偏差値60の壁なんてない

中学受験のサポート歴20年以上の経験から、心構えや考え方を公開します。

地力の向上(3-2)社会と理科(生物地学)

先の記事で書いたように、記憶は入れ方、出し方の工夫で訓練することが出来ます。入試の時に正確に使えるかどうかは、11月〜1月の最後の3ヶ月の比重が最も大きいので、算国が志望校の偏差値レベルに届いていない場合は、社会と理科(生物地学)は夏までは週テスト直前の一夜漬けでも構わないと割り切り、算国に力を入れることをおすすめします。

あくまで算国で目標レベルに届いている場合に、少し時間を使って記憶系の学習効率を上げるためのトレーニング法と考えてください。地力アップのためには、精読と書き出しの訓練をすることで、暗記系科目の学習効率自体が上がることと、知識をしっかり定着させることの両方を狙っていきます。

このパターンに慣れるまでは、特に最初のうちは初日二日目にかなりの時間がかかります。通塾して宿題がある場合や、他の習い事を続けている場合は時間が不足しがちなので、適宜調整してあげてください。

例えば授業のある塾なら帰宅後に何も見ないでノートに書き出すようにしたり、宿題をチェック代わりに活用したり、という工夫も必要です。無理に週テストに合わせず、休みの日だけ少しづつやっていくなどの方法でも良いです。

使用テキストは予習シリーズで、週テストの範囲に重ねてやっていくことを想定しています。

「読む、書き出す、補強する」の回転

まず、週テストが土曜日の場合、土曜の夜に一度音読します。翌日もう1〜2回読んで、その後教師になって板書で説明するつもりで、テキストは見ずに口に出しながらコピー用紙などに内容を書かせます。写真や図やグラフがある場合はその内容についても書かせ、年号や名称などポイントだと思うことを丸で囲ったり、必要に応じて相関図や一覧を書いたりするようにします。

分量は概ねテキストの1ページ分で区切りますが、最初はページ半分くらいから始めても良いです。一旦頭に入れてすぐに出すことに慣れないうちは、内容の半分も正確に書けなかったりしますが、ここでは気にしません。漢字が書けない場合はひらがなでも書くようにして、後で消さず横に漢字を書きます。

正確に頭に入れるつもりで流れを把握したり、用語に注意を払いながら読む力がつくと、学習効率がとても良くなるので、その練習だと思ってください。全体像を掴んでから細部を詰めていく流れを身につけることにもつながります。

終わったらテキストを参照しながら、オレンジの細いボールペンで漏れている言葉や項目を追加したり、間違った漢字を正しく書いたりして、次のページに進みます。消しゴムは使わずに書き足すようにして下さい。これを範囲全体でやり、寝る前に読み直して日曜日は終了。慣れるまではこれで4〜5時間かかる子が多いです。親は、漢字の間違いや漏れなどのポイントを赤ボールペンで書き足しておきます。

月曜の朝は前日作ったものを読み返してから学校に行き、帰宅後にテキストと書き出したものを読み返したら、もう一度何も見ないで、今度はノートの左ページに口に出しながら書きます。この時、可能なら親が生徒役をやり、テキストを見ながら子供の授業を受ける形で進めて行くと良いです。

その後、再度漏れやポイントになる図表などを右ページに書き足し、ノートを完成させます。これを読んで、月曜日は終了。火曜の朝も読み、夜には要点チェックと演習問題集をテストします。コピーしたものに直接書き込ませる形でのテストが便利です。

解答は1問平均20秒程度でどんどん書いていきます。一生懸命思い出すのは無駄なので、即座に出てこなければ飛ばして、後で書き足すことを徹底させて下さい。余力があれば応用演習や週テスト問題集を併用しても良いです。

採点したら、間違いをノートに書き足すのと同時に、間違った問題の答えだけを書いた単語カードのようなものを作ったり、コピー用紙に大きく書いたりしても良いでしょう。

この時点でほぼ満点なら、あとは週テスト前日にノートの読み返しと問題集プリントのやり直し→当日の読み返しで上位の成績が取れると思いますが、覚えることが多い場合は、読み返しの回数を増やしたり、覚えにくい言葉だけ朝書くテストをするように取り組みます。

週テストでひと区切りしたら、次の週テストの後に応用演習や週テスト問題集をやってみて、不正解をノートに書き足します。こうやって作ったノートを、移動中や休み時間などに読む習慣をつけると、模試などでも高得点を取れるようになります。ノートの完成後は、SAPIX白地図や年表と組み合わせて、知識量を増やしたり、多角的に見る意識を持つと良いでしょう。

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週テストに合わせた記憶系強化スケジュール

本文の丸写しのような書き方より箇条書きやキーワードの羅列が良いとか、流れはすぐ頭に入るけど地名や年号が全然入らないなど、どうやったら頭に入れて出せるか、効率良く出来るかを工夫しながら、自分なりに最適な覚え方を身につけさせます。部分年表やフォローチャートを書いたりする方法を適宜教えていくと吸収も早いです。

ポイントは、まず読んでから何も見ないで書き出すことを2回やって、質の高い読み方を身につけること。最初に一周したらその後何日か継続して、読み返しを何周か繰り返すこと。チェックして弱いところに注目し、それを完璧に覚えるように仕上げること。

こうしてきっちり作った記憶の土台とノートは、受験まで繰り返し参照することでより強化されていきます。繰り返しになりますが、これはかなり時間がかかるので、算数などが疎かにならないようにバランスを取ってあげてください。

このパターンで進めていくと、読みの質が上がり、自分が覚えているかどうかの体感も正確になっていくので、少しづつでも進めると良いです。また、週テストなどで高得点を取っても、暫く経つと間違う問題も出てきますので、定期的な読み直しやチェックを継続していくことが大事です。