偏差値60の壁なんてない

中学受験のサポート歴20年以上の経験から、心構えや考え方を公開します。

塾による偏差値の違い2020年度中学受験最終版(男子) 2019年12月 SAPIX/四谷大塚/日能研/市進/首都圏模試

2020年度中学受験の各塾偏差値比較の最終版です。比較対象はSAPIXが12月8日第4回合格力判定SOの80%判定偏差値、四谷大塚は12月8日実施の合不合判定テスト第6回の80偏差値、日能研が12月11日発行のR4です。

前回の傾向でも出ていましたが、3塾の模試の平均上昇率で見ると、巣鴨はベスト4のうち3つを独占、算数午後も同率5位と、はっきり難化しています。世田谷学園も1〜3回+算数が全て上昇。平均0.7ポイント以上の上昇27入試を見ると、巣鴨と世田谷で8枠、大学付属が11枠、進学校が8枠という状況。

逆に、2つの模試で易化傾向を示したのは芝1回、聖光学院1回、筑波大駒場の3入試だけ、0.7ポイント以上も芝2回と本郷2回の2入試となっていて、全体的に難化優勢です。実際の合格最低点は問題の傾向や難易度によって変わりますが、例えば偏差値が1ポイント上がると合格最低点が5〜6点上がると考えた方が良いので、平均で2ポイント上がっている巣鴨などは20点くらい上を目安にした方が良いでしょう。

1〜2ポイントの差は、たまたまの得意不得意やミスの有無で出る数問程度の差とも言えるので、志望校を変更する必要があるとは思いませんが、偏差値帯では中の上〜上の下、SAPIX45、四谷・日能研の55前後が激戦区になりそうです。この帯の人は、安全校をもうひとつ重ねておいた方が無難でしょう。特に1月校で納得のいく学校の合格を取れなかった場合は、1月のうちに午後や後半戦の出願候補校を選定して、過去問に目を通すくらいはしておくと良いです。

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難化傾向

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易化傾向


背景色はその集団の中での上の上=赤、上の中+下=黄、中=緑。大体の分布はこんな感じです。

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中学受験生への応援メッセージ【開智中学・高等学校 中高一貫部】

開智中学の入試が始まるまで、あと2週間。企画広報部長の瀬賀亜弥子先生と、現在中学一年生の開智中学校23期生の皆さんから、もうすぐ本番を迎える受験生の皆さんへのメッセージを頂くことが出来ました。

受験に対する心構えや準備など、経験から色々なことを一生懸命に伝えてくれています。受験の先に待っている、学校生活のことも教えてくれています。是非参考にして、本番で悔いなく力を発揮してください。最後には校長先生からのメッセージも掲載しています。

 

f:id:aswg-tutor:20191227184454j:plain受験生への応援メッセージ

 


中学受験本番に向けてのイメージ作り

SO4回目や合不合6回目の結果も出揃い。1月入試までは1ヶ月を切り。過去問も進み。緊張感も高まってきた方も多いと思います。私の方も、個別対応がみっちりになってきた上に、子供がインフルAをゲットしてきて、なかなかハードな日々が続いていますが、受験生を持つ親御さんに比べればメンタル面では楽かも知れませんね。

ここからの1ヶ月半でやることは、受験当日に覚えている可能性が日々上がっていきます。新しいものに手をつけるより、出来ることを半寝でも完璧にするとか、間違ったけどわかるようになった問題を、人に説明できるくらいに仕上げる方が大事。単純な話、サピや四谷のカリキュラムが完璧に仕上がっていて合格点に足りない入試なんかほぼないと言えるので、いかに手広くやるかではなく、手持ちを完璧に仕上げることが大事です。

入試時間割に合わせたイメージトレーニン

前日からの緊張感、受験生と保護者の緊張した雰囲気、校舎の空気。様々な要素で、1時間目にちょっと躓くとパニックを起こしやすい状態です。テンパって何が何やらで終わらないためには、自分なりの集中儀式と、切り替えのスイッチを持っておくと有利なので、ここからの過去問実施の際などには本番を想定したイメージトレーニングも重ねておくと良いです。

時間配分は、過去問で覚えておきましょう。出題形式が変わって戸惑うとか、初日だから、本命だから緊張するとか、他の受験生も同じ条件のことは言い訳にしないことに決めておきます。試験中にそういうことを考えているのは、負けの言い訳を用意しているのと同じ。で?どうするの?ってことなので、結局できることに切り替えて集中再開するのが早い方が有利です。相手がどうでも関係なく、自分が闘うのは入試問題だ、という意識を固めることも必要ですね。

多くの入試では1コマ目が国語

国語の場合、先に傍線部などの漢字を片付けるか、一旦本文や設問を全て読む方が落ち着くか、タイプによって入りの形を決めておきましょう。漢字から先にかかる場合、背筋を伸ばし、鉛筆を立て、習字のようなつもりで書く、などとと決めておきます。これが自分のスイッチを入れる儀式、という気持ちで取り組むと良いでしょう。

