偏差値60の壁なんてない

中学受験のサポート歴20年以上の経験から、心構えや考え方を公開します。

中学受験では、本気で併願校を選んでおくことも大事

夏が終わり、学校別なども始まりましたね。ここから年末までの模試結果、合不合なら4〜6回の結果は、受験期の実力を想定する大事なテストなので、きちんと結果を受け止めて、現実的に合格を手繰り寄せる戦略を立てる必要があります。

もちろん、第一志望目指して、足りないことを分析したり、基礎を更に固めて合格力を上げることは大事ですが、そろそろ併願のスケジュールも真剣に考えておくと良いですね。


合格をもらうことは、とてもとても大事

東京では1日に本命校の受験を迎える子も多くいますが、合格を取れなかった時の衝撃は大きなものがあります。1回しか受験機会のない学校だと、通える可能性が消えるわけですね。

4〜5年の頃から目指していたり、学園祭などにも足を運んでいたり。過去問も5年10年分、何度も繰り返し解いたり。毎週塾に通い、長期休みにも講習を受け、遊びにも行かず、秋から学校別に通い、正月も特訓を受けたり。そうやって目指してきた学校に、たった一回の試験で10人中6〜7人が蹴られる。もう一回やれば逆転合格もあるくらい、僅差の勝負で。

第一志望を失った喪失感と、本番の入試で何度もダメ出しをされ続ける辛さは、模試で悪い結果だった時の比ではありません。入試本番では力を発揮できないんじゃないか、なんて疑心も浮かんできてしまったり。客観的に見ればたまたまレベルでも、気休めにしか感じなくなったり。

後半に志望順位の高い学校の入試を残していて、1月校や1〜2日に80%を超える学校でしっかり合格を取っておけば、まだ後半勝負という意識も保ちやすいですが、合格なしで3日以降の受験を続けるのは、相当な負荷です。別に人生終わりませんけど、即日切り替わるような、軽いものでもない。ただのテストを連続で受けるのとは全く違うことをイメージしておいた方が良いです。

熱望校が複数あることや、そこに十分合格しやすいレベルまで実力がついていると有利ですが、そう都合よくいかないこともありますね。

だから、どの学校にも前向きに進学できる意識づけと、確実に進学先を確保するための併願校選びはとても大事です。できれば1月に、通えないことはない、レベル的にも通っても良いなと思える学校の合格をもらっておきましょう。

埼玉の栄東や開智は、2月校の入試がほぼ終了する日まで手続きが出来るので、入学金もかかりません。千葉の専大松戸も良い学校で、延納金は5万円で3日の午後まで待てます。熱望する子もたくさんいるのに、通うつもりがない保険のような意識では失礼にも感じますが、1月の受験者数はとても多く、それ自体も学校の経営に寄与していますから、遠慮はしなくて大丈夫。

そして、2月の1〜2日には、通いやすい範囲で、偏差値的に十分な余裕のある学校。多少ミスで得点を失っても合格ラインは超えるだろう、というところを受けておくと良いです。ダメ出し続きでなく、○を貰える学校があると元気をくれる。

今のうちから併願校を十分に調べて、ここに通っても楽しそうなポイントをたくさん仕入れておいたり、過去問の傾向をしっかり把握しておくと良いです。 

併願校の比較検討

どう選んで良いかわからなければ、過去問との相性が良いとか、家から近いとか、制服かわいいとかでも良いです。結局のところ、影響力が一番大きな友人になる子や担任という要素は、入学してみないとわかりませんから、直感や好みで選ぶのもアリですね。

 

f:id:aswg-tutor:20200919171725p:plain

こちらは、比較検討用のシートサンプルです。自宅最寄り駅が人形町で、現在の偏差値が55〜58くらいのイメージ。学校ごとの入試日、偏差値、進学実績、通学ルートなどを一覧にしてあります。

通学は、6年で1500日くらい通うことになるので、電車が長ければ車中での学習習慣をつけるなど、けっこう差がつく大事な要素ですし、進学実績も学校のノリを想像する上でも大事ですね。

