偏差値60の壁なんてない

中学受験のサポート歴20年以上の経験から、心構えや考え方を公開します。

塾による偏差値の違い 2021年度中学受験用最終版(女子) SAPIX/四谷大塚/日能研/市進/首都圏模試

各塾の偏差値比較の女子最終版です。男子以上に偏差値の上下動が少なく、2塾で上昇したのは鷗友と山脇の2校だけとなりました。

塾による偏差値の違い

抽出対象はSAPIX第4回合格力判定SO、四谷大塚合不合6回、日能研12月R4、市進9月、首都圏模試1月です。日程別でも掲載しています。

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こちらは日程順です。

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春との比較で上下動のあった入試

鷗友は2月1日、3日ともSOと合不合で上昇。山脇は1日午後と4日で上昇しています。他には男子でも上昇が見られた1月21日の千葉日大第一が日能研で上昇して、2日の吉祥女子と法政第二が2塾で下降したくらいで、大幅な変動は見られませんでした。

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分布イメージ

SAPIXの偏差値55以上の層は、四谷日能研の偏差値63以上の層とほぼ被っていて、S45〜54の中間層が、YN55以上と重なる感じです。本記事で首都圏模試50未満の入試が出てこないのは、SAPIXの偏差値表になく比較できないためです。

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御三家クラスの学校に入学すると、塾の学校別クラスの上2割+その下の中間層5割から1〜2割という感じになります。Y60くらいの学校には、学校別クラスの中間層〜下2割の子が多くなり、他のクラスからも入ってくる感じですね。

Y50でも首都圏模試の上1割くらいですから、小学校では上位層の子たちの集まりです。入試偏差値の数ポイントより、入学後の姿勢がその後の学力や進学先に大きく影響を与えるので、入試がゴールではないというイメージを親がしっかり持つことも大事ですね。

塾による偏差値の違い 2021年度中学受験用最終版(男子) SAPIX/四谷大塚/日能研/市進/首都圏模試

各塾の偏差値比較の男子最終版です。今年は例年に比べると出だしから偏差値の上下動が少なめで、最後までその傾向は続きました。あまり人気が集中するところもなく、比較的安全志向で推移した感じです。

塾による偏差値の違い

抽出対象はSAPIX第4回合格力判定SO、四谷大塚合不合6回、日能研12月R4、市進9月、首都圏模試1月です。今回は日程別の区切りでも掲載しています。

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こちらは日程順です。

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春との比較で上下動のあった入試

1月は、12日の城北埼玉と21日の千葉日大第一が3塾揃っての上昇で、16日の栄東東大4教科はSAPIXのみ3ポイントの下降。同日の栄東東大算数は64なことから、SAPIX上位層の算数強者が1教科型に流れ、4教科型の競争が少し緩くなる可能性があるようです。麻布並の難関なことには変わりありませんが。

2月1日は駒場東邦が3塾で上昇し、海城、サレジオ、成蹊なども少し上昇が見られます。複数の算数午後入試が合不合で1ポイント下げました。

2日の大学附属は1〜2ポイントの上下動があり、立教池袋と青山学院が2塾でダウン。算数午後と同様、これまでの過熱がひと段落という印象ですが、易化と言えるほどの変化ではありません。午後の日大豊山は2塾で2ポイント上昇しているので、少し難化する可能性がありますね。

3日以降は揃って上下するところはほとんどなく、4日の獨協が2塾で上がっているくらいです。

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分布イメージ

SAPIXの偏差値55以上の層は、四谷日能研の偏差値63以上の層とほぼ被っていて、S45〜54の中間層が、YN55以上と重なる感じです。本記事で首都圏模試50未満の入試が出てこないのは、SAPIXの偏差値表になく比較できないためです。

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御三家クラスの学校に入学すると、塾の学校別クラスの上2割+その下の中間層5割から1〜2割という感じになります。Y60くらいの学校には、学校別クラスの中間層〜下2割の子が多くなり、他のクラスからも入ってくる感じですね。

Y50でも首都圏模試の上1割くらいですから、小学校では上位層の子たちの集まりです。入試偏差値の数ポイントより、入学後の姿勢がその後の学力や進学先に大きく影響を与えるので、入試がゴールではないというイメージを親がしっかり持つことも大事ですね。

