偏差値60の壁なんてない

中学受験のサポート歴20年以上の経験から、心構えや考え方を公開します。

80%偏差値が通過点の理由

以前の記事でも触れたように、合否80%判定と前年までの合格者平均偏差値はかなり近い設定になっています。そして、合格者平均偏差値は「その学校に行った子の中に入ると普通」ということでもあります。実際は一部が抜けるので、入学者の平均は50〜70%の間、学校によっては上位層がごっそり抜けて、入学者の平均は50偏差値弱のところもありますが。

受験前は、学校の進学実績やブランドに目が行く人も多いようですが、大事なのは6年間を過ごす学校での生活です。大学受験だけを考えるなら普通の中高から塾でがっつり勉強でも良いのに、わざわざ中学受験を突破して高い学費を払うのは、学校の授業や同級生のレベルが自分に合っていることに価値があるからだと思います。

合格者の平均に届いていないということは、その子達と比べると努力か地頭が足りないということです。もちろん、始めたのがすごく遅かったり、自分が一番下の環境で刺激を受けて奮起するケースもあるでしょうが、そうならないケースの方がずっと多いのが現実です。小学校では真ん中より上の層だった子が、ビリの状態で喜びを感じることは、多くないでしょう。

ですから、その学校に行く子は普通これくらい出来るまでやってるよ、という成績の目安が80%偏差値で、それを取るまで勉強するのが第一段階。その努力をしてから、その学校に入るために過去問などの対策をする第二段階もきっちり仕上げ、合格を勝ち取るという取り組みが良いと思っています。

実際の受験時には50前後の判定でも勝算を持てるように、過去問対策なんかで仕上げることは珍しくありませんが、それは6年の9〜11月まで行ってからの話。そこまでは、まずは集団の中で上位に行く努力、競争をうまく使って、全体的な学力の底上げを狙ったほうが良いです。