偏差値60の壁なんてない

中学受験のサポート歴20年以上の経験から、心構えや考え方を公開します。

中学受験本番に向けてのイメージ作り

SO4回目や合不合6回目の結果も出揃い。1月入試までは1ヶ月を切り。過去問も進み。緊張感も高まってきた方も多いと思います。私の方も、個別対応がみっちりになってきた上に、子供がインフルAをゲットしてきて、なかなかハードな日々が続いていますが、受験生を持つ親御さんに比べればメンタル面では楽かも知れませんね。

ここからの1ヶ月半でやることは、受験当日に覚えている可能性が日々上がっていきます。新しいものに手をつけるより、出来ることを半寝でも完璧にするとか、間違ったけどわかるようになった問題を、人に説明できるくらいに仕上げる方が大事。単純な話、サピや四谷のカリキュラムが完璧に仕上がっていて合格点に足りない入試なんかほぼないと言えるので、いかに手広くやるかではなく、手持ちを完璧に仕上げることが大事です。

入試時間割に合わせたイメージトレーニン

前日からの緊張感、受験生と保護者の緊張した雰囲気、校舎の空気。様々な要素で、1時間目にちょっと躓くとパニックを起こしやすい状態です。テンパって何が何やらで終わらないためには、自分なりの集中儀式と、切り替えのスイッチを持っておくと有利なので、ここからの過去問実施の際などには本番を想定したイメージトレーニングも重ねておくと良いです。

時間配分は、過去問で覚えておきましょう。出題形式が変わって戸惑うとか、初日だから、本命だから緊張するとか、他の受験生も同じ条件のことは言い訳にしないことに決めておきます。試験中にそういうことを考えているのは、負けの言い訳を用意しているのと同じ。で?どうするの?ってことなので、結局できることに切り替えて集中再開するのが早い方が有利です。相手がどうでも関係なく、自分が闘うのは入試問題だ、という意識を固めることも必要ですね。

多くの入試では1コマ目が国語

国語の場合、先に傍線部などの漢字を片付けるか、一旦本文や設問を全て読む方が落ち着くか、タイプによって入りの形を決めておきましょう。漢字から先にかかる場合、背筋を伸ばし、鉛筆を立て、習字のようなつもりで書く、などとと決めておきます。これが自分のスイッチを入れる儀式、という気持ちで取り組むと良いでしょう。

基本的には、漢字や語彙のチェックは前夜までにして、国語の添削などで得たキーワードの把握や記述の注意点、接続語の捉え方など、自分なりの国語必勝法メモを読んでいたりする方がオススメです。

直前に見たことは割と混乱を誘うので、開始前まで漢字チェックを続けることは、オススメというほどではありません。もちろん、単語カードなどをペラペラめくることで気分が落ち着く子もいるし、絶対にダメということもないので、自分に合ったセッティングを見つけておきましょう。

算数から始まる入試もある

午後入試など、1コマ目が算数の入試もあります。多くの入試問題で最初に計算問題や小問集合があるのは、頭のウォーミングアップですが、ここで暖まる前に失点するのがもったいないので、その前に一旦、自分なりの集中儀式を入れておくと良いです。

多くの入試では、会場に入ったら筆記用具と受験票などのチェックをして、10〜15分の説明後に試験開始となることが多いので、持参した計算問題を2〜3問解く→説明を受ける→試験開始、という流れをイメージして、過去問を始める15分前に計算を2〜3問解いて始めるようにしておくと良いです。

また、特に図形問題は、どこに線が〜どの角度が〜って考えているうちに時間を失いやすい分野なので、ピンと来ない時はあとで力技で解くリストに入れるなど、自分なりのハマりを回避するルールを幾つか持っておくと良いでしょう。これは計算ルールなどの技術面ではなくて、あくまで問題の取捨選択についてのルールで、あまり多すぎても良くないので、1〜3個くらいに絞っておくと良いです。

自分なりの切り替えの呪文を持つ

テストが終わったら、次のコマに集中することも大事。今終えたコマのことはすっかり忘れて良いです。○○で取り返さなきゃとか、そういう呪文で点数が増えるなら勉強は要りませんね。そんなのどうでも良いので、自分の出来ることを全部置いてくることに集中しましょう。

