偏差値60の壁なんてない

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国語の得点力の強化

以前、国語の地力の向上の記事を書きましたが、夏から秋にかけて今度は得点力を上げていく段階になります。地力さえ付いていれば、秋から冬あたりでも間に合う可能性は高いのですが、子供も親もそれなりの成果が欲しくなるのと、得点力の強化に必要な論理性は他の教科でも役に立つので、夏あたりから強化することが多いです。

論理性には、土台になる語彙力、時間内に読み通す速さ、一読で内容を把握する力も必要です。だから語彙力と読解力などの強化が先決なんですね。

得点に結びつける考え方

まず、選択問題・記述問題に共通する考え方として、一日で採点を済ませられる=明確な答えがある、ということをしっかり理解することが基本です。どの学校でも「どちらとも取れる」問題はないように、工夫して問題を作っています。

普通の読書、特に小説ではお話の筋を追い、登場人物にも感情移入して、次の展開にハラハラドキドキしたり、好き嫌いなども感じながら読みますね。娯楽としてはとても良いです。論説文でも、書いてあることに共感したり、疑問に思ったりしながら読む。これも知識の獲得には有用ですね。でも、国語の回答には必ずしも有効ではありません。

国語の得点には、本文だけでなく出題者との会話力が不可欠です。出題者が何を聞いているのか、その条件は何かという理解が必要で、これ抜きで成績は上がりません。読書好きなのに国語の得点に結びついていない子は、この会話の意識が低め。自分がどう感じるかに重心が偏っているんですね。

例えば「この時の感情を説明せよ」という問題があったとして、その文章を読んで自分が感じたことから答えを描き、それを文章にする方法で正解するのは難しい。出題者が根拠にしている、感情の現れとなる言動を見つけ、言葉を選んで文章にまとめるような流れが必要です。

難関校になるほど「傍線部の前後」などというお手軽なテクニックでは対応しにくくなるものの、キーワードの設定は必ずしてあります。全受験生の回答を論文を読み込むように目を通し、文章の優劣でA+〜Fなどの評価をつける採点は出来ないからですね。

記述の採点基準は、まず第一に回答の根拠になる文言が入っていること。次に、NGワードが入っていないこと。そして、規定の文字数に収まっていること。この3つをクリアすれば、基本的には丸が付きます。流石に日本語になっていないレベル、主語述語がおかしすぎる文章ではまずいので最低限はありますが、文章として美しい、推敲を重ねたような作文を書く必要はありません。

選択問題は更に楽で、普通は「出題意図にあっていない」「文意にあっていない」「条件には合うけど文中に根拠がない」などを混ぜた中に、「文中に根拠があって条件にも合うもの」がひとつだけ入れてあります。普通に考えれば正しいことや、感情の流れとしては理解しやすいことなどを混ぜて、混乱を誘う手も使います。オーソドックスな問題だと、5個のうち2〜3個はすぐ消せて、残ったもので頭を悩ませる感じですね。

正解を選び、不正解を弾く論理性

正しい答えに辿り着く力をつけるには、解答の読み込みが有効です。単に「これが正解だった」という形では役に立ちませんし、「キーワードがこれだった」というポイントだけでも伸びは悪い。選択問題でも、間違いと断定出来る根拠を理解し、その論理的な思考を吸収してくることが大切。

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国語は正解を説明してふんわり納得させても、読書と同じような効果しかありません。無駄とまでは言わないけど、成績に直結する効果は出にくい。言葉の意味と接続による関連付けといった「仕組み」を見る意識、根拠を探す意識が大切です。感受性ではなく、論理性が要求されるんですね。

当然、塾や個別でも一定レベル以上では、この部分の解説をします。それでも子供はなかなか受け取れないことがある。理由は、正解に意識を向けてしまう癖がついているから。頭の中で「どれが正解だったの」って言ってるのと、「どうしてこれじゃいけないの」って言っているのでは差が出てきます。考える必要があるのは算数の応用も同じですが、正解を覚える意味が一番薄いのが国語です。根拠を持って不正解を弾き、正解を見つけて書き切る練習をしないと、得点力が伸びません。

親が「教える」必要はない。

やらなければ対策にならないので、志望校別や最上位クラスの授業では、表現は違っても必ずこのことを教えています。ですから、まともな塾に通わせているなら、例えばこの記事などを参考にして親が一生懸命教える必要はありません。

比較的簡単なキーワード発見のテクニック+漢字と語彙力で偏差値55〜58くらいまでは届くので、平易な内容の授業で足りる。必要なレベルになれば、講師と授業の質を上げて対応できる仕組み。塾のクラス分けや志望校別などは、単に優越感を煽るとか集金目的だけでやっているわけではなく、こういった目的と内容の違いもあります。

だから、親がやるべきなのは、(1)「不正解になる理由」や「根拠の導き方」を教えてくれている時こそ、集中して聞くこと。(2) 納得いかなければ、講師に質問してくること。(3) 文章的に気持ち悪さがあっても、根拠のある取捨選択をした言葉で文を書き切ること。などを伝えることです。討論する力につながる部分ですね。

そして、国語に対する誤解を解く。自分の感情を重視する意識や、文章の受け取り方は色々あるという考え。どちらも正しい場面はあるけど、国語の問題を解く=出題者に回答する上では、曖昧な逃げ道になります。人としての情緒はとても大事だけど、コミュニケーションには筋道や論理性、説得力といった要素も大切。それを求めてくるのが上位校の問題です。

国語が不得意な子が、志望校別や最上位クラスに入らずに難関上位校を目指すなら、この部分の指導を出来る家庭教師や個別をつける必要があるかも知れません。正解の解説だけでは、勉強を続ける伴走役にしかなりませんから、しっかり見極めてから利用してください。