偏差値60の壁なんてない

中学受験のサポート歴20年以上の経験から、心構えや考え方を公開します。

塾による偏差値の違い2021年度中学受験用(男子) SAPIX/四谷大塚/日能研/市進/首都圏模試

ほぼ2ヶ月ぶりの更新は、2021年度中学受験用の各塾偏差値比較(男子)です。並びは四谷日能研の平均偏差値降順で、抽出対象はSAPIX第1回志望校判定SO、四谷大塚2020結果偏差値、日能研5月R4、市進6月、首都圏模試4月です。昨年と今年の実質倍率の比較、2020入試前の最終偏差値との比較などの一覧表は以下よりダウンロードできます。

全一覧比較.pdf
全一覧比較.xlsx

昨年同時期との比較.pdf
昨年同時期との比較.xlsx

 

https://e-tutor.tokyo/data/20200605/01.png

 

上昇率の高い注目校

2020入試前の最終偏差値と比較した上昇率の平均では、前半戦で合格を取れなかった上位層の受け皿になった2月4日の世田谷学園巣鴨が1,2位となり、1日〜3日の午後入試の三田国際、開智日本橋、都市大等々力、淑徳が3番目でした。

特に世田谷と巣鴨は受験者が倍増した上に合格者数が絞られ、昨年は3倍程度だった倍率もそれぞれ7.2倍、9.7倍という激戦になりました。

全4回の受験者総数が巣鴨は1,206→2,012(1.67倍)、世田谷は1,157→1,768(1.53倍)と増加していて、もともと難化傾向のあった1〜3日に同校を受験していた層も積み上がったことが考えられ、サピの中の下でも勝算高めから、中の上でないと危ない入試になっていた様子が反映されています。

年末に向けて偏差値の上昇が見られる=出願希望者数が増えている複数回入試校の後半戦は厳しくなりやすいので、特に冬の段階での傾向をなるべく把握して、1〜2日のうちに確実なところを押さえる戦略を立てると良いですね。

併願人気校の動向

三田国際(戸板女子2015)と開智日本橋日本橋女学館2015)は、広尾学園(順心女子2007)に続き、共学化して国際化や進学指導などを押し出しつつ、午後入試を複数回設けて受験機会を増やすことで、上位層の併願校としての存在感が高まっています。

既に都内トップ校の一角を占めている渋谷教育渋谷(渋谷女子1996)のように、学力上位の生徒が集まることで進学実績も向上し、更に人気も上昇する流れに乗りつつあると言えますね。2005年にスーパー特進コースを設立した淑徳(東大)も倍率が上昇し、サピ46、四谷日能研では50超と、中堅上位の位置を占めるようになってきました。

特に開智日本橋は各回で実質倍率が低下したにも関わらず結果偏差値が上昇し、上位層の受験者が増加していることが窺えます。先行している広尾学園の2月5日入試は、どちらも倍率が低下しても偏差値にはほとんど影響がなく、上位層の最終ラインとしての地位が固まりつつありますね。

出願候補は早い段階から十分に調べておきましょう

学校別や上位クラスは、授業の面白さやペース、勉強のやりやすさや同級生の雰囲気まで、公立の小学校とは結構違います。それを快適に感じる子は、志望順位が下でも合格した学校に進学した方が、快適に中高生活を送ることが出来る可能性が高いです。

志望校別や学校別からは、目標校に半数〜3分の1くらい合格するのが目安なので、第一志望校は学校別クラスの上3分の1の子を各塾校舎から集めたような雰囲気になります。併願の組み合わせにもよりますが、第二〜第三志望校が学校別クラスと同じくらいの雰囲気、第四〜第五志望校になると下3分の1とそれ以外のクラスの混合という感じになりやすいです。

他の記事でも何度か触れていますが、80%偏差値に届いていても、1点勝負になる入試では5人に1人は落ちますし、実力的には合格者と遜色ないレベルの子の2人に1人は入れません。ですから、偏差値的に少し余裕を持てる第二第三志望の候補を早めに絞り込み、傾向を調べてしっかりイメージしておくことは、満足できる進学先の確保という意味でとても重要です。

雰囲気や授業のペースなどは、進学校か付属校か、別学か共学か、管理志向か自学自習か、といった差異もあり一概には言えませんので、校風や指導方針など十分に調べておくことも大事ですね。

出題傾向というと、頻出分野に目を向けがちですが、問題の解き方、要求してくる能力の種類などにも注目すると良いです。高速で正確に処理する能力を要求するか、角度を変えて組み合わせる能力を重視するかといった違いがあり、この傾向の近い学校でまとめると対策がしやすくなります。

f:id:aswg-tutor:20190624065008p:plain