偏差値60の壁なんてない

中学受験のサポート歴20年以上の経験から、心構えや考え方を公開します。

高校受験校と中学受験校の比較

中学受験と高校受験。それぞれのメリットデメリット、「中学受験なんかしなくても、日比谷とか西とか良い高校はあるのに〜」とか、「高校受験は内申があるから〜」とかいろいろありますね。

それぞれの楽しさや厳しさがあり、進んだ先でどんな出会いがあるかは運次第、どう過ごすかは自分次第ですが、今回は高校受験の入口や大学進学などについての比較記事を書いてみました。前提知識としてどうぞ。

 

一都三県の高校偏差値

こちらでは高校受験校を「みんなの高校」偏差値順に並べています。この偏差値は対象のテストが明確でなく、数値的に微妙なところもありますが、今回はほぼ全ての高校をカバーしている網羅性の高さで採用しています。大まかな位置関係を把握するイメージですね。

対象は一都三県の915校・1712科ですが、記事中の画像では偏差値60以上の高校を掲載しています。各科ごとの偏差値も記載している全915校の一覧をご覧になりたいかたは [一覧PDF] をどうぞ。

各校の最高偏差値順に並べていますが、同じ高校内でも科・コースによる差が大きいところがあります。例えば最高偏差値70の17校中13校は差がありませんが、春日部共栄は7、市立浦和は10、淑徳は13、薬園台は26ポイントの開きがあります。

学校全体としての合格率を見る場合にも影響がありますが、各コースごとの合格実績を出しているケースは稀なので、基本的に学校全体での合格率になっています。なお、併設型一貫校でも中学入学組と高校入学組で結果を公表している横浜市立南は合格実績では分けて掲載しています。

 

偏差値71以上

まず最初は偏差値71以上。学校数では上位45校、中学校の1クラス30人あたり1位だと狙えるイメージですね。地域差が大きく、ある中学校からはクラス2〜3位でも行けるし、別の中学校ではトップでも厳しいようなこともありますが、一都三県内のおおまかなイメージとしてご覧ください。

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偏差値69以上

次は偏差値69以上、クラス2〜3位だとこのあたりを目指せます。

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偏差値65以上

偏差値67以上になると上位1割を超え、クラスの4位くらい。65以上でクラス5位相当ですね。

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偏差値60以上

偏差値60までで上位282校、クラス9位相当。

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各都県の公立校の募集人数

国私立と各都県の公立では入試形式や越境も異なるので、今度は各都県の公立校の募集人数で比率を出してみます。

 

東京都の公立校募集人数

まずは東京都、よく名前の挙がる日比谷、西、国立はクラストップレベルで、偏差値60以上はクラス7位くらいですね。

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神奈川県の公立校募集人数

神奈川でも翠嵐、湘南、柏陽はクラス1位レベル。偏差値60以上は神奈川、千葉、埼玉ともクラス8位相当です。

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千葉県の公立校募集人数

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埼玉県の公立校募集人数

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中学受験偏差値と高校受験偏差値の比較

こちらでは併設型一貫校の中学偏差値(首都圏模試)と高校偏差値(みんなの高校)で並べています。

高校でもSAPIX駿台、進研などの模試がありますが、全ての層の学力を見る偏差値はありません。学力差が大きい集団で上3分の1くらいの層の実力差を測る問題を作ると、下3分の1の層は得点することが難しく差がつきません。逆に下3分の1の中で差ができるような問題では上3分の1はほぼ満点になるため、全ての層の学力を測定するのはとても難しいわけですね。

ですから、実際に受験校を検討する際には、例えば中学受験の上位層ならSAPIX、中上位層なら四谷日能研、中下位層なら首都圏模試で力を見るのが適切ということになります。

こちらの表では、同じ学校でも入試が異なるので単純換算はできませんが、帯で平均を見ると首都圏模試65以上では同じ70、55〜64では首都圏模試60に対しみんなの高校は64と4ポイント差、54以下では47と60で13ポイント差になります。

これは、みんなの高校の50以下では就職メインの学校が増えるのに対し、首都圏模試では35〜40でも大学進学を前提としている学校が多く、層が異なるためです。ざっくりとした分布を見るものとしてご覧ください。

 

