偏差値60の壁なんてない

中学受験のサポート歴20年以上の経験から、心構えや考え方を公開します。

新型コロナウイルス関連情報で自由研究

今の自衛のためにも、お子さんが将来世の中に働きかけたり、より良く変えていける人になってもらうためにも、情報を取ってきたり、数字を読めるようになることは大事なことです。今日はそんなお話。

情報を取りにいくこと。

メディアやSNSで目立つのは、自粛に緊急事態宣言にロックダウン、オリンピック中止にクラスター、そしてお肉とお魚とマスク、あたりですね。エイプリルフール?ってマスクのネタもあって、政府が無策無能みたいに言っちゃう人も。1世帯にマスク2枚には驚いたけど、情報自体を取れてない人も多いのを感じる。

割といつも、国のやってることはあんまり知らない上に、周知努力が足りない的な反応だったりとか。そういう人の情報源自体が、テレビとSNSだったりして、彼らにとっては、そこに出てないものは存在しないんですね。リーチするには、全メディアとインフルエンサーの枠買い取って、毎日告知でも流すべきなんでしょう。そうしたところで、つまらないから見なくなる人もいそうですが。

こういう人は、学級だよりや教科書に書いてあることも覚えてないのと似た感じ。中高の教科書レベルの問題、何割くらい取れるでしょう。自分の所有物だった上に、数百時間とか授業を受けて、テストまで受けた内容でさえ、頭に入ってなかったりする。面白くもない、不安や興奮も刺激されない、文字だけの情報を取る力自体が頼りないことになってるんですね。

実際、テレビやSNSで同じ情報には何周も触れているけど、官庁のホームページは読んでないって人は珍しくもないでしょう。で、国や自治体に文句は言う。いや、思いっきり周知してるけど。役所にも置いてあるしホームページにも出てる。なんでやらないの?書類揃えて手続きするだけでしょ?って感覚は通用しないことも多い気がします。

例えば、新型コロナウイルス感染症関連リンク集が首相官邸ホームページにあります。ここからは、雇用調整助成金とか生活福祉資金貸付制度、国税の申告期限の延期、「返済不要の補助金には、どのようなものがあるのか?」なんてものまである。

もちろん、厚労省経産省から各省庁、各自治体のホームページも日々更新されていて、中高生でも読めばわかる程度の内容だけど、ここから2段階程度のリンクを辿って全文読める人さえ少ないのは、想像できますね。すぐに疲れて、テレビとニュースサイトとTLと知り合い間のSNSに行く。わかりにくい、読んでもわからない!自分の欲しい情報だけ3行で!って人は、結構多いわけです。

国民には老若男女、職種に地域、雇用される側と雇用する側とフリーランス、高齢者に独身世帯に子持ち世帯、いろんな属性があって、それぞれ必要とする情報も違う。助成金補助金だけでも規模や所在地によって違うわけで、国なんてレベルではどう絞り込んでもすごい量になりますね。載せても見ない。

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で、こういうのを切り分けてメディアでやれば少しは伝わりやすいでしょうけど、視聴者の興味が不安を突く部分だから、仮にざっと細分化して10や20に分けただけでも、それ以外の視聴者は離れてしまう恐れがある。9割の視聴者がチャンネルを変えてしまうなら、営利組織としては扱いにくいですよね。

なので、ちょうどフィットする情報は、テレビやSNSではあまり拾えないと考えておいた方が良かったりします。基本的には耳目を集めるために、不安や不満と欲を刺激する手法に偏るので、見れば見るほど不安にもなる仕組みでもあるし。娯楽と時間つぶしと割り切った方が良いくらいですね。

中学受験をして、更にはその先、難関大学や海外留学、平均より多い収入、なんかを目指しているなら、少数派になりにいくことと同じですから、こういう機会にも少数派になった方が良い。もちろん、買い占めしたり、自宅にいないような人たちとは違った意味で。

ですから、何かが必要な時はテレビとSNSは消して、自分から情報を取りにいきましょう。まずは親が姿勢を見せてあげたり、夏休みの自由研究ノリで子供と一緒に情報を集めてレポートを仕上げても良いですね。

自由研究のテーマにも。

3〜4月の丸2ヶ月と考えたって、夏休みより長いですし、ひとつの主題で、これだけあらゆる要素が集まって、多角的に調べたり知識を増やしたりできる機会も珍しいです。

国や自治体だけでなく、株価や為替の動き、医療機関教育機関、企業の動き。メディアやTLに流れるものや、周りの「普通の人」の知っていることと実際に起きていることの一致と乖離、どうやって世の中の空気が形成されていくのか。感染防止の観点でも、社会経済の観点でも、日本という社会の分析だって良い。

ほぼ単一民族に近く、他国ではほぼ使われていない独自の言語の島国、天皇制があって敗戦国憲法をベースにする議会制民主主義。とても独特な日本社会が、この危機にどう反応し、どんな収束を迎えるのか〜なんてレポートなら、中高生どころか大学生の論文にも、本を出版するレベルでも考察できるでしょう。ちょっと風呂敷が大きいですが。

地道に集めた情報を整理して、その過程もシェアするサイトなんかを一緒に作ってみても良いです。内容的にも優れたものになれば、人の役に立って、良い経験にもなる。或いは身近なところでの影響、例えば毎朝晩、散歩がてらに同じ場所で写真を撮ってくるだけでも材料になりますね。定点観測して人の流れと国の施策やメディアの見出し数とを関連づけたり、店頭の在庫や開いているお店をカウントしても良いです。

学校にも通わない、子供だけでなく親まで家にいる時間が長い、こういう機会は滅多にありません。受験勉強を一日中やるのもなかなか困難ですから、時間の使い道をいくつか見つけておくのも有効です。ゲームや読書だけでなく、調べて集めて考える、っていう時間を作れば学力を高める上でも有効なので、こういうアプローチも検討してみてください。

もちろん、感染対策は最優先で。まずは正しい手洗いの方法とか、どのタイミングで何に気をつけるか、あたりから取り組んでおくと良いですね。みなさんがこの時期を乗り切って、無事に来年を迎えられることを願っています。