偏差値60の壁なんてない

中学受験のサポート歴20年以上の経験から、心構えや考え方を公開します。

中学受験のゴールは、次への通過点

明日になれば、東京・神奈川の入試が始まりますね。今年は新型コロナウィルスの影響で手探りや変更も多く、例年以上に気が抜けない日々だったと思いますが、あと僅か。体調第一で、無事に乗り切ってください。

これから合否も出てきますが、この数日間に親が発した言葉を、子どもは何年経っても覚えています。子どもの脳裏に、どんな自分の姿を焼き付けておきたいか、イメージしてみましょう。

例えば「もっとやれば良かったのに」「自業自得」「お金と時間の無駄」「勉強させてごめん」など、こういう台詞は自慰と自傷ブレンドみたいなもので、誰にもプラスがないし、多分あまりいい顔もしてないですね。

理想や完璧から比べれば違うこともあったかも知れないけど、ほんの5年前に1年生だったにしては、頑張った方です。だから、まずそれを伝える。おそらく子どもも、ボロボロの顔でも「最後までよく頑張った」って言ってくれた親を覚えていたいでしょう。合否に関係なく、頑張ったことは同じ。一番近くにいた親が、それを何より大事に伝えてあげると良いですね。

積み重ねをやめないこと

こちらは、各校からの大学合格実績から、東京一工国公医と、旧帝+首都圏近郊の有名国立大学への卒業生数に対する合格率と、40人あたりにした場合の人数です。やはりクラスの半数以上の4校や10人以上の12校には、憧れの第一志望になりやすい難関が並びますね。そして同時に、ここに入れば安泰とか、ここ以外では望みなしってことでもありません。

例えば、②の真ん中の成績の子と、③のクラス5位や④でトップを争う子だったら、大学受験時の選択肢は後者の方が広かったりするわけですね。だから、憧れ校に入っても普通以下では、6年後の選択肢は狭くなるかもしれないし、偏差値帯が1〜2本下の学校に進んでも、そこでしっかり上位を取っていけば選択肢は広がるわけです。

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塾に置き換えれば、1組だったら真ん中より前だったらどこでも入れるけど、2組なら上4分の1、3組でも上1〜2割を目指せば良いだけ。4組や5組でもトップを争える子なら、最高レベルまで届くケースも多い。大手だけでなく、個人塾などからでも合格する子はいますね。

高偏差値校に進学するのは、そういう先輩や同級生が多いことや、学習指導や課外活動の充実などのメリットを享受できることが大きいと思いますが、学力自体は個人戦で、日々の積み重ねや取り組む姿勢が大きく影響します。良いハコに入っても努力が足りなければその先は覚束ないし、どこの学校でもしっかり積み重ねれば伸びます。

ですから、合否に関わらず、次の目標に向けて一歩を踏み出すこと。本人がリベンジとか思うのは好きにさせれば良いですが、周囲が押し付けるものじゃありません。自由な学校生活を送りつつ将来の可能性を広げるために、また一歩ずつ歩みはじめることが大事です。

ここに載ってる学校だけの話ではなく、例えば公立ルートからでも、どこの何番あたりの子がどんな進路に進んでいるか、その位置からはどんな視界が広がるのか、いつでも教えてあげられるようにしておくと良いです。合格比率のグラフなどは下部に入れておきますね。


なんのための勉強か

勉強ってなんのために必要だと伝えていますか?個人的には学力と、それを得る努力の方法を身につけるためだと思っています。学ぶことは、先人の知恵を自分のものにすること。多くを学ぶことは、寿命が延びることにも通じる価値があります。

何も学ばないヒトが、一生のうちに石器と壁画に辿り着いたら大天才。現代の先端で思考や創造を働かせるには、過去の遺産は活用しないと闘えない。大きな土台を築いた先に、やっと個を載せるところに辿り着くわけです。

だから、学ぶことは思考力や創造力と逆行しません。基礎基本、色々な解法や知識、そういったものを活用できるようになってこそ、より深く鋭い思考ができる。自由な発想を抑えつけられたり、失敗を糾弾されるような環境は芽を摘みますが、学業に勤しむことで視野や発想が閉じるわけではないです。

一般向けのメディアやウェブ記事を気にするのは止めましょう。あれは1千万人に向けて喋ってること。全員が中学、大半は高校まで進む中で、勉強が嫌い、挫折した、強制された、そういう経験を持っている人は多いから、その話のネタを投げてるだけです。スポーツの野次とか芸能人の不倫みたいな消費娯楽の一部であって、ガチで闘ってる人に向けたものじゃない。

人目を惹くために、恐怖煽り&断定調&ラベリングを最大限活用。○○が危ない、本当の○○、真の○○、○○の人の三つの特徴、、、とかね。本当の〜真の〜とか言いだしたら「あぁ、一般向けのビュー稼ぎ(ガチ層は読む価値なし)の記事だな」くらいに思っていればいい。