 

塾による偏差値の違い2021年度中学受験用(女子)11月版 SAPIX/四谷大塚/日能研/市進/首都圏模試

最近はめっきり冷えてきて、合不合も残すところあと2回ですね。模試の結果で一喜一憂しやすい時期ですが、数ポイントの差で50%が80%になったり、20%になったりすることに振り回されるより、弱いところをあと何周できるか、過去問の相性はどうか、どんな工夫をすればその学校で得点しやすくなるのかなどに目を向けて、一歩づつ着実に強化していきましょう。

 

2023年夏版はこちらです。

塾による偏差値の違い

抽出対象はSAPIX第2回合格力判定SO、四谷大塚合不合4回、日能研10月R4、市進9月、首都圏模試10月です(市進と首都模試は前回と同じ)。今回はいつもの偏差値順のほか、日程別の区切りでも掲載してみました。

 

偏差値順

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日程別

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各塾の偏差値動向

6月の偏差値との比較でも、3塾揃って上げているのは1月の千葉日大第一(1/21)と2月1日の鷗友学園女子の2入試のみ。2塾でも2月1日の共立女子、2月1日午後の山手学院Aの2入試です。

下降も3塾は2月2日の法政第二、2塾が吉祥女子2だけで、あまり大幅な変動のない落ち着いた推移ですね。

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分布イメージ

SAPIXの偏差値55以上の層は、四谷日能研の偏差値63以上の層とほぼ被っていて、S45〜54の中間層が、YN55以上と重なる感じです。

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SAPIX40前半や四谷50前後でも、首都圏模試だと63以上だったりします。全く教育意識のない家庭は首都圏模試も受けませんから、全体から見れば上1割にも満たない、教育熱心な家庭で育った学力の高い子が集う、恵まれた環境に進めるわけですね。

塾による偏差値の違い2021年度中学受験用(男子)11月版 SAPIX/四谷大塚/日能研/市進/首都圏模試

今回は、2月1日校の駒場東邦が三塾揃って1ポイント上昇しました。その他の動きとしては、急激に上昇してきた上位併願校や大学附属校がやや敬遠されて、1ポイント程度下降することが増えている雰囲気です。

掲載全入試平均値が54.36→54.40(+0.04)、早慶附属の平均値が62.43→62.52(+0.09)に対し、GMARCH附属の平均値は53.97→53.85(-0.12)になっています。 

塾による偏差値の違い

抽出対象はSAPIX第2回合格力判定SO、四谷大塚合不合4回、日能研10月R4、市進9月、首都圏模試10月です(市進と首都模試は前回と同じ)。

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前回との比較

複数の塾で上昇したのは、1月12日の城北埼玉、2月1日の駒場東邦、2月2,3日午後の日大豊山の3校4入試。複数の塾で下降したのは、2月2日の立教池袋と青山学院の2入試です。

複数の入試回で変動があったのは以下の学校で、学習院は2回とも四谷では上昇、日能研で下降しています。

●上昇
サレジオ学院、海城、学習院芝浦工大附、日大豊山

●下降
鎌倉学園学習院世田谷学園、法政第二、明大明治

 

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偏差値の変動=出願者数の増減=実質倍率の予測になり、ボーダーの厳しさがある程度想定できるようになります。今年は激増の入試はなさそうな雰囲気ですが、午後入試の安全校のつもりが、倍率が急増して安全校ではなくなるケースもあるので、特に併願校の偏差値動向は意識しておくと良いですね。

 

 

分布イメージ

SAPIXの偏差値55以上の層は、四谷日能研の偏差値63以上の層とほぼ被っていて、S45〜54の中間層が、YN55以上と重なる感じです。

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SAPIX40前半や四谷50前後でも、首都圏模試だと63以上だったりします。全く教育意識のない家庭は首都圏模試も受けませんから、全体から見れば上1割にも満たない、教育熱心な家庭で育った学力の高い子が集う、恵まれた環境に進めるわけですね。

出来るようになりたいことは、その練習時間を確保する

残り100日期間に入りましたね。今年は都内でも半分近い区の終業式が8月7日で、11週間前の8月9日は短い夏休みの最初の日曜日でした。そして、11週間後の日曜日、1月10日は栄東や開智、大宮開成などの入試日です。

