学校が難化傾向なので、この帯の人は安全校をもうひとつ、候補に加えておくと良いでしょう。

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難化傾向

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易化傾向

背景色はその集団の中での上の上=赤、上の中+下=黄、中=緑。大体の分布はこんな感じです。

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今年の更新はこれで終了なので、最後にひとこと。大晦日も元日も、ただの1年の中の1日に過ぎません。受験直前、それも1月入試が始まる前の、落ち着いて勉強に取り組める最後の貴重な2週間に、受験もない人と同じ暦に煩わされる意味なんて一切ないので、本番1ヶ月前としてベストの行動をするだけですね。

もし「お正月も勉強漬けなんてかわいそう〜」なんて幻聴が聞こえてきたら、努力してきた子がこの時期に加点のチャンスを奪われる方がずっと残酷だと、心の中で言い返してください。暦も周りも関係なく、休むなら自分本位で、体調を整えるために休めば良いです。

良いお年を。特に受験年度の方は、最善の結果を迎えられることを祈っています。

 

aswg-tutor.hatenablog.com

塾による偏差値の違い2020年度中学受験最終版(男子) 2019年12月 SAPIX/四谷大塚/日能研/市進/首都圏模試

2020年度中学受験の各塾偏差値比較の最終版です。比較対象はSAPIXが12月8日第4回合格力判定SOの80%判定偏差値、四谷大塚は12月8日実施の合不合判定テスト第6回の80偏差値、日能研が12月11日発行のR4です。

前回の傾向でも出ていましたが、3塾の模試の平均上昇率で見ると、巣鴨はベスト4のうち3つを独占、算数午後も同率5位と、はっきり難化しています。世田谷学園も1〜3回+算数が全て上昇。平均0.7ポイント以上の上昇27入試を見ると、巣鴨と世田谷で8枠、大学付属が11枠、進学校が8枠という状況。

逆に、2つの模試で易化傾向を示したのは芝1回、聖光学院1回、筑波大駒場の3入試だけ、0.7ポイント以上も芝2回と本郷2回の2入試となっていて、全体的に難化優勢です。実際の合格最低点は問題の傾向や難易度によって変わりますが、例えば偏差値が1ポイント上がると合格最低点が5〜6点上がると考えた方が良いので、平均で2ポイント上がっている巣鴨などは20点くらい上を目安にした方が良いでしょう。

1〜2ポイントの差は、たまたまの得意不得意やミスの有無で出る数問程度の差とも言えるので、志望校を変更する必要があるとは思いませんが、偏差値帯では中の上〜上の下、SAPIX45、四谷・日能研の55前後が激戦区になりそうです。この帯の人は、安全校をもうひとつ重ねておいた方が無難でしょう。特に1月校で納得のいく学校の合格を取れなかった場合は、1月のうちに午後や後半戦の出願候補校を選定して、過去問に目を通すくらいはしておくと良いです。

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難化傾向

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易化傾向


背景色はその集団の中での上の上=赤、上の中+下=黄、中=緑。大体の分布はこんな感じです。

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中学受験生への応援メッセージ【開智中学・高等学校 中高一貫部】

開智中学の入試が始まるまで、あと2週間。企画広報部長の瀬賀亜弥子先生と、現在中学一年生の開智中学校23期生の皆さんから、もうすぐ本番を迎える受験生の皆さんへのメッセージを頂くことが出来ました。

受験に対する心構えや準備など、経験から色々なことを一生懸命に伝えてくれています。受験の先に待っている、学校生活のことも教えてくれています。是非参考にして、本番で悔いなく力を発揮してください。最後には校長先生からのメッセージも掲載しています。

 

f:id:aswg-tutor:20191227184454j:plain受験生への応援メッセージ

 


中学受験本番に向けてのイメージ作り

SO4回目や合不合6回目の結果も出揃い。1月入試までは1ヶ月を切り。過去問も進み。緊張感も高まってきた方も多いと思います。私の方も、個別対応がみっちりになってきた上に、子供がインフルAをゲットしてきて、なかなかハードな日々が続いていますが、受験生を持つ親御さんに比べればメンタル面では楽かも知れませんね。

