偏差値60の壁なんてない

中学受験のサポート歴20年以上の経験から、心構えや考え方を公開します。

受験勉強の合間の気分転換には、散歩、運動、音楽がオススメ。

娯楽の少ない受験生、ゲームやYoutubeやテレビで時間を消費してしまうのは勿体ない。読書や工作も良いですが、時間と集中力を結構使ってしまうので、たくさんは出来ませんね。

時間をあまり使わずに出来る気分転換として、散歩、運動、音楽、昼寝を勧めています。昼寝はガチ寝になってしまう子には逆効果なので、お子さんの体質を見極めて、短時間で頭スッキリ出来るタイプなら取り入れてください。

散歩は今の時期は早朝や夜、少し気温が下がる時間帯が良いですね。なるべく親子で、いろいろ話しながらのんびり20分くらい歩くと良いです。

 

運動は軽く汗ばむ程度で10分くらいでもOK。縄跳びや踏み台昇降でも良いし、今はYoutubeにもフィットネス動画が沢山あるので、その中からお気に入りを見つけて親子で一緒にやってみるのも良いです。こちらはアラサー健康ちゃんねるの一本。

これはハードなので、もう少し軽めが良いかも。短い動画もたくさんあるので、合うものを探してみてください。

 

そして音楽。もともとピアノなどをやっている場合、少し触る時間を持つと集中しやすくなる子が多いです。ただ、本当は続けたかったけど中断していると複雑だったりするので、それぞれの事情に合わせてですね。

聴く専門でも、気に入る音楽があると良いです。クラシックなども良いですが、元気をくれる歌があると、曲だけでも一休みして勉強を始める前とか、塾に行く前なんかに聴いて気分を盛り上げたりするのに結構効くこともあります。

 

WANIMA「やってみよう」

 

阿部真央「Believe in yourself」

  

フレデリック「オンリーワンダー」

 

PerfumeDream Fighter

 

DA PUMP「New Position」

 

満島ひかり「ファイト!」

 

ぼよよん行進曲

https://www.youtube.com/watch?v=nAjJluQCSGE

 

まだまだ長丁場、気を張ってるだけではベストの状態から遠ざかるので、うまく気分転換しながら最後まで元気に完走してください。親が眉間にシワを寄せている状態が続くより、休憩と笑顔を大事にするくらいになれると最高ですね。

 

塾による偏差値の違い2021年度中学受験用(男子)夏版 SAPIX/四谷大塚/日能研/市進/首都圏模試

ちょっと女子版から日数が空いてしまいましたが、2021年度中学受験用の各塾偏差値比較(男子)夏版です。

 

塾による偏差値の違い

抽出対象はSAPIX第2回志望校判定SO、四谷大塚合不合2回、日能研7月R4、市進6月、首都圏模試7月です。

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塾による上下の違い

女子版でも触れたように、塾によって各校の入試難度の順番も結構異なるケースは多いです。男子では、御三家などトップ層の併願としても人気の芝、本郷、サレジオと、算数午後入試で偏差値の上昇が目立っている巣鴨世田谷学園鎌倉学園をピックアップしてみました。偏差値の位置はほぼ中程の芝で揃えています。

まず2回入試の芝を見てみると、SOで5ポイント差、合不合とR4では4ポイント差で、最も安定しています。複数入試はこんなイメージを持たれやすいですね。

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3回入試の本郷は、SOで9ポイント、合不合で4ポイント、R4では6ポイントの差。開きはありますが、このくらいの違いなら他塾でもそう驚きはないですね。ほぼ同じスケジュールで同じくらいの位置を長期間維持していて、各塾での評価も安定していると言えます。

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2回入試のサレジオは、SOではAとBで6ポイント差があるのに対し、R4では2ポイント、合不合では0。合不合主体の子ならシンプルに2回チャンスがあると思えるところが、SOメインだとAでダメならBはもっと無理そうって思うような差ですね。参考にする模試でかなり印象が違う例です。

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次は算数受験のある巣鴨。SOでは相対的に最も高い位置で、1回とは15ポイントの大差。これに対しR4では6ポイント幅の中に収まり、他入試との比較でも鎌学算数、本郷3、芝2より低い。合不合では9ポイント幅ですね。

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世田谷もSOが最も幅広い分布で算数>3>2>1の並びですが、合不合では算数>2>1>3となっていて、幅も最も狭い6ポイント。ここに掲載の通常16入試回の中で、3次の難度評価はSOでは3番目なのに対し、R4では8番目、合不合では下から3番目です。