やることは山盛りですが、特にこれからの1ヶ月でやっておくと良いことが、出来ないところの分解練習。効果が出てくるのに1〜2ヶ月、馴染んで安定するまで更に1〜2ヶ月かかるのが普通なので、11月が最後のチャンス。該当する人はきっちりプランを組んで取り組んでください。

12月以降は練習にはあまり適さない

まず1月は、これまでにやったこと、なるべく広範囲の記憶を、なるべく新鮮な状態で試験会場に持ち込めるようにする段階なので、新しいことは入らないと考えた方が良いです。

併願校の入試やその結果の合否で、疲れや一喜一憂もあって安定しにくいので、体調とメンタルを整えて丁寧に仕上げていく時期だと考えておきましょう。

12月になると、徐々に緊張感が出てくる子が多いです。塾でもあと○日などの煽りや冬期講習など、総仕上げに向かっていく雰囲気も高まり、模試の結果もあらかた出揃うので、持ち偏差値と相談しながら出願を決めていく時期ですね。

一般的には50%偏差値前後が実力相応になりますが、得意な範囲が頻出で出題形式も馴染む場合と、その逆では数十点の差があり、相性や対策も大事なので、偏差値は要素のひとつとして、あまり気にし過ぎないことです。

ただ、偏差値足りない+相性良くないが揃っていると非常に厳しいので、50%以上かつ過去問合格ラインを超える学校をしっかり組み込んでおくことも大事。

目安としては、80%未満は計3回くらいに抑えた方が良いです。入試の回数が増えただけ気力体力を消耗するし、更に後半戦まで行くと、早い段階で熱望していた学校の合格が取れていないケースも多い。かなりタフでない子だと、厳しい入試を増やしてもボロボロになるだけで、合格が遠のく可能性もあります。

ある程度安心感、納得感を持って通える学校の合格を持っていて、更に欲張る受験なら良いのですが、もう行きたかった学校はない、気持ちは負け戦、みたいな状態だとメンタルが削られます。持ち偏差値に余裕があり、過去問でも合格者平均を超える学校を見つけて、安全ラインの確保を目指しましょう。

1日2日の午前に実力相応の入試を受ければ4分の1の確率で連敗しますから、3日に合格を持っておくには、2日までに確実に合格できる学校を複数受けておく方が良いです。午後には確実と思える80%以上で余裕のあるところを組んでおくとか、1月に通学面でも心理面でも十分に通えると思う学校の合格を取るとか。

どの学校の対策をどの程度やるか、記憶系の仕上げにどれだけ時間を使い、問題演習や記述練習にどれだけ割り振るか、限られた時間のパズルになってきます。学習内容的にも、過去問を消化しつつ記憶系の強化に取り組む段階なので、新たな練習時間の確保は難しくなります。

だから、現時点で見えている癖の上書きや、新しい技術を入れる最後の機会は、11月だと考えてください。ここが、基本的な練習を積む最後の機会だと思って、しっかり取り組みましょう。

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この一覧カレンダーに出願や入試日を入れておくと、全期間をスマホでチラ見するのに便利なので、使える方はどうぞ。

https://e-tutor.tokyo/data/cal.xlsx

 

言って聞かせるだけでは効果がない

何年か取り組んでいれば、これは実感していると思いますが、どうしても「ちゃんと途中式を書きなさい」とか、「計算を丁寧に」とか、「図を書けって言ってるでしょ」とか、注意してしまう人は多いです。塾講師や家庭教師でも、割といるみたいだけど、まぁ正しいこと言ってるだけですね。免罪符というか、自分はちゃんと悪い点を指摘してる!って安全圏に逃げる効果しかないです。

ほとんどの「指示」や「注意」の効果が薄いのは、絵に描いた餅だからです。言われただけで出来るなら、練習要らないですね。染み込むまで練習しないと出来るようにならないから、どの分野でも何の競技でも、反復練習を積むわけです。

例えば、日々の計算とかやっても計算ミスが減らない理由は、「ミスの原因を解消する練習」になってないことが多いです。箸の使い方を上手にさせたいときに、早食い大食い競争に出場しても、効率悪いどころか逆効果ですよね。でも、なぜか普通に計算問題解かせたり、テストを受けさせて「気をつけなさい!」って言ったりしがち。

