併願検討用データから、中学受験校と高校入試校の大学合格実績を並べてみました。また、私大合格者数は卒業生を大幅に上回るので、進学者数を公開している学校でそれぞれの進学率を出したりしています。
東京一工国公医合格率
下記の表は、首都圏の中学受験校と高校受験校の、東京・京都・一橋・東京工業の各大学と国公立の医学部への合格者数を合計して、卒業生数に対する比率を並べたものです。右端の列は、1クラス40人として何人がこの枠に該当するかを示したものです。
左端の数字は四谷大塚の偏差値で、複数回入試のある学校はその平均、高校入試校は進研模試だと高くなりすぎるので、中受層と近い基準として駿台偏差値を入れてあります。駿台偏差値はサピと四谷の間くらいのイメージですね。
なお、合格数は現役既卒合計ですが、武蔵のように進学者のいる大学しか公開しない学校もあったりするので、多少のブレがあります。クラスのこのあたりの位置にいれば目指せるというざっくりしたイメージ用に。
まずはクラスの半数以上が東京一工国公医という5校。筑駒は4人に3人で更に頭一つ抜けている感じで、開成・聖光・桜蔭・駒東はほぼ横並びですね。このゾーンでは、東京一工を目指すのは多数派。
クラスから10人以上の17校。ここでも、真面目な子は普通に東京一工に行きそうなゾーン。日比谷は麻布・栄光とほぼ同レベルで、武蔵・浅野・海城、渋幕までは15人以上です。
埼玉の県立浦和、神奈川の横浜翠嵐もこの位置に食い込んできていますね。千葉の県立千葉と、学芸大附属各中学から集まる学芸大附属は一貫校側に入れています。
クラス5人以上の24校。クラス1桁順位になって、真面目度はアップしますが、遠い存在ではない感じ。早稲田は半数ほどしか外部受験しませんが、その中から8人という高い水準になっています。1日校の併願候補になりやすいサレジオ、攻玉社、本郷、芝、巣鴨や1月校の市川、東邦大東邦も入っています。高校受験の都県2番手校もこのあたりですね。
クラス2〜4人のゾーンでは、クラスでトップを争えるくらいの子、という感じになって、真面目な子でも他の国公立や早慶に行くケースが増えてきますね。四谷偏差値50台の学校も増えてきて、3番手くらいの高校が入ってきます。
このあたりまでは、高校受験に回るとしても内申もかなり頑張らないと入りにくい学校ですが、しっかり勉強して進学後にクラス上位を争うレベルを維持できれば、東京一工が見えるわけですね。
次はクラス1人以上の学校群です。学年で数人レベルなので、周囲から頭いい認定されるくらいの取り組みは必要になりますね。
クラスに1人未満だと、周囲よりかなり高い学習意欲や学力の維持が必要になってきます。到達点が本人の素質と努力次第なのは当然ですが、国立医学部に行きたいなどの目標がある場合には、上記の学校群に入る方が過ごしやすさはありますね。
時々、中学受験より高校で日比谷とか〜なんて軽く言う人もいるようですが、まぁおバカさんですね。どこで競うにしても、優秀層同士、頑張っている者同士の競争は熾烈なものです。
どのタイミングで頑張るのか、あるいは大して頑張らないまま進んでいくのか見通せない中で、ある程度は親の影響を与えやすい時期に中学受験を経験しておくことは、頭を鍛える上で悪くない選択です。中学受験は途中経過に過ぎないことも忘れず、クラス分けが終わったらまたそこで多くを学んでいけると良いですね。
有名国公立以上への合格率
東京一工国公医に加え、旧帝と首都圏の有名国公立大学への合格率が25%以上の学校をグラフにしたものです。
東京一工国公医では開成より少なかった桜蔭、駒東、聖光、日比谷が上に来ています。また、横浜翠嵐や県立浦和も上がっているので、より堅実に入れる国公立大学を選択する傾向があるように見えますね。
逆に、筑附や渋渋などは有名国公立よりは早慶や海外への志向が強い印象です。私大医学部なども含め、色々な比較がしたい方は資料をダウンロードしてご確認ください。
海外大学への合格者数
ここでは海外大学に2桁以上の合格者数を出している学校を並べています。広尾学園がずば抜けているほか、渋幕や洗足、三田国際といった海外への進路も打ち出している学校が上位に来ています。