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鎌学は他3回の入試と比べ、算数だけ突出して高い傾向で、割とイメージされそうな形ですね。

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こんな感じで、偏差値が全くアテにならないわけでもありませんが、偏差値表によって難度の印象もかなり異なります。

そして、同じ偏差値の子が同じ学力とも限りません。どの教科、どの問題で得点したかによる相性、そのテストで出た問題以外の知識量、そして受験までの学習による伸び。むしろ、ある程度は違うのが当たり前ですね。

なので、とりあえず50%偏差値ラインまで届かせたら、あとはどれだけ安全志向/チャレンジ志向にするか、過去問との相性はどうか、といったことを重視して、合格するために必要な力を蓄えていくと良いです。

 

受験予定校の比較用一覧には、SOは偏差値45まで、合不合とR4は偏差値53までの範囲を入れてあります。

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偏差値に縛られる必要はないけど、50%もないレベルだと厳しいのも事実です。同じ偏差値でも同じ実力とは限らない=そのテストでは測れなかった部分はあるけど、模試5回くらいの平均で10ポイント以上差がある子に逆転するのは稀ですね。

もちろん入試まで実力は伸びますが、そこまでの2〜3年の間に一般向けの模試程度で負けるような取り組みで、入試前だけ頑張った結果周囲をごぼう抜きっていうのはなかなかの夢展開。

ですから、秋までは全体的な学力向上を目指して基礎と弱点をしっかり埋め、50%判定くらいはとった上で、合格を確実にする努力をする感じが良いですね。

 

昨年同時期との比較で上昇している学校

次は、昨年同時期のSAPIX第2回志望校判定SO、四谷大塚合不合2回、日能研8月R4との比較で上昇の目立つ学校です。
昨年の推移から今年の結果偏差値でも大きく上昇していた巣鴨世田谷学園はやはり1,2。ついで淑徳、開智日本橋、ドルトン東京の上昇が目立ちます。

その後に続くのは日大豊山東洋大京北、都市大等々力、学習院、法政第二といった大学附属系属。1月校では、大宮開成と青山浦和ルーテルが大きく上昇しています。

まずは学校ごとに、各日程の3塾合計での偏差値上昇をリストにしたものです。

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次は学校ごとに、それぞれの入試回の各塾の上昇の一覧です。

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最後は各入試回の各塾の上昇と合計を表にしてあります。偏差値は合不合第2回のもの。

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各塾の偏差値動向を入力してあるPDFはこちらで確認できます。

https://e-tutor.tokyo/data/20200821/昨年同期増減比較男子.pdf

 

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塾による偏差値の違い2021年度中学受験用(女子)夏版 SAPIX/四谷大塚/日能研/市進/首都圏模試

2021年度中学受験用の各塾偏差値比較(女子)夏版です。いつも男子からと言われるので、今回は女子から。

塾による偏差値の違い

抽出対象はSAPIX第2回志望校判定SO、四谷大塚合不合2回、日能研7月R4、市進6月、首都圏模試7月です。

 

塾による上下の違い

各塾の偏差値順はカリキュラムの内容や持っている経験とデータ、校舎のカバーするエリアによって違いがあり、例えば日能研は国公立の受験者数、合格者数とも多くなって偏差値が低め、23区内私立より神奈川千葉埼玉にやや強めなどの傾向があります。

次の表で着色してあるのは女子御三家と、併願候補の多い組み合わせで昨年の記事でも取り上げた学習院女子、立教女学院、頌栄女子に、東洋英和と香蘭女学校を加えた5校の入試9回です。SOは偏差値45まで、合不合とR4は偏差値55までの範囲を入れてあります。

対象の入試はSOでは7ポイントの幅に分布していて、学習院Bが最も高く、学習院Aも立教女学院より高くなっています。

学習院
②英和B=頌栄1=頌栄2=香蘭2
学習院
④立教
⑤ 
⑥英和A
⑦香蘭1

逆に合不合では立教女学院学習院ABより高く、4ポイントの幅に入っています。

①英和B=頌栄1=頌栄2=立教=香蘭2
学習院
学習院
④英和A=香蘭1

日能研では6ポイント幅で頌栄2が最も高く、立教女学院学習院Bより低く、学習院Aと同じです。

①頌栄2
学習院
③香蘭2
④英和B
学習院A=頌栄1=立教=英和A
⑥香蘭1

例えば香蘭1を検討していて、SOで見ると学習院Aは4ポイント上で厳しく感じるのに対し、四谷日能研では1ポイントしか違わないわけですね。逆に日能研では頌栄1は何とかなりそうでも頌栄2になったら大変そうに感じるし、SOや合不合だと同レベルで2回チャンスがあるように見える。