技術は①ゆっくり意識してやれば出来る→②意識していれば出来る→③ほぼ無意識でも出来る、という感じで習熟度が上がっていきます。③のレベルなのにミスしているなら指摘する効果はありますが、①に片足突っ込んだ程度で、時間制限と別の目標があるようなことをやっても、技術は上達しません。

上手にさせたいポイントを取り出して、そこだけを丁寧に、最初はゆっくりから練習を積ませないと、ほぼ改善しないまま入試を迎えます。普通は始めてから1ヶ月くらいで変化が出てきて、3ヶ月くらいで身についてくるので、始めるタイミングとしては今がギリギリくらい。

 
取り出し練習に適している技術

取り出し練習に向いている、逆に言えば「しないと改善しにくい」ものは、例えば以下のようなものがありますね。

・小数と分数が混在している、または分数にした方が解きやすい問題を有利な形で解く。
・共通の約数や倍数をまとめておいて、最後に解く。
・速さの問題でわかっている条件を、線分やダイヤグラムに書き出す。
・問題文を読んで、解ける問題、解けそうな問題、難しい問題に分ける。
・本人が読みにくくて間違える、或いは採点者が読めずに点を落とした数字や文字。

これらは、普通に10問とか並んだ問題を、塾や宿題で解いていくだけでは、ほぼ改善しません。通り一遍のことを習って出来るようになる子は現時点で出来てますから、出来ていない子があと100日同じことをやっても、ほぼ出来るようにならないと考えた方が良いです。

出来ない理由を考えると、主に本人の性質と、与えられた条件があります。性質がどうでも、練習さえすれば出来るようになりますが、性質によっては「普通はこのやり方で出来る」ということが、同じ方法では出来るようになりにくい。で、親とか指導者に「気をつけなさい」「前も言ったでしょ」ってやられるだけだと、まぁずっと出来ないままです。

何度も言ってるけど、勉強みたいに正解のあるものは、知能が足りないのでなければ、その子に合う方法で必要な量の練習をすれば出来るようになる。標準以上の賢さがあるのに、他の子と同じようにやって出来ていない部分は、方法や条件設定が合ってないって考えた方が良いです。


なんのためにやるのかの目標設定

割と多くの子にとって、勉強の主目的は「○分で終わらせる」とか「なるべく良い点を取る」になっています。で、同時に複数のことを意識しながらチェックする力は、未熟な子がほとんど。プレッシャーもかかれば更に低下します。

そこに「理解しろ」とか、「わからなければ聞け」とか、「ちゃんと書きなさい」とか、「出来る問題からやりなさい」とか言ってるじゃない!ってなると、最初に出来なければずっと出来るようにならないフルコンボです。

ノートや途中式が綺麗に書けるとか、完璧になるまで繰り返すとか、そういうのは子どもが持ってるこだわりポイントがたまたま合致してるに過ぎません。ポイントが違う子に技術を持たせるには工夫が要ります。

素材任せの定型を渡して、あとは安全圏から正論で責めるだけなら、時給1000円のバイト講師でも出来ますから、自分の子にやることじゃないですね。大事なのは問題解決の方法を考えること。

最低限、受験に取り組む意欲はある前提でも、子供の性質と育ってきた環境によって、何を大事だと思うかが異なります。納得や理解がないと出来ない子、とにかく早く終わらせたい子、怒られるのがとても怖い子、誰かに見てもらいたい子。

その理由をちゃんと見て、その性質自体と喧嘩せずに練習に取り組むのがベストだけど、まぁ多少の軋轢は仕方ないです。今やらないと、12月1月にはもっと深刻な空気になるので、どうせなら11月に喧嘩してでもやっておきましょう。

喧嘩と言っても、こちらから追い込むのは避けて、サンドバッグ殴るとか、大声で歌うとか、誰かに愚痴るとか、呪いの日記を書くとか、とにかく発散を外に向けて。子供の前では頑として「やろう」だけでいくこと。保証は出来ないけど、大抵の場合は練習が足りれば出来るようになるし、出来るようになれば嫌がらなくなります。