基本的には、漢字や語彙のチェックは前夜までにして、国語の添削などで得たキーワードの把握や記述の注意点、接続語の捉え方など、自分なりの国語必勝法メモを読んでいたりする方がオススメです。

直前に見たことは割と混乱を誘うので、開始前まで漢字チェックを続けることは、オススメというほどではありません。もちろん、単語カードなどをペラペラめくることで気分が落ち着く子もいるし、絶対にダメということもないので、自分に合ったセッティングを見つけておきましょう。

算数から始まる入試もある

午後入試など、1コマ目が算数の入試もあります。多くの入試問題で最初に計算問題や小問集合があるのは、頭のウォーミングアップですが、ここで暖まる前に失点するのがもったいないので、その前に一旦、自分なりの集中儀式を入れておくと良いです。

多くの入試では、会場に入ったら筆記用具と受験票などのチェックをして、10〜15分の説明後に試験開始となることが多いので、持参した計算問題を2〜3問解く→説明を受ける→試験開始、という流れをイメージして、過去問を始める15分前に計算を2〜3問解いて始めるようにしておくと良いです。

また、特に図形問題は、どこに線が〜どの角度が〜って考えているうちに時間を失いやすい分野なので、ピンと来ない時はあとで力技で解くリストに入れるなど、自分なりのハマりを回避するルールを幾つか持っておくと良いでしょう。これは計算ルールなどの技術面ではなくて、あくまで問題の取捨選択についてのルールで、あまり多すぎても良くないので、1〜3個くらいに絞っておくと良いです。

自分なりの切り替えの呪文を持つ

テストが終わったら、次のコマに集中することも大事。今終えたコマのことはすっかり忘れて良いです。○○で取り返さなきゃとか、そういう呪文で点数が増えるなら勉強は要りませんね。そんなのどうでも良いので、自分の出来ることを全部置いてくることに集中しましょう。

具体的な台詞はなんでも良いです。例えば国算理社なら、国語のあとは「次は算数〜注意点の見直しと計算」「次は理科〜月と地層を見ておこう」といった感じで、次のコマに意識を集中して備える言葉や歌を持っておくと良いでしょう。

どんぐり6割

本番で緊張するのはみんな一緒。例えば3倍の入試なら、教室の66%はサヨナラ、残りの22%くらいがどんぐり。自分が判定50%前後のボーダー層だとしても、ざっと9割は自分と同等以下です。ギリギリなのもプレッシャーも同じなので、それで自分だけ不利ってこともない。全部書ききれば、合格点くらい取れるんじゃね?くらいのセッティングで、やってきたことを全部置いてくるのが最強です。

それでもなんか変だと思った時には、一回力んでから肩の力を抜いて手を緩め、呼吸を楽にしてみるなど、一定の決まりごとを持っておくと良いですね。当日着用予定の腹巻にメッセージを刺繍したり、お守りを入れるスペースを付けておいて、そこに手を当てて深呼吸などの形を決めておくのも良いです。

胸→みぞおち→おへそ→へその下の順に、一呼吸ずつ手を下げていきながら呼吸を数えたりする方法では、カウントごとに、お母さんとか先生とか、思い浮かべる人とか場面を決めておくのも良いです。

目を閉じてお気に入りの動画を脳内再生するのもアリ。特にアニメや映画などのストーリーもので、台詞まで丸覚えしているものを追うような思考は、国語のウォーミングアップにも効きます。自分の緊張を把握して、その上で笑う練習をしておくと力を発揮しやすくなるので、お子さんのタイプに合わせて、コントロールする方法を一緒に考えておきましょう。

集中のコントロールを心がける

基本的に、集中力が高まる順番は、①程よい難度で手応えのある問題を解いている時>②どうしても解きたいと粘っている時>③軽い問題をこなしている時>④手も足も出ない時。勉強するときは、これらをうまく組み合わせて集中をコントロールして使うことが大事ですし、テストでミスを避けるためのセッティングもそれぞれ異なります。

②の粘りは、入試では時間配分や疲労から見てマイナスになることもある諸刃の剣。お子さんの答案を見て、出来ない問題で時間を使い果たした様子が見える場合は、どこで見切りをつけて次に行くラインや手段を持たせてあげた方が良いです。出来ない、わからないを批判されてやってきた子は囚われやすいので、そういう傾向があるなら残り期間でリハビリ。見切って次に行くことや、わからない問題があることに罪悪感や敗北感を持たせないことが大事です。

③の軽い問題、これはいわゆるケアレスミスとも繋がっていることが多いですね。やらかすパターンは似通っているし、言葉責めは役に立たないので、どんなセッティングやルールを持ち込めばちょうど良い負荷になるのか、いろいろ試してみましょう。