この例では青背景色の1日受験校をまだ3校から決めていない状態で、赤背景の2日午後、3日、5日は確定という感じ。こんな感じのものを、プリントして眺めながら考えたりするわけですね。

f:id:aswg-tutor:20200919171919p:plain
これは入試日と入学手続き締切を一覧にしてあるシート。受験料に押さえの入学金、状況によっては前泊なども含め、受験期には結構な額が消えていきます。

この例だと、専大松戸は5万円で3日まで待てるけど、英和Bの発表までは待てない。国府台女子だと15万円になる代わりに、英和Bまで待てる。専大松戸を押さえておいて、3日までに他の安全校で合格を貰えば大丈夫、と考える線もある。

1日の午後は面接があるけど大丈夫か、出願早めにしないと、午前校からの移動時間は、1日午後は安全に合格を取りにいった方が良いかな、、、などなど。

こんな感じで、同一日程の中からどこにするか、選んでいきます。もちろん、併願する学校を決めたら、出願する学校だけでしっかりスケジュールを組みましょう。

 

f:id:aswg-tutor:20200919171932p:plain

これは学校別シート。出願スケジュールなどはカレンダーで管理する必要がありますが、こういう紙でも目立つところに書いておきます。

 

f:id:aswg-tutor:20200919171755p:plain

こちらは、過去問に手をつける順番や、どの日程でどこを受けるか考えるためのレベル表示シート。合格最低点や、50%と80%の偏差値を一覧にしてあります。赤ラインは5〜6年の平均偏差値、青ラインは6年の平均偏差値。この例では、5〜6年の通算平均が53、6年の模試だけの平均が56のイメージですね。赤で80%に余裕がある①、80%を超える②、青で80%を超える③、50%を超える④となっています。これはそのまま、併願校の過去問に手をつける順番にも使う感じです。

 

f:id:aswg-tutor:20200919171904p:plain

こっちは日程順ですね。上昇してきている子の場合、このまま勉強を継続して秋以降にこの赤ラインを割っていく恐れはほとんどないので、この①②あたりで、通いやすくて好きになれそうな学校を見つけておくと良いです。

そして、過去問を一度解いてみましょう。学校によって出題形式や解答欄、問題文の読み取りなどで個性があり、ノリが合うかどうかでも得点は左右されます。同じくらいの偏差値でも、A校は余裕で得点できるけど、B校はギリギリなんてことは珍しくないので、算数だけでも試してみてください。

青ラインで80%を超えているのが普通の安全校、50%を超えているのが実力適正校になります。秋以降に青ラインから4ポイント以上あげるのはかなり大変なので、+3ポイントで50%圏に入る学校くらいまでがチャレンジ校の目安になります。まぁガーッと伸びる子もいるでしょうが、上方修正は気分が良いので、別にそうなっても困りませんね。

併願校の過去問も早い段階に目を通しておく

夏を終えた今の時期になれば、80%偏差値より数ポイント以上余裕のある学校の過去問は、かなり解けるようになっています。例えば直近の模試の偏差値が58なら、50前後の学校ですね。学校によって、他の問題は簡単だけど図形問題だけあまり見ない形などの特徴があるので、それを経験しておくのも良いです。

偏差値差のある学校を1日午後や2日に受験する場合、直前の本命校とかなり傾向も難度も異なるテストになるので、ペース配分や問題文読み取りの意識などを調整しておくと良いです。

早い段階でその学校の傾向を一度入れておくと、本番前の短い時間でサッと目を通すだけでも、あぁこの感じか、という調整がしやすくなりますから、余裕のあるレベルの学校の過去問も、数回はきちんと解いておくと良いでしょう。

 

使える人もいるかも知れないので、プリント用のPDFと、入力用のエクセルシートを貼っておきますね。

https://e-tutor.tokyo/data/0918/記入用_入学手続き.pdf

https://e-tutor.tokyo/data/0918/記入用_学校別シート.pdf

https://e-tutor.tokyo/data/0918/入力用_進学実績と通学シート.xlsx

https://e-tutor.tokyo/data/0918/入力用_過去問用レベルシート.xlsx


併願検討シートに使える合格実績などのデータと、出願や入試日程の一覧をnoteで公開しましたので、こちらもどうぞ。