偏差値60の壁なんてない

中学受験のサポート歴20年以上の経験から、心構えや考え方を公開します。

新中1と新小6の方へ

新中1の方へ

強いプレッシャーのかかった受験が終わり、目標が見えにくくなる感覚を味わったりする時期ですね。今の時期から通塾を始める方もいると思いますが、通塾自体はどちらでも構いません。勉強のペースを完全に失う事さえなければ、必要に応じて塾を選べば良いだけです。

何度か書いていることですが、小4〜高3までの9年間を中学受験の3年間に置き換えれば、中学受験が終了した今は小4の終わりの組分けの段階に過ぎません。サピだろうが地元塾だろうが、最上位クラスだろうが普通クラスだろうが、まだ何も決まっていない段階ですね。この時期に学習習慣を捨ててしまうのは本当にもったいないので、何かしらの意図を持って毎日数時間の勉強は継続するようにしましょう。

 

独学で英語の準備を進める場合

この時期には英語の基本的なことに馴染んでおくことを最優先にすると良いです。授業が始まるまで50日ほどあるので、有効に使いましょう。毎日1時間でも50時間、2時間なら100時間の準備ができます。

もちろん、英語塾に通ったり、英検取得に向けた勉強や基礎英語などに取り組んだり、教科書ガイドで先取り学習するのも良いですが、あまりプレッシャーをかけずに独学で進める場合は、発音の練習と基本的な動詞の暗記、教科書例文の並べ替えなどをやっておくと良いです。

発音は、英語耳やフォニクスの利用がオススメ。まずは英語の音を聞き取り、その音を真似する意識を持つことが有効です。これは最初の一週間くらいで一周きっちりやったら、後は毎日リピートして慣らしていくと良いでしょう。

 

 

動詞は原形、現在分詞、過去形、過去分詞、三単現の変化と複数の意味を覚えておくと良いです。動詞の変化を知って、とにかく動詞はこう使う、といったイメージを持っておくと文法の理解が早いので、中1レベルの50語程度は頭に入れるようにしましょう。

余裕があれば、それぞれの時制で例文をひとつ暗唱しておくとなお良いです。例文暗唱を入れると負荷が格段に上がるので、本人の意欲を損なうことがないように様子を見ながら進めましょう。

教科書例文の並べ替えは、言葉通り教科書に載っている例文を単語カードなどに書き、日本語を見て並べ換えるだけの遊びです。カードを用意したら、教科書を通読し、並べ替えに挑戦。やっているうちに感覚を覚えていくので、いきなりで構いません。カードは、名詞は黒、動詞は赤などに色分けして書いていくとより効果的です。

数学もなるべく先取りで

難関国立や難関理系に進みたい場合は、数学の先取りの習慣はかなり重要な差になります。勉強は何周やっても良いですし、入学までに1年の教科書を終える程度なら大した量ではないので、消化ページ数を決めて毎日続けると良いです。

理解度や得点に強くこだわる必要はありませんが、例題や基本問題とされているものは容易に正答出来る程度にはしておきましょう。一周目は本文と基本問題のみに絞る形などでも良いです。教科書の本文は良く吟味されているので、本文をしっかり読む習慣をつけておくことも大切です。

 

新小6の方へ

塾のカリキュラムをこなし、週テストや模試などでの順位争いだけに意識が向いていると、間違った問題の分析や弱点の補強、志望校に合う実力の養成が足りなくなりがちです。志望校の過去問を使っての演習などは夏以降に確保できるので、それ以外の部分での実力養成を心がけるようにしましょう。時間配分は状況によりますが、なるべく1〜2割は塾の進行とは別枠で自分用の調整時間を持つようにした方が良いです。

 

難関上位校を目指している場合

御三家や同等クラスを目指している子に伴走する場合は、過去問の傾向とレベルを把握しておくと良いです。特に算国は、それぞれの傾向に合わせた実力養成を意識しはじめておくと良いでしょう。

併願校も出題傾向や雰囲気の近い学校を中心に選ぶと有利なので、志望校の傾向を調べる→傾向の似た併願候補を調べる→学校説明会や文化祭などの機会に併願校もきっちり見ておく、という流れが理想的。また、第二志望と言えるような併願校が複数あるのが好ましいので、併願候補自体は3〜5校は選ぶようにしましょう。偏差値や日程だけでなく、出題傾向と校風を重視しておくのがお薦めです。

 

細部と難問対応力の向上

四谷63以上くらいの子は、基本的なことはほぼ出来るので、ここからは細部の仕上げと難問に対する取り組みで差がついてきます。

算数は、ミスの原因を詰めて改善方法を考えること、複数の解法を考えるクセをつけることの二つは重要です。書き方や思考のクセがミスを誘発していることは多いので、「注意する」などでなく、具体的に何をどうやってミスを回避するのかの手順を習慣として磨いていくことが大事です。

解法については、解答に載っている以外のルートで解いて、どちらでも正答まで書き上げる、などのトレーニングが有効です。数字のみ、線分のみ、ベン図や面積図、天秤を利用して、など複数の解き方で取り組み、書くスペースや時間、計算の複雑さなどを見返すと良いでしょう。平面図形なら別の場所の角度や計算順序で解いたり、立体なら投影図のみで解いてみる、なども有効です。

似たような問題をいつも同じ解き方で解く癖がついていると、そこに仕掛けのある問題では詰まる上に時間も使いやすいので、どの解き方が楽かを考えて始めたり、詰まったら方針変更を苦にしないように習慣づけしておくと良いです。特に難問である必要はなく、過去問で言えば偏差値55以上くらいの学校の問題で良いので、色々と試してみてください。

模試や週テストなどの不正解問題のやり直しは、あまりに正答率の高い問題を取りこぼしている場合は別ですが、基本的には正答率には固執せず、どうやって希望順位までの得点をとるかを考え、自分の取る問題を選んだらそこを突き詰めること。

国語の速読力と文意把握や記述力はこの時期から磨いておく方が有利です。男子なら女子上位校、女子なら男子上位校の過去問などから、文字数の近い素材でトレーニングすると良いでしょう。週1回、大問ひとつなどでも良いので、夏までに積み上げていくようにすると有利です。個別などに通っている場合は、可能なら添削と解き方の指導を受けると良いです。

 

希望の立ち位置にいない場合

夏前までに、5年のテストやテキストの総復習を入れましょう。5年の模試で偏差値55くらいの得点に必要な問題を抽出し、その問題を正答するのに必要なことをやり直すことが大事です。簡単な問題を簡単に解いて間違わないという技術が身についていると後々すごく有利になるので、丁寧に仕上げていきましょう。5ヶ月で何をどう進めるか、しっかり穴の埋まる計画を立てることが重要です。

漢字、語彙のトレーニングが不十分な人は、4月までに習慣化することにも取り組んでください。毎日15分でも良いので、欠かさず周回していくことはとても大事です。社会の用語なども含め、毎日これをやる、という積み重ねと正誤のチェック、不正解分の繰り返しは欠かさないようにしましょう。

社会用語の漢字チェックシートを載せておくので、必要な方はプリントしてお使いください。見本はこんな感じです。

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あくまで漢字チェックですが、用語カバー率もそこそこあるので、正解して周回から外す時などに内容の簡潔な説明も出来るようにしておくと良いです。