具体的な台詞はなんでも良いです。例えば国算理社なら、国語のあとは「次は算数〜注意点の見直しと計算」「次は理科〜月と地層を見ておこう」といった感じで、次のコマに意識を集中して備える言葉や歌を持っておくと良いでしょう。

どんぐり6割

本番で緊張するのはみんな一緒。例えば3倍の入試なら、教室の66%はサヨナラ、残りの22%くらいがどんぐり。自分が判定50%前後のボーダー層だとしても、ざっと9割は自分と同等以下です。ギリギリなのもプレッシャーも同じなので、それで自分だけ不利ってこともない。全部書ききれば、合格点くらい取れるんじゃね?くらいのセッティングで、やってきたことを全部置いてくるのが最強です。

それでもなんか変だと思った時には、一回力んでから肩の力を抜いて手を緩め、呼吸を楽にしてみるなど、一定の決まりごとを持っておくと良いですね。当日着用予定の腹巻にメッセージを刺繍したり、お守りを入れるスペースを付けておいて、そこに手を当てて深呼吸などの形を決めておくのも良いです。

胸→みぞおち→おへそ→へその下の順に、一呼吸ずつ手を下げていきながら呼吸を数えたりする方法では、カウントごとに、お母さんとか先生とか、思い浮かべる人とか場面を決めておくのも良いです。

目を閉じてお気に入りの動画を脳内再生するのもアリ。特にアニメや映画などのストーリーもので、台詞まで丸覚えしているものを追うような思考は、国語のウォーミングアップにも効きます。自分の緊張を把握して、その上で笑う練習をしておくと力を発揮しやすくなるので、お子さんのタイプに合わせて、コントロールする方法を一緒に考えておきましょう。

集中のコントロールを心がける

基本的に、集中力が高まる順番は、①程よい難度で手応えのある問題を解いている時>②どうしても解きたいと粘っている時>③軽い問題をこなしている時>④手も足も出ない時。勉強するときは、これらをうまく組み合わせて集中をコントロールして使うことが大事ですし、テストでミスを避けるためのセッティングもそれぞれ異なります。

②の粘りは、入試では時間配分や疲労から見てマイナスになることもある諸刃の剣。お子さんの答案を見て、出来ない問題で時間を使い果たした様子が見える場合は、どこで見切りをつけて次に行くラインや手段を持たせてあげた方が良いです。出来ない、わからないを批判されてやってきた子は囚われやすいので、そういう傾向があるなら残り期間でリハビリ。見切って次に行くことや、わからない問題があることに罪悪感や敗北感を持たせないことが大事です。

③の軽い問題、これはいわゆるケアレスミスとも繋がっていることが多いですね。やらかすパターンは似通っているし、言葉責めは役に立たないので、どんなセッティングやルールを持ち込めばちょうど良い負荷になるのか、いろいろ試してみましょう。

④も意外と大事で、頭に手がかりがないと闘える気がしないので、心でどんなに強制しても集中できません。これは以前の記事でも書いた前提知識などとも関連しますが、わからないのに集中しろって言うのは能力も意欲も削った上で時間も奪うのに適した方法です。

さっきやったじゃない!思い出しなさい!とかもあんまり。念力のトレーニングなら良いけど、学力なら意味ない。学力を鍛えるなら、その子の努力を一段分に調整して頑張らせることが大事なので、集中が足りないように感じたら、特に注意してください。入試でも、本当に無理な問題を考えるくらいなら、できた問題の完璧仕上げとか休憩に使った方がマシです。

それと、自分だけ安全地帯に逃げるのもナシ。「あなたはここぞって時に弱い」「いつも大事なところで頑張れない」とかね。要らんでしょう。実績なくても良いから「ここって時には頑張るよね」「本気出すと強いよね」。自分の願望はまっすぐ言葉に乗せましょう。捻らない。

負けて嘘つきって言われたら?「まだあなたの本番じゃないんでしょ」とか「ごめ〜ん、親バカで」くらいで良いんじゃないですかね。勝負は勝ち負け半々が基本だし、結局は本人次第なんで、外れたくらい仕方ないでしょう。マイナスの言葉を与えるより、ずっと良いです。

 

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