偏差値60の壁なんてない

中学受験のサポート歴20年以上の経験から、心構えや考え方を公開します。

中学入試の偏差値と東大進学実績の中身

以下は、首都圏の進学校の東大現役進学実績を、現役率と中学入学偏差値と組み合わせたもので、複数回入試のある学校は一部偏差値の高い回のものを記載しています。

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中学入試日と偏差値、現役東大合格実績の対比

2月4日の巣鴨は54、世田谷は55でそれぞれ6%、5%と高い数値になっていますね。これを見て、巣鴨や世田谷は入口偏差値の割に出口が良いからお得だとか教育が良い、なんて表現をしたがる人もいるようですが、実際は少し違うと考えています。

4日校には、2月1日の御三家、2日の神奈川、3日の国公立などで合格を取り損ねた偏差値60以上組が集中し、2桁以上入学していると考えられ(定員はそれぞれ40名/30名なのでその3分の1程が60超えになりやすい)、これらの子を軸に中高で頑張り、学校もその子達を後押しした結果と考える方が自然です。少しでも優秀な子を引き受けるために、午後算数を含め4回もの受験を実施しているわけですね。

もちろん、これらの学校の進学への取り組みが実績につながり、受け皿となる状況を作ってきたので、大学進学を考える上で良い環境であることに異論はありません。ただ、偏差値の割に〜という論には違和感を覚えるということです。

逆に、1月校の開智/栄東/市川などは軒並み偏差値60以上にも関わらず2〜3%台なのは、2月校が本命の上位層が多数受けるため合格すること自体は難しいものの、本命に合格した最上位層は抜けてしまうため、入学した生徒の偏差値の幅は50台の学校と同じくらいに落ち着くと考えられます。

1月の渋幕が開成並みの偏差値にも関わらず、麻布より低い14%なのも同じことですね。渋幕の教育の質が低いとか、共学だからダメになる、なんてことではありません。単に、東大に進学しやすい実力のある上位層のうち一定数が2月校に流れているだけです。

ですから、東大を目指すなら中学受験時に偏差値65以上に達していることが一つの目安と考えておくと良いでしょう。これは学力面である程度の才能があるか、相当の努力を出来る子だったことを示します。逆に言えば偏差値65を超える力が付いた子なら、もし中学の入試で敗れたとしても、より成熟した上に長期の努力量が決め手になる大学受験で勝てる可能性は高いと言えるでしょう。