④も意外と大事で、頭に手がかりがないと闘える気がしないので、心でどんなに強制しても集中できません。これは以前の記事でも書いた前提知識などとも関連しますが、わからないのに集中しろって言うのは能力も意欲も削った上で時間も奪うのに適した方法です。

さっきやったじゃない!思い出しなさい!とかもあんまり。念力のトレーニングなら良いけど、学力なら意味ない。学力を鍛えるなら、その子の努力を一段分に調整して頑張らせることが大事なので、集中が足りないように感じたら、特に注意してください。入試でも、本当に無理な問題を考えるくらいなら、できた問題の完璧仕上げとか休憩に使った方がマシです。

それと、自分だけ安全地帯に逃げるのもナシ。「あなたはここぞって時に弱い」「いつも大事なところで頑張れない」とかね。要らんでしょう。実績なくても良いから「ここって時には頑張るよね」「本気出すと強いよね」。自分の願望はまっすぐ言葉に乗せましょう。捻らない。

負けて嘘つきって言われたら?「まだあなたの本番じゃないんでしょ」とか「ごめ〜ん、親バカで」くらいで良いんじゃないですかね。勝負は勝ち負け半々が基本だし、結局は本人次第なんで、外れたくらい仕方ないでしょう。マイナスの言葉を与えるより、ずっと良いです。

 

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塾別偏差値2020年度版(女子) 2019年11月 SAPIX/四谷大塚/日能研/市進/首都圏模試

11月までの各塾模試結果を受けての偏差値比較、女子版です。対象はSAPIXが第3回合格力判定SOの80%判定偏差値、四谷大塚は11月10日実施の合不合判定テスト第5回の80偏差値、日能研が11月19日発行のR4です。

女子は44校、60入試に変動がありました。複数の入試回で上昇したのは、都市大等々力が3つ、開智日本橋恵泉女学園香蘭女学校山手学院、大妻、日本女子大、普連土、法政第二、國學院久我山は2つ。

偏差値40台〜50台のボリュームゾーンで多く上昇が見られる中で、渋幕、渋渋、桜蔭、女子学院、慶應中等部といった最上位校が四谷偏差値で1ポイント下降していることも目につき、より安全志向が強まっているように見えます。

3つの塾全てで上昇しているのは2/2の共立女子のみで各1ポイント、一方の塾で上昇してもう一方の塾で下降している学校も4校あり、男子に比べると評価が分散しているのが良くわかります。言い換えれば、男子以上に偏差値より過去問対策と相性を重視した方が良さそうな印象で、安全校をもう一校重ねたいような動きです。

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偏差値比較一覧表をPDFや表計算で欲しい方はこちらよりダウンロードしてください。

 

背景色はその集団の中での上の上=赤、上の中+下=黄、中=緑。大体の分布はこんな感じです。

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塾別偏差値2020年度版(男子) 2019年11月 SAPIX/四谷大塚/日能研/市進/首都圏模試

11月までの各塾模試結果を受けての偏差値比較です。対象はSAPIXが第3回合格力判定SOの80%判定偏差値、四谷大塚は11月10日実施の合不合判定テスト第5回の80偏差値、日能研が11月19日発行のR4です。

模試ごとの偏差値の変動は、志望申告者数の増減で起きます。併願先として記入する人が増加すると上昇、減少すると下降するわけですね。もちろん申告者の得点も影響します。春の時点の偏差値から上昇しているのは27校の43入試、下降は10校の11入試。

巣鴨世田谷学園は併願校候補としてかなり人気の様子で、1〜3回と算数午後の全ての入試回で2〜3ポイントの上昇傾向。都市大等々力は3つ、攻玉社明大中野、法政第二、城北、国学院久我山、高輪、山手学院、開智日本橋が2つの入試回で上昇しています。

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数少ない下降のうち、芝は1回がSAPIXで1ポイント、2回は四谷で2ポイント低下。いまどきwebはおろか郵送さえ受け付けない窓口出願オンリーなのもポイントでしょうか。好きな人だけ来て欲しいって感じの学校ではありますね。

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中学受験本番まで、あと夏休み1回分。

とうとう12月1日になりました。あと夏休み一回分で、1月入試が始まりますね。このブログで言えば、「秋からの100日の過ごし方(1)」から中61日経ったので、同じ日数で2月1日の東京入試を迎えます。

最後の模試に冬季講習、過去問に穴埋め、時間が幾らあっても足りないとか、インフルもらったらどうしようとか、痺れてくる時期。で、この時期に話すのが、地に足を着けて勝ちの目を増やしましょうってこと。


立ち位置を間違えないこと

緊張や不安が強くなると、とにかく必死で勉強してる姿とか、良いスコアとか見せてくれないと辛く感じるようになる。感情移入が強くなりすぎて、しんどさから今度は安心させてくれない対象に攻撃的になる恐れも出てくる。でも、内輪で攻撃してる場合じゃないですね。時間も気力も無駄にしてしまうなら、金と飯だけ用意して手を離すほうがマシなくらい。

