偏差値60の壁なんてない

中学受験のサポート歴20年以上の経験から、心構えや考え方を公開します。

6年生におすすめのGWの過ごし方 その1

今日から令和。新しい出発に相応しい日ですね。残り6日となったゴールデンウィークを、学校や塾に通わないまとまった時間を使う練習という意識で過ごせると夏休みにも効いてくるので、これまでに指導してきた方法を書いてみます。

SAPIXのGS特訓を取っている場合

SAPIXのGS特訓は9時〜5時で1コマの時間も長く、受験生らしい問題と厳しさに触れる最初の機会です。この特訓は夏休みや秋の志望校別の十分な予行演習になりますし、しっかり取り組んでいれば帰宅後はかなり疲れているので、リフレッシュに努めましょう。

志望校が筑駒・開成・麻布や二光クラスの場合、ここから入試までは、いかに弛まず丁寧に積み上げて行くかの勝負になります。GS特訓で難関校入試レベルの問題に取り組ませる目的は、「このくらいの問題を解けるようにならないといけない」という引き締めと、「それが出来るライバルもいる」という刺激を与えるため。ですから、今の時期に入試レベルの問題ができる必要はありません。出来る子はいますが、まったく気にする必要なし(親は)。

麻布に進んだ子たちでも、GS特訓に行ってくると頭は疲れていることが多いので、「6時〜9時まで3時間は出来る」などと欲張らず、むしろ1時間程度に絞ったり、読み返しだけで軽く切り上げて、翌日の授業に備えて英気を養った方が良いです。特に睡眠は削らせないこと。本人のやる気が高まっているならフルにやって構いませんが、就寝時間のコントロールには気をつけましょう。

但し、基礎的なもの(言われればすぐ理解できる、過去に出来たことがある、というレベル)で間違っていた分だけはやり直しが必要です。この問題は集めておいて、折に触れて周回すると良いでしょう。

6日は休養日にして、日中に散歩に出かけたり、外食に連れ出してあげても良いです。どこも混雑していますが、可能なら何か遊びの予定を今日明日までに計画して、6日のお楽しみに向けてその前のGS特訓を頑張る流れも良いですね。7日以降の切り替えには注意して、可能なら7日の学習開始時間は管理してあげると良いです。

四谷偏差値64以上:厳しさを体感し、効率化を目指す

この偏差値帯の場合、GS特訓の代わりに志望校と同程度の偏差値の過去問から、算数の大問を10〜20問程度やってみると良いです。入試問題をそのままやると得点が気になるので、大問のピックアップがオススメ。1問15分で切り、1問ごとに数分の休憩を挟みながら解いていきます。

SAPIXや四谷でも、6年春までは基本的なレベルから出題されるので、この時点の四谷偏差値64以上は、基本は取れるというスタートラインです。ここに並んだ子達は、これから受験用のより難易度の高い問題を解く力をつけていきます。

国語の地力の記事でも触れましたが、このレベルの学校は問題の難度が高い上に、競争相手が何問か解いてくるので、それに勝たないと入れません。このために、夏には基礎力を完成させつつ応用に手を出し、秋からは志望校別で傾向にあった力をつけていくわけですね。

過去問を使う場合、「これは○○の入試問題だよ」と言えるメリットがありますが、抽出が面倒な場合は四谷の「算数難問題集(校名なし)」や、希学園の「特進クラスの算数難関・超難関校対策問題集(校名あり)」でも大丈夫です。いずれも秋以降に取り組む問題集ですが、意外に解ける分野、時間がかかってしまう問題など、色々体感しておくことが大事です。

GS特訓と同じで、現時点で出来る必要はありません。ここからの9ヶ月で合格するための、距離を測るだけです。不正解だった問題のやり直しは、気が向く範囲で(しっかり集中して)やれば良いです。難しければ、休み明けに塾の講師に質問しても良いですね。問題の解き方だけでなく、これから夏までに何を勉強していくと良いかのアドバイスを貰うスタンスで質問しておくと、講師が力になってくれるきっかけになります。

どうしても、長時間机に向かっている=偉い、短時間しかやらない=サボり、という印象を持つ方が多いですが、特に難問レベルでは高い集中力が必要になるので、長時間でどうにか成績を取る習慣を続けていると、秋以降に伸び悩む心配があります。うまく休みを挟みつつ、集中力が高く効率の良い時間をどう増やして積み上げるか、という視点に切り替えてください。