人に何かを教えるのは、自分の未熟さを知り、それに向き合うことでもあります。出来ないことや至らないことは、それが表出しただけで、もともとそのレベルなので、そこを減点していくと続けられません。自分の未熟さに気づき、そこを磨いているのなら、自分でそれを応援した方が良いです。責めても伸びないのは自分も同じなので、加点方式でいきましょう。


条件分けと取り出し

例に挙げたものは、どれも一度上手になると、そっちの方が快適かつ安全なので、黙っててもやるようになります。言われてもやらないのは、下手で効果の実感がない、時間がない、余力がない。下手なのは練習しないと上手くならないし、上手くなければ効果も実感しようがないので、工夫できるのは時間と余力ですね。

その子によって適切な方法は無数にあるし、やってみながら調整していくしかないけど、とりあえず確実に有効なのが、その目的だけ取り出して練習する機会を与えてあげることです。

例えば問題の仕分けなら、過去問やテストなどの初見問題で、時間を区切って問題仕分けタイムを設けます。最初の目安は、制限時間の1〜2割。例えば50分のテストなら、10分間で問題に目を通しながら、①いける、②どうにかなりそう、③無理目、くらいにマークしていきます。マークが終わった時間を記録しておいて、残り時間で問題を解いてみましょう。

だいたい馴染んでくるのに2〜30回は必要です。毎日問題を解く時に取り組めば、1ヶ月くらいで消化できますね。問題を読み終えた時点でジャッジする習慣をつけてあげる+③として飛ばした選択が正しかった時には特に褒める、くらいのことをしていくと、無理目の問題を飛ばすことに慣れてきます。

上達してきたら、今度は別枠にせず、①と判断したらそのまま解く、②は戻ってきて解く、③は放置で時間が余った時だけ手をつける、という感じで時間内に判断を組み込む練習に移行していきましょう。これが3ヶ月後に出来るようになれば、入試で10点20点は得します。

図や線分などを書くことも、「問題文を読み、分解して条件として書く」とか「何を聞いていて何がわかれば良いかを書く」という形で取り出し練習をすると、書くこと自体の精度に意識を向けやすくなります。これには、十分に書くことのある問題を抽出して、練習用の問題集を作るのが良いです。

こちらの場合は、書けているものの添削がかなり大事です。慣れないうちは書き出す余白の大きさが合っていなかったり、与えられた条件を全て盛り込めないものなので、そこをどうやれば上手く描けるのか、ひとつひとつ正解を見せて、書き直しをしていきます。やはり数十問消化したあたりから、文章を図式化することに慣れてくるので、上達してきたら普通に問題を解く中で実践できるように切り替えていきましょう。

分数や約数は、単純に見つけた数と最後まで残せたかどうか、それが最も効率が良かったか、の評価をしていくことが有効です。これは日々の計算練習などの中でもできますが、やはり特化した問題集などで数百問くらいこなすと短期間で馴染みます。1日20問やれば1ヶ月で600問練習できるので、丁寧な添削をしていきましょう。本人が納得するようにベストの流れを見せていくのが良いです。

その他のことも同じで、大事なのはそこだけ取り出して時間を与え、そこだけの評価をすること。普通に問題を解いて、マルバツをつけていくだけだと、どうしても時間的な制約とか焦りもあり、その部分に対する集中が出来ません。そもそも他の子と同じ条件でやって身につかなかったんだから、入りにくい種類の技術ですね。集中しないでいつの間にか出来るのを待っていては間に合いません。

必要なのは時間と気持ちの余裕

それが出来れば苦労しないって話なんですけどね。でも、新しい技術に限らず、思考力や応用力から集中力まで、どんなことにも大事なのは時間と気力と体力です。休むこと=悪ってイメージが強いと、全て足りない状態での練習になるので、効果は出にくい。

だから、各個撃破していくと腹を括って、丁寧に練習する時間を設けることと、「見ていないところでの誠実な努力」みたいなのを求めないことは、とても大事。

練習の際には、出来ているところを指摘する。不足は「こうするともっと良い」を1〜2箇所で。10も20も言っても無駄なのに言うのは、排泄行為みたいなものなので我慢しましょう。子どもはトイレじゃないです。出来ないことがたくさんでも、増やすのはひとつひとつ。