約束したから、頑張るって言ったから、って責めるのもイマイチ。スケジュールとかやることを決めるのが悪手ってことではなくて、それを破ったからって怒りや凹む材料にするのは損。目標を持つ、やることを決める、そしてやり抜く、って流れを身に着ける練習のためにするもの。

親と子の約束は対等ではなく、有利な契約書を作れる業者と、無知な素人くらいの差がある。怒るのは「本当に悪いこと」とか「危険なこと」くらいにした方が良い。

勉強しないとか、隙あらば遊ぶとか、気が抜けるなんてのは、本来悪いことですらない。罰は要らないけど、何度でもリトライさせる。努力しないで成果を得ることもないし、親の影響で鍛えられる期間はもう残り少ないから。

理想通りの育ちかたじゃないかもしれないけど、親だって完璧じゃないでしょう。良いことをしよう、楽しもうって姿勢を見せるだけで良い。否定したり投げ出したりしないで、根負けしないところを見せてやる。失敗したり負けた時は、頭に「今日は」をつければ良い。

責める時は、正義とか被害者のポジション取りがちだけど、「私は正しい」ってそんなに意味ないです。「子供が希望通りに頑張って勉強してくれない被害に遭ってる親です!」なんて、目指してる役回りじゃないはず。約束したとか頑張ってるとか、そういうノイズを外した中身がそれに近づいてるなら、少し立ち位置をずらした方が良い。

正しさの傘に隠れて、向き合って石をぶつける位置に立たないこと。誰かが子供に石投げるなら、横に立って守ってやるくらいの方が良いんじゃないかな。親だってそこまでタフじゃないけど、子供よりは年の功がある。なんだって良いから味方する。最後までやる。それくらい言えれば上出来。闘う相手は入試であって、子供じゃないですよね。

 

追い上げたい時の基準線

これからの学習量や姿勢に対して、過去最高の大幅更新を見込むのは良くない。不安が強いほどパツパツの計画を立てたくなるけど、絵に描いた○、机上の○○、取らぬ狸の○○○、ってやつです。例えば可処分時間の4〜5割しか勉強しなかった子が、急に10割出来るようになるなんてほぼ妄想の域です。

気持ちはわかるんですよ。もういい加減、本気出してくれ〜ってね。でも、理想と比べて腹を立てたり凹んだりするなら、期待値をコントロールして出来ることを一つでも増やすことに集中した方が良い。

今まで出来たことのないことを基準に戦略を立てるのは、現実から目を背けるのと大差ない。来るかどうかもわからない援軍や兵糧をアテにして、それがなければ玉砕って、ダメ軍師ですよね。あるものを基準に、勝ち目を増やすことを考える。今まで、ベストの集中や時間を取れたのはどんな時で、どのくらいの量か。

エンジンのかかりが遅いとか、15〜30分で集中が切れるとか、もう散々見てきて、タイプは知っていますね。例えば、一緒に問題を読んで、解く時間も隣にいた時は結構出来たとか。時間区切って問題解いて、採点してる間は休憩ルールにしてた時は集中力が高かったとか。そういう過去ベストの再現が最高ラインで、そこをキープするのさえ容易じゃない。

だから、本人の過去ベストの8割程度でこなせる量を基準に考えて、何をやって合格の目を増やすかを考えましょう。増える分には困らないので、ベストが出ればコレ、更に超えてきたらコレ、って感じで三段階くらいのメニューを作ります。

1〜2割は自由時間にするのがオススメ。休憩でも良いし、好きな科目の勉強でも良い、完全に本人任せの時間。全部決めてたくさんやらせたい気持ちにもなるけど、なるべく本人が納得して、短時間でも集中を繰り返しやすい環境にしていくことを心がけた方が得です。

それに、2〜3年も受験勉強してきた子なら、夏休み1回分くらいの日数は割とリアルに想像出来るようになっています。もう勉強した方が良いってのはわかってる上で、「やらないと」で動けない子は珍しくない。

プレッシャーがかかってくる中で、弱点埋めとか見たくない事をやる必要がある。これまで何度もやってるのに、覚えられなかったりした項目。やらないといけないと思うほど、出来ないことに向き合わなきゃいけないから、気力を削がれるんですね。

外野からすれば出来ないところ埋めるのは当たり前だけど、苦手なこと、出来ないを実感することと延々と向き合うって、普通の神経ならうんざりする。逃避はむしろ正常な反応です。

だから、始動の自動化はとても大事。ただやる。出来不出来に拘泥しない。とにかくやる。さっきやったのに忘れる。昨日できたのに間違う。そういうことに拘泥しない。ただカウントして繰り返す。日本語できるんだから、しつこくやれば覚えることも出てきます。増えた分を数える。特に2〜3年もやってきて苦手な範囲では、これが本当に大事。苦手でも増やせる。増やせると苦手感が少し減る。入試でアタリが出れば大儲け。そういう流れを作ってあげることが支えになります。

