偏差値60の壁なんてない

中学受験のサポート歴20年以上の経験から、心構えや考え方を公開します。

夏に向けて、算数の仕上げ取り組み例など

この時期、6年生の成績分析やご相談で特に増える、夏に向けた基礎固めや志望校についてお話することをざっくりまとめました。個々の状況によってやるべき内容や量は異なりますが、目標を決めてガッチリ固めることはどのゾーンでも大事なので、無理のない範囲で計画的に取り組んでください。

志望校について

6月の志望校SOの結果を受け、特に普段のマンスリーなどよりも低い偏差値が出た人は「志望校を下げた方が良いのか」といったご相談がありますが、基本的には必要ありません、とお答えしています。

まず、志望校SOは特徴的な午前午後通しで、午前入試の後に併願校を受けるようなイメージであることですね。Aで失点が多かった場合、以下の3つのいずれか、或いは全てが課題ということになるので、そこを強化していけば良いだけです。

①基本的な解法が定着している
②標準レベルの問題を高速で正確に解ける
③午後まで集中力を維持できるスタミナがある

理解や定着を見るベースになるのは毎月のマンスリーや月例テストで、出願を絞り込む時に見るのは秋冬の合判模試の平均偏差値ですね。SOは合判1〜4回、合不合なら3〜6回が秋冬に実施されますが、基本的にはここの平均偏差値を参考にして出願校を絞り込んでいきます。

秋冬の模試でしっかり得点+入試演習に太刀打ちできる力を養うことが大事なので、今の目先の偏差値を意識しすぎないようにしてください。

大学受験に置き換えると、4年〜5年夏までが高校1年、5年秋〜6年夏までが高校2年、秋冬が高校3年のイメージです。つまり、今は高2の後半に差し掛かるくらい、一貫校なら部活を引退して本格的に受験勉強を始めるところです。

夏休みの総復習まで終えた時に、どれだけ土台が固まっているかで秋冬の演習の吸収力や効率も変わってくるので、夏期講習での取り組みがしっかり身につくように備えましょう。

 

夏に向けた仕上げ

どの塾でも夏期講習では範囲の総復習をして、秋以降の入試演習に向けた土台を固めます。現在のレベルと目標偏差値により、取り組む量も変わってくるので、適切な量の復習をしっかり回すことを目指してください。

サピックスを例にとると、7月上旬に組分け、下旬に復習テスト、その後は夏期講習に突入します。夏期講習では、これまで1週間でやってきた単元とほぼ同じものを、毎日ひとつ進めていく形です。

既習範囲の抜けが大きいと、①組分けでは易問でも失点しやすい、②夏期講習では解けない問題が多く、復習対象が膨大になり消化不良を起こす、というふたつの問題を抱えることになります。

ですから、ここからの1ヶ月では、通常授業と並行して可能な範囲で、これまでの復習を回しておくことを勧めます。時間と気力体力には限りがあるので、過剰には載せず、厳選したものを徹底的にやりましょう。

1周サラッと回すだけ、直しもしないでは効果は薄くなります。少なくとも不正解になったものは、直後と数日空けてからの2回は解き直すこと。2回目以降も正解しなければ、正解できてから2回くらいは取り組みたいですね。

 

全体テスト不正解の解き直し

マンスリーや組分けなど、主に月単位で行われる全体テストの不正解の解き直しです。私の場合は正答率により、50%以上=S、30%以上=A、10%以上=B、10%未満=Cとして分類します。

目標偏差値により、解き直しの対象は異なります。余力とスピードにより、適宜調整してください。目安は解くだけなら30分、復習込み1時間で回せる範囲で、1日10〜20問程度を設定することが多いです。

分野別の偏りが大きい場合は、先に幾つかの単元に絞って集中的に取り組みましょう。集計が難しい方は、こちらから成績分析も可能です。

 

 

クラス別テスト不正解の解き直し

DC(サピ)、復習テスト(グノ)、週テスト(四谷)、カリテ(早稲アカ)など、主にクラス別の週単位で行われるテストの解き直しです。

週テストのように正答率が出るタイプでは、偏差値が近い集団で受けるため、S+Aが対象になります。クラス別では難解すぎる問題はほぼないので、DCのように正答率が出ないタイプでは全て解き直しを推奨しています。時間が足りず、問題数が多すぎると感じる場合は、まず全回分の大問1だけを通してやってみると良いでしょう。

余力が十分にある場合は、全体テストでも全問解き直してみると良い確認になります。

基本的な項目内容を網羅している問題集の解き直し

特にこの時期にやっておきたいことは、①計算の工夫が身についているか、②図形や速さでは比を用いて簡単に計算することが出来ているか、の確認です。

これらは九九と同じで、見たままパッと使えるように仕上げることが大事なので、正誤よりも解き筋に注目して、より安全で早く正確な解き方が出来るように練習しましょう。

特に、どの問題を見ても筆算になっているような場合、計算の工夫が身につくだけでも5〜10分の時間短縮につながり、数問分の余力が生まれます。更に頭の疲労が減ればミスもしにくくなるので、基本の問題集を使って丁寧に解き方を磨いていきましょう。

 

基礎力トレーニングは2〜7月の1,5,9,13,17,21日の6日の計36回分を通し、不正解のものをきちんと理解すること、目標時間を設定して正確で安全な書き方、解き筋を意識することに取り組めると良いです。解き直し後は、別の日の数値替え問題で確認しておきましょう。

基礎力テストでは、月初の6日分を解き直します。基礎力トレーニングと同様に、解き直し後は数値替え問題を使って確認しておきましょう。

基礎力トレーニングの1〜3や、基礎力テストの1,2は計算問題になっていますが、これを集めて抜けている計算の工夫を身につける練習をするのも有効です。

日能研の場合、育成テストが解き直し問題集としても使いやすいのでオススメしています。基本+共通で受けている場合は両方、共通+応用の受験者は共通のみでも可ですが、基本問題には簡単な計算問題も含まれるので、1問1分などの目標時間を設定して全問正解の確認に使うのも良いでしょう。

四科のまとめやバックアップテキストでは、1日2項目(15〜20問)を目安に解き進めましょう。これまでに取り組んだ不正解問題がリストになっていれば、まずは初回不正解だったものだけを回すのも良いです。

 

計画的に進めること

これらの取り組みは、取り組む日とページ数を決めて淡々と回していくのがオススメです。通塾との兼ね合いもあるので、可処分時間のうちどこで何に取り組むか決めたら、開始時刻と分量を守って取り組みましょう。

カレンダー時間割を作り、予定と達成マークを記入していくのもオススメです。取り組んだ分量でポイント交換など、目標を楽しんで消化できるような仕組みにしても良いですね。

基本的な解き筋が入れば夏期講習の吸収力もアップするので、どうにか時間を作って夏を迎えてください。