偏差値60の壁なんてない

中学受験のサポート歴20年以上の経験から、心構えや考え方を公開します。

2020結果偏差値と予想偏差値の比較(女子)と、予想偏差値や結果偏差値の見えかた

こちらは日能研の結果偏差値と、2019春と2019冬の予想偏差値との比較です。学校名の背景が赤系は上昇、青系は下降で、数値が大きいほど色が濃くなっています。冬からの比較での上昇が63、春からを含めると69、横ばいが57、下降が28。やはり上の下〜中の上の層が激化し、ひとつ上の帯に入る学校が多くなっています。

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日能研R4偏差値63以上

最上位層は落ち着いた動きですが、2/1の洗足学園が上の中からトップグループ入り。昭和秀英も人気になっています。

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日能研R4偏差値58〜62

上の中は33入試中8入試が上の下から入ってきて、都市大等々力、東洋英和、法政第二はそれぞれ複数回で上昇しています。後半の中大附属と三田国際の上昇も目立ちますね。

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日能研R4偏差値55〜57

上の下には32入試中11入試が入りました。併願人気の高い午後入試での上昇が目立ちます。

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日能研R4偏差値45〜54

この層では日本大学が中の下から一気に中の上の上限までジャンプアップ。横浜女学院も下の上から中の中になりました。

やはり全体的に難化している流れが見えます。女子校で上昇が目立つのは洗足学園、東洋英和、学習院女子、恵泉女学園東京女学館、共立女子、横浜女学院、田園調布、山脇学園。共学校では昭和秀英、法政第二、山手学院、淑徳、青陵、都市大等々力、三田国際、開智日本橋などでした。

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3ポイント以上の上昇回と冬時点での変動
予想偏差値や結果偏差値の見えかた

こちらは昨日の補足です。ある入試の受験者の実力を❶〜❿として、その合格者が以下の分布だったとします。赤を合格として、❽の実力があれば合格率80%、❼で50%、❻で20%ということになりますね(❺以下は全員不合格)。

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3つの塾の在籍者の中から、❻などの白抜き文字は受験者、などの囲み文字は非受験者として、以下のような結果が出たとします。

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A塾では、⑥の受験者は1人も合格せず、⑦でも3分の1と、なかなか厳しい入試に見えます。B塾では、⑧の受験者も1人は不合格、⑦でも3分の1と、やはり厳しい入試に見えます。そしてC塾では、⑦の受験者も全員合格、⑥でも3分の1と、やや易しい入試に見えますね。

結果のみで予想80%偏差値を出す場合、A塾では⑦と⑧の間、B塾では⑧と⑨の間に設定しますが、C塾では⑥と⑦の間になるでしょう。

翌年の入試結果は以下の通りで、⑧の実力があれば合格率80%、⑦で50%、⑥で10%なので、やや難化といった感じですね。

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各塾の分布は以下のようになったとします。受験者が模試の際に出願予定にしているとして、A塾とB塾では上位層からの出願者が増え、前年の合格者データとも照らし合わせて難化を予想しているでしょうが、C塾では出願者数が変わらず、予想も変える理由がありません。

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また、結果ではA塾とB塾は全体の合格率、⑦での合格率ともに上昇していますが、B塾では⑧の受験生も不合格になっているので、A塾よりは厳しめに予想を出したくなります。C塾は全体の合格率も⑦の合格率も下がり、結果偏差値の80%は⑥と⑦の間から、⑦と⑧の間に上昇することになるでしょう。こんなにシンプルではありませんが、構造的にはこのようなことが毎年繰り返されていくわけですね。

こんな感じで、前年度までの合格者の分布と、今年の出願者の偏差値分布などのデータから、この位置なら席を確保できる可能性はこの程度だろう、という想定をしていくわけですが、全ての受験生の実力を数値化して持っている塾はありませんし、模試と各校の入試の出題傾向や配点も異なります。

偏差値は全体の中での立ち位置の把握や併願プランを立てる上での参考になりますが、信用するとかしないとかの対象ではありませんね。特にボーダー付近では、模試などと本番で順位が入れ替わることもあるので、材料のひとつとして、無視も過信もせずに扱うのがおすすめです。