 

容量を増やすためのプチ合宿

過去最高までしか求めないとしても、そのラインが心細過ぎる場合には、以前の記事にも書いた、土日利用など2日間のプチ合宿を勧めます。基本的に、誰かがずっと一緒にいる形で進め、張り付いているのが難しい場合は、開始と終了には動画チャットなどで付き合うと良いです。誘導するなら「自主的に始めて欲しい」は無くしましょう。ツアーガイドにでもなったイメージで「次は○時から算数で〜す」ってノリで良い。

50分やって10分休憩くらいのサイクルで、食後に昼寝を挟むのも良いです。昼寝込みで組む場合は、午前中の最後のコマに記憶系科目を入れて、起床後のコマでチェックするのも有効です。出来るかチェックというより、忘れ物チェックのつもりで。これも何度か書いてるけど、本当に試験当日まで記憶は増えるので、何個正解とかに拘らず、ひたすら回し続けるイメージを共有するようにしてください。

 

記憶系の入れ方

時間が経過したものは忘れますね。だから、受験には12月や1月にやったことの影響が大きい。たまたま最後の一週間に仕上げたところが出れば、それだけで10点以上加算することだってあり得るんだから、最後まで積み上げることが大事。あるもの全部置いてくるためには、やったことは身についたって感じが要る。

ざっくり概要を覚えて、それに肉付けしていくのは記憶の基本ですが、「重要語句」とか「基礎知識」みたいなことに捉われ過ぎないようにしましょう。

教える側は、テストに出る確率の高いことを中心に話すクセがあるし、テキストもそういう作りになります。全てを知って、全体像を整理するとこう並びますよ、って完成形。頻出順に整理されているし、基本線として使うのは当たり前とも言えます。安全で説得力もある。

でも、子供の覚え方や理解のパターンには個々の特徴があって、そっちに合わせた方がベストラップを叩き出しやすくなる。記憶のツリーは幹から枝、葉って広げてく感じですが、この幹になる部分でも同じこと。

とりあえず何周か読んで記憶チェックしたり、翌日もう一度やったりすると、すぐに頭に入ることと、入りにくいこと、間違って覚えること、しばらくすると抜けることなどがあります。この、すぐ頭に入って間違えにくいものを幹にして、そこから枝を広げていく。3〜4回読んで、全く何も覚えていないってことはまずありません。その繋げ方を教える、見つけるのが効率化のポイント。

まずこの20個が幹、次はこの40個が枝、この60個が葉、みたいな順番通りに覚えようとするのでなく、最初に覚えた20個を幹、そこに絡めた40個を枝、って風に考える。最終的に120個入れば何でも良いし、100個だって当たる確率は上がる。入れたものを整理し直して、繋げ直すのが大事。

まず基本の太いライン、次に枝〜って考えに縛られ過ぎると、子供の中に勝手に出来ていく幹を活かしにくい。どのルートだろうが全部覚える気でやるんだから、どこが幹でどこが葉でも、最終的に全部入れば困らない。覚えきれば整理統合されて、本来あるべき形っぽい流れも作れます。

歴史や地理などの大量の事柄を並べてみれば、確かに大きな流れがある。原因と結果、相互の影響もある。それを理解すると忘れにくいし、難関校の問題にも対応できて、記述や説明も可能になる。それは正しいけど、だからって事柄に「重要事項」として発生していることなんかない。

織田とか武田とか今川とか徳川とか豊臣とか小早川とか、バラバラで覚えたって大丈夫。覚えると、あ、こいつも織田と関係ある、あ、こっちも、って繋がって、中心に織田ー豊臣ー徳川の流れが見える。その順番でも大丈夫です。最初に川中島とか軍配を覚えても、刀狩りや僧兵を覚えても問題ない。

どこから始めても良いし、どこに道が出来ても良い。全部入れば、俯瞰も繋がりも見えてくるし、整理統合もされていく。歴史的事実って言われてることや生物の分類も、しばらく経てば新たな発見や解釈によって変わることもあるのが学問です。

だから、最初の何周かで頭に入ることを大事に幹にして、枝葉をつけていく。自分の頭に合わせて覚えていくことがとても大事です。何度も目にする、絵にする、音で聞く、ストーリーで入れる。手段も色々ですね。

こんな大事なことを〜とか、こんな基本的なことを〜って責めても何も生まないし、気合いで記憶力が上がることもない。特に用語系は「なんとなくこっち」って当てにいく意識のこともあるから、正解不正解で一喜一憂して見せないほうが良いです。

漢字なら、何と混同しているのか。音から入るんじゃなくて、絵と意味から入れるとか。線とか止め跳ねを間違うなら、間違いと正解を混ぜたクイズ形式にするとか。何か自分なりの根拠を持って選ぶ土台を作ることが、記憶の索引を作ることに役立ちます。

 