見ているところ、目の届くところで、安心してその練習だけに取り組めるようにすることが、普通にやって苦手だったことの上達には必須です。一緒に出来ないとしても、ちゃんと確認して「前進したところ」を評価してあげることが、本人にとっての「やる理由」になります。

どこも不安定な状態のまま進むより、頼れる武器をひとつふたつ増やす方が入試に役立つので、何度か言っても改善しないって気づいてることがあるなら、その練習時間を作ってあげるようにしてみるのも良いです。

中学校会場で受験可能な模試

四谷大塚の合不合と学校別模試、SAPIXの合判と学校別、日能研と首都圏模試では、それぞれ中学校会場での受験が可能なものがあります。現在受付中のもの、今後申込可能なものを一覧にしました。

今年は文化祭などの一般公開がなく、学校訪問の機会も瞬間的に埋まってしまうなど、実際に学校まで足を運ぶ機会が少ないので、普段は受けない他塾の模試も、場所を知って予行演習の機会として活用するのもアリです。

男子校会場の模試

聖光学院、芝、本郷など17校での受験が可能です。

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女子校会場の模試

吉祥女子、鷗友学園女子、淑徳与野など21校での受験が可能です。

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共学校会場の模試

四谷大塚合不合の受付開始は、男子が女子より1日後になります。例えば渋谷幕張会場の第6回合不合の受付開始は、女子11/24〜、男子11/25〜です。

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外部会場が未定の模試

現時点では会場未定、未公開の模試です。例年外部会場で開催されているので、情報公開になるタイミングでチェックしてみてください。

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校舎に入ってみて受ける印象は、動画や画像で見るのとは違うこともあり、トイレなどの設備の綺麗さなどでも好悪があったりしますし、場慣れは意外に大きな効果を持つこともあります。自塾のカリキュラムや感染リスクなどもあり、緊張しやすさなどの性質もそれぞれなので、それぞれの事情に合わせてご判断ください。

塾による偏差値の違い2021年度中学受験用(女子)10月版 SAPIX/四谷大塚/日能研/市進/首都圏模試

今日は女子版の偏差値比較です。下の方に男子版で書いた「偏差値の受け止め方」の補足も書きました。

塾による偏差値の違い

抽出対象はSAPIX第1回合格力判定SO、四谷大塚合不合3回、日能研9月R4、市進9月、首都圏模試10月です。

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夏時点との比較での増減

女子も大幅な上昇は見当たりませんが、2月1日の鴎友学園女子は3塾揃って1ポイント上昇しています。全体的には、共学・付属校人気が少し落ち着いて、女子校がポツポツと上げている感じですね。

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偏差値の受け止め方の補足

男子版、beanさんのブログで言及して頂きました。

塾の本音と建前、実績を出す塾では合格数稼ぎもあり得ますね。散っても良いから特攻しろ、って強要は身近で聞いたことないけど、既に1日校で合格もらっても、5日まで受けて数を増やして欲しいって話はあります。

そして、関わっている立場からすると、努力してきた姿を見てきて、合格した子たちと遜色ないレベルに届いていれば、勝たせてあげたい気持ちもあるでしょう。それに、相手がいる競争なので「勝ち負けはつくもの」「ある程度は運」という感覚もある。

80%なら月〜金で受ければ1回落ちるわけで、その「運と調子の良くない日」が本番当日かもしれない。逆に50%でも、2〜3回は受かるかもしれない。ある程度の実力があれば、受けてみないとわからないんですよね。

男子版の「第一志望率が下がると、50%付近の入学者の比率が更に大きく」の部分ですが、この画像では、80%偏差値以上の合格者占有率が3割。このゾーンの子が、他の入試で志望順位が同格以上の合格を取れる可能性も最も高いわけです。

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仮にここの帯から3人中2人、次の帯から4人中1人くらい辞退者が出たとすると、比率は1:3:3、占有率は14%:43%:43%くらいになります。学校や年度によってばらつきますが、ごっそり上から抜けることもある。

そうすると、6〜70%偏差値くらいの子が入学者のトップクラスで、40%くらいの子が中位になったりもしますから、偏差値だけで判断する必要はなくて、過去問との相性や熱望度、併願校との組み合わせなんかで判断していけば良いです。

併願もしっかり選んで、過去問もしっかり研究して、満足できる結果を手繰り寄せてください。