どの学校にも言えることですが、特にこのあたりの偏差値帯では倍率も高く、数ポイントの偏差値差よりも相性と当日の状態で結果がかなり影響を受けるので、そういうことも踏まえて出願校を絞り込んでいくと良いです。

 

昨年同時期との比較で上昇している学校

次は、昨年同時期のSAPIX第2回志望校判定SO、四谷大塚合不合2回、日能研8月R4との比較で上昇の目立つ学校です。

香蘭女学校は3塾で2回とも大きく上昇、続いて東京女学館昭和女子大附、開智日本橋、淑徳などが大きく上昇しています。

塾によっては昨年同期より6〜8ポイント上昇している回も結構あるので、併願候補の自塾以外の偏差値の動きもチェックしておくと良いでしょう。5年生の時は普通に併願安全圏だったはずの学校が、他塾では一歩早く本命と同じくらいの偏差値になっていることもあります。

まずは学校ごとに、各日程の3塾合計での偏差値上昇をリストにしたものです。

 

次は学校ごとに、それぞれの入試回の各塾の上昇の一覧です。

 

最後は各入試回の各塾の上昇と合計を表にしてあります。偏差値は合不合第2回のもの。

 

各塾の偏差値動向を入力してあるPDFはこちらで確認できます。

https://e-tutor.tokyo/data/202008/昨年同期増減比較.pdf

 

https://cdn-ak.f.st-hatena.com/images/fotolife/a/aswg-tutor/20190624/20190624065008.png

 

そうそう、女子は入試当日に生理だったり、タイミングによっては初潮を迎えるなんて事態も想定されるので、昨年も「女子向け:受験本番に向けてのイメージトレーニング」なんて記事を上げていたんですが、A型ママさんのブログでムーンパンツが紹介されている記事が。受験終了組の女子ママさんの記事なので、是非一読しておくことをオススメします。


もう一段上がるためにする工夫と、成績データ分析

いよいよ8月に入り、残り半年になりました。現在も感染者が増え続け、心配は尽きませんね。学校の対応、通塾の電車とか、塾の授業でも感染するかもしれないとか。また休講になったりしないか。動画授業や自宅学習では、思うように進まなかったり。入試自体、ちゃんとやれるのか、変わることもあるんじゃないかとか。

でも、不安や不利を数えても役には立ちません。不安に取り込まれない最良の方法は、今できることに集中して最善を尽くすこと。今年の受験生が例年と違う状況ではあっても、昨年の受験生と競うわけじゃない。競う相手は、同じ今年の6年生。

合不合やSOの問題と得点の分布を見ても、例年に比べて大きな変化はなく、どちらかと言えば中間層は少し落ちてるかなという印象。おそらく年間を通して、数万人のデータを比較すれば今年はこういう傾向だった、という特徴は出るでしょうが、まぁ過ぎた後でわかっても意味ないですね。

塾によって、小学校や担任によって、或いは家庭教師などによってハンデがある。これも毎年のことです。例年以上に自学自習力の高い子に有利な傾向はあるかも知れませんが、そもそも毎年、自学自習できる子と安定した家庭環境の組み合わせは最強です。

ですから結局、自分のペースを作って、一歩ずつ前進することに集中するのが一番有利ですね。ごく当たり前ですが、これが本当にわかっていて、実行できる人はそんなに多くないので、実行できればプラスです。

 

テストの内容と結果を分析する

前回の記事でも書いたように、まずは目標ラインに向けた問題を抽出して、どう進めるかを決めていきましょう。

各塾でデータベースがあり、模試結果などに正答率や分野ごとの得点傾向なども見ることができますね。これをきっちり活用しましょう。自分で色々と扱いたい時は、以下のように得点と正答率を入れた表を組みます。

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正答率順に並べるとこんな感じ。

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不正解分だけの抽出だとこうなります。

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で、これを過去模試や週テストの分を統合して、自分用の優先度の高い問題を抽出するわけですね。更に、分野別に整理して、特に弱い分野の対応テキストをやり直したり、問題集の同じ分野を全問解いたりします。