算数の解法まとめ

算数は、過去問中心の解法プリントを作るのがオススメ。これまでにも書いてきたように、目標得点に届かせるために必要な問題、あと少しで解けそうな問題。今までの過去問を見直したり、解く度に追加したりして、最終的に30〜50問くらい抽出するのが目安です。

プリント1枚に1問で、たっぷり書き込むスペースを取り、解答やノートから考え方や手順を網羅した模範解答を作ります。自分が間違ったポイント、気づかなかった箇所もなるべく丁寧に書き込みましょう。模試などの目標問題も追加しても良いけど、試験前日に見直すメイン資料としても、過去問抽出プリントは役に立ちます。

解法まとめを作ったら毎日触れるようにする。隙間時間で眺める手帳に追加したり、机の前やトイレに貼ったり。年明けからは、解答を見ないでプリントを解きましょう。間違ったら解法を書くところからやり直し。入試では、考え方や注目するポイントが似ている問題が出ても有利なので、特に直前にはその学校の分をしっかり解いておくと良いです。

 

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中学受験後の心配について

最近の相談、偏差値アップとか併願校選びの他に、合格しても深海魚になったらどうしようとか、今でも結構反抗気味なのに、中学入ってしっかりついていけるだろうか、なんてお話があります。今日はそのあたり。

集団には学力の偏りが存在しますね。中央付近が多くて上下に飛び抜ける子もいるのが、普通の分布です。でも、これは中学受験を突破して入学してくる子たちにはあまり当てはまりません。入試というテストを受けた集団の、上何割かで切り取った分布だから、その時点では裾野が広い形になるのが普通です。

例えば、大抵のテストの得点分布はこんな感じ。倍率3倍の入試合格者の得点分布だと、合格ラインの上3分の1を切り取った裾の広い形になりますね。飛び抜けて出来る子はいても、飛び抜けて出来ない子は混ざりにくい。

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また、入試によって多少変化しますが、合格者平均点以下の合格者は半数ではなく、6割強を占めることが多くなります。で、合格者平均点と合格者最低点の差は10〜40点、多くは20点前後。10点の間に100人とか200人が固まっているんですね。

これは繰り上げ合格者を含めても同じ。正規合格の最低点には何十人か並んでるのが普通だけど、こことの差が「4教科で1点」だから、1問分にもならない。正規の子が算数で部分点を3点稼ぎ、繰り上げの子は社会の2点1問正解とか、そういう僅差。

背伸びして合格しても深海魚になるって話は、この分布自体を誤認しているケースもあります。確かに模試などのテストを受けた集団の最低点は突出してるのが普通だけど、上から何割か取り出した合格者の分布は下が広い形状で、入学選別の時点では「深海」は存在しないんですね。上が1割、少しマシなのが3割、どんぐり6割みたいな分布。

それまでの偏差値は〜って人もいるけど、同じテストで選抜して受かる子に、大した差はありません。総合力では上位の子が、たまたま苦手が重なったり、緊張や体調不良でスコアを落とすことはあっても、知らない問題や出来ない問題を正解することはない。

上の方でコケる奴がいても、どんぐりが入る隙間が増えるだけで、実力がかけ離れてる下の方から受かることはないですね。どんぐりの背比べの中で、有利不利がある程度。

入試で突出したスコアを叩き出す子は明らかに有利なこともあるけど、合格ボーダー層でも入学時点ではほぼ互角に闘える相手が6割くらいいるはずなので、どんぐりの中のトップになれば平均は超える。

進学校勤めの友人や取材先の先生にも同じことを聞いてみましたが、下位固定層が入試の得点とあまり関係ないのは共通認識です。ではどうして「深海魚」が生まれるかと言えば、入学後の学力の積み上げに失敗するからですね。その原因になりやすいことを書いてみます。

 

勉強嫌い

一番危険なのはコレですね。義務とか圧力で頑張って、解放されちゃった。それこそ、もう勉強しなくて良いんだ!とか思っちゃったとか。組分けでせっかく上位クラス入りして、1ヶ月サボるのと同じことをやっちゃうパターン。合格が全て!って認識でいるとハマりやすいので、注意しましょう。

学力の伸び悩みにも共通することだけど、面白さを感じていない子は危ないです。親子共々、受験を突破するための義務とか労働みたいになってる。特に、約束したからには守れ!不合格になるぞ!頑張れ!って成分が多すぎると良くない。ちょっとくらいはスパイスになるけど、義務感と不安感と劣等感がメインでは、息切れが来ない方が珍しいし、終われば解放されちゃう。

綺麗事じゃなくて、面白さと自分の進歩や成長を感じることって、続けるのにはとても大事な要素です。一番の基本は、教える側が面白がること。学ぶ内容そのものの面白さに加えて、子供の成長を見る面白さ。ほ〜らスッキリした、面白いだろ?とか、昨日より出来ること増えてるじゃん!って感じ。

