偏差値60の壁なんてない

中学受験のサポート歴20年以上の経験から、心構えや考え方を公開します。

勉強の合間の雑談(1)適材適所の話

受験勉強の合間には、よく雑談をします。既に教えた子の半数以上は社会に出ていますが、今でも覚えていて良く話題に出るのは当時の雑談の内容。大人扱いされて聞く最初の段階だから、強い印象を残せるのだと思います。聞いた経験が少ない子供には新鮮というのもあるでしょう。

お金のこと、仕事のこと、生活のこと、人間関係のこと、政治、思想、信条、宗教。どう受け取るかは本人次第ですが、親の人生観や価値観を伝える良い機会になりますし、たまたま論理力の育成に役立ったり、時事問題を吸収してくれたら儲けもの。教科や単元が独立したものではなく、様々な繋がりを持つことも伝わるかも知れません。

私が話したことをざっくり書いていきますが、ご自分の経験や人生観を伝えるネタとしてご活用頂ければ幸いです。効果を期待するのではなく、何か一つ二つ残ればラッキーな種まきとして、色々な話をしてあげてください。

適材適所の話

集団で仕事をするとき、何かが足りない人がいたら、その人の持ち物は何かを考える。誰かの出来ることで、その人に預けられることがあれば、その人の不足を別で補えばチャラに出来る。

仕事を10種類に分けて、1人は10個出来るけど、もう1人は6個だとする。そのまま足すと16。で、能力の低い部下が〜ってやってる大人は多いけど、守備範囲が6でも、範囲内のことなら10の量を出来ることは結構ある。

例えば作業能力はあるけど、管理やバランスが苦手な奴とかゴロゴロいる。この人に、作業エリアで2人分の10を持たせる。他の人に、管理やバランス中心に10預ける。そうするとトータル20。誰かに14も背負わせると潰れるし、他の4人に11だと潰れにくい代わりに不公平感が出るけど、1人あたり10に出来れば持続性がある。

だから、どうやっても人材や道具のバランスが悪い時は、そこを調整する。儲かってなくても人を入れたり、機械やソフトを入れる決断が必要なこともある。どこかにしわ寄せで乗り切れるのは短期で勝てる時だけ。どうしても金を引っ張れない時はしわ寄せ方式で行くしかないけど、負ける率が上がる。気力も体力も有限だし、成果が出ないで頑張れる時間はかなり短い。

その上、偏ってる人は出来ることだと割と得意なこともあって、うまく回すと10の負荷で12とか15できる人も見つかったりする。こういうのがいてくれると、トータル25になる。これが儲ける一番簡単な方法。2人で16→25だと業績は5割増しだから、上昇分に段階的に振ってる成果報酬契約だとかなり美味しい。

適材適所っていうのは、自分が儲かって喜ばれる仕事。人にラベリングして見下すと、そこから遠くなる。手持ちをどう使い切るか、足りない部分をどこから引っ張るかを考えるのが、一番簡単な方法。つまり、偏ってて評価が低くて、まだメンタルが壊れてない人を見つければ、大して苦労せずに儲けられる可能性がある。

定型で切り分けるのは無駄が多い。手持ちの武器でどうやって勝負できるようにするかを考える。全勝は無理でも、結構やれるところまでは持っていける。しかも、6しかないってことで損をしていた人は、自分が評価されることで感謝までしてくる。儲かった上に感謝までもらえて、自分がいい人間になったような気がするから、報酬2倍。

みんなが正直で、違いを受け入れて、努力する社会って理想だけど、もしそうなったら、例えば正直でも努力しても普通だから、「高い評価」はされない。ズルをする奴とか怠け者がいるから、正直で努力するだけでも価値になる。やらない奴の存在は、努力する側の相対的な価値を高めてくれる。

受験サポートも、適性が全くなければ無理だし、本人の努力が足りなくても無理。でも、合格すると感謝してくれる。努力したのは本人なんだけど、それを言っても「いや、おかげ様で」とか。塾とか今までの環境より良かったおかげで、感謝される。頑張れるやつの環境を整えるだけで良い。

ほとんどの人には得意不得意がある。自分の経験や常識があるから、そこから外れるところがあると目につきやすい。その裏に、得意があることは多い。何かが出来ないと感じる相手を見つけたら、その性質に注目すれば出来ることが見つかることが多いし、不得意なことを人並みにさせるより、得意なことを余分に持たせる方が楽なことも多い。

ノコギリとハサミがあって、板20と紙が200あったら、ノコギリには板を20切らせて、紙をハサミで200切るのが一番効率がいい。どっちにも板10枚、紙100枚ってのが一番損をするけど、これが割と多い。みんなに絵と作文と計算と掃除と料理をやらせるより、得意な奴に振ってバランスを取る方が良い。

 

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こんな感じですね。雑談は全く違うことでも、逆の内容になっても良いと思います。自分の価値観を伝えて、子供なりに勝手に受け取る。仕事の時は家にいない、家では家事をやるか説教するだけが親じゃなくて、子供の何倍も生きてきた経験を持つ大人だって伝わると良い効果があります。何かが刺さると、それこそ座右の銘みたいに残ることもあるから、楽しんで種まきをしてください。