偏差値60の壁なんてない

中学受験のサポート歴20年以上の経験から、心構えや考え方を公開します。

子供の教え方その3 一緒に始める仕組み作り

物事に取り組む力は「やり始めるかどうか」と「失敗を恐れすぎないか」が大半を占めます。集中力や持続力、思考力などは育てるものですが、この2つに限ってはセッティング次第。周囲からの働きかけや暗示で改善しやすいもので、特に継続に関しては「やり始めること」が大事です。

先の記事でも触れたように、決めたことを継続できないのは、他のことと同列に置いて、どうするか判断する余地を自分に与えるから、という部分が大きいです。欲望のコントロールや意思の強さなんて話にするから難しいわけですね。やった方が良いと思い、それが正しいと判断したら、もう判断からは外すこと。日課に組み込んで固定化することが有効です。

開始時間を決めて一緒に始める

やり方は色々ありますが、計画を決める場合は開始時に軽いものを入れ、準備時間も確保します。例えば16時55分に予鈴アラーム。ここから5分でテーブルを片付け、テキストや筆記具を用意して、17時のアラームで開始、最初にテキストの音読をする、といった感じです。

計画が出来たら、なるべく他の人の前で一緒にやることを約束します。家庭教師などがいなくても、他の家族や遠隔地の祖父母などでも構いません。子供と約束をする場合、一対一で守る側と監視する側という配置より、第三者に対しての約束を一緒に果たす仲間のポジションを取ると良いでしょう。

予鈴が鳴ったら「さ、片付けるよ」「テキスト持ってきて」などと声かけをして、自分はテーブルの上を片付けたり共同で始めるようにします。「起立、礼」などを組み込んでも良いですね。やれと命令する立場ではなく、初動をお互いが受け持つことが大事です。

三者を承認役に

私が指導する場合、慣れるまでは開始時間に合わせてスマホスカイプで動画を繋ぎ、机の前に座って最初の課題を一緒に開始してもらうようにしていました。 ある程度継続したら、カレンダーに毎日2人分の◯を付けたものを渡し、「毎日◯がついてると気持ちがいいね。今日からはあなたとお母さんがこれに◯をつけてね」と言って引き継ぎます。

そして、見るたびに◯で埋まっている事を喜び、1ヶ月などの節目に名入れ加工のできるノートカバーやボールペンに「続けて偉いで賞」「Keep Going」「継続は力なり」などのメッセージを入れてプレゼントしていました。

この、動画で見る→カレンダーに○付け→貯まることを喜ぶ→記念品を贈るなどの承認役を第三者にやってもらうと仲間の位置取りが容易なので、ご家庭の状況に合わせた取り入れを工夫してください。

受験を考えると、どうしてもテストの結果や成績に目が行きがちですが、学力は継続して正しく努力すれば上がるもの。「結果より過程が大事」なんて話ではなく、正しい過程=結果なので、継続すること自体に協力することが一番の近道。結果を評価するよりも、過程に寄り添う方がずっと効率が良いです。

命令と監視でやらせる仕組みは一見容易そうですが、命令と監視がなければやらない習慣を作るという意味でもあります。子供主体で計画し、実行面も分担して寄り添うような形にすることが、決めたことを守る習慣づくりには有効なので、試してみてください。