もちろん通じない独り相撲には注意した方が良いけど、親や教師が眉間に皺寄せて修行感丸出しとか、焦ってキリキリしてるようだと、子供が楽しめる可能性は減ります。

全てをこのために犠牲にしてきた〜とかは危ない。何度か書いてるけど、最終学歴の大学受験まで3〜4周あるレースの1周目です。学力で競うレースから降りないなら、気を抜く所じゃない。合格して勉強しなくなると、不合格より損失が大きくなる可能性がある。

これはセッティング次第で割と回避できますね。なんのための受験か=より高いレベルの環境に身を置いて、学業に取り組むため、って気持ちをしっかり持つ。合格したらやること、英数の勉強とか、探究系の取り組みとか、そういう視野を持っておく。

受験は「終わった〜!」って気を抜くポイントじゃなくて、「始まるぞ!」って気合いを入れるところです。緊張の反動とかあるのは普通なので、気持ちをしっかり固めて、備えておきましょう。

 

キャラ獲得ミス

難関上位校に入る子は、学校でも塾の校舎でも最上位層だったりします。でも3分の2は入学後はどんぐりチーム入りなのに、小学校のノリで入ってしまうことがある。授業を真剣に聞いてなかったり、提出物もサボったりとか。こうなると、授業の難度や進行は小学校とは段違いなので、沈んでいくのは必然ですね。

授業態度とか提出物、部活や友人関係の中で、真面目とか頑張り屋のポジションじゃなくて、怠けたりサボったりする位置に入っちゃうと、それが定着するのに時間はかからない。1年の二学期くらいまでで大体決まって、そのまま6年過ごすこともあり得る。だから、もし一学期でそこそこ真面目にやって真ん中より下なら、夏に気合入れて挽回した方が良い。

これも基本だけど、同じ授業、同じ期間でテスト受けて下の方になる科目、特に赤点ゾーンの場合、赤点クリアしてもあまり意味ないです。倍の時間かけて平均以下に届く程度だと、次の期間も同じようになるケースが多い。

だったら3倍4倍やってでも、平均以上、むしろトップクラスじゃない?って思うくらいまで仕上げた方が良いです。特に数学や英語は、満点になるくらいやり込む。そうしないと、二学期以降も低迷ルートが濃厚。そのまま行っちゃいます。

学力って、素質以外に前提知識と学習方法の部分も大きい。前の範囲が弱いと、同じことを理解吸収するのにも余計に時間がかかるし、学習方法が確立されてないのも効率の悪さになる。二重の不利を背負う期間が長いほど、より勉強嫌いの方向にも進みます。だから、一学期で弱かった範囲は、それこそ受験以上に執着して満点目指すくらいやりましょう。

それと、軽視できないのが生活面です。成長期は朝が弱くなるのに、スマホやゲームで夜更かししてしまう。当然、自宅学習の時間も減り、授業の予習復習も疎かになって集中も出来ない。通学が遠くて部活もハードなんてなったらフルコンボ。勉強どころじゃないですね。

なので、学習習慣とか生活リズムを掴むまでは、スマホは与えないとか、時間制限で監視下に置く方が良いです。夜10時以降は触れないとか、スクリーンタイムは管理するとか。スマホタブレット自体の活用はしていく流れなので、有効なツールとして使いつつ振り回されない距離感を学べるようにしましょう。

 

自惚れ崩壊

自分は結構頑張って宿題もやって、塾にも行くんだけど、成績は下の方。授業と通学時間くらいで勉強終わり、成績トップみたいな子を見て、自分は大して頭良くないって実感する。これを刺激には受け取れず、嫌気がさしたり、劣等感に苦しむタイプがいます。

模試の全体トップ10ですらないのに、「校舎では一番」などの狭い範囲に目線を向けて自惚れてた感じの子は特に危ないですね。その程度だと、相手によっては調子に乗れるけど、強い奴の前では霞む。自惚れと同じ量くらい凹むから、トップ10にも入らないのに自惚れがちな子には、上には上はがいるよ、くらいの声かけはあった方が良いかも。勝ちで自惚れるやつは負けに脆いことが結構あります。

それと、挽回をちゃんとやらせてあげる。上にも書いたけど、下3分の2は素質には大差ないので、やり方次第で上から3割あたりまでは普通に届く。だから、最初のテストで負けたら、本気の挽回を仕掛けた方が良いです。

補習とか追試に回り、屈辱感じて嫌々やって、最低ラインクリアで終わりにしてしまうと、屈辱の上塗りを繰り返す可能性が出てくる。40人中12〜15番くらいになれば屈辱感は薄いし、挽回できたって事実が支えにもなります。結果が与える勇気や自負は大事。立ち位置を低めで固定させないためにも、1年生の間は特に重視しましょう。

それと、「学力が全て」「出来るやつは偉い」みたいな軸だけじゃなく、他の価値観も見せてあげられると良いです。何かに打ち込んで、誰かの役に立つようなことに取り組んでいたり、それで輝いている人を見たりすることで視野を広げておけば、自分の輝く場所で頑張れば良いってことにも早く気付けるかも知れませんね。