Sが全部スラスラ解ければ偏差値このくらいの子と同等になる、Aならこのくらい、という目安になります。独自の表に落とし込まなくても、塾のデータベースの活用でかなりのことが出来るので、自分なりに把握できるように工夫してみましょう。

ご相談の方と算数講座の受講者に、成績データ分析が好評だったので、この記事の最後に一時的に受付を設置しておきます。

通塾していない、模試以外の週テストなどがない場合は、仕上げる問題集を一冊決めて、時間を測って取り組みます。一周目でどのくらい正解しているかを把握して、周回プランを立てましょう。

 

ペースの守り方

未経験な上に、不測の事態も起こり得る状況でペースを守るには、「全部ちゃんとやろう」より、「必要なことをひとつずつやろう」という意識が大事です。優先順位を決める、緩衝地帯を設けておく、良い時間帯を大事にする、の3つがあると良いですね。

まず、やるべき内容を段階別に分けておきましょう。例えば休日なら①最優先2時間、②優先4時間、③普通2時間、残りは④余裕、といった感じです。最優先には、一日の中で一番良い時間帯を充てる。予定外のことで時間を使うときは優先度の低い方で吸収して、①や②には影響が出ないようにする。

一日中ずっと机に向かったところで、そうそう全部は頭に入りません。何度も抜けるので、それを丁寧に埋めていくだけ。ひたすら高速道路の拡張工事を行いながら、出来た範囲も日々点検して破損箇所の補修を続けるようなイメージですね。作りっぱなしでは崩落事故多発です。

1日6時間×週7日で42時間。25週として1000時間以上ある。多い分には困らないけど、塾の時間込みで、まずはこの枠でしっかり前進することが基準です。一日夏期講習に行ってる場合は、家では最低限の基礎練習くらいでも良い。

週休2日の週40時間勤務の大人でさえ、フルで集中してない人っていますよね。残業してる人でも、朝イチからフル回転とは限らない。もちろん、1日16時間働けるハードワーカーはいますけど、そういう人たちは、基本的に強制されてないし、高額な報酬や自己実現の一環だったりもしますね。

親が制限をかけるくらいの子でなければ、塾のある日はそこでお疲れが普通です。帰宅後や登塾前、そんなにがっつり出来ないのも珍しいことではない。だから、そういう面は許容しつつ、どうやってプラス1を乗せるかを考える。

 

受験は6〜70点で良い

子供に向き合う前に、まず自分を採点してみてください。100点満点じゃないにしても、0点でもないでしょう?怒鳴ったり、殴ったり、ネチネチ追い詰めたり。そういうのはマイナスとして、マイナスする前の素点、どのくらいあるか。

安心して眠れる家と布団はありますか?ご飯は毎日食べられますか?清潔な衣類はありますか?水道光熱通信費はきちんと払っていますか?塾やテキスト、筆記用具代は足りていますか?そこまでやると、親の役割としては、80点あげて良いと思うんですよね。あとは本来、子供の努力と塾の腕の問題でしょう。

入試なんて6〜7割で合格ですから、80点の親ならもう十分。マイナスなければ70点でも良いくらいです。あとは子供を有利にする下駄を履かせようとしてるだけ。他の家には、もっとスーパーな親や家庭教師がいるかも知れないけど、本当にスーパーな人なんて、そんなに転がってない。割とみんなフツーです。そんなに凄くもないし、そんなに酷くもない。

だから、まず1日に15分、自分の影響で「元気に一生懸命取り組んで前進する時間」を作り出せたら、かなり良いです。30分、1時間になれば相当すごい。全部をコントロールしようとしなくて良いです。元々80点あるところに、1点プラス。週に1点前進でも、入試までには満点な親になっちゃいますね。

 

テーマを決めて取り組む

15分の影響力を発揮するには、テーマを決めて取り組むとやりやすいです。ケアレスミス克服のための練習の時間でも良いし、算数の苦手分野をきっちり添削したり、漢字や地理用語を出題するクイズにしたり。その時間は一緒に楽しんで、集中しやすくなるようにする。

例えば、ケアレスミスの改善や高速化には、正解している問題をもっと楽に解いて見せると効果的です。1問2問でなく、毎日のように何十問の単位で見せてあげる。受験算数をある程度自力で解ける人なら、やってみる価値はあります。