首都圏模試65以上

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首都圏模試55〜64

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首都圏模試54以下

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高校受験校・併設型一貫校・完全一貫校の大学合格実績

ここからは各校の大学合格実績を入試種別ごとに並べてみます。まずは東京一工国公医への合格率で、1クラス40人あたりの人数で区切ります。

東京一工国公医クラス10人以上

学校数では高校入試校3:併設型一貫校4:完全一貫校14で、高校入試校からは日比谷、浦和、翠嵐が入りました。

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東京一工国公医クラス5〜9人

ここには33校が入り、高校入試校7:併設型一貫校17:完全一貫校16です。高校入試校は70〜73で、中学校でクラス1,2を争えるレベルの子が狙える進学先ですね。

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東京一工国公医クラス2〜4人

この層の高校入試校は68〜72。中学のクラス2〜4位相当ですから、まだ入りやすいとは言い難いですね。44校中、高校入試校11:併設型一貫校8:完全一貫校25です。

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東京一工国公医クラス1人

別記事では出していない、東京一工医にクラスから1人は行くかな、という学校群。全61校で、高校入試校24:併設型一貫校21:完全一貫校16となっています。

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次は難関国公立への合格率で、集計対象は以下の大学です。特に有力国公立枠では入試が難しい大学を全てカバーできているわけではありませんが、一都三県の高校からの進学先として候補に挙がりやすい大学を選んでいます。

北海道・東北・名古屋・大阪・九州・神戸

筑波・千葉・お茶の水・電気通信・医科歯科・東京外語・東京海洋・東京学芸・東京藝術・東京農工・横浜国立・東京都立・横浜市

国際教養・名古屋市立・大阪公立・神戸外語・京都工繊・名古屋工・広島・奈良女子・埼玉

 

難関国公立クラス20人以上

クラス20人以上には19校が入り、高校入試校9:併設型一貫校4:完全一貫校6となりました。

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難関国公立クラス15〜19人

ここは31校、高校入試校7:併設型一貫校9:完全一貫校15です。横浜市立南の中学入学組はここに入っていますね。

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難関国公立クラス10〜14人

ここは35校で、高校入試校15:併設型一貫校4:完全一貫校16。高校入試校からは、東京一工医には届かなくても堅実に良い国公立大学に進学する層が多いですね。

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難関国公立クラス7〜9人

ここには高校入試校18:併設型一貫校8:完全一貫校12の38校が並び、64,65の高校も入ってきます。中学でクラス5〜6位くらいから、高校入学後もクラス1桁順位だと難関国公立が見える、という感じですね。

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難関国公立クラス5,6人

ここは30校で高校入試校14:併設型一貫校8:完全一貫校8。高校入試校の幅は63〜69です。

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難関国公立クラス3,4人

ここはクラスの上1割だと届くかな〜というゾーンで、高校入試校では60の都立昭和も入ってきました。中学でクラス1桁、高校ではクラス上位1割という感じですね。

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難関国公立クラス2人

だいぶ少なくなってきましたが、クラスでトップを争うくらいの位置にいれば難関国公立も狙えるのがこのゾーン。マーチ附属から国公立を狙うとだいたいこのあたりに落ち着きます。

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難関国公立クラス1人

中学ではクラス1桁以内をキープし、高校入学後はクラスのトップだと難関国公立も狙える、というゾーン。

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ここからは私大の進学者も公開している学校の実績を並べていきます。

国公立早慶クラス20人以上

まずは国公立早慶以上。公立の高校入試校は国公立志向が高いのに対し、完全一貫の女子校では早慶やマーチ、三女子大などを選ぶケースがかなり増えます。

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国公立早慶クラス10人以上

クラス10位以内であれば国公立早慶に届くグループ。

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国公立早慶クラス4〜8人

こちらはクラスの上1〜2割というところですね。中大横浜学習院女子から外に出る場合も、上2割くらいはより難関大学を目指すというイメージです。

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国公立早慶クラス3人以下

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最後は難関私大群、上智・東京理科・国際基督教・青山学院・学習院・中央・法政・明治・立教への進学者を含めたパターンです。

 

上理ICU+GMARCH30人以上

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上理ICU+GMARCH20人以上

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上理ICU+GMARCH10人以上

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上理ICU+GMARCH10人未満

このあたりになると早慶の合格者数はぐっと減り、日東駒専あたりがメインの進学先になってきますが、クラス1桁にいればマーチ以上にも届くというイメージですね。

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中学受験組なら首都圏模試50台、高校受験組なら中学のクラス順位1桁くらいからでも、入ったところでしっかり上位をキープできれば国公立やマーチ以上の大学にも届きます。結局大事なのは入ってからなので、受験をゴールだと思い込まないようにしましょう。