偏差値60の壁なんてない

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地力の向上(1)国語

国語の入試問題の記述量と難易度の違い

合不合などの模試や、偏差値50台前半までの学校の問題は、最低限の語彙力とテクニックがあれば、それなりに正解できます。これに対し、難関校の国語は、問題文の文字数も多い上に、本文の抜き出しではない記述が必要になるため、単純な受験国語のテクニックでは正解できず、速く正確に問題文を読んで内容を把握する力と、速やかに文章にまとめる力が要求されます。

この違いがかなり大きいので、特に偏差値60台後半以上の難関校を目指す場合は、地力をしっかりつけておかないと苦労します。下記は2018〜2019年の国語入試問題の傾向と、説明や考えを述べるタイプの記述問題(書き抜き以外)の条件を表にしたものです。○字は文字数制限でマス目の解答欄、○行は字数制限がなく行単位の解答欄です。

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国語入試問題の記述割合と傾向

特に、筑駒・開成・麻布・駒場東邦・武蔵・桜蔭・女子学院などの国語は、対策だけで高得点を取ることはかなり困難です。逆に国語が比較的易しい学校では、地力があれば国語で得点しやすい上に脳の疲労度も低く抑えられ、他科目にエネルギーを温存できるなど、有利なことは多いです。

但し、地力をつけるのは時間がかかる上に、暗記やテクニックと比べると短期的に成果が見える方法ではないので、志望校の偏差値が50台前半までの学校であれば、特にやらずに受験を乗り切ってもそれほど問題はありません。志望校と現時点の状況を踏まえ、適切な範囲で参考にしてください。

国語はある意味では最も学校ごとに要求されるレベルに差が出やすい科目とも言えるので、親は早い段階で志望校の過去問に目を通し、どの方向に進むべきか把握できるようにすると良いです。

国語の地力をつける

文章を速く正確に読み取る力は、他の教科にも強い影響のある、学習の礎となる部分です。テクニックは、主に設問の直前部などに答えがあり、そこからキーワードや文章そのものを抜き出すといった方法が主体なのに対し、難関校では該当箇所が離れていたり、キーワードや文の抜き出しでは尺も合わないケースが増えてきます。

例えば麻布の国語だと、問題文が7〜8,000文字程度と長く、記述回答の対象も傍線部の前後を少し読めば良いレベルではない問題が多いので、ざっと読んで内容を把握し、どのあたりに何が書いてあるかを把握する力と、適切な語を選び、必要に応じて言い換えて文章にまとめる力が必要です。

マッピングと記述

マッピングというのは、通った道=読んだ文章の内容を、正確に把握して簡潔に説明できるようにすることです。どこに何が書いてあるか場面を言えて、その内容を本文中の言葉と自分の言葉、どちらでも説明することが出来るように練習していきます。題材は何でも良いですが、過去問の本文や小学生新聞などを活用すると、色々な文章に触れやすく準備も楽です。過去問の場合は仕上げのテストが出来るメリットもあります。

まず、本文を読みながらまとまりごとに何を書いてあるかをなるべく簡潔に書きます。付箋に「場面:家」や「○○の行動:喜んでいる」「○○の気持ち:後ろめたい」などと書いて、貼り付けていく方法がおすすめです。ここで大事なのは、会話のようなペースで途切れずにどんどん書いていくことです。ある程度の分量ごとに、それをまとめた赤字も入れていきます。

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本文マッピング

次は記述で、ある段落や場面を字数制限をかけてまとめる「要約」、本文にある言葉をなるべく使わずに段落や全体を説明する「言い換え」、それに対する自分の気持ちを字数制限内で書く「表現」、という3つの練習をします。うまく書けない子の場合は、書きたいことを単語の羅列から文章にまとめ、次はその文章に修飾をして膨らませるように練習をして、翌日推敲するようにします。

小説の場合は、言葉や態度、状況描写などから感情を推測する仕組みを説明し、そこに注目する習慣づけも大切です。記述があまり得意でない場合、この言葉以外の描写にも感情を反映させているという仕組みへの理解が薄いことも多いので、特に注意して見てください。言い換えにはヒントを出してあげたり、辞書を引いて考えても良いです。

また、子供が笑ってしまうような表現やピントのずれた回答をした場合でも、それをバカにしたり否定したりしないことはとても重要です。面白いね、すごいね。あぁ、なるほど、そんな風に感じるんだね。といった感じで、回答例を示してこっちの方が良いと思うところはある?とか、こういう態度の時ってどんな気分かな?と問いかけたりします。

過去問を題材にした場合は、入試の設問をそのままやってみて、不正解の場合は正解例を読み、もう一度自分で書いてみる練習もすると良いでしょう。地力養成時に大事なのは正解することではないので、正解かどうか、得点にしたらどうかは全く気にしないでください。

漠然と読むのではなく、自分で端的にまとめる意図を持って読むことで、文章を速やかに把握する力と言い換える力をつけ、そこから考えたことを表現したり、それについての他人の考えを聞いたりする経験を積むことが大切です。

繰り返しますが、国語力が高い指導歴のある人でもない限り、家庭でやる場合には正解や得点は気にしないこと、子供の思いつきや感性に対し、絶対に否定から入らないことを心がけてください。考えながら読み、言い換える工夫をして語彙を増やし、文章を書いて推敲し、それについて話す経験を重ねることが大事です。得点に結びつける方法は、秋からの志望校別に入れば四谷でもSAPIXでも十分な指導が受けられます。

しっかりやると、1回分の過去問で数時間かかります。他の勉強もあるので、1日30分や1時間で区切り、初日は付箋を付けながら文章を読んで赤字を入れるところまで、2日目は「要約」と「言い換え」、3日目は「表現」と設問回答、4日目に推敲とやり直し、など実力に合った適切なペースで積み重ねるようにしてください。