 

素質と前提知識

習得に必要な時間=頭のタイプ×前提知識です。数字は適当なので、教える側の人でも見てきた子の範囲によって入れる数字は異なると思うけど、私のイメージだと以下のような感じです。

頭のタイプ とても有利:1 有利:2〜3 普通:4〜5(2〜3) 不利:8〜10(4〜5)
前提知識  十分:1 ギリギリ:2 不足:4〜

( )は適切にサポートできる人がいる場合。受験で通ってくる中には不利なタイプは滅多にいないけど、普通くらいの子はいるし、とても有利な子もいます。最速で1時間で済むものが、タイプ普通×前提不足だと10倍以上かかる感じ。

で、この差に打ちのめされて、逃げに入る子がいる。学校辞めてしまうとか、赤点が1〜2教科許される学校なら捨てるとかすれば良いんだけど、そこまで割り切れず、前提を仕上げることもなく。もちろん10倍以上なんて時間的にも継続不可能なので、常に足を引っ張る教科を抱え続け、授業もつまらない、テスト勉強も苦痛、補習や追試も続く、ってルートに乗ってしまう。

だから、前提知識を十分のレベルまで仕上げるのは、同じ場所で闘っていく上では必須です。それでもトップクラスと同じ土俵で闘うのは厳しいけど、致命傷にならない程度には持っていけるし、とても有利な子は意識の中で別枠に入れてしまえば、それほど屈辱感は感じずに学業に取り組めるようになります。

 

国語力不足

上記と似ているけど、国語力、特に読解力と論理性の部分は、あらゆる教科で根本になる部分です。英語以外の教科書は日本語で書かれているし、授業も日本語。意味を把握する、考える、といった能力の基礎部分も日本語です。

みんな日本語話者だから最低限は出来るので軽視されがちだけど、この部分でも効率はかなり変わってくるので、国語は弱いけど何とか受験を乗り切った子の場合は、要約したり解説したりする練習をした方が良いです。

文章を論理立てて読み込み、頭でわかっていることを、文章にして書いたり話したり出来るように取り組みましょう。入試の選択式の問題を、記述で答える練習をしたり、人に教える機会を持つのも役に立ちます。

 

中学受験を価値あるものにするために

中学受験に失敗があるとすれば、勉強嫌いにさせること、燃え尽きてしまうこと。不合格は最大の失敗ではないです。組分けで負けて、下のクラスに入るだけ。大学まで通用する学力を養う意味でも、自立した人間になる意味でも、入試を終えてからが本番を迎える。親の手を離れてからが、本当の勉強ですね。

中村俊輔選手や本田圭佑選手も、ユースに上がれず高校の部活に行った。受験どころじゃない熾烈な競争を勝ち抜き、日本代表のエース格になるほどの選手が、ユースに入り損ねることだってある。中学受験はそれより若い、まだまだ始まったばかりの地点。勝っても負けても1周目です。

勉強すること、工夫すること、決めたことをやり抜くこと、人と競うこと、結果を受け入れること、そこからも学んでいくこと。将来の糧になり得る、貴重な経験を積んでいるところ。無駄なんてない。無駄にする奴がいるだけ。

勝てば全部揃った高級ツアーの席が取れる。学校が進学とか課外活動とか、色々と工夫して手配してくれるし、同級生も学力や進学意識とかモラル高めの子が多いから刺激をくれる。任せて安心!って感じだけど、逆に言えばそれだけ。

スペシャルなツアーに外れたら、自分たちで宿から食事やアクティビティまで、しっかりツアーを組めば良い。留学でもボランティアでもAIでもロボットでも、学校以外の場所で幾らでも挑戦する機会はあるし、大学受験なんか進学校にも塾利用者は結構いる。何より、どれだけ成長するかは本人次第。

大学まで小4から高3までの9年として、最初の3分の1。これを中学受験期間に置き換えれば、4年生の終わりの組分けテストに過ぎません。そもそも学力が全てじゃないってのは置いといて、これからも学力レースに参加し続けるとしても、1周目ってことは認識しておいた方が良いです。

親としては残り僅かな期間、燃えて頑張る姿を見せて欲しいだろうし、もちろんその先には合格があって欲しい。それは良いけど、そこがゴールじゃない、ってことは心に留めておいてください。親も頑張ってきたんだから、のめり込んでも良いけど、悲観に覆われないこと。勝っても負けても泣いたって良いけど、次に向かうこと。

義務感とか、責任感とか、競争意識だけが強くなると、面白くなくなります。楽しめないことを頑張ると、いろんなところが悲鳴をあげる。そこにハマれば、不合格とか深海魚に限らず、病んだりすることだってある。面白いことはきつくっても壊れない。一歩進むこと。そこに価値や面白さ、成長を認めること。子供のタフさを引き出せるように、潰さないように、残り僅かでも面白がりましょう。