偏差値60の壁なんてない

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地力の向上(2)算数と理科(物理化学)

算数と物理化学で、複雑な問題でも素早く脳内や手元で試行錯誤を進め、最適な解法を見つけられるようになるには、演習量がモノを言います。また、基本計算など、正答率が高い問題でミスをしない習慣づけも大切です。数列やまとめ方など、数字に対する感性を磨くためにも、基本・計算問題の継続は大事ですね。

ただ、夏以降の大量の演習に入る際、しっかりした理解の有無は実力の伸びに大きく関わりますし、不明点を質問する力にもつながります。その地力をつけるために、日々1〜2題を授業できるレベルに仕上げていく方法を使っていました。この方法は必ずしも多くの時間は必要としないので、基礎からやり直していく際にも使えます。

ファーブルが代数の家庭教師を引き受けた際「生徒がわからないのは教師がわかっていないからだ」と言って懸命に勉強しながら教えたエピソードがありますが、これがしっかり理解して自分のモノにするという目的にハマるので、うちでは「ファーブル方式」と呼んでいました。

例えば、四谷大塚の四科のまとめ(算数)は8章50項目なので、今から1日1項目進めると6月中旬、週5項目ペースでも7月上旬に1周します。使用するのは全範囲の基礎が載っていれば、予習シリーズの5年上下など他の教材でも構いません。理科だと日能研のメモリーチェックやSAPIXのコアプラスを併用するのも良いですが、日々1項目を着々と進めることが主目的なので、分量が多過ぎないように注意してください。

手順は、まず毎朝計算を5分やったら、例題と解説をしっかり読み、なるべく忠実に覚えます。図なども真似をして1問10分目安、計算含め朝の30分ほどで終わらせるようにします。可能ならノートを学校に持っていき、休み時間中に読んで来ても良いです(毎回読んでくる子は少数でしたが)。この授業準備ノートには、無地か方眼で1問に1〜2ページ使うような形が適しています。

次に、学校からの帰宅後や塾の前後に、問題だけを見ながら同じ解説をします。解説に書かれているのとそっくり同じでも、線分図など自分が説明しやすい形を書いても構いません。筆算やまとめ方も工夫し、解説に詰まった時はノートを10カウントだけ見て良いことにします。授業時間も10〜30分くらいで、うまく出来なかった場合は翌日やり直したり、理解が怪しければ教えたりしてバランスを取っていきます。

授業はホワイトボードに黒と赤や青のマーカーで書いても良いですし、黒板にチョークでも構いません。舞台を整えると割と楽しんでやる子が多いです。また、別のノートを使用して、後に読み直すのを好む子もいるので、このあたりは気にいる形を相談して決めてください。ここが大事というポイントを、こういうところをしっかり書かないと間違えるからね〜などと言いながら、赤やピンクで書いて説明するように指導します。

授業は可能なら親に受けてもらいますが、親が同席出来ない場合は録画しながらやるのも有効です。今の子はスマホ自撮りやYoutubeといった文化の影響か、昔より動画撮影も苦にしない子が多いですね。平日に準備して、5〜10題をまとめて週末に1〜2時間の授業をする形でも良いです。そして、授業を終えたら、翌日その項目の問題を解いて1セット完了。

やり方は物理化学も同様で、算数と理科の基本範囲を終えた後は、2周目に突入しても良いですし、塾の授業でやった問題や、模試などで間違った問題の解説を受けたものなどを素材にする回があっても良いので、この形は継続するようにします。いずれ報酬系の記事でも触れると思いますが、この形では区切りごとに記念品をあげていました。

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これはトロフィーやメダルにつけるプレートにレーザー彫刻したもので、算数と理科の分をまとめて注文しておきます(1枚数百円)。最初の1章を終えた時、名前の入ったプレートと、全部入る窪みを付けた台紙と額縁を最初に渡し、達成ごとにプレートを渡して台紙にはめていく形にしていました。

学習法のネーミングも記念品も特に必要なものではありませんし、記念品は簡易的にはシールとカレンダーでも同じような効果がありますが、特に男子はアイテム好きな子も多く、こういった工夫が結構効いたりします。