偏差値60の壁なんてない

中学受験のサポート歴20年以上の経験から、心構えや考え方を公開します。

複数の解法について

昨日の記事がちょっとわかりにくいと感じた方もいらしたので、例題を2つ挙げてみます。

例題1

高さ60cm、幅100cmの長方形ABCDがあり、点Aから射出された球が反射して点Pに届く。点Pの位置は辺BCから20cm、辺CDから60cm。BE間の長さを求めよ。

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で、下図のように長方形を反転させた図を繋げていって直線と考え〜みたいな方法だけしか使わないクセがついていると、反射回数が多い問題の時には書くのも面倒、スペースがないと苦労して時間もかかります。

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で、上下の辺にタッチしている回数を数えてみると3回なので、縦の移動距離は60×3+20=200cmとわかります。

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左右の辺にタッチしている回数が2回なので、横の移動距離は100×2+(100-60)=240cmですね。

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縦:横=5:6=AB:BEなので、BE=60÷5×6=72cm。という感じに考えると、30秒くらいで出来て苦労もしませんね。

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補足:上下の移動距離、左右の移動距離をカウントしたものを比が等しい三角形で考えているので、図にするとこんな感じです。

例題2

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こんな形の問題も、全て通分して計算すると、数の個数が多くなるほど大変になります。でも、最初の組み合わせを見ると前の数字の半分を引いて残りが半分になり、次も同様に前の数字の半分を引いて残りが半分、の繰り返しと気付けば、最後に引いた数=答えになるとわかるので、計算しなくて良いですね。

2の倍数の分母が続いている限り、最後の数字を書くだけでOKです。1024分の1だろうが、2048分の1だろうが、計算しないで済む。この問題は規則性の問題ですが、なんでも通分&計算してしまうクセで計算問題に見えてしまうと、却って時間を使ってしまうわけですね。

色々考えて楽をする

これらの方法を、こっちが正しい!って覚えるのではなくて、両方を使える、試せるような気楽さが大事です。ほとんどの問題で簡単な方法と複雑な方法があることや、途中式でもより簡単に出来る場合もあることを常に意識しておくと、パッと見で思いつく方法で解けない時に次の手を試すのも気楽に出来るし、より安全で早い方法で解くことも出来ます。

食塩水の濃さなら面積図でも天秤算でも数字だけでも解けるとか、人数や平均点でもはみ出す部分だけ考える方が早いとか、図形の等積変形や移動なんかでも正解までのルートが複数あることは多いです。

特に、解答解説を見ながらの解き直しは、正解を知っているからこそルートを精査することもやりやすくなります。昨日も書いたように、超難問ではなく、ほどほどの難度の問題で色々と考える練習をしておくと、初見の難問でも幾つか試す武器を持てるので、上位校の入試で有利に闘うためには練習しておくと良いでしょう。