また、伝統校からは海城と芝が並び、学芸大附属国際や玉川学園など一般の中学受験ではあまり難関と認知されていない学校からも多くの合格者が出ています。
海外大学は、英語をしっかり学び、学校の成績が良ければ入りやすいところもあるので、海外で教育を受けさせたい場合には魅力的ですね。
私大の合格者数と進学者数
一般に、大学合格実績では早慶上理(+ICU)で難関私大合格数という表示が多いのですが、私大の合格者の進学数には割とばらつきがあります。進学者数を公開している学校は少ないので、実際にそのレベルに届く生徒数という意味では、少し注意してみておくと良いですね。
下の表は、四谷偏差値で63以上をS帯、55以上をC帯、54以下をB帯とし、高入と合わせて4つのグループで私大の合格数に占める進学数の割合を比べたものです。
S帯では慶應が30%を超え、早稲田と私大医学部が20%台。上理は10%台前半、明治と法政は5.5%です。ICUは40%台ですが、数はとても少ない=数人の増減でかなり割合が変わるので参考程度に。
C帯では早慶が30%台、ICUや私大医学部は10%台後半、上智は15%弱で、理科大は最も低い1桁になります。B帯になると慶應は8割に迫り、ICUも7割超え、早稲田と上智も50%台で、理科大は30%ほどですね。
こういったことから、SC帯では早慶でも第一志望になりにくく、Bになると早慶上が第一志望というケースが増えてくると考えられます。
これは進学者数を公開している限られた学校だけの話で、1人で相当な数の私大受験を学校から頼まれる、なんて話もありますから、実数はもっと少ないケースもあるでしょう。共通テスト利用入試が増えて、国公立一本で受験勉強をしている子でも、受験料だけ支払えば私大の合格数を稼げるシステムになっています。
こちらは全ての学校の合計です。慶應で4割、早稲田3割、私大医・青学・上智・学習院で2割で、理科大はその次、15%未満です。この中では明治が最も低い12%台ですね。
東京理科大や明治大は人気の高い難関大学ですが、○○大100名合格!なんて言っても、実数は1〜2割しか進学しない=より上位大学に合格する子の合格数稼ぎというケースもあるので、合格実績から、学年何位でどのあたりの大学かイメージする場合は、単純に合格数を足して上から○番目、と考えるのは難しいです。
例えば国公立40名、早慶60名、上理マーチで200名だと合計300になりますが、進学数を想定する場合は早慶20、マーチ3〜40くらいで、上から5〜60人なら国公立早慶、マーチまでに入れるのは90〜100人かな、というイメージの方が近そうですね。
さて、進学率で見ると全体では明治、C帯では東京理科大が最も低いわけですが、進学者数全体に占める割合で見ると明治は私大医を上回り、東京理科も中ほどに来ます。
グループ別で見ると以下の通りで、慶應と早稲田は常に上位、上智も安定していますね。逆に進学率が高かった学習院やICUは下位です。私大医学部は層によって大きく変わりますが、これはB帯からは合格自体が困難なこと、高入では費用の高額さがネックになること、などの理由が考えられますね。
こちらは全体に占める割合です。早慶に次いで明治は3位で、上理を上回りました。
なお、別学・共学で見ると以下のようになります。
こんな感じで、全く同じ数字でも、切り分け方や表現によって印象が変わります。例えば明治の進学選択率を取って「受かっても行かない大学No.1」なんて言われれば、随分と嫌な表現ですね。
でも実際は最上位層にとっても早慶に次ぐ選択肢になる→国公立早慶に合格した結果の入学辞退、という流れがあるからですし、進学者数合計に占める割合もマーチトップに位置するので「マーチでも最も人気が高く、早慶上理に割って入る勢い」などとも言えるわけです。
大学合格実績に限らず、雑誌やメディア、SNSには誇張や煽りが溢れていますが、このブログを含め全てのものは「その人がそう言ってる」に過ぎません。間違いや言い過ぎ、実態と乖離していることもあります。
なるべく元の数字を見ること、自分の頭で判断すること、そしてどこに身を置いてもその場でしっかり周りを見て、自分に出来ることをすること。これは子どもだけでなく、親にとっても大事なことですね。