正解している問題は、構造部分の理解は出来てストレスが低いので、その中でやっている計算の順序だったり、選ぶルートだったりの改善を目指すわけですね。もっとシンプルに解ける感じとか、計算が一瞬で終わる感じとか。こうしろって命令するんじゃなく、バカにするんでもなく、ただカッコ良いところを見せれば良い。

そうすると、時々真似をして、たまに上手くいく。そこを逃さずに褒める。そうすると、その回数が段々増えていく。それを繰り返していると、以前の方法と新しい方法を使う回数が逆転して、定着していきます。2〜3ヶ月で結構変わるので、まだ入試には余裕で間に合いますね。真似しないなら、それは子供が頑固な馬鹿者ではなくて、自分のやり方が魅力的でないのかも、と考える方が良いです。

見本が無理な場合は、教材のタイム計測をして、タイムと正解率が向上したら喜んで褒めちぎる係でも良い。前もって、これまでの類似問題の履歴を把握しておきましょう。最近の授業ノートとか、プリントでやった問題で×だったのを覚えておいて、前回不正解で解き直した問題を正解したら、更にもう一段テンションを上げて褒める。

解き直しをしたのに不正解の問題は、「あ〜これ苦手みたいだね〜」で良いです。出来た時に褒める。不正解でも、正しい方法をやっていたら、前に進もうとしていたら褒める。

週に40時間も勉強していれば、いろんなことをやっています。塾でやってきたプリントやノート、○×とか点数を見てもサポートにはあまり役に立たない。書いてあることを一文字ずつ追って、思考を辿ってみてください。何を気にして、どんな工夫をして、何に苦しんでいるか。

その40時間を把握もせず、上っ面の点数や家での態度だけを見て石をぶつけるようだと、せっかくの80点の親が台無しになりかねない。マイナスにするくらいなら、黙ってましょう。なにをどれだけ頑張っているか、どれだけ前進しているか。ちゃんと把握して、進んでいるところを褒める。

好きで×貰ってくる子はまずいません。○は他人も褒めてくれるから、○未満の前進を後押ししてあげるのが一番良いです。頑張ってるけどまだ結果が出ていない時にこそ、これで良いんだ、って思わせてあげましょう。楽だけどツマラナイではなくて、多少しんどくても楽しい、って流れが大事です。

 

目に見える必死さを求めない

80点の親が台無しになるマイナス、よくあるパターンは、子供に「必死」とか「真剣」を求めちゃうやつ。な〜んで中学進学ごときに、命の関わるワードで取り組まないといけないんでしょう。少なくとも、親や周囲に強制されたり、負い目を感じて絞り出すもんじゃないでしょう?

成績が横這いか、やや低下。意欲も見えない、とかね。みんな走ってる中で、一人だけ止まったらどうなるか。あっという間に遥か彼方ですよね。嫌気が差してたり、疲れたりしていても、どうにか頑張って走り続けているから、同じくらいの位置にいる。

みんな年間数十万、多い人は100万円以上かけて勉強してる。月10万超えもゴロゴロいる世界。週に何日も塾に通い、日曜日にはテスト、長期休みには季節講習。そんな子たちの中で、変わらない位置を維持しているなら、結構頑張ってるんでしょう。

親は内心は必死でも良いですよ。金も手間もかけてる。いっぱい考えて時間も使ってる。何より、子どもの人生に大きな影響を与えられるし、「いいとこ」に入れば見栄もついてくる。でも、その頑張りの成果が欲しいなら、その見返りに同じ必死さを子供に求めるのは損です。子供とはあらゆる物差しが違うから。

報われたいなら、下心たっぷりでもニッコニコ。勝ちたかったら笑いましょう。親の最大の武器は、家庭で意欲と体力のエネルギーを最大に回復させること。家庭学習の量とか、内容の精査も大事だけど、そういうのまとめて笑顔の次くらいです。

不快感。嫌悪感。怒り。苦しみ。怖れ。そういうものを、自分から撒き散らすのは、良くない方法です。子供が、親の影響力を打ち破って空気を良くするなんて、相当なこと。つまらなそうにしてる人がいると、場を盛り上げるの難しいですよね。逆に、ニコニコ楽しそう、相槌うまい、そういう人がいるところでは動きやすい。家庭って場で親は、空気を作る大きな役割を持てます。

