偏差値60の壁なんてない

中学受験のサポート歴20年以上の経験から、心構えや考え方を公開します。

塾の合格実績の見方:模試受験者占有率と在籍者の合格率の推定

前回記事の掲載後、結構合格実績についてやり取りをする機会があったので、記事にしておきます。まず、どの塾でも合格に必要なことが載っているテキストはあり、上位校合格者もいて、合格までにやる内容は同程度なので、自分に合うかどうかが重要です。

塾の合格実績は、雰囲気とか同じ塾に通う子のレベル感を想像したり、塾内での目標とする立ち位置をイメージする一助にすると良いです。中学を選ぶ際に大学進学実績を見て、どんな進学意識の子が多い学校かをイメージしておくのと同じですね。

 

2024年版↓

 

2023年版↓

 

前回記事↓

他塾の模試を受ける必要の度合い

下は3大模試の受験者数と、その模試の受験者の1日実施の1回入試校10校の合格数を表にしたもので、左から合格数、合計数に占める割合、80偏差値です。

在籍はSAPIXと早稲アカは開示していますが、四谷と日能研は不明で、一応母体となる塾ということでSO=SAPIX、合不合=四谷+早稲アカ、日能研日能研という形にしてあります。

 

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SAPIX生のうち約2割は、この10校のいずれかの合格を掴んでいることになりますね。合不合勢からは9%、日能研模試からは40人に1人くらいです。合格者に占める割合は、SO受験者(5):合不合受験者(4):日能研受験者(1)です。

で、SAPIXの上2割と、早稲アカの1割や四谷の7%に入る難しさに、大差はありません。入試で通用する実力をつけるための学習量は同じなので、カリキュラムの速度や講師との相性、通いやすさなどが大事。

この合格者数を在籍上位層と仮定して偏差値換算すると、SOの21.6%は58以上、合不合の8.9%で63.5以上、日能研の2.6%が69以上に相当するイメージです。もちろん、1日校の中にも2回実施校はあるし、偏差値順に上から全員が受験するわけでも、必ず実力順に合格するわけでもありませんが、自塾の中でこのあたりにいれば、1日の勝算はそこそこ高い。

で、偏差値比較でSO58になっている入試(渋渋、中等部など)は合不合では62〜66なので、この2つの模試は結果との整合性が取れている印象ですが、日能研R4は合不合とほぼ同じなのに69相当数しか入れなかったことになり、実態との乖離が大きいと言えます。※この部分も、仮に日能研の在籍を半数とすれば5.6%(偏差値66)、3分の1とすれば7.8%(同64)くらいになり、印象は変わります。

なお、模試の受験者数は、主催する塾の在籍者だけでなく、例えばグノーブルやジーニアスの生徒も受験しますし、主催塾の生徒が他塾模試を受験することも珍しくありません。四谷早稲アカ生でもSO受験者は多いですし、その逆もあるので、この数字も正確に実態を反映するものではありませんが、傾向としては最上位層ではR4の信頼性が少し低いと考えます。

例えば麻布80%はSOで61、合不合68、日能研で67、普通部もSO59、合不合64、日能研65なので、SOや合不合の子は8割通った可能性が高く、日能研の子は5割以下くらいになった可能性がある*ということですね。

もちろん、今回の結果を受けてまた調整するでしょうが、以前から日能研の上位層は薄めの傾向なので、個人的には日能研に通っていて都内上位校を受験する子がいれば、模試だけはSOや合不合を数回受けて、立ち位置を確認しておくことを勧めています。

 

追記:日能研模試には首都圏以外の模試受験者も多数いることについてリツイートしてくれた方がいました。

そうなんですよね。例えば関東受験者数を半分として数字を出せば率は5.2%、首都圏エリアの日能研在籍数は3分の1くらいと考えれば7.8%になります。%だけでどっちがどうという判断ではなく、1日校への合格者数が少ないので、合格者が多く出ている模試を受けると立ち位置がわかりやすいくらいのイメージです。今後もなるべくわかりやすく、誤解は少なくなるよう工夫していきたいと思います。

 

次は、左から模試の受験者数、今回の対象校78校に合格した数、1日の1回入試校の合格者数に占めるそれぞれの模試の割合です。受験者数は1:2:2という感じですが、全体の合格者数は合不合、1日上位層ではSOが強く、日能研は大きく凹んでいます。ここからも、日能研模試受験者層とSO受験者層は逆方向に厚くなっていることがわかりますね。

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次は、一昨日のデータで難度順に分けたグループ別での、合格者占有率を、2021年と2020年で並べたものです。合不合は安定して4〜5割のシェアを持ち、SOは第一グループで明らかに強く、日能研はどのグループでも前年比で落ち込んだことがわかります。

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なので、志望校を検討する場合は、最上位層ではSO、Y50以上は合不合、Y50以下では日能研や首都模試の結果を参考基準にすると良いでしょう。

在籍者の何割くらいが難関校に届くレベルか

次は、在籍者数を出している塾の、1日1回入試校合格者数と在籍数に対する割合です。希学園SAPIX、グノーブルは約2割、ワセアカとジーニアスが約1割。灰字にしてある四谷は合不合受験者数から早稲アカ在籍数を引いたもので、日能研日能研模試受験者数なので、在籍数が実数より多めになっている=率は低く出ると考えられますが、それにしても頭の3塾は高い割合ですね。

 

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で、この中のかなりの受験生は、他日程の合格もダブル、トリプルで取るわけです。なので、基本的には上位の3塾は2割(塾内偏差値58超)、次の2塾は1割(塾内偏差値63超)くらいの子は、上位校での合格期待値が高いことになります。

次の表は、単純に難関校の合格数を合計したもので、これだとサピや希の子は7〜8割がこの帯に合格、四谷早稲アカでも3人に1人くらい合格するように見えなくもないですが、実際はほぼ1日校を取る子が複数合格を取っているケースがほとんどです。

なので、単純に合格実績でレベル感を見たいときは、1日入試が1回だけの学校の合格数で見ると良いですね。

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重複もある合格数自体は、塾のノリを知る程度

TOMASやenaはメイン塾との併用も多く、TOMASや栄光は全国学習塾協会規定の30時間以上、enaに至っては10時間以上の利用者をカウントするので、合格者数も他塾との重複が多くなります。

例えば、この実績リストに入れている塾の多くは、「開成○名」「桜蔭○名」みたいに大きな文字、偏差値が下がるごとに文字も小さくなっていく仕様のところも結構あります。そういう文化の塾ということですね。ホームページの合格者数掲示は以下のようなスタンスです。

 

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一定程度の合格数を出したことのある塾ならそれなりのノウハウはありますし、合格数自体は実態も明確に見えないだけでなく、指導の腕以上に受験生次第の部分が大きいです。実績高い=家庭が教育にお金と熱量を注いだ優秀な子が集まりやすいというだけなので、あまり派手な数字や見出しに振り回されないようにしましょう。

塾だけでなく、校舎やクラスによっても相性はあるので、なるべくやりやすい環境を見つけて、あとは自分比で学力を積んでいくことを意識して塾を活用できると良いですね。