塾や作戦、本人の意欲に親の関わり、後付けではなんとでも言えるけど、どれもイマイチでも勝つときもあれば、しっかりやって負けるときもある。相手のある競争や勝負事になれば、当たり前のことです。

人の言葉や話す内容は一定ではなく、聴衆や読み手を意識します。まして商業メディアなら、売上も大事な目的のひとつ。どんな経歴や知見の持ち主かはあまり重要ではありません。誰に向けて、何の目的で話しているのか。論説文の読み解きと同じで、そういう構造を考えたり、俯瞰で見るのも大事ですね。


背負い込まないこと

もし不本意な結果だったとしても、何もかもを背負いこむのはやめましょう。勝ちも負けも子どもの結果、親が奪うことじゃないです。親がどれだけ苦労しても、どれだけ悩んでも、そんなのは闘ってる子どもには関係ない。自分もそうだったでしょう?順番です。ちゃんと子どもが結果を受け止める、支えになってあげれば良いし、自分なりの愛情で見守っていればいい。

ショックは分けあっても良いけど、本人に親、塾や周りの環境、それに運も影響しての結果です。だから、後悔は小さくしましょう。ゼロでなくても、反省点に変えて前に向ける。闘わせた責任は、謝罪や代償行為で負うものじゃないです。頑張りを認めて、自分の力で選び取るようになるまで、もうしばらく背中を支えてあげる。

子どもの選択肢や可能性を広げるために頑張ってきたなら、ここからが大事です。ひと息も入れずに突き進めってことじゃないけど、勉強を嫌いにさせたり、挫折感を増幅させて肩に乗せるのは目的と違うはず。

中学受験はひとつの短期目標です。そこを目指して競争があるから継続できるし、その過程で学力と努力を磨いてきたわけです。今の結果は、どんなものであれ途中経過、階段の初めの方に過ぎませんが、努力を積み重ねて得た学力と努力は、この先も力になる。

旅に出るなら、ホテルや旅館、交通機関、レジャー施設から飲食店まで、いろいろと調べて、より良いところ、満足できそうなところを探すのは良いですね。そして、実際の旅では、そこがどんなルートであれ、楽しむことが大事。文句タラタラ、がっかり失望、そういうノリでは楽しめない。

学校も、そういう外的な要素のひとつです。良いところにはそれだけの価値があるけど、それ以上でもそれ以下でもない。どこで何をどう楽しむか、どんな旅になるかは、自分たちで決めていくことです。

受験が終われば、また6年の2000分の1が始まります。20日過ぎれば1%を失い、200日過ぎれば1割を失う。その分、後ろの負荷が重くなり、届く範囲が狭くなる。6年を楽しく、いろいろ欲張って乗り切るには、隙間時間に勉強する姿勢なんかも、かなり大事です。そのために、凹みも浮かれもほどほどに、次のスタートを切りましょう。

将来自分の選んだ道に進む時に、学力や体力や気力や努力、いろんな力が助けになる。だから目指すことが明確でないなら、とりあえず頭と体を鍛えておいて損はないです。せっかく積み上げてきた力は、繋げていけると良いですね。

 

大学合格データ

男子用と女子用の合格比率グラフは、水色が東京一工+国公立医学部、緑色が旧帝大+首都圏近郊の有名国立大学、灰色はその他の割合です。率は卒業数で現役既卒の合格数を割ったものですが、結局毎年スライドしていくので、だいたいの進学先のイメージとしては遠くないと思います。

私大合格数は、対象校からは合格しても早慶で3〜4人に1人、理科大や法政に至っては10人に1人くらいしか進学しないので、国公立に絞っています。細かい数字を見たい方は最後のPDFをどうぞ。

進学数がわかる学校のみ、私大の合格数も比較表を入れましたが、ここでは早慶+私大医学部をひとつのグループにして、もうひとつの難関私大の方に上理ICUとGMARCHを入れてあります。

よく「早慶上理」とか「早慶上理ICU」と括られることもある大学ですが、上智は私大医学部や青学立教より合格数に対する進学選択率が低く、理科大GMARCHのうち法政以外の全てより進学選択率が低い、そしてICUは合格数自体がかなり少ないといった理由で、この表では早慶とは別枠にしました。逆に私大医学部の方は、学校の偏差値帯に関わらずほぼ4人に1人が進学を選ぶため、早慶と同じグループにしてあります。

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こういう数字は選び方ひとつで印象は変わりますし、成績上位でもお茶の水などの女子大や海外大を選ぶ子もいます。また、同じくらいの学力層でも、都内校だと早慶などに向きやすいのに対し、千葉・神奈川校からは、身近な千葉大横国大を目指す傾向があります。まぁ学校が次の進学先を保証してくれるわけではないので、参考のひとつとしてご覧ください。

男子用

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 女子用https://e-tutor.tokyo/data/20210131/gf.png

 

 私大進学率入り

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大学合格進学データ(PDF)