出来ると面白いです。わかる。出来る。褒められる。得意になる。こういう循環を作るのに必要なこと、最初の一歩は面白がること。楽しそうにすることです。まずは楽しい空気、自分にしか見えなくて良いから、あったかくて楽しいオーラを放出しましょう。

人は、感情を増幅させる性質を持っています。怒れば怒るほど、どんどん怒る。不安になればなるほど、もっと不安になる。逆に言えば、ぶった切ってしまえば、大抵のことはそこまで大きくならない。はい次。今できることは?って向きを変えると良いです。

本当は、いつもなら、こうしていれば。それは、現実ではないことです。妄想の世界に逃げ込まないで、はい次。はい次。目の前の、今自分が変えられること、働きかけられることをプラスに動かす。正義の刀を振り回すんじゃなくて、幸せの団扇で風を送ってあげるくらいが良いです。

 

無料成績データ分析

対象は2021年受験予定の6年生で、先着順に対応します。ご希望の方には折り返し詳細をご案内しますので、こちらからお申し込みください。9月30日まで受付。

※通常はデータ受領後2〜3日で結果をお届けしますが、現在は5日ほどかかる状態です。分析データ量にもよるため、見込み日数はデータ受領時にご連絡します。(2020.8.6)

夏の間の弱点克服、算数の強化などについて

ご相談などの中で、割と頻出だったのが算数の夏休みの強化や穴埋めについてだったので、基本的な流れを書いておきます。テスト名は四谷のものを使っていますが、他塾でも同じなので、毎週のテストと模試などの全体テストで読み替えてください。

 

対象問題の抽出

まず目標とするラインを定めて、問題を抽出します。クラス別の週テストと、組分けや合不合などの全体模試は分けておきましょう。全体模試とレベル別テストでは偏差値の母集団が異なるので、志望校のレベルに合わせて調整します。

例えばBクラスの場合、偏差値45〜55あたりの集団の中での位置ですし、Cクラスは55〜63あたりの中での位置になります。志望校の偏差値が60なら、算数偏差値55が必須ラインで、60が目標、65が標準などと区切るイメージですね。

正答率で50%以上をS(最優先)、30%以上をA(優先)、10%以上をB(標準)、10%未満をC(余裕)などに分けます。この際、どの分野からの出題かもリストしておくと、重点強化すべき分野が見えやすくて便利です。正答率50%以上の問題を全て正解した場合の目安偏差値は55、30%以上で60、10%以上では65くらいのイメージです。

正答率は絶対的なものではなくて、正答率の低い問題が多い回、平均的に分布している回などによっても偏差値は異なってきます。例えば、7月の合不合では、正答率50%以上正解で偏差値50、30%以上で58、10%以上で60ですが、6月の組分けだと同52、62、67となります。このあたりは、目標偏差値との兼ね合いで適切なラインを引くようにしてください。

そして、それぞれのブロックを習得したら偏差値が幾つになるか、というのも明記しておきます。ここで大事なのは、1回解き直して正解した程度ではその偏差値相応の力はつかないということ。習得したと言えるためには、①何周か回してノーミスにすること、②テキストの関連問題と紐づけること、③より速く正確に解く工夫する意識を持つこと、そして④人に説明できるように解くこと、などが重要です。

 

周回のやり方

問題を分類し終えたら、まずはS問題のみ、或いはSA問題、などと区切ってプリントにまとめ、解き直しをします。算数の得意不得意によって、S〜A問題だけで80〜100問になる子もいれば、Cまで全てで10〜20問の子もいますので、適切なブロック分けをしてください。ひとまとまりを30〜50問程度にしておく方が良いです。

解き直しの際は、目安時間をテスト時間と問題数を参考に設定しますが、時間を超えても解き終えるまでやりましょう。実際に何分かかったかを記録しておくと良いです。

次は採点して、不正解問題は解説を読んでしっかり理解しましょう。この際、テキストの該当範囲の例題や類題で説明されていることもしっかり読んで、テスト中に使えなかった技術などを書き足しておくと良いです。翌日は不正解分を解き直し、採点して不正解なら上記をやりなおしで、全問正解まで潰していきます。これで1周目。

次は、1週間ほど空けてから、再度解き直しをしましょう。間違ったら繰り返し。目安は4〜5周くらいですが、2周目で全問瞬殺ならやめる、5周でも1回目で解けなかった問題はそれだけ抜き出して次の周回に入れるなど、適宜調整していきましょう。

基本的には正答率でバッサリ区切りますが、例えば50%と49%には大した違いはなく、90%と50%の方が差は大きいですね。なので、50%以上の周回問題数が減ってきたら、40%あたりまでのA問題を足すなど、適切な問題量になるように調整しても良いです。

また、S〜Bの間のどこかで、テスト時に正解した問題も全問解き直しを入れます。授業やテスト勉強をした直後は記憶が残っていて解けた問題も、暫くすると解けないことはそう珍しくないからですね。基本的な流れは、満点まで解き直す+テキストと紐付ける+暫く経ってからやり直す、ということです。

 

解き直しの際に注目すること

解き直しで大事なのは、内容をしっかり見ること。正解/不正解でなく、最も効率よく解いているかどうかを見てください。工夫は足りているか、検算はその場でできているか、混同しないように書けているか、同種のミスを繰り返していないか。

ただ同じ問題を解き直すだけでは、答え自体を覚えてしまっていることもあります。正解数を競うのではなくて、より良い形で解くことを身につける練習と捉えることが大事ですね。良いところ、他の問題での反省を活かした方法、新しい試みや工夫を見つけたら、必ず褒めましょう。

大事なのは解き方です。どんな手順で解いてるのか、それはベストか。いわゆる教科書通りの解き方、解説に載っている解き方というのは、手間が多くて上位校の入試に対応するには効率が悪いものも少なくありません。まとめるところ、潰すところ。比と等積変形、頭に入れておくべき数字などの工夫や練習が足りているかをチェックしましょう。

例えば図形の基本項目だけでも、対角線や補助線を引いて出てくる形(相似、合同、平行、錯覚や同位角を見つける)、30度や15度の時は正三角形を意識する、等しい角度を挟んだ辺の比で面積比を求める、などがありますね。どれかを使えば早いのに、別の方法で何倍も手数を踏んでいる場合などは、より良い形の練習をしておくことが後々効いてきます。

また、数字を約数の組み合わせで見る習慣がついていると、問題のポイントを掴んだり、分数計算などもかなり楽になります。例えば、18の平方数324は9*2*9*2なので、覚えていなくても81*4=324とやって求められますね。14*14なら、7*7*2*2=49*4=196(200より4小さい)と考えても良い。

こういう、数字の中の約数が使えると、九九+加減の形に持ち込める回数が増えて、頭の消耗が少なくて済みますから、平方数自体を忘れていて工夫で解いていても、褒めるポイントになります。平方数だけでなく、周辺の2桁も覚えてしまうと楽ですね。

 

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以前の記事の数字表などもご参考に。

より良い集中の状態を覚えるのも大事

1回やって終わり、正解すればOK、ではなくて、正解した問題の効率も見るようにしていくと、伸びるペースが速くなるので、丸つけで終わりにせず、思考を辿ってあげるようにしてください。

もちろん、そんな時間もない、良くわからない、ってこともあると思います。でも、それならスコアだけ見て文句を言うのはやめましょう。自分では満足にプレイもできない外野に「下手くそ〜」って言われてるのと変わらないので、プレイヤーからすればウザいだけです。

算数は、速く解こうとすると視野を狭くして全力疾走のようなイメージになる子が多いのですが、これはあまり良い方法ではありません。むしろ、背筋を伸ばして軽い感じで解いていく方が、視野を広く保ちやすく、数字の整合性をチェックしたり、別角度での検討をしたりという、ミスなく最短ルートを取るための能力を発揮しやすくなります。

リラックスして、面白がって、楽をしようとする意識を持てるようにするには、良いことを教えて、見せて、やったら褒めるに尽きます。ミスをしにくい、良い集中を身につけられるように、良い行動を褒めて、一緒に面白がってあげてください。

2020年の東大合格者出身校一覧と傾向

今年は自粛の影響で大学合格実績が出るのが遅い学校もあり、この時期にしては少なめですが、東大合格者2,672人(86.7%)の出身校一覧です。

2020版_東京大学合格者数.pdf

2020版_東京大学合格者数.xlsx

まずは全体像。やはり身近な最高学府ということで、今年も一都三県から1,593人、全合格者の約52%、判明分の約6割を占めています。今年も合格者数は開成、東大率は筑駒が1位です。こちらは現役合格数2桁の学校の一覧です。

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こちらは東大率と現役率の2桁校。

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東京大学合格者数ランキング種類別.pdf


次は、増加数と減少数を見てみます。

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増加数トップ3は桜蔭が+19、渋渋が+16、そして海城が+13となりました。この結果、桜蔭は合格数と東大率で3位、現役率は開成を抜いて2位になっています。女子学院は+6、豊島岡も減らしているわけではないのですが、女子3強の中でも抜きん出た位置にいますね。

減少数のワースト3は、麻布-37、聖光-31、筑駒-26。東大に何名か進学する学校なら、昨年5名から今年は3名とか、昨年3名から今年2名って程度の変動でも、元が多いのですごい数ですね。それでも筑駒は現役率トップ維持、麻布聖光も合格数トップ10をキープしていますが、減らさなかった駒東と栄光、増加数3位の海城とほぼ並んでいる感じです。


科類別に見てみると、やはり桜蔭は理1と文2で5位、他4類では3位に入っています。文2は聖光と浅野がワンツー。灘は相変わらず理系に強いですね。

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東京大学合格者数ランキング科類別.pdf

 

学校の属性別に見ると、完全一貫校からは879人、併設型一貫校からは948人、高校受験校からは846人。男子校からは1040人、共学校から1404人、女子校から229人です。

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東京大学合格者数属性別.pdf

 

これを一都三県に絞ってみると、完全一貫校から759人、併設型一貫校から567人、高校のみの学校からは267人。男子校から819人、共学校から556人、女子校から218人です。

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東京大学合格者数属性別 一都三県.pdf

 

なお、それ以外の地域では完全一貫校から120人、併設型一貫校から381人、高校のみの学校からは579人となっています。京大をはじめとする地元に近い大学を選択する一貫校の生徒も多いため、東大だけを物差しにすることは出来ませんが、全国で見れば中受層と高受層は均等に近くなるけど、首都圏の優秀層は中学受験をする子が多く、それ以外の地域では高校受験からの子も多くなっていることがわかります。

東京大学合格者数県別 一都三県.pdf

東京大学合格者数県別 一都三県以外.pdf

 

首都圏に限って言えば、中高一貫校が進学に有利なカリキュラムを提供しているだけでなく、そもそも教育に一定の熱意と資金をかけられる家庭の子が中学受験に集中しやすく、そういう環境に恵まれた子がそのまま難関大学に進みやすいことも反映していますね。

逆に言えば、一都三県からでも6分の1は高校受験校から入っていて、併設型一貫校の高入生を含めればもっと増えます。まして中受で第一志望に入れたかどうか程度は問題になりませんから、中学に入ってからの継続的な学習が大事です。

賢い子がしっかり努力すれば、勉強はできるようになります。良い環境を選ぶのは、それを有利にするための一手段に過ぎず、その手段を失ったところで致命的な不利になるわけではありません。東大に限らず、医学部でも海外でも、進学以外の色々な経験でも同じこと。

中学受験はなるべく良いホテルに泊まる程度のことに過ぎないので、目先に振り回され過ぎずにその先で何を学ぶのか、どこを目指すのかを含めて支えてあげられると良いですね。

一貫校一都三県合格実績.pdf

一貫校一都三県合格実績.xlsx

東大・医学部・海外大学合格実績ランキング(男子)

前回の男子版の入学者分布想定で触れなかった、一都三県の中高一貫校の大学合格実績ランキングを追加しておきます。次の記事で扱う東大合格者集計の際に、大学合格者数の抽出をおこなった対象校の進学実績比較で、数値は全て現役既卒合計で小数点以下四捨五入です。

まずは東大率5%以上の22校と、国公立で合格数が50%ラインを超えた10校。お馴染みの私立と国立の上位校が並ぶ中で、東大には都立の小石川と桜修館に千葉県立千葉の3校、国公立には都立南多摩が食い込んでいます。東大はこの22校だけで939人、東大合格者3,083人の3割を占めています。

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次は医学部。3人に1人は医学部に進学する暁星が、合格数8割という圧倒的な数字でトップです。あとはお馴染みの面々ですね。

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海外大学の合格数では、広尾学園学芸大学附属国際が20%を超えていて、国際バカロレアのある玉川学園もなかなかの合格率です。B帯から桐光学園公文国際学園、淑徳がランクインしています。

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一都三県の全一覧はこちらからどうぞ。

2020 一都三県 男子用(pdf)

2020 一都三県 男子用(xlsx)