ここからの1ヶ月半でやることは、受験当日に覚えている可能性が日々上がっていきます。新しいものに手をつけるより、出来ることを半寝でも完璧にするとか、間違ったけどわかるようになった問題を、人に説明できるくらいに仕上げる方が大事。単純な話、サピや四谷のカリキュラムが完璧に仕上がっていて合格点に足りない入試なんかほぼないと言えるので、いかに手広くやるかではなく、手持ちを完璧に仕上げることが大事です。

入試時間割に合わせたイメージトレーニン

前日からの緊張感、受験生と保護者の緊張した雰囲気、校舎の空気。様々な要素で、1時間目にちょっと躓くとパニックを起こしやすい状態です。テンパって何が何やらで終わらないためには、自分なりの集中儀式と、切り替えのスイッチを持っておくと有利なので、ここからの過去問実施の際などには本番を想定したイメージトレーニングも重ねておくと良いです。

時間配分は、過去問で覚えておきましょう。出題形式が変わって戸惑うとか、初日だから、本命だから緊張するとか、他の受験生も同じ条件のことは言い訳にしないことに決めておきます。試験中にそういうことを考えているのは、負けの言い訳を用意しているのと同じ。で?どうするの?ってことなので、結局できることに切り替えて集中再開するのが早い方が有利です。相手がどうでも関係なく、自分が闘うのは入試問題だ、という意識を固めることも必要ですね。

多くの入試では1コマ目が国語

国語の場合、先に傍線部などの漢字を片付けるか、一旦本文や設問を全て読む方が落ち着くか、タイプによって入りの形を決めておきましょう。漢字から先にかかる場合、背筋を伸ばし、鉛筆を立て、習字のようなつもりで書く、などとと決めておきます。これが自分のスイッチを入れる儀式、という気持ちで取り組むと良いでしょう。

基本的には、漢字や語彙のチェックは前夜までにして、国語の添削などで得たキーワードの把握や記述の注意点、接続語の捉え方など、自分なりの国語必勝法メモを読んでいたりする方がオススメです。

直前に見たことは割と混乱を誘うので、開始前まで漢字チェックを続けることは、オススメというほどではありません。もちろん、単語カードなどをペラペラめくることで気分が落ち着く子もいるし、絶対にダメということもないので、自分に合ったセッティングを見つけておきましょう。

算数から始まる入試もある

午後入試など、1コマ目が算数の入試もあります。多くの入試問題で最初に計算問題や小問集合があるのは、頭のウォーミングアップですが、ここで暖まる前に失点するのがもったいないので、その前に一旦、自分なりの集中儀式を入れておくと良いです。

多くの入試では、会場に入ったら筆記用具と受験票などのチェックをして、10〜15分の説明後に試験開始となることが多いので、持参した計算問題を2〜3問解く→説明を受ける→試験開始、という流れをイメージして、過去問を始める15分前に計算を2〜3問解いて始めるようにしておくと良いです。

また、特に図形問題は、どこに線が〜どの角度が〜って考えているうちに時間を失いやすい分野なので、ピンと来ない時はあとで力技で解くリストに入れるなど、自分なりのハマりを回避するルールを幾つか持っておくと良いでしょう。これは計算ルールなどの技術面ではなくて、あくまで問題の取捨選択についてのルールで、あまり多すぎても良くないので、1〜3個くらいに絞っておくと良いです。

自分なりの切り替えの呪文を持つ

テストが終わったら、次のコマに集中することも大事。今終えたコマのことはすっかり忘れて良いです。○○で取り返さなきゃとか、そういう呪文で点数が増えるなら勉強は要りませんね。そんなのどうでも良いので、自分の出来ることを全部置いてくることに集中しましょう。

具体的な台詞はなんでも良いです。例えば国算理社なら、国語のあとは「次は算数〜注意点の見直しと計算」「次は理科〜月と地層を見ておこう」といった感じで、次のコマに意識を集中して備える言葉や歌を持っておくと良いでしょう。

どんぐり6割

本番で緊張するのはみんな一緒。例えば3倍の入試なら、教室の66%はサヨナラ、残りの22%くらいがどんぐり。自分が判定50%前後のボーダー層だとしても、ざっと9割は自分と同等以下です。ギリギリなのもプレッシャーも同じなので、それで自分だけ不利ってこともない。全部書ききれば、合格点くらい取れるんじゃね?くらいのセッティングで、やってきたことを全部置いてくるのが最強です。

それでもなんか変だと思った時には、一回力んでから肩の力を抜いて手を緩め、呼吸を楽にしてみるなど、一定の決まりごとを持っておくと良いですね。当日着用予定の腹巻にメッセージを刺繍したり、お守りを入れるスペースを付けておいて、そこに手を当てて深呼吸などの形を決めておくのも良いです。

胸→みぞおち→おへそ→へその下の順に、一呼吸ずつ手を下げていきながら呼吸を数えたりする方法では、カウントごとに、お母さんとか先生とか、思い浮かべる人とか場面を決めておくのも良いです。

目を閉じてお気に入りの動画を脳内再生するのもアリ。特にアニメや映画などのストーリーもので、台詞まで丸覚えしているものを追うような思考は、国語のウォーミングアップにも効きます。自分の緊張を把握して、その上で笑う練習をしておくと力を発揮しやすくなるので、お子さんのタイプに合わせて、コントロールする方法を一緒に考えておきましょう。

集中のコントロールを心がける

基本的に、集中力が高まる順番は、①程よい難度で手応えのある問題を解いている時>②どうしても解きたいと粘っている時>③軽い問題をこなしている時>④手も足も出ない時。勉強するときは、これらをうまく組み合わせて集中をコントロールして使うことが大事ですし、テストでミスを避けるためのセッティングもそれぞれ異なります。

②の粘りは、入試では時間配分や疲労から見てマイナスになることもある諸刃の剣。お子さんの答案を見て、出来ない問題で時間を使い果たした様子が見える場合は、どこで見切りをつけて次に行くラインや手段を持たせてあげた方が良いです。出来ない、わからないを批判されてやってきた子は囚われやすいので、そういう傾向があるなら残り期間でリハビリ。見切って次に行くことや、わからない問題があることに罪悪感や敗北感を持たせないことが大事です。

③の軽い問題、これはいわゆるケアレスミスとも繋がっていることが多いですね。やらかすパターンは似通っているし、言葉責めは役に立たないので、どんなセッティングやルールを持ち込めばちょうど良い負荷になるのか、いろいろ試してみましょう。

④も意外と大事で、頭に手がかりがないと闘える気がしないので、心でどんなに強制しても集中できません。これは以前の記事でも書いた前提知識などとも関連しますが、わからないのに集中しろって言うのは能力も意欲も削った上で時間も奪うのに適した方法です。

さっきやったじゃない!思い出しなさい!とかもあんまり。念力のトレーニングなら良いけど、学力なら意味ない。学力を鍛えるなら、その子の努力を一段分に調整して頑張らせることが大事なので、集中が足りないように感じたら、特に注意してください。入試でも、本当に無理な問題を考えるくらいなら、できた問題の完璧仕上げとか休憩に使った方がマシです。

それと、自分だけ安全地帯に逃げるのもナシ。「あなたはここぞって時に弱い」「いつも大事なところで頑張れない」とかね。要らんでしょう。実績なくても良いから「ここって時には頑張るよね」「本気出すと強いよね」。自分の願望はまっすぐ言葉に乗せましょう。捻らない。

負けて嘘つきって言われたら?「まだあなたの本番じゃないんでしょ」とか「ごめ〜ん、親バカで」くらいで良いんじゃないですかね。勝負は勝ち負け半々が基本だし、結局は本人次第なんで、外れたくらい仕方ないでしょう。マイナスの言葉を与えるより、ずっと良いです。

 

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