偏差値60の壁なんてない

中学受験のサポート歴20年以上の経験から、心構えや考え方を公開します。

偏差値の考え方その2 合格判定の中身

偏差値と合否の関係についての理解が違うように感じることも多くあります。80%やA判定、学校の難易度などですね。

まず、良くある合格可能性80%は前年合格者の平均偏差値より少し上あたり、20%の方は前年合格者の最小偏差値と同じか少し下にベースを設定されます。ここに志望者数増減などを加味して出しているだけのものなので、80%と言っても5回受ければ4回受かるというような性質はそもそも備えていません。

つまり、その学校に前年に合格した子が5人いたとして、持ち偏差値が53/56/58/60/62だった場合、この学校の合格可能性80%は58くらい、合格可能性20%は52あたりに設定されるわけですね。でも、実際には落ちた子も5人いて、43/48/52/55/58だったりすることもあるわけです。

強いて言えば、同じ偏差値の受験生が100人受けたら80人/20人くらい受かっただろう、という程度の内容ですが、偏差値を出している全ての学校に各偏差値の受験生を100人以上送り込んでいるわけでもありません。むしろ、在籍受験者が数人や数十人の学校もたくさんあるわけで、その少ないサンプルからでも無理やり偏差値一覧に押し込んでいるわけです。

この程度で信頼性を語れるなら、私が指導したうち数人は第二志望、残りは第一志望に進学していますから「私が教えれば第二志望までに100%合格します!第一志望合格率も90%以上!」なんて事になりますが、そんな大言壮語は出来ません。それこそ3人指導の3人合格で100%と言っても「嘘」ではありませんが、100人指導して70人合格の70%の方が信頼性は高いと思います。

更に、合格者偏差値自体が年間6回の平均(四谷の合不合の場合)なので、同じ50でも6回とも48〜52の子と、前半平均45で後半平均55の子、前4回の平均が45で残り2回の平均が60の子では受験当日での力量は全く異なります。

ですから、あくまで偏差値はその模試を受けた層の中での相対的な位置で、判定も前年の合格者の偏差値と比べてどうかという目安にしか使えません。各校の入試は、全体向けの模試とは内容も配点も受験者層も異なり、当日の個々の実力も1年の平均偏差値とは乖離がある層が一定数いるという条件なので、偏差値だけ見